翌日、俺達はエルロードの城の前に居た。
その城は、ベルゼルグの城よりも大きく、豪華だった。
カズマ「ほえー、おいおい、また随分金かけた城だなあ。ダクネス、なんかもう王都の経済規模といい城の大きさといい、色々と負けてないか?」
湊翔「そこは、カジノ大国だからだろうな。ベルゼルグよりも経済の回りがいいんだろ。」
俺とカズマがその城を見ながらそう話す。
すると。
めぐみん「これは堪りませんね。ここに爆裂魔法を撃ち込んだなら一体どうなってしまうのか。考えただけで詠唱が漏れてしまいそうです。」
トウカ「めぐみん!?何考えてんの!?」
朱翼「それやったら、国際問題に発展しますよ!?」
アクア「ねえねえ、あのお城のてっぺんの旗をアクシズ教団のシンボルマークに変える芸を見せたら、皆驚くかしら?」
白夜「おい、早まった真似をするんじゃねぇよ。」
武劉「頼むから、大人しくしていてくれ。」
ダクネス「はぁ……………。」
アクアにめぐみんが物騒な事を言い出し、トウカ達が2人を牽制し、ダクネスはため息を吐きながら、頭を抱えていた。
カズマ「よーし、今から会う小僧がどれほどの男かテストしてやる。果たして、どこまで耐えられるかな?」
湊翔「おいやめとけ。バカな事を考えるなよ。」
カズマがそんな風に言い出すので、俺はそんな風に釘を刺す。
すると、アイリスがクスクス笑う。
湊翔「どうした?」
アイリス「いえ。今日は王子に初めてお会いするにも関わらず、皆さんがいるおかげで緊張しません。」
湊翔「………………そうか。」
俺がそう聞くと、アイリスはそう言う。
すると、子供特有の変声期前の甲高い声が響く。
???「まったく、これだからベルゼルグの田舎者は……。城の前で騒がしいぞ、礼儀というものを弁えろ。」
そんな風に現れたのは、頭に小さい王冠を載せているそばかすが散った赤毛の少年だった。
俺の目から見た感じ、アイリスとは同い年だろうな。
アイリスが目の前に出てきて、挨拶する。
アイリス「あなたがエルロードの第一王子、レヴィ様ですか?私はベルゼルグの第一王女、アイリスと申します。あなたにお会いする為にやって参りました。本日はあなたのお顔が見られて嬉しいです。」
屈託のない笑みを浮かべたアイリスは、優雅さと愛らしさを併せ持った完璧な礼をする。
と言うかあの王子、レヴィって言うのか?
恐らく愛称だから、本当の名前があるのだろう。
だが、件の王子は、小馬鹿にする様な笑みを浮かべた。
レヴィ「お前が俺の許嫁か?ベルゼルグの一族は女子供に至るまで武闘派だと聞いていたが弱そうだな。もっと強そうで凛々しい姿を想像していたのに拍子抜けだ。」
アイリス「えっ?あ、その……。すいません…。」
レヴィ「それにその護衛の少なさはなんだ?ベルゼルグにはそこまで金が無いのか?筋肉だけではなく、もう少し金を稼ぐ頭も鍛えた方がいいぞ!」
レヴィという王子は、俺たちを見ながら小馬鹿にする様に笑う。
すると、家臣達も同調するかの様に笑った。
あれ?同盟国の割には、随分と見下されているような気がする。
レヴィ王子と家臣団は俺たちにも見下す様な視線を向けてきた。
だが、家臣団は俺、めぐみん、アクアを見て、ハッとした様に目を見開いた。
レヴィ「その護衛にしてもパッとしないな。どいつもこいつもまだ若いし、装備も高そうには見えない。よくここまで無事で来れたものだな。」
レヴィ王子は家臣達の様子が変わった事に気付かないようで、揶揄ってきた。
だが、家臣達は笑わない事を不思議に思った王子が後ろを振り向くと。
めぐみん「その喧嘩、買おうじゃないか。」
一同「あっ。」
と、うちの爆裂娘に火が付いた。
恐らく、外交における駆け引きの一環だったのだろう。
だが、それはうちの爆裂娘には逆効果だった。
暫くして、家臣達は王子を諫めていた。
家臣「違うのです!レヴィ王子はそちらの国に詳しくなく、紅魔族の存在を知らなかったのです!本気で喧嘩を売ろうとバカにしていたわけではなくて……!」
家臣「王子、ちゃんと相手を見てください!アレは紅魔族です、魔王ですら一目置いている厄介な連中です。あの連中にはシャレが通じないので迂闊な発言は止めてください!」
レヴィ「わ、分かった、悪かった!俺が悪かったから魔法を唱えるのは止めろ!」
家臣達が諌める中、流石にレヴィ王子も怯えた表情を浮かべながら謝った。
まあ、駆け引きのつもりでも、めぐみんを怒らせたのは不味かった。
めぐみん「今回は見逃しますが、次はありませんよ?我が名はめぐみん。爆裂魔法を操り、数多の魔王軍幹部を葬りし者。この私を怒らせない方がいい。」
家臣「分かっておりますめぐみん殿、今後この様な事が起こらないように致しますので!」
めぐみんがそう言うと、取り巻きの家臣の1人がそう謝り、王子は不満そうな表情を浮かべていた。
流石にヒヤヒヤした。
こんな所で爆裂魔法を撃ってしまったら、取り返しがつかない。
トウカ、白夜、朱翼、武劉も同じ様で、安堵のため息をついていた。
アクア「よく分からないけど、ちゃんとごめんなさいが言えるのは良い事ね。パッとしないって言われた時は聖なるグーを食らわせてあげようかと思ったけど私も許してあげるわね。」
白夜「おい、バカ……………!」
すると、空気を読めない事には定評があるアクアが火に油を注ぐ様な真似をする。
おい、そんな余計な事を言うんじゃない!
