この白狐の戦士に祝福を   作:仮面大佐

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第121話 エルロードへの旅立ち

 俺たちが食中毒に当たり、危うく全滅しかけた翌朝。

 

ダクネス「なあカズマ、湊翔。本当にアイリス様の依頼を請けるのか?ハッキリ言うぞ。お前達の無礼な態度がなくとも、私達の実力では護衛依頼を失敗するのが関の山だと思うのだが。」

湊翔「昨日のふぐの事を言ってるのか?」

カズマ「あれは冒険中の失敗じゃないからノーカンだ。」

白夜「俺達はこの世で最も魔王軍幹部を倒しているアクセル1のパーティーだ。問題無いだろ。」

 

 ダクネスが不安げにそう言う中、俺、湊翔、白夜はそう言う。

 俺達は、デザイア神殿を経由して、王都に向かう事になっている。

 

めぐみん「ゼル帝とちょむすけを預けに行ったアクアは遅いですね。」

トウカ「またバニル辺りと喧嘩してるんじゃ無いの?」

朱翼「そうかもしれませんね。」

 

 めぐみん達はそんな風に話す。

 そう。

 アクアがウィズ魔道具店にゼル帝とちょむすけを預けに行ってから大分経っていた。

 バニルと喧嘩してるんじゃ無いだろうな?

 そう思っていると、アクアが戻ってきた。

 

アクア「あの子達はちゃんと預けてきたわ。性悪仮面がちょむすけを見て、『ほほう、これはまたちょっと目を離した隙に、面白い事になっておるな!フハハハハハ!』とかわけわかんない事を言ってグリグリしてたけど、まあ問題はないでしょう。」

武劉「何の話だ?」

 

 アクアはそんな風に言い、武劉は首を傾げながらそう言う。

 面白い事って何だろうか?

 それも気になるが、すぐさまデザイア神殿に向かい、そこから王都へと向かう。

 久しぶりの王城だ。

 すると、俺たちを見た門番が俺たちに話しかける。

 

門番「止まれ!この先には用のない者は立ち入り禁止だ、冒険者が近づいて良い場所ではない!」

湊翔「すみません。アイリス姫からの依頼を請けて、アクセルからやってきた桐ヶ谷湊翔と佐藤和真です。」

 

 門番は俺たちを呼び止める中、俺はそう言いながら、アイリスからの封筒を見せる。

 ちなみに、カズマがまた破ってしまわない様に、俺が預かっていた。

 それを見た門番は顔色を変えて、姿勢を正す。

 

門番「こ、これは失礼を……!今すぐ上の者をお呼びしますので、少々お待ちを!そちらの封筒を預かってよろしいですか?」

湊翔「分かりました。」

 

 俺は封筒を兵士2人に渡した。

 封筒の中身の手紙を確認していた兵士が首を傾げた。

 

門番「あの、手紙が破れていますが、これは…………?」

カズマ「いや、それは気にしなくて良い!ほら、冒険者とかやってると色々とね?分かるだろ、モンスターとかさ!」

門番「な、なるほど。でしたら、この待合室でお待ち下さい。」

 

 門番が首を傾げると、カズマはそう言う。

 カズマが怒りに任せて引き裂いたのだが、そこはカズマも誤魔化したか。

 俺たちは控え室に通される。

 すると、兵士が俺たちに話しかける。

 

兵士「あなた方の事は聞いていますよ。魔王軍幹部のウォルバクを追い詰めた佐藤和真殿と、ジャマトと呼ばれる存在を返り討ちにした桐ヶ谷湊翔殿。それに、最前線の砦で指揮を執ったダスティネス卿に、それぞれの力を発揮した仮面ライダー達、大会で優勝して、増援に来てくれたアクセルハーツ、凄まじい魔力を誇るアークウィザード、そして左官屋を引き連れた凄腕パーティーだとか。」

アクア「ねえ、麗しいアークプリーストの存在が無かった事にされてるんですけど。」

 

 兵士がそう言うと、アクアはそんな風に言う。

 どうやら、王都の中でもかなり有名らしいな。

 まあ、魔王軍幹部を多数葬ってきたパーティーだからな。

 アクアが左官屋扱いされてるのは笑うな。

 ちなみに、白夜は笑いを堪えていた。

 

兵士「今の所パーティーメンバーの名前が判明しているのは湊翔殿とカズマ殿とダスティネス卿にトウカ殿、白夜殿、朱翼殿、武劉殿だけらしいですが、ひょっとしてそちらの方が爆裂魔法すら操れるとの噂がある、大魔法使い様ですか?活躍の割にはあまり語られない事から、謙虚でミステリアスな人物と噂されていますが……。」

