この白狐の戦士に祝福を   作:仮面大佐

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幕間1 魔国連邦(テンペスト)の案内

 ハンドレッドとの戦いの最中、フォルテ達の世界に転送された俺たち。

 元の世界に帰る目処がつくまでの間、お世話になる事になった。

 その際、屋敷を当てがわれた。

 転送された翌日、リムルとフォルテがやってきた。

 

リムル「よう、屋敷はどうだ?」

フォルテ「何か不都合なことは無いか?」

 

 リムルとフォルテは、屋敷に不都合がなかったか、俺達に聞いてきた。

 俺たちは口を開く。

 

湊翔「あっリムル、フォルテ。」

カズマ「全然、快適に過ごさせてもらってるよ。」

ダクネス「居心地も、元の世界の屋敷と遜色ない。感謝しているぞ、リムル、フォルテ。」

アクア「やっぱり自分の家があるのはいいわね!これで毎日シュワシュワで乾杯し放題なら、もう何も言う事はないわ!」

カズマ「お前なぁ……。」

湊翔「こんな屋敷を使わせてもらっているんだからな、これ以上要求するな!」

 

 俺たちはそう言う。

 すると、アクアはそんな風に宣う。

 そんなアクアの我儘な発言には、カズマは呆れながら溜め息を吐き、俺は声を上げた。

 俺たちは客人の身分だから、弁えてほしいのだが。

 すると、めぐみんが奥の部屋から出て来た。

 

めぐみん「あ、リムルとフォルテ、来てくれていましたか。でしたら、せっかくなので皆で何処かへお出掛けしませんか?」

リムル「おう、いいな。今日の仕事は終わらせているし、付き合うよ。」

フォルテ「寧ろ、街を案内しようか。」

アクア「いいわね!丁度外の空気を吸いたい気分だったの!」

トウカ「私もこの街を見て周りたいって思ったところよ。」

朱翼「私も色々と気になっていたの。」

武劉「街の事を把握しておく事に越したことはないな。」

白夜「俺も行ってみたい所があったから丁度いい。」

 

 めぐみんは部屋の奥から来ると、そんな風に提案する。

 それを聞いたリムルとフォルテの言葉に対して、アクア、トウカ、朱翼、武劉、白夜も賛成した。

 

フォルテ「では、決まりだな。」

カズマ「おい、めぐみん。爆裂魔法は無しだからな?」

めぐみん「ばっくれつ、ばっくれっつ〜♪」

カズマ「少しは話を聞いてくれ!無しって言ってるだろうー!」

湊翔「歌って誤魔化すな!」

 

 フォルテがそう言う中、カズマはめぐみんに対して、そう釘を刺す。

 すると、めぐみんは歌って誤魔化そうとしてくるので、俺とカズマが声を上げるのだった。

 その後、俺たちは、リムルとフォルテの案内のもと、魔国連邦(テンペスト)をみる事に。

 

カズマ「……それにしても、改めて見ると本当に魔物の国なんだな…………。」

湊翔「小鬼族(ゴブリン)人鬼族(ボブゴブリン)大鬼族(オーガ)猪人族(ハイオーク)蜥蜴人族(リザードマン)魚人(マーマン)獣人族(ライカンスロープ)……異世界とはいえこれだけの種族が平和に暮らす街か…………。」

白夜「よく見ると、人間の冒険者や商人達もいるな。」

武劉「そして、皆普通に接している。」

 

 カズマ、俺、白夜、武劉はそんな風に言う。

 改めて、魔国連邦(テンペスト)での魔物と人間が共存している光景を見て、感心した。

 魔物と人間が共存しているなんて、元の世界ではあり得なかったのだから。

 

トウカ「本当に争う事なく、皆がお互いを思いやって暮らしているのね…………。」

めぐみん「そうですね…………。それに、私達が借りている屋敷を見て思っていましたが、この街はアクセルの街より発展していますね。」

ダクネス「皆とても笑顔だ。……リムル殿とフォルテ殿が素晴らしい盟主だということが良く分かる。」

 

 トウカとめぐみんは、魔物と人間が普通に接し合う姿や魔国連邦(テンペスト)の街の発展ぶりに興味津々とばかりに見ていた。

 ダクネスも、街の皆の幸せそうな姿を見て、リムルとフォルテにそう言うのだった。

 

リムル「えへへ。ありがとうな。」

フォルテ「俺達はこれからも、自分達の大切な者達を守る為に“魔王”として頑張っていく。」

ダクネス「そうか。……ん?魔王?」

 

 それを聞いて、リムルとフォルテはそう言う。

 え?魔王?