王子が胡乱な視線を向けた。
レヴィ「貴様、プリースト風情がこの俺に…。」
家臣「王子、王子、アレはアクシズ教徒です。しかもあの青髪にあの格好、相当に熱心な信者ですよ!安楽少女より厄介で、アンデッドよりもしぶといと言われるあのアクシズ教徒です!」
家臣の警告に、王子が怯える。
そんな風に言われてるんだ。
まあ、当然と言えば当然なのだが。
アクア「ねえ、アクシズ教徒を安楽少女やアンデッドの仲間みたいに言うのはやめて欲しいんですけど!謝って!うちの子達をモンスター扱いした事を謝って!」
白夜「アクシズ教徒が疎まれてるのは当たり前だろ。モンスターよりもタチが悪いんじゃねぇの?」
アクア「ハァァァァ!?言ったわね!今ここでアンタに聖なるグーを食らわせてあげるわよ!」
白夜「うるせぇ!」
アクアがモンスタークレーマーみたいな事を言う中、白夜はそう言い、2人は喧嘩を始める。
ちなみに、トウカ達が抑えにかかる。
王子と家臣がヒソヒソ話しているのを見て、どうしようかと困り果てていると。
???「一体何を騒いでいるのですか?」
家臣「宰相殿!いや、これは……。」
すると、そんな声と共に王子以上の貫禄を漂わせた細かな意匠を凝らした服を着た男が現れる。
どうやら、宰相…………ラグクラフトの様だな。
カズマから聞いた話によると、この国を牛耳っているそうだ。
アイリス「初めまして。私はベルゼルグの第一王女、アイリスと申します。お目にかかれて光栄です。」
ラグクラフト「これはこれは、噂に聞くベルゼルグの一族とは思えないほど可愛らしいお姫様だ。私は宰相を務めているラグクラフトと申します、よろしくお願い致します。」
凄いな。あれだけの騒ぎをあっという間に収めてしまった。
その後、俺達は城の中へ。
すると。
ラグクラフト「な、なんだね、このプリーストは?私に何か?」
アクア「よく分かんないんだけど、何となくおじさんが気になるんですけど。でも、悪魔臭くもないしアンデッドの気配もしないのよね。…………ねえおじさん、友達に悪魔の知り合いは居ないかしら?それとも、野良アンデッドを飼ってるとか……………。」
ダクネス「申し訳ない、ラグクラフト殿!この者は変わり者で知られるアクシズ教徒でして!」
ラグクラフト「いや、アクシズ教徒なら仕方がない。ああいや、本当に気にしてないから……………。」
すると、アクアがラグクラフトの背中を無造作に触る。
ラグクラフトがそう聞くと、アクアはそう言う。
ダクネスがそう言うと、ラグクラフトは引き攣った表情を浮かべながらそう言う。
俺達は宰相と歓談していたが、アイリスの声が会場に響き渡る。
アイリス「そ、そこを何とかお願いします!」
ラグクラフト「そこを何とかも何もありませんよ。我が国も財政が苦しいのです。見て下さい、このパーティーを。大切な同盟国であるベルゼルグの王女の歓待にすら、この様に節約しなくてはならない有様です。なので、アイリス様の頼みでも、これ以上防衛費を負担する事はできません。」
アイリスがそう言うと、ラグクラフトは表情だけは申し訳なさそうにしつつ、キッパリと拒絶を口にした。
理由は、支援金の事に関してだそうで、宰相に断られ続けている。
湊翔「大丈夫か?」
白夜「財政が苦しいと聞こえたが、街を見る限り、そんな風には見えないな。」
トウカ「そうよね。」
朱翼「なんで断るのかしら?」
武劉「何かありそうだな。」
それを見て、俺たちはそう話す。
