シルトマイヤー<セカライ3期生> @shiltMeyer
新しい案件の話をいただきました!
内容はとあるメーカーさんの商品のレビューです。
近々そのことで公式から発表があると思いますのでご期待ください!
〇587 □958 ◇2621
ウマ娘は何かとお金がかかるものです……なんだか最近お金の事ばっかり考えている気がしますが、きっと気のせいです。
食費は普通のヒトよりも多いですし……っていうかウマ娘の中には1人で1家庭分の食費が発生する娘だって珍しい話じゃありません。
私はそこまで健啖家というわけじゃないですが、やっぱり一般男性よりは食べちゃいますし……。
そして、それ以外にも色々と物入りなのがウマ娘なのでして……特にあるのが美容ケアに必要な数々の品。
まぁ私も腐っても女の子、日頃から髪やお肌のケアだって人並にはしています。
そしてウマ娘たるもの尻尾のケアだってもちろん欠かせません!ちゃんとブラッシングしたり専用のシャンプーやトリートメントできっちりケアをしているんです。
なにせそれをしないとぼっさぼさのかっさかさになってしまって、服に引っかかるし座った時の座り心地も悪くなるんですから、手を抜けません。
ただまぁ、最近はコンビニや100円ショップにもいい品質の商品が出ていたりしますからね……最近はそういった物に頼ったりしています。
「でもお高い奴は良いんですよねぇやっぱり」
コメント:髪の毛がゴワゴワするとかはわかるかも
コメント:っく!俺にも尻尾があれば共感できるのに!
コメント:おっさんの尻尾とか需要無いんですがそれは
「だってお高い奴とか髪も尻尾もさらっさらのつやっつやになるんですよ?手櫛でもさらさら~ってCMみたいになるし、尻尾も手触りと座り心地が全然違うんですから」
コメント:流石に石鹸はちょっと……
コメント:今のご時世男でも気にする時代だぞ?
コメント:気にしないと禿げるぞ……俺みたいに
コメント:また髪の話してる……(´・ω・`ミ)
「はぁ……やっぱりちょっとお高いけど良い奴使おうかなぁ……なんか尻尾のゴワゴワが気になっちゃって」
コメント:調べてみたけど色々なメーカーでウマ娘用も出してたんだな
コメント:普通に大手のメーカーでいいんじゃない?
コメント:合う合わないもあるしなぁ
コメント:そいや最近メジロが新ブランドの宣伝してなかったっけ?
コメント:あぁ、なんか色々な業界のウマ娘に使ってもらって感想を聞くやつだっけ?
コメント:メジロ家の専用チャンネルでマックイーンちゃん出演だからおすすめ
コメント:メジロ家のチャンネルってライアンちゃんの筋トレ動画くらいしか見たことないわ
コメント:ブライトちゃんの紅茶講座もいいぞ!
「メジロ家さんのチャンネル!私もよく見てるんですよ!ライアンさんの筋トレ動画とかはボイトレのトレーナーさんと一緒に参考にさせてもらってます!ケア商品の配信も見てますけど、あれは~……その、お値段的にね?」
コメント:コンビニや百均商品に頼るくらいだからなぁ
コメント:あの企画は色々な業界から選んでるんだからマイヤーちゃんもワンチャンあるんじゃね?
コメント:どうなんだろ、一応バーチャルだしなぁ
コメント:でも魂がウマ娘なのは初配信でばれてるやん
コメント:これはコラボのチャンスなのでは!?
「コラボは流石に……庶民には色々な意味で高嶺の花ですよぉ……高値だけに」
コメント:ほーん
コメント:で?
コメント:で?
コメント:で?
コメント:うん、それで?
コメント:おう
「君たちほんとダジャレに厳しいなぁ!?もぅ……あ、もうこんな時間かぁ。それじゃ今回の雑談配信はここまでにしますね。チャンネル登録とウマッターのフォローをまだの方はよろしくです!それじゃ皆、おつまいや~」
コメント:っよ!乙舞屋!
コメント:っよ!