 フォルテの魔王と言う言葉に、ダクネスだけでなく、俺たちも反応した。

 この2人って、魔王なのか?

 俺たちの表情を見て、リムルとフォルテは口を開く。

 

リムル「あれ?言ってなかったけ?」

フォルテ「俺とリムルは九星魔王(エニアグラム)って言うこの世界で九人いる魔王のうちの二人だ。」

一同『…………ええええ⁉︎」

 

 リムルとフォルテは、あっけらかんとそんな風に言う。

 そう聞いて、俺たちは一瞬呆気に取られるも、すぐに我に返って、そう叫ぶ。

 

カズマ「マジか⁉︎……二人は魔王だったのかよ!」

湊翔「というか、九人も魔王がいるのかこの世界⁉︎」

 

 俺とカズマはそう声を上げる。

 二人が魔王だった事と、この世界に魔王が九人もいると言う事実に驚いた。

 よく、この世界滅ばないな。

 俺とカズマの言葉を聞いたリムルとフォルテは、口を開く。

 

リムル「ああ。一ヶ月前は十大魔王って言って十人いたんだけどな。」

フォルテ「魔王達が集結するワルプルギスに参加してな、魔王の一人を倒して他の魔王達から正式に魔王として認められた。その際に、魔王の座から二人降りて九人となり、俺とリムルを新たに入れた九星魔王(エニアグラム)となった。」

カズマ「最初は十人だったのかよ…………。」

湊翔「この世界は良く無事だな。」

フォルテ「まぁ、魔王同士互いに牽制しあっているからな。後、魔王に制限人数はないから、他の魔王達に認められれば魔王を名乗れる。」

武劉「つまり、更に魔王が増える可能性もあるのか…………。」

白夜「マジかよ…………。」

 

 リムルとフォルテはそう説明する。

 フォルテの言葉を聞いた白夜と武劉は、色んな意味でこの世界に恐怖した。

 元の世界で、魔王を倒す事が最終目標になっているデザイアグランプリに参加している俺たちからしたら、魔王が更に増える可能性があると聞いて、戦慄していた。

 すると、今まで黙っていたアクアが身体を震わせ始めた。

 

トウカ「……あっ。」

朱翼「アクア……。」

 

 それにトウカと朱翼が気付いたが遅かった。

 やべ、アクアの地雷に触れた。

 すると、アクアは大きく叫ぶ。

 

アクア「貴方達!魔王だったのね‼︎ならこの私が二人纏めて浄化してあげるわ‼︎」

 

 リムルとフォルテが魔王だと知ったアクアは物騒な事を言いながら両手に何やら神聖な力を集束させ始めた。 

 そうだ、こいつの前で魔王とか言ったら、確実に敵対視する!

 

湊翔「馬鹿!よせアクア‼︎」

カズマ「これから世話になろうとしている二人に向かって何するつもりだ‼︎」

 

 俺たちは、リムルとフォルテに攻撃しようとするアクアを必死に止める。

 今、ここでそんな事をしたら、確実に面倒な事になる!