俺たちは、ダクネスと共にアクアとめぐみんを見張っていた。
その後、アイリスとカズマが交渉するも、断られてしまった。
だが、アイリスは支援を頂くまで来ると宣言した。
ちなみに、めぐみんとアクア、ダクネス、俺、トウカ、白夜、朱翼、武劉は連れてくるなと言ったそうだ。
連れてくるなと言われた以上、付いて行くのは不可能だろう。
そう言う事で、俺達はカズマとアイリスの交渉を待つ事にした。
ちなみに、アクアはカジノに行き、めぐみんが単独行動をする中、俺たちは交渉の材料を見つけるために街の探索を行う事にした。
結果を聞く度に、どんどんと取り戻していくのに少し引いた。
最初こそ、アイリスの剣技とカズマのイカサマギャンブルをしていたが、次第にカズマのイカサマギャンブルだけになった。
湊翔「………俺達って、いる?」
トウカ「………いらないかも……。」
白夜「俺達って、護衛で来たんだよな……。」
朱翼「交渉もアイリスとカズマだけでやっていますからね…………。」
武劉「ああ。」
俺たちはそんな風に話す。
何せ、向こうから俺たちは来るなと言われてしまったから、情報収集しかできないのだ。
そんな風に話す中、俺たちはカズマ達が何かを話し合っていた事に気づかなかった。
その後、どういう訳か、捕まったカズマ達を迎えに行った。
湊翔「お前ら何をしたんだ?」
トウカ「爆裂魔法を使ったのね……。」
白夜「何してんだよ。」
俺たちは呆れ気味にそう言った。
カズマ達が行ったのは、万が一支援金をもらえなかった時の為の計画だそうだ。
それは、めぐみんの爆裂魔法で気を引いて、カズマが王城に潜入。
王子の寝室に侵入したあと、枕元にナイフと手紙を置く。
手紙にはこう書くらしい。
『愚かなる人間よ、中立を宣言したくらいで見逃してもらえると思うなよ?忌々しいベルゼルグが滅んだ後は、お前の番だ!』
……………と。
要はマッチポンプだ。
何やろうとしてんだ。
俺と朱翼が呆れながら首を横に振る中、トウカ、白夜、武劉の3人はカズマ達に説教を行っていた。
トウカ「ダクネス!普段はカズマ達を止める立場なのに、何してるのよ!?」
白夜「お前ら、一体何を考えてるんだ!?」
武劉「この行動は、下手をすれば同盟関係が白紙になる可能性があったんだぞ!?」
3人はそんな風に叫ぶ。
この行動は下手をすれば、ベルゼルグとエルロードの同盟関係が白紙になる危険性があったからだ。
俺たちが宿に戻ると、アイリスが口を開く。
アイリス「お兄様、よくご無事で!皆さんが捕まったと聞いた時には、これはもう戦争覚悟で牢破りをするしかないと……………。」
湊翔「ちょっ!?物騒な事を言うなって!」
カズマ「大丈夫だって!俺たちは特に不快な目に遭ってないから!」
アイリスは開口一番に物騒な事を言い出して、俺たちは落ち着かせる。
俺たちは、アイリスに経緯を話す。
隠し通せるとは思えないからな。
ダクネスはずっと顔を俯かせているアイリスに話しかける。
ダクネス「ア、アイリス様……?その、カズマと共に勝手な行動を起こした事は謝ります。ですがこれも全ては良かれと思った事で……。」
アイリス「……けない……。」
白夜「アイリス?」
トウカ「どうしたの?」
ダクネスがそんな風に言う中、アイリスがポツリと何かを言った。
白夜とトウカの問いかけに対して。
アイリス「……情けない。」
アイリスはそんな風に言う。
まずい、アイリスの機嫌を損ねたか?