コメント:っよ!
最後はちょっとぐだぐだになっちゃいましたけど、まぁ雑談配信はいつもこんな感じですしいいでしょうか?
今日もいっぱい喋ったし、程よい疲れとまどろみに任せてすやーっと眠ることにしましょう。
な~んて、その日はのんきに布団に入った私でしたが……まさかこの配信が切っ掛けになるなんて思いもしなかったわけで……。
数日後、いつも通り夜中に配信に使う素材をコツコツ作っていた私のウマホにマネさんから連絡が入りました。
「もしもし?」
『あぁ、マイヤーさんですか?夜遅くに申し訳ありません……』
「いえ、大丈夫ですけど……なんだかお疲れですね?」
『え?えぇ……まぁ。それよりも明日なんですが、なにか予定は入っていますか?』
「いえ、特には……一日オフの予定なのでちょっと夜更かしして今度の配信で使う素材を作ってたくらいですから」
『そうですか……いえ、準備も大切ですが夜更かしはほどほどにしてください』
「あ、はい……ごめんなさい……それで、えっと?」
『あぁ、すみません……ふぅ。実は案件の話がまわって来まして、それをマイヤーさんにお願いできればと思ったんですが』
「わ、わたしに……ですか?えっと、そのぉ……私なんかでいいんですか?」
『ええ、むしろ相手側は貴女を指名していますから』
「わ、私を指名!?……な、なんでぇ?」
『……マイヤーさん、先日の雑談配信は覚えていますか?』
「え、あ……はい、覚えてますけど……?」
『そこでシャンプーの話をしましたよね?』
「あ、はい……えっと、それが?」
『実はその配信をご覧になった先方から是非自社の商品を使ってもらいたいと……そういう話が来たんです』
「あ、あぁ~……な、なるほど……?」
『どうでしょう?明日は顔合わせの打ち合わせとなるのですが……そこに同席しませんか?』
「えっと、そのぉ……それに同席したら、やっぱりやることになるんでしょうか?」
『いえ、明日の打ち合わせに同席したとしてもマイヤーさんが無理そうならば断わる方向で動かします』
「い、いいんですか?」
『ええ、社長からも問題は無いと承ってます』
「えっとぉ……そのぉ……そ、それなら参加、します……」
『……わかりました、では明日のお昼前には事務所に来てください』
「はい……あ、あの」
『なんでしょう?』
「えっと、その相手の企業ってどこの企業なんですか?」
『あぁ……メジロです』
「…………はぇ?」
『ですから、今回オファーをくださった企業はメジロ家傘下の企業です』
「本日はお時間をいただきありがとうございます、私はこの度商品の宣伝を任されましたメジロマックイーンと申します」
「あたしはその、付き添い?……の、メジロライアンです」
「これはご丁寧に……株式会社クルセラのマネジメント部の白石です」
「……はひゅ……ほひゅ……」
「……あの、そちらの方は?なんだか顔色が悪いようですが……大丈夫なのでしょうか?」
「あ~……ええ、問題ありません。それとこの娘がオファーをいただいているシルトマイヤーです」
「あ、はあ……そうでしたか。よろしくお願い致します」
昨日のマネさん(白石さん)の電話でまさかのメジロ家傘下の企業からのオファーということで舞い上がるどころかあれから一睡も出来ずに朝を迎えて、いてもたってもいられずに事務所に来た私ですが……なんで!?なんでマックイーンしゃん!?ライアンしゃんまじぇ!?
「え~……それで、先日弊社に頂いたオファーについて改めてお話を聞かせていただければと思うのですが」
「はい、今回我がメジロ家が出資した新しいウマ娘用のケア商品について、宣伝活動の一環として様々な分野で活躍するウマ娘の皆様にこの商品を使っていただき、その使用感などを配信で述べていただくというものです」
「なるほど……となると、今回のオファーは出演依頼ということでしょうか?」
「ええ、そうなります。主な宣伝媒体としてはウマチューブとウマスタとなっています。ウマチューブについては以前からこちらで活用しているメジロ家の専用チャンネルを使用する予定となっております」
「そうですか……あの、不躾で申し訳ありませんが……なぜ、弊社に?」
そそそ、そうですよねぇ……さすがの社長もメジロ家と繋がりなんて……え?ないですよね?何かと謎が多すぎるうちの社長さんですがさすがに……え?