 

アクア「なんで止めるのよカズマ!アイツら魔王なのよ!これはアクシズ教の教義の為なの!“悪魔殺すべし!”“魔王しばくべし!”」

トウカ「それは元の世界の話でしょう!」

朱翼「この世界にない教義で問題を起こさないで!」

 

 アクアがそう叫ぶ中、トウカと朱翼も必死にアクアを止めようとする。

 俺たちが必死になる中、それを見ていたリムルとフォルテは、苦笑を浮かべていた。

 

フォルテ「教義ね。……ルミナス教より過激だな。」

リムル「全くだな……。」

 

 フォルテとリムルは、俺たちの様子を見て、同情の眼差しを向けるのだった。

 後に聞いた話だが、この世界にも宗教があり、ルミナス教というらしい。

 ルミナス教は、魔物を敵対視しているらしく、現在はルミナス教の動向を探っているとの事だ。

 すると、騒ぎに気付いたのか、拓巳がやって来た。

 

拓巳「なんの騒ぎだ?」

湊翔「あっ、拓巳!ちょうど良い所に来た!アクアを止めるのを手伝ってくれ‼︎」

 

 拓巳が周囲を見ると、カズマ達が必死にアクアを止めようする姿が目に入った。

 俺は拓巳に気づいて、そんな風に叫ぶと。

 

拓巳「……大体わかった。」

 

 拓巳は、門矢士みたいにそう言って、アクアに近寄る。

 すると、アクアに話しかける。

 

拓巳「アクア。此処で問題を起こしたら………ニラム(ゼウス)に報告する。」

 

 拓巳はアクアに対して、そんな風に言う。

 すると、拓巳の言葉にピタリと動きを止めたアクアは大量の冷や汗を流しながら震えた。

 

アクア「ご、ご……ごめんない!それだけはやめて〜!」

フォルテ「やはり、最高神からの説教は嫌か…………。」

 

 アクアはそんな風に叫ぶ。

 それを見ていたフォルテは、そんな風に呟いたのだった。

 拓巳の一言でアクアも漸く大人しくなり、街の案内を再開した。

 そうして、俺達を連れて最初に来たのは寺子屋だった。

 そこでは、人鬼族(ボブゴブリン)猪人族(ハイオーク)の子供達が色んな事を学びながら元気に過ごす姿があった。

 

トウカ「皆とっても楽しそう。」

湊翔「ちゃんと学んで遊ぶ……魔物の国でこんな光景が見れるとはな。」

 

 子供達の姿を見ながらトウカと俺はそう言うのだった。

 こんな環境だったら、あんな悲劇にはならなかったのかな……………。

 

フォルテ「……………うん?」

 

 俺がそう思っている中、フォルテは俺の顔を見ながら、何かを感じ取っていたのか、そんな風に反応する。

 

フォルテ「どうした?」

湊翔「いや…………なんでもない。」

 

 フォルテがそう話しかけると、俺はそう答える。

 あれは、忘れるべき過去だ。

 俺はそう思い、そう答えるのだった。

 そうして、寺子屋を後にした俺達が次に向かったのは、街の建設現場だった。

 其処では猪人族(ハイオーク)達が力を合わせて建築を行なっていた。

 

ゲルド「まずはこちらから。」

ミルド「うん。」

ゲルド「今日はここまでですね。」

ミルド「うんうん。」

 

 ゲルドが、ミルドと共に今日行う建築の範囲を決めていた。

 

ゲルド「夕方までに仕上げるぞ!」

『おう!』

ゲルド「今日中に基礎工事は完成させたい。其方は頼めるか?」

『お任せを!』

『仕上げてみせます‼︎』

 

 ゲルドはそう声を出すと、他の猪人族(ハイオーク)達は気合いを入れた大きな声で応える。

 

ゲルド「準備が整い次第、新区画に運ぶぞ。」

猪人族(ハイオーク)「はい!」

ゲルド「ここはいいだろう。隣の区画のフォローに行くぞ。」

猪人族(ハイオーク)「おう!」

 

 皆にテキパキと指示を出しながら、自身も働くゲルドの姿にカズマ達は見入っていた。

 

カズマ「無茶苦茶働きものなんだなこの世界のオーク達は…。」

フォルテ「ああ。本当に皆良く働いてくれる。」

リムル「俺達が休む様に言わないと、休まず働き続け様とするくらいだよ…………。」

 

 カズマの言葉にフォルテとリムルはそう言った。

 猪人族(ハイオーク)達の真面目さが伝わってくるな。

 すると、一生懸命働く猪人族(ハイオーク)達を見ながら、ダクネスがまた頬を赤らめながら息を荒げていた。

 