 

 兵士はそんな風に言う。

 すると、めぐみんは満更でも無い表情を浮かべると、口を開く。

 

めぐみん「……ほう、私にその様な噂があるのですか?まあ謙虚と言えば謙虚ですね。なにせ私は冒険で得たお金等はすべてカズマに預けている身ですから。」

アクア「ねえ、私の名前も無いんですけど。世界的に有名な私の名前が無いんですけど。」

武劉「…………恐らく、めぐみんの名前が語られないのは、別の理由だろうな。」

 

 多分、めぐみんの名前が語られないのは、余りにも特殊だからな。

 アクアの場合は、左官屋というイメージが定着しつつあるからだな。

 めぐみんの言葉を聞いた兵士は、感極まったのかますます目を輝かせて。

 

兵士「す、凄いですね、お金や名声には興味が無いという事ですか!?」

めぐみん「ふ……。我が願いは魔法の真髄を極める事のみ。カズマと湊翔にどうしてもと我が力を乞われた時、私はこう答えたのです。我が欲するは最小限の食費と雑費。そして、我が力を正しく振るえる活躍の場である、と……!」

兵士「おおおおお!!」

 

 兵士がそう聞くと、めぐみんはそう言う。

 なんか格好つけてるけど、乞いていないし、しばらくしてから、ナーゴの力を手に入れたからな。

 と、その時だった。

 

レイン「ああっ!本当に来た!」

ニラム「そのようですね。」

 

 そんな2人の声が聞こえた。

 そこに居たのは、アイリスの護衛兼教育係のレインと王の補佐兼デザイアグランプリのゲームマスターのニラムだ。

 

湊翔「ニラムさん。お久しぶりです。」

ニラム「久しぶりですね。あなた方の活躍は兼ねてから聞いていますよ。」

 

 俺とニラムは、そんな風に話す。

 まあ、久しぶりってわけでは無いが、流石に舐めた口調を取れないから、そんな風に話す。

 すると、レインはダクネスを連れて、廊下に出ると話をする。

 

レイン「ダスティネス様、今回の依頼はどうにかして断念させるという話ではなかったのですか!?湊翔殿ならまだしも、あの方にアイリス様を任せるだなんて間違いなく外交問題に…………!」

ダクネス「分かっている。こちらも努力はしてみたのだが、思いの外、抵抗が激しくてな。幸いな事に、あの男は私が折れたと思って油断し切っている。隣国の首都に着いたら一服盛って、アイリス様が滞在なされる間、ずっと眠らせておくつもりだ。」

レイン「おお、流石はダスティネス様!そういう事なら安心です!」

 

 ダクネスとレインはそんな風に話していた。

 なるほどな。

 まあ、カズマのあの態度を見たら、そうやるのも無理ないよな。

 何やらかすのか分からないし。

 すると。

 

クレア「佐藤和真!佐藤和真達が来ているというのは本当か!」

 

 そんな風に叫びながら、白いスーツを着た女性が入ってくる。 

 クレアだ。

 カズマがクレアに連れて行かれて、しばらくすると、カズマとクレアが笑っていて、扉からアイリスが出てきた。

 

アイリス「2人とも、随分と楽しそうですね。」

湊翔「よお。アイリス。」

アイリス「お久しぶりですお兄様方。お待ちしておりました……!」

 

 アイリスがそんな風に言いながら、入ってくる。

 その後、王城の裏へと向かうと、質素ながらも頑丈な馬車があった。

 馬ではなく、リザードランナーが引くそうだ。

 クレア曰く、通常の馬車では10日も掛かるのでこれを用意したそうだ。

 クレアが何かを呟くと、竜車が浮かび上がる。

 

ニラム「ちなみに、これは今回の為に用意した特注品で、君たち全員を乗せても問題ない。」

クレア「ああ。アイリス様と10日以上も顔を合わせないとなると、私がどうにかなってしまいそうだからな。普通の馬車では往復二十日以上になる。そんなもの耐えられるか。」

湊翔「だったら、あなたも来れば良いんじゃないんですか?」

トウカ「確かに。」

 

 ニラムとクレアの2人はそう言う。

 なるほど。

 俺とトウカがそう呟くと、クレアが口を開く。

 