そもそも繋がりがあったとしてもなんで私なんでしょう……こんなクソ雑魚ナメクジな私じゃなくてもっと有名な方に頼まれた方が……。
「えぇ、それについては……ライアン?」
「えっと、そのぉ~……実はマックイーンにマイヤーちゃんを勧めたのはあたしなんです。その……えっと」
「……こちらのライアンがシルトマイヤーさんの大ファンなのです」
「まままマックイーン?!」
「ふぎゅ!?ふぁふぁふぁ……ふわぁぁぁ!?」
「うわぁ!……本当にマイヤーちゃんの声だぁ」
「……ライアン?」
「あ……ごほん、失礼しました」
恥ずかしそうに居住まいを正すライアンさん……そ、そんな!?ライアンさんが私のふぁ、ふぁふぁふぁ……ふぁぁぁぁ!?
「え~……それで、今回の宣伝についてシルトマイヤーさんを採用してはどうかと勧められまして」
「そうでしたか、それはありがとうございます……マイヤーさんもいい加減再起動してください」
「ふひゃ!?……あ、あああありがとうごじゃいましゅ!?」
「え~……内容は承知しました。ただ弊社の……特にこちらのシルトマイヤーについてはご存じの通りバーチャルウマチューバーです。そのあたりについては?」
「ええ。それについてはこちらでスタジオを用意し、そこに大型のモニターを設置して出演していただくという形をとろうかと考えております。どんな形であれ今社会に出て活躍をなされているウマ娘を対象としておりますので、そこのところは配慮させていただきます」
マックイーンさんが持ち込んで来られたサンプル商品とプレゼン資料によれば、色々な業界で活躍するウマ娘さんを対象としているらしいです。
私もウマ娘のバーチャルウマチューバーとして依頼されたみたいで……確かに私は知ってる範囲では初めてのウマ娘のバーチャルウマチューバーですし……魂がウマ娘であることを公表しているのって私以外いませんしね……あれ、私ってもしかして希少価値高い?
「なるほど……わかりました。お話をいただきありがとうございます、返答につきましては社内で一度検討させていただいても?」
「ええ、構いません……ただ、できれば早めにご返答をいただければと思いますわ」
「わかりました。では本日はお越しいただきありがとうございました」
「いえ、いいお返事を期待しておりますわ」
なんだか私があわあわしているうちに話が進み、お辞儀をして出ていくマックイーンさんとお願いされてサインを入れた私のぱかプチを大事そうに抱えて帰るライアンさんを見送った私達。
「はうぅ……緊張しました」
「それは見ていればわかりましたが……どうしますか?」
マネさんが今回参考までにと持ち込んで来られたサンプル商品を手に取って眺めながら聞いてきました。
私も試しに手を……うひゃぁ、このシャンプー私の使ってるやつより桁が1つ違う奴ぅ……あ、この櫛なんて一つで二日はご飯食べられちゃうぅ……。
「配信ならこっちのやり方で行えますが、モニターでの出演となるとあちらに出向いての配信になると思いますし……不慣れな現場はまだ貴女にはハードルが高い気がします」
「えっと……その……」
確かに、初対面とはいえたった二人の前に出ただけで喋ることすらままならない私じゃ、とてもじゃないですけど知らないスタッフさん達が大勢いる現場となるとどうなることか……。
「その……私も、そう思います……」
「……そうですか、では今回のオファーについては」
「で、でも!」
「マイヤーさん?」
「あの、その……でも私にって……私だからって……そう言ってもらえたんですよね?だったらその、期待には……応えたいです」
「……本当ですか?メジロ家からの話とはいえ断ることは出来ますよ?」
「いえ、その……そういうんじゃなくて、その……嬉しかったんです。ライアンさんにファンだって言ってもらえて……ぱかプチも大事にしてもらえてて……マックイーンさんだって私ならって……思ってもらえているのなら……その期待に応えたいです」
「……わかりました、貴女がそう考えるのなら私達は貴女を支えるだけです。ではこの話は受けることにしましょう」
「は、はい!よろしくお願いします!……あのぉ~ところで」
「他に何か?」
「あ、いえ……そのぉ……これ、貰ってもいいですか?」
「……ええ、いいですよ」
なんだか微笑ましい顔のマネさんに見送られて私は事務所を後にしました。
だ、だってだって!普段使えないお高い奴なんですよ!?私だって気になるに決まってるじゃないですかぁ!?