ダクネス「ハァ………ハァ…………!ああ〜あんなにも屈強なオークの雄達が沢山!もしあの数に襲われたら……!」

カズマ「おいダクネス‼︎昨日も言っただろう!善良な異世界住民にそんな目を向けるんじゃない‼︎」

 

 ゲルド達の姿を見たダクネスがまたしても性癖を出した。

 それを見たカズマが声を上げながら叱るのだった。

 

リムル「……次に行こうか。」

フォルテ「そうだな…………。」

 

 そんなカズマとダクネスのやり取りを見ながら苦笑いを浮かべるリムルとフォルテだった。

 そうして、次に向かったのは街道だった。

 そこでは猪八戒の指示のもと、ブルムンドという国方面の街道に、何かを設置していた。

 

湊翔「あれは?」

リムル「対魔結界を発動する為の全自動魔法発動機だ。」

白夜「対魔結界?」

フォルテ「簡単に言うと、強い魔物の侵入を防ぐ結界だ。」

 

 俺と白夜がそう聞くと、リムルとフォルテはそう答える。

 

リムル「商人や冒険者達が安全に魔国連邦(テンペスト)に来れる様に、全ての街道に設置を始めているんだ。」

朱菜「そこまで考えて…………。」

武劉「なんか、魔王と言うよりは有能な王様だな。」

 

 リムルが対魔結界について説明すると、話を聞いていた朱翼と武劉は真面目に治世に力を注いでいる事に感心するのだった。

 確かに、リムルとフォルテの姿は、魔王ではなく、治世に力を注ぐ良き王様という印象を受けるな。

 そして、次を場所を案内しようとした時だった。

 

フォルテ「ん?」

湊翔「どうしたフォルテ?」

 

 フォルテが何かに気付いたのか、森の方へと顔を向けた。

 俺がそう聞くと。

 

フォルテ「どうやら魔物が近付いて来ている。」

リムル「あ〜まだ設置の途中だからな。」

カズマ「おいおい!それってやばいんじゃないか⁉︎」

 

 フォルテとリムルの会話を聞いて声を上げるカズマ。

 確かに、魔物が近づいていては、設置どころの話じゃなくなるからな。

 それを聞いたフォルテとリムルは口を開く。

 

フォルテ「いや、感知した魔物なら警備隊の者達で倒せる。」

リムル「せっかくだから見に行くか。」

 

 2人はそう言って、湊翔達を引き連れ現場へと向かう事に。

 目的地に着くと、手が長いヴェロキラプトルの様な魔物である手長蜥蜴(リーチリザード)の群れとゴブタ率いる狼鬼兵部隊(ゴブリンライダー)達が戦っていた。

 

ゴブタ「皆!油断なく行くっすよ!」

「「「おう!」」」

 

 ゴブタの掛け声に応え、手長蜥蜴(リーチリザード)と戦う狼鬼兵部隊(ゴブリンライダー)達。

 皆、無駄のない動きで手長蜥蜴リーチリザードの攻撃を躱しながら確実に仕留めていった。

 

カズマ「すげぇ……。」

湊翔「あれが本当にゴブリンの動きなのか?」

 

 俺とカズマは、ゴブタ達の連携とその素早い動きに感心しながら驚いていた。

 元の世界のゴブリンでは、あり得ない動きだからだ。

 そして、瞬く間に手長蜥蜴(リーチリザード)の群れは、ゴブタ達に倒された。

 

ゴブタ「ふぅ。これで片付いたっすね。」

リムル「ゴブタ。お疲れ様。」

フォルテ「良い動きだったぞ。」

ゴブタ「あっ、リムル様、フォルテ様!」

 

 ゴブタが一息つくと、リムルとフォルテは、ゴブタに声を掛ける。

 すると、ゴブタはリムルとフォルテに気付いた。

 

ゴブタ「見てたんなら手伝って欲しかったすよ。」

リムル「何言ってるんだ。俺達が手を貸すまでもなかっただろう。」

フォルテ「日々の鍛錬の成果がしっかりと出ていた。諦めずに白老に挑み続けた甲斐があるじゃないか。」

ゴブタ「そりゃあ、そうっすけど……。」

 