クレア「今回の旅はお忍びだ。あまり供の者がぞろぞろといれば、一体どこの貴族だと思われてしまう。」

ニラム「それに、私たちはこの国の重鎮でもあるのでね。離れられないのだ。」

武劉「なるほど。それは納得だ。」

 

 クレアとニラムはそう説明する。

 まあ、重鎮である以上、国から離れられないのは事実だからな。

 無理もないか。

 俺たちが納得していると。

 

めぐみん「おい、下っ端の分際で一番良い席を取ろうとは随分じゃないか!見晴らしのいい御者台の後ろはこの私に譲るのです!さもなくば、もう遊びの誘いに来ませんからね!」

アイリス「ず、狡いですよ!それとこれとは別問題ですし、今日の私は下っぱではなく王女様です!偉いんです!この御者台の後ろは譲りません!どうしてもと言うのなら、勝負しますか!?」

 

 その時、アイリスとめぐみんがそんな風に言いながら、取っ組み合いを始めた。

 それを見ていた俺たちは。

 

湊翔「あの2人、いつの間にあんなに仲良くなったのか。」

トウカ「というより、何でアイリス様を下っ端呼ばわりしているの、めぐみんは?」

白夜「さぁ?」

朱翼「知らないですよ…………。」

武劉「遊びに来ていたのか。」

 

 俺たちはそんな風に話す。

 まあ、喧嘩するほど仲がいいって言うし、大丈夫かな?

 その後、クレアがアイリスを抱きしめて離さないという事があったが、レインによって引き剥がされた。

 

レイン「それではアイリス様、あまり無理はされませぬよう、どうかご無事で。良い旅を!」

ニラム「アイリス様の護衛を任せましたよ。ご武運を!」

クレア「サトウカズマ、桐ヶ谷湊翔アイリス様を頼んだぞ!………アイリス様ああああ!!」

 

 俺達は、ニラムとクレアとレインの3人に見送られて出発した。

 のんびりとした旅になるのかなと思っていたが。

 

湊翔「……………何だよ、これ。」

 

 俺は目の前にある建物に向かってそう突っ込んだ。

 リザードランナーに引っ張られた竜車は、浮いている為か抵抗がなく、恐ろしい勢いで爆走していた。

 途中、モンスターと遭遇したのだが、アイリスによって、あっさりと瞬殺された。

 

湊翔「…………俺たち、護衛の必要無くないか?」

トウカ「…………気持ちは分かるわ。」

白夜「まあ、無理もねぇな。」

朱翼「こんなに退屈になるとは思いませんでしたよ。」

武劉「流石は王族だな。」

 

 俺たちはそんな風に話した。

 それで、しばらくして、野宿にしようかなと思っていると、ダクネスが魔道具を投げると、それが小さめの貴族の屋敷になり、現在に至る。

 俺がそう呟くと。

 

ダクネス「何これも何もあるか。まさか、一国の王女を野宿でもさせるつもりだったのか?これは国が保有する最高級の魔道具の一つで、モンスター避けの決壊が張られた持ち運びに便利な……………。」

カズマ「もう良いよ、そういうのは!つーかこれ、本当に俺たち要らないんじゃねーのか!?」

 

 ダクネスは呆れた表情を浮かべながらそう言うと、カズマはそう突っ込む。

 まあ、言いたい事は分かるけどな。

 その後、夕食の時になると、カズマとアイリスが一緒に作ったチャーハン、餃子、卵スープが並んでいた。

 

ダクネス「カズマ、この料理は何だ?初めて見る食べ物なのだが。」

アイリス「ララティーナ、これは嫌いな人が居ないと言われるほどの人気料理、チャーハンという食べ物だそうですよ。実は私もこの料理のお手伝いをしました!」

ダクネス「アイリス様が!?それは、よく頑張られましたね。楽しみにしております。」

 

 ダクネスがそう聞くと、アイリスは胸を張りながらそう言い、ダクネスは微笑ましそうに表情を崩す。

 それを見た日本人組は。

 

白夜「チャーハンに餃子、卵スープか。」

朱翼「この世界では見ない中華料理ですね。」

武劉「美味しそうだな。」

湊翔「確かにな。」

 

 久しぶりの中華料理に、俺たちも微笑ましそうに表情を崩しながらそう言う。

 俺たちが美味く食べていく中、お嬢様達は考察をしていた。

 何故、これだけ美味しいのに、貴族や王族の間で振る舞われなかったのかと。

 そりゃあ、大衆料理だしな。

 そんな物が振る舞われるわけがない。

 すると、アクアとめぐみんが目をキラキラさせていた。

 まるで、面白いおもちゃを見つけたかのように。

 