私だって女の子なんですぅ!なんですかあの「あぁ、貴女も女の子だったんですね」みたいな顔!?
そりゃ我らがセカライのライバー女性陣は揃いも揃って女子力不足がSNSで話題に上がることも多いですけど……。
なんだか最後は釈然としない気持ちを抱えながら家に帰った私は、ちょっと早いですが早速頂いたサンプル商品を試してみることにしました。
あ、ちなみに後日私が試す新製品は改めて貰えるみたいです……わぁ~これでしばらくは私もセレブ気分を味わえるんですね!勿体ないですしちょっとずつ使うようにしましょう……あれ、セレブとは?
さて、私たちウマ娘のお手入れ方法にはちゃんとした作法というものがあります。
まずは洗う前にはしっかりとブラッシングをします、そのための専用のブラシまであるくらいですからね!
そうして髪や尻尾に絡まったゴミやほこりをきっちりと落とします、それにするとしないとではシャンプーした時の泡立ちや指の通りが段違いです。
「ふんふふーん」
脱衣所で衣類を脱いでバスルームに入った私は早速頂いたブラシで髪と尻尾をブラッシングします……はわぁ!やっぱりいいブラシは通りが違いますねぇ……私の尻尾はちょっと癖っ毛なんですが、すんなり通っていきます。
ちなみに温かい時期は良いんですが寒くなってくるとこの工程はサボりがちです……だって服を脱いでブラッシングしないと服にごみやほこりがついちゃいますから……寒いと、ちょっと……ね?
それが終ったら温めのお湯でしっかりと流してさっそくお高いシャンプーの出番です。
「おぉ~泡あわ~あわわ~」
やっぱり良い物は泡立ちからして違うものですねぇ~。
上機嫌に泡まみれになってからしっかりと濯ぎます、泡が残ったりしてると傷んだりする原因になりますからしっかりとです。
それが終ったら改めてブラッシング、それもさっきのブラシとは違って細い櫛を使います、洗いたての毛は傷つきやすいですから優しく丁寧にやります。
これは私がまだお母さんと一緒にお風呂に入っていたころに教わったもので、実家にいた頃は妹にもしてあげていました……妹はそれが嬉しかったのか、一緒に入る時はいつもせがんで来てましたねぇ。
あとはゆっくり湯船につかって体を温めて……お風呂からあがったらしっかりと髪と尻尾を乾かします。
特に耳はしっかりやらないと痒くなったり、耳の病気の原因になることもありますからしっかりと水気をふき取っておきます。
乾かし終わったら軽くブラッシングして毛艶をよくするためのスプレーを吹きかけて馴染ませれば終了です!
「ふっふっふ、これで私も一流のウマ娘ですねぇ~」
さらっさらになった尻尾を撫でながらひと心地、やっぱりお高い物は満足感が違いますね!