 ゴブタがそんな風に言うと、リムルとフォルテはそう言う。

 それを聞いて、いまいち納得してなさそうな表情を浮かべていたゴブタだったが、次の言葉を聞いて、態度が変わった。

 

リムル「それに…………。」

フォルテ「俺達の手を借りてしまったと白老に知れたら、修行が更に厳しくなって修行量も倍増しただろう……間違いなく。」

ゴブタ「リムル様とフォルテ様の手を煩わせる事がなくて良かったす‼︎」

 

 リムルとフォルテはそんな風に言う。

 その言葉を聞くと、冷や汗を流しながら元気な声でそう言うゴブタだった。

 リムルとフォルテがゴブタと話をしている間、俺達も、先程のゴブタ達の戦いぶりについて話し合っていた。

 

カズマ「……マジであのゴブタって奴と他の奴らは小鬼族(ゴブリン)なのか?俺達の世界と違うとはいえ、あんなに強い小鬼族(ゴブリン)とかやっぱありえねー。」

 

 カズマはそんな風に言う。

 確かに、俺たちがこれまでに遭遇した紅魔族の里でシルビアの配下だったゴブリン達や、アクセルでのクエストで討伐してきたゴブリン達は、そんなに強い雰囲気はないからな。

 それに対して、ゴブタ達はしっかり強そうな気配がするし。

 

湊翔「まぁ、俺達の世界のゴブリンと違って日々厳しい鍛錬に励んでいるそうだからな。」

白夜「それに、ゴブタ達も進化した人鬼族ボブゴブリンだそうだ。(それでも、厳しい鍛錬を続けているからこそあれ程の強さを得たんだろう。)」

 

 俺と白夜はそんな風に言う。

 白夜は、鍛錬を積み日々努力を続けるゴブタ達を、心の中で高く評価していた。

 

めぐみん「確か………女性のゴブリンはゴブリナと言うんですよね?」

トウカ「肌がゴブリンの緑以外はもう殆ど人間と変わらないから驚いたわ。」

武劉「そういえば、リグルから聞いた話だとあの筋骨隆々なリグルドと言う人鬼族(ホブゴブリン)は進化前は杖がいる様なヨボヨボの老人だったらしいぞ。」

 

 めぐみんと朱翼がこの世界での小鬼族(ゴブリン)達の様子や進化について話し合う。

 すると、それを聞いていた武劉がリグルドの息子であるリグルから、リグルドが元はヨボヨボの老人だったと聞いた事を皆に話した。

 

アクア「えっ⁉︎そうなの!」

武劉「ああ。あと確か、白老と呼ばれるあの妖鬼(オニ)の人も少し若返ったそうだ。」

カズマ「……なんでもありだな。」

 

 カズマはそう呟くのだった。

 あのリグルドというゴブリンが、元々ヨボヨボのお爺ちゃんというのは、想像がつかないな。

 この世界は、魔物は名持ち(ネームド)になると、進化するというのは聞いていたが、それを聞いて、凄まじいと思った。

 そんな時、別方向からゴブタによく似た声が聞こえてきた。

 

雷蔵「フォルテ様ー!リムル様ー!」

 

 皆はフォルテとリムルを呼ぶ声のする方へと顔を向けると、雷牙という狼に跨る雷蔵の姿だった。

 その背後には、討伐されたのか、背中や腕に刃が生えた熊三体が荷馬車に乗せられ運ばれていた。

 

フォルテ「雷蔵。戻ったのか。」

リムル「そのソードグリズリーは……お前が仕留めたんだな。」

雷蔵「そうっす。西側の森で彷徨っていたんで討伐しといたっす。」

フォス「雷蔵さんは凄かったです!」

 

 フォルテとリムルがそう聞くと、雷蔵はそう報告する。

 雷蔵がフォルテとリムルに報告していると、雷蔵の後ろにいたフォスが声を上げた。

 フォスは、獣人族(ライカンスロープ)であり、ゴブタ達の警備隊で働いているそうだ。

 