アクア「ねえカズマ、明日の料理当番はこの私に任せて頂戴。2人に美味しい料理を食べさせてあげるからね。」

めぐみん「それなら、明後日の夜は私に任せてもらいましょう。紅魔の里でよく食べていた料理を振る舞ってあげますよ。」

 

 2人はそう言う。

 それを見た俺たちは。

 

湊翔「……………なんか、すげぇ嫌な予感がするんだけど。」

トウカ「確かに…………あまり私の親友に変な事を吹き込まないでよ?」

白夜「絶対に何かやるな。」

朱翼「確かに……………。」

武劉「あまり変な事を教えると、俺たちの首が飛ぶぞ?」

 

 俺たちはそんな風に話す。

 絶対に何かやらかすな。

 そんな不安の中、翌日の夜になった。

 そして、その不安は見事に的中してしまった。

 

湊翔「……………まず聞こう。お前は何を作ったんだ?」

アクア「え?ツナマヨご飯だけど?」

白夜「こいつ、やりやがった……………!!」

 

 俺がそう聞くと、アクアはさも当然かの様にそう言う。

 そう、こいつはツナマヨご飯を作ったのだ。

 しかも、ふりかけご飯や卵かけご飯も出した。

 こいつは、世間知らずなダクネスやアイリスに余計な事を吹き込もうとしていたのだ。

 処刑されても知らねえぞ。

 俺たちは頭を悩ませつつも、食べていく。

 それで、翌日にはめぐみんが作る事になったのだが……………。

 

白夜「…………なあ、聞きたい事があるんだけど。」

トウカ「……………何?」

白夜「…………めぐみん達が獲っているのは、ロブスターなのか?」

朱翼「いや、ロブスターというよりは…………。」

武劉「すごく言いにくいのだが…………。」

湊翔「どう見てもザリガニだろ。」

 

 俺たちはそんな風に話していた。

 そう。

 貧乏な暮らしを送っていためぐみんが作ると聞いて、警戒すべきだったのだ。

 ザリガニをロブスターだとアイリス達に信じさせて、めぐみんは獲っていた。

 

めぐみん「あまり人も通らないせいか、大漁です!これは晩御飯が豪勢になりますよ!」

アイリス「私、食材から集める料理なんて初めてです!こんなに楽しい料理もあるんですね!」

ダクネス「め、めぐみん、ちょっとこいつを取ってくれ!こいつ、いつの間にか私の足の指先を……………!」

 

 めぐみんがそう言う中、川遊びをする事自体が少ないのか、楽しそうにザリガニを獲る箱入り娘達。

 俺たちは、クレア達にどう説明すべきなのかを悩んでいた。

 まあ、ザリガニは食えない事も無いんだよ?

 鉄⚫︎D⚫︎S⚫︎だったり、ホ⚫︎サ⚫︎だったり、前世でザリガニを食べる人は居たのだから。

 その後、ザリガニのスープ、ザリガニの塩焼き、ザリガニで作ったエビチリもどきが並んだ。

 ダクネスとアイリスは、美味しそうに食べていた。

 ただ、俺たちは微妙な表情を浮かべた。

 

湊翔「……………大丈夫、なんだよな?」

トウカ「大丈夫じゃない…………?」

白夜「まさか、ザリガニを食う羽目になるとはな。」

朱翼「はい……………。」

武劉「そうだな。」

 

 俺たちはそんな風に話す。

 まさか、ザリガニを食う時が来るとは思わなかったのだ。

 俺たちは覚悟を決めて、ザリガニ料理を食べる。

 すると。

 

湊翔「…………意外と美味しい。」

 

 俺はそう呟く。

 意外に美味しいな。

 白夜達も、美味しいと分かると、食べていく。

 案外悪く無いな。

 そんな事がありつつも、俺たちはエルロードに到着した。




今回はここまでです。
今回は、エルロードに向かうまでです。
向かう中、アイリスとダクネスという箱入り娘達に、アクアとめぐみんによって、変な事が吹き込まれてしまう。
ザリガニを食べるのは、前途の通り、いくつかザリガニを食べている人や番組があるので、入れてみました。
気になる方は、チェックしてみてください。
次回は、エルロードで少し観光する感じです。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
アウトサイダーズで、ジーンゲイザーという新しい仮面ライダーが登場するみたいですね。
まさか、ジーンに新たな強化がされるとは。
果たして、どんな活躍をするのか。
この小説では、ジーンゲイザーを出すかは未定です。
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