side:メジロマックイーン
有馬で奇跡の復活を遂げたテイオーのその姿に背を押され、長いリハビリの末に復帰したトゥインクルシリーズ。
テイオーやライアン、それ以外にも沢山のライバルたちとのしのぎを削るレースを繰り返した私は、その活躍が認められて強豪たる先達が集うドリームトロフィーリーグへの参加が認められました。
そこでも同じように移籍を決めたテイオー達と勝っては負けてのレースを繰り返しながら、私はメジロのウマ娘としてのこれからを考えておりました。
まだまだ続くドリームトロフィーリーグでの競技生活はあるものの、それだっていつかは終わらなければならないもの。
そうなった時、私はメジロのウマ娘として何ができるのか……最近では常々そのことが頭をよぎります。
同じメジロのウマ娘であるライアンは同じメジロの子供達の指導を行っておりますし、ドーベルやブライトは趣味としている紅茶やアロマを広める活動などを行っているみたいですね。
最近ではテイオーでさえ将来について考えている様子……ライバルたる私も後れを取るわけにはまいりません。
とはいえ後進の指導となるとすでにライアン達がおりますし、そもそもお抱えのトレーナーや教官が既におります。
ウマ娘に関する事業として被服関係がありますが、それもウマ娘の勝負服を手掛けるラモーヌ姉さま達がおりますし、なによりその……私はあまりそういった方向性は向いていないようで……。
メジロのウマ娘として、これからのウマ娘の世界をより良いものにしていく手助けを出来れば……そう思っていた時でした。
「新ブランドのケア商品ですか?」
「ええ、そうです」
おばあ様に呼ばれ執務室を訪れた私におばあ様が提案してくださったのは、ウマ娘たちが使っている髪や尻尾のケアをする商品の開発協力でした。
なんでもメジロ家が出資して新しいブランドを立ち上げたらしく、そこで出す新しい商品の開発のための協力を行うということでした。
「私に務まるでしょうか……」
「何も一からというわけではありません。まずはテスターとして商品を試し、貴女なりの意見を開発者に伝えれば良いのです」
「は、はい……わかりました、そのご提案受けさせていただきます」
そうして始まった新商品開発は思っていたよりも刺激的で楽しい日々でした。
開発を請け負っていたのはメジロ家が懇意にしている企業で、開発者の中にはウマ娘の方もおりましたので忌憚のない意見交換が出来たと思っております。
そこですっかり意気投合した私は宣伝についてもメジロのウマ娘としてきっちり責任をもって行いたいと思い、おばあ様に相談いたしました。
宣伝自体は企業側でテレビや街頭を利用しての宣伝を行うとのことでしたので、私は何か別の方法で出来る事がないかと考えました。
おばあ様と相談した結果ウマチューブとウマスタを利用した宣伝をすることに決まり、ウマチューブにあるメジロ家が持つチャンネルを使うことも決まりました。
チャンネル自体はライアンが嬉々として筋力トレーニング講座と銘打った動画を上げたり、ドーベルやブライトが好きなアロマや紅茶の話をする動画などが上がったりしておりましたわね。
そこで今度はどんな宣伝を行っていくのかということで、関係各所と相談したり話を聞きつけたライアン達と意見を出し合った結果、様々な分野で活躍するウマ娘の方々に実際にその商品を使っていただき、後日配信にゲストとしてお呼びして実際の使用感などを述べていただくという内容に決まりました。
対象としたウマ娘はレース競技に出ているウマ娘はもちろんの事、それ以外の職業に関わるウマ娘も対象といたしました。
その、恥ずかしながら……そういったレースに関わっていないウマ娘の方が居る、という事自体は知識としてはありました。
ですが改めてそういった方々を調べ、実際に赴いて出演交渉をしていくうちに、まだまだその知識には実感が伴っていなかったこと、そしてなにより自身が住んでいる世界の狭さを痛感させられました。
商品開発の際に出会ったウマ娘の研究者さん以外にも警察や消防、運送業や建築分野など様々な場所で活躍する方達に出会えたことは、私にとっての今後を考える上でとても貴重な機会になったと思います。
そんな交渉も山があれば谷もあり、快く引き受けていただける方もいれば職業故の事情や個人的な理由から出演を断られてしまうこともありました。