フォス「雷蔵さんがソードグリズリーを翻弄しながら一箇所に誘導して、雷牙さんの弦振砲(ハードロックカノン)で動きを封じてから、雷蔵さんが二体の首の動脈を斬り裂いて、残りの一体の脳天を突き刺して黒雷を小太刀に流して感電させて倒したんです!」

 

 フォスは雷蔵がどうやってソードグリズリー三体をどうやって倒したのか説明してくれた。

 すげぇな…………。

 俺たちが苦笑する中、フォルテは口を開く。

 

フォルテ「そうか。また腕を上げたな雷蔵。それに雷牙もよくやった。」

雷蔵「フォルテ様に褒められるのは光栄っす。これからも、鍛錬を積んで腕を上げていくっすよ。」

雷牙「我もだ!」

 

 フォルテは雷蔵と雷牙を褒める。

 フォルテに褒められ、これからも精進しようとする雷蔵と雷牙だった。

 その後、雷蔵が仕留めたソードグリズリーは解体され、今夜の食材となった。

 

リムル「……という訳で、今夜はソードグリズリーの熊鍋だ。」

フォルテ「遠慮なく食べくれ。」

「「「「「「「頂きます!」」」」」」」

 

 ソードグリズリーの熊鍋を配られた。

 それはとても美味しそうで、俺達は遠慮なく熊鍋を食べ始める。

 

カズマ「美味っ!」

湊翔「確かに美味いなこの熊肉………いや、ソードグリズリーの肉か。」

トウカ「熊肉ってクセ強くてかなり獣臭いはずなのに全く感じないわ。」

 

 カズマ、俺、トウカはそう言う。

 熊鍋の肉の美味しさと見事な下処理により臭みがない事に驚いていたのだ。

 確かに、熊肉ってクセが強いイメージだったけど、それが感じられないほどに美味い。

 

白夜「この料理も人鬼族(ホブゴブリン)達が作ったんだよな。」

武劉「見事なものだ。」

 

 白夜と武劉はそんな風に言う。

 人鬼族(ホブゴブリン)の皆が料理をも熟している事に感服していた。

 

リムル「朱菜とフォルテの教え方が良いのもあるけど、皆真面目に頑張っているからな。」

フォルテ「ハルナとゴブイチの腕も良かったからな。それに、ペコの料理の腕もかなり上達した。今はゴブイチに迫るくらいだ。」

 

 それを聞いたリムルがそう言う中、フォルテはそう言って、ゴブイチ達の方に目を向ける。

 そこにいたハルナは笑顔を向け、ゴブイチとペコは頭を下げる。

 ペコも料理人で、料理に特化したユニークスキル料理番(クイシンボウ)を有しているらしい。

 その能力は、味覚と嗅覚の感度が向上され知覚した食材を分析し記憶する“超・絶対味覚”。

 そして、食材の種類や組み合わせから最適解のレシピを導き出すスキルなのだ。

 本当、この世界のスキルって、元の世界のスキルとは随分違うよな。

 カズマも、料理スキルは持ってるけど、ペコの物よりは万能ではないし。

 今回も、ペコのスキルからソードグリズリーの肉を食べるにあたって導き出されたのがこの熊鍋との事だ。

 そうして、俺たちは熊鍋を堪能する。

 食べ終え一服したところで、フォルテが声を掛ける。

 

フォルテ「さて、今日で一通り街を案内したが、どうだった?」

カズマ「いや〜本当に良いところだよ。」

湊翔「魔物と人間が分かり合い共に暮らす。平和で暖かな街だ。」

トウカ「それに、皆とても親切で優しかったわ。」

 

 フォルテの問いに対して、カズマ、俺、トウカは笑顔でそう言う。

 本当にいい所だ。

 皆、優しいし。

 すると、白夜達も口を開く。

 

白夜「俺は猗窩座の道場が気に入った。あそこの門下生は皆かなりの実力者だったしな。」

武劉「俺は黒衛兵さんの作る防具や武器に興味を惹かれる。あの人が作る武具はどれもが一級品だ。」

 

 白夜と武劉もそれぞれに自分の興味が惹かれる場所を見つけていた。

 

