この白狐の戦士に祝福を   作:仮面大佐

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第126話 王女の決意

 宰相の正体はドッペルゲンガーだった。

 アルキメデルが率いるジャマト軍団やシャドウライダーの戦いの末、カズマが新たな力であるブジンソードを獲得した。

 その後、俺たちは泊まるのを宿に変えて、翌日に改めて、王城の方へと向かう。

 それで、謁見の間に通された。

 

レヴィ「面目ない!」

 

 レヴィ王子はそう言って土下座しだした。

 その行動にアイリスだけでなく家臣達も戸惑っていた。

 すると、戸惑い気味のアイリスが口を開く。

 

アイリス「あの、レヴィ王子。あなたは関与していなかったので、それくらいで……。」

レヴィ「すまない!俺があまりにもバカだった。ああ、バカ王子と呼ばれても仕方ない!アイリス姫がこの国に来なければ、魔王軍の手先にこの中枢を乗っ取られたままだった……!」

 

 宰相がドッペルゲンガーだったという大事件は既に城の中に留まらず、街にいる人々にまで広がっていた。

 アイリスは今や、ドラゴンスレイヤーに留まらず、ドッペルゲンガーに乗っ取られそうだったこの国の救世主だ。

 それで、その救世主とレヴィ王子が婚約を結んでいた事はエルロード中に知れ渡っており、城下町はお祭り騒ぎだ。

 先ほどから王子はこの調子だ。

 

湊翔「……………まあ、仕方ないんだろうけどな。」

トウカ「気づかなかったとはいえ、魔王軍の手先に国の中枢が乗っ取られていたからね。」

白夜「だな。」

朱翼「そうですね。」

武劉「魔王軍の手先が国の中枢に食い込んでいたのは、かなりまずいからな。」

 

 俺たちはそんな風に小声で話す。

 すると、アイリスがレヴィ王子に話しかける。

 

アイリス「王子。王族たる者は簡単に頭を下げてはいけないんですよ?」

レヴィ「わ、分かった。だが、今回の事で大きな借りが出来てしまった。我が国はベルゼルグに対してこの恩は忘れない。今後、何かあったらどんな事でも言ってくれ。その……………ベルゼルグとエルロードは同盟国にして友好国だからな。」

 

 アイリスがそう言うと、レヴィ王子は立ち上がって、大きく咳払いをすると、王子は照れ臭そうに笑った。

 謁見の間が和やかな空気に包まれた。

 

レヴィ「頼むぞ。仮面ライダー。この世界を救ってくれ。」

湊翔「言われるまでもないですよ。」

白夜「あぁ。」

 

 レヴィ王子にそんな風に言われて、俺と白夜はそう返す。

 すると、ダクネスが口を開く。

 

ダクネス「では、これにて一件落着という事で。全てが丸く収まった上に互いに友好も深まり、結果的には良かったですね。今後とも我が国の事をよろしくお願い致します、レヴィ王子。」

レヴィ「ああ、後方支援しか出来ないが、それだけでも任せて欲しい。しかし、本当に良かった。アイリス姫の兄上にも随分と世話になった。イカサマをされたのは頂けないが、あれもまた良い社会経験になった。」

 

 ダクネスがそう言うと、レヴィ王子は最初に会った時と打って変わって、穏やかで上機嫌だった。

 まあ、万事全てうまくいったからな。

 すると、レヴィ王子がカズマに話しかける。

 

レヴィ「いずれ、俺の兄となる方なのだ。これからはこの城を自分の家だと思い、いつでも遊びに来て欲しい。」

カズマ「なんで俺がお前の兄になるんだよ。どんな頭をしてればそんな発想が出てくるんだ?」

 

 レヴィ王子がそう話しかけると、カズマはそんな風に返す。

 そういや、そんな誤解があったな。

 すると、レヴィ王子が口を開く。

 

レヴィ「………………えっ?いや、アイリス姫の兄上だろう?」

カズマ「そうだよ