それでも何人かの方に依頼を受けていただき、次はどなたに依頼するかと考えていた時でした。
「マックイーンちょっといいかな?」
「あら、ライアン?どうかいたしましたか?」
おばあ様から与えられた執務室で次の依頼者の選定を行っていたところにライアンが訪ねてきました。
「仕事は順調?」
「ええ、おかげさまで。とてもやり甲斐もありますから」
「そっか、でもトレーニングもあるんだからほどほどにね?」
「ええ、わかっておりますわ……それで、今日はどうしてこちらに?」
「あぁ、うん。ちょっとね……次の依頼者は決まったの?」
「今選んでいるところでしたが……それが?」
「実はそのぉ……あたしから推薦したい人がいて」
「あら、そうでしたか……それで、その方は?」
「うん、この娘なんだけど」
そう言ってライアンから渡された書類に書かれているのは……一人のウマ娘のプロフィール、なのですが……。
「……バーチャルウマ娘……ですか?」
「うん……あぁ!バーチャルってあるけどちゃんとしたウマ娘の娘だから大丈夫だよ!?」
「あぁ、えっと……その、この方はどういった方なのですか?ええと……シルトマイヤーさんでしたか」
そんな軽い気持ちでライアンに説明を求めた私でしたが、数十分後にはそんな気軽に聞いた自身の横っ面を張っ倒してやりたくなりましたわね……。
なにせそこから始まったライアンの怒涛のシルトマイヤーさんトーク……なんでしょう、血は繋がらなくともやっぱり私もライアンもメジロのウマ娘なのだと実感いたしましたわ。
きっと普段お茶会で野球トークを聴くライアンもこんな気持ちだったのですね……次からはもう少し頻度を減らしましょう、人のふり見てですわ。
4杯目の紅茶でやっと落ち着いたライアンに改めて話を聞いていくうちに私自身も興味を持ってそのシルトマイヤーさんという方のチャンネルのアーカイブや動画を拝見させていただき、この方ならばと感じたため依頼をさせていただくことに決めました。
最初の顔合わせを兼ねた打ち合わせで初めて会った感想としては……その、なんといいますか、正直心配の種は尽きないものでしたが。
その後はマネージャーさんと話を詰めたり、配信の際にこちらで使うスタジオにお二人をお招きして具体的にどうすればいいのかを話し合いました。
少しでも見知った顔があった方がシルトマイヤーさんもリラックスできるとのことでしたので、当日はクルセラから技術スタッフを同伴してもらうことになりました。
こちらとしても配信に関するノウハウについては持ち合わせてはいましたが、アバターを利用したバーチャルの配信については素人同然でしたのでとても助かりました。
今日もこうして機材の最終チェックとして実際にモニターに映しながら問題がないかをテストしているのですが……。
「……」
「マックイーン、ちょっとうらやましくなってる?」
「そそそ、そんなことはございませんわ!!」
そりゃ、モニターに映るシルトマイヤーさんのアバターはとても可愛らしいですし、その……なんだか私もちょっとやってみたいなぁなんて……思うこともございますけれど。
「クルセラは経歴不問でいつでもお待ちしておりますよ?」
「ちょっと、マネージャーさんまで……もぅ!」
なんていう一幕もありましたが準備は恙なく進行し、無事配信の日取りも決まりました。
正直なところ……隣にどどん!とそびえるモニターに向かって話すというのはどうにも違和感がありますが……きっとこれからの時代はこういったことも増えることでしょう、この経験をこれからに生かしていきませんと!
「それでは、本日はよろしくお願いしますね?」
「は、ははははいぃぃ!」
「あの……どうかリラックスをしてお願いしますね?」
「ががが、がんばりましゅ!?」
あの、一抹……というか大分不安なのですが……いえ、招待したこちら側が不安になっていてはシルトマイヤーさんも不安に感じてしまいます、ここはメジロのウマ娘として私が率先して堂々たる振る舞いを見せねばなりません。
「配信10秒前!……5、4、3、2……」
さぁ、配信の始まりです。
...To be next story
話が大分長くなってしまいましたので、ここでいったん区切ります。
続きは改めて週明け5日の同じ時間頃に掲載いたします。
次は配信メインのお話となります。