リムル「それは良かった。」

フォルテ「元の世界に戻る時まではゆっくり過ごしてくれ。」

 

 それを聞いたフォルテとリムルはそう言う。

 拓巳から聞いた話だと、ハンドレッドの動きをゼウス達が調べている最中で、まだ元の世界には戻れないそうだ。

 

湊翔「ありがとう。なら、異世界交流の一環として何か仕事などを手伝わせくれないか?」

 

 俺は、リムルとフォルテにそう言った。

 流石にお世話になってばかりは申し訳ないので、手伝わせて欲しいと思ったのだ。

 それを聞いたリムルとフォルテは。

 

リムル「それは、こっちとしてもありがたいよ。」

フォルテ「なら、冒険者らしく森の探索か魔物の討伐もしくは、他に興味があったりやりたい事があるならその仕事を任せたい。」

カズマ「あっ、あと俺、冒険者登録代を稼ぐ為に街の城壁仕事や建築作業をやった事あるぞ。」

フォルテ「なら、土木関係の仕事も任せられそうだな。」

 

 リムルとフォルテがそう言うと、カズマはそう言う。

 そういえば、カズマって、土木作業には慣れてたな。

 それを聞いたフォルテは、そんな風に言う。

 そうして話し合い、俺とカズマには土木作業の手伝いをしてもらい、トウカ、アクア、朱翼には織物工房で朱菜の手伝いを任せる事になった。

 めぐみん、ダクネス、白夜、武劉はゴブタ達警備隊の手伝いをしてくれるそうだ。

 まあ、どちらかと言えば、白夜と武劉がカズマと湊翔の代わりにめぐみんとダクネスの暴走を止める為に同行する様なものだが。

 そして、拓巳はフォルテと色々と技術的な話し合いと協力をする事になっていた。

 こうして、俺たちは魔国連邦(テンペスト)での生活をしていく事になった。

 

 

 

 

 

 

 一方、湊翔達がフォルテ達の魔国連邦(テンペスト)での生活を本格的に始め出している頃。

 何処かの世界にあるハンドレッドの本拠地では、三角錐形状のモノリスを通じて上層部の者達が話し合っていた。

 

幹部「別時空に存在するもう一つのギーツの世界に向かわせたβ(ベータ)からの連絡が途絶えた。」

幹部「代わりにβに持たせた発信機が全く別の世界から電波を発しているのが探知された。」

幹部「つまり、何らかの事態に巻き込まれギーツ達諸共別の世界に飛ばされたと?」

幹部「そして、ギーツ達かその世界の者達に倒されたと言う訳か……。」

 

 ハンドレッドの幹部達は、そんな風に話す。

 あの倒されたカッシーンが消滅寸前に押したのは、発信機だったのだ。

 その為、フォルテ達の世界に転送されて、倒された事を察知した。

 

幹部「どうする?」

幹部「無論。その世界にも襲撃を掛けるまでだ。」

幹部「どんな世界であろうと、我々ハンドレッドが支配するまで。」

幹部「なら、“再生”させたあの者達を送り込むとしよう…………。」

幹部「既に再生復活させたゲンゲツは再びレジェンドの世界に向かわせた。」

幹部「であれば、残るあの三人と新たな者を加えた新生四人衆をその世界に向かわせるとしよう。」

 

 ハンドレッドの幹部達は、そんな風に話す。

 ハンドレッドは、フォルテ達の世界にも攻め込もうと画策していた。

 こうして、リムルとフォルテのいる世界にもハンドレッドの魔の手が迫る事となった。




今回はここまでです。
今回は、幕間の話として、テンペストを案内している話です。
リムルとフォルテが魔王と聞いて、アクアは暴走しかけましたが、拓巳の言葉で、何とか鎮静化しました。
転スラの世界って、名前がつくだけで、進化しますからね。
そういう意味では、このすばの世界とは違うというのが分かりますね。
そんな中、ハンドレッドの幹部達は、転スラとフォルテの世界に攻め込もうと画策していた。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
異世界かるてっとの三期が決定しましたね。
三期にて追加されるのは、『陰の実力者になりたくて』みたいですね。
学園生活は、更にカオスになっていく。
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