ダクネスがアイリスの前に跪き頭を下げた。
ダクネス「申し訳ありませんアイリス様、この度の失態は私の不徳の致すところ。どうか……。」
アイリス「私は自分が情けないです。交渉では殆ど何も出来ないまま、大半をお兄様に任せ……。そして、本来の仕事である追加の支援も断られ、部屋に籠って落ち込んでいました。私はまだ、何もしていないのにです。」
ダクネスがそんな風に言う中、アイリスは手を出して遮ると、そんな風に言う。
そんな事よ、アイリス。
それを言うなら、俺達も宰相の調査だけで、特に何もしてません。
そんな事を思う俺の内心をよそにアイリスは頭を振って。
アイリス「私がメソメソと落ち込んでいる間、ララティーナやお兄様、湊翔お兄様達は体を張ってくれました。本来、それは私がやる事であるのに。」
アイリス、一国の王女がそんな事を言っちゃダメだと思う。
だが、そんな無粋なツッコミは出来なかった。
すると、アイリスは立てかけてあった剣を取り、ダクネスに話しかける。
アイリス「ダスティネス・フォード・ララティーナ。これより城に参ります。私と共に来なさい。」
ダクネス「あ、アイリス様?」
アイリスはダクネスの事をフルネームで呼ぶ。
あれ、なんか嫌な予感が……………。
そう思う中、アイリスの次の言葉を聞いて、的中してしまったと感じた。
アイリス「そして、レヴィ王子に追加の支援金を要請します。そう……………勇者の末裔として名を馳せた、ベルゼルグ一族の名において。たとえどんな手段を用いたとしても、必ず無理を通して見せます!」
ダクネス「流石はアイリス様!このララティーナ、何があってもお守りします!」
アイリスはそんな風に叫ぶ。
そうして、どういう訳か、王城に乗り込む事になってしまった。
本当、どうしてこうなった。
アイリス「エクステリオン!」
俺は、アイリスが自分のスキルで城門を斬り裂くのを見てそう思った。
湊翔「……なあ。これヤバくね?」
トウカ「……………そうね。」
白夜「やっちまったよ……………。」
朱翼「どうしましょうか……………。」
武劉「アイリス様には、何か考えがあるはずだ。様子見しかないだろうな。」
俺たちはそんな風に話しながら、アイリスについていく。
俺達は謁見の間に着いたが、周囲にはアイリスに倒された騎士や兵士達が悶絶していた。
レヴィ「ここここ、こんな事をして、ど、どうなるか分かっているんだろうな!?」
流石の王子様も怯えていた。
まあ、無理もないが。
アイリスと同い年くらいの少年だ。
こんな光景に遭遇すれば、怯えてしまうのも無理もない。
アクアが逃げようとする中。
レヴィ「おい、聞いているのか田舎者が!こんな事をしでかした以上、我が国とお前の国は戦争だな!お前の国に支援している他の国々だって黙ってないぞ!これは重大な外交問題に……………!」
アイリス「レヴィ王子。」
レヴィ王子はそんな風に喚いていた。
だが、アイリスの声で王子が静かになり、宰相も引き攣った表情を浮かべながらジリジリと後ずさっていた。
アイリス「私はあなたと会談がしたかっただけです。手荒な真似をしたのは謝りますが、王子が常々仰る通り、私の国は野蛮なのです。不調法な田舎者のやる事ですから、どうか大目に見て頂けませんか?」
レヴィ「なっ……、そんなバカな言い分が……!」
アイリスがそんな風に言う中、レヴィ王子は激昂しながらそんな風に言う。
すると。
めぐみん「そんな言い分が通らないのなら、我が爆裂魔法とアイリスの剣、そして仮面ライダーがこの国を滅ぼす事になる。」
レヴィ「ななな、なんだと!?」
アイリス「めぐみんさん、余計な口を挟まないで下さい!私にそんなつもりはありません!」
湊翔「おい!これ以上、バカな事言うな!」
白夜「火に油を注ぐんじゃねぇ!」
トウカ「とにかく!めぐみんを取り押さえて!」
武劉「ああ!」
目を赤く光らせ、杖を掲げためぐみんがそんな余計な一言を言う。
俺達はめぐみんを取り押さえて、アイリスとレヴィ王子の会話を続けさせる。
レヴィ「では一体どんな要求をするつもりだ?どうせ追加の支援金の話だろうが、俺はたとえ脅されようとも……!」
アイリス「これは、元はベルゼルグという私の国がまだ成り立ったばかりでお金がない頃、王族がよく行っていた事なのですが……。この国において、最も大きな被害を与え、最も強大なモンスターを教えて下さい。このベルゼルグ・スタイリッシュ・ソード・アイリスが、必ず退治してみせます。」
レヴィ王子は王族としてのプライドで、そんな風に聞くと、アイリスはそう言いながら剣を謁見の間の床に突き刺しながら、ニコリと微笑んだ。
こうして、外交問題に発展しかねない事をしでかしたベルゼルグ王国の武闘派王女は、そんな事を言うのだった。
今回はここまでです。
今回は、アイリスが城に乗り込むまでです。
ベルゼルグ王国の武闘派王女としての姿を、アイリスは見せました。
そして、交渉はカズマとアイリスが行っていて、そこら辺は原作通りなので、カットです。
次回は黄金龍の討伐とカジノをやる感じです。
カジノには、カズマだけでなく、湊翔と白夜も参加させる予定です。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
ラグクラフトが本性を出すのも近いですが、その時にブジンソードを出します。
どんな展開でやって欲しいというのがあれば、受け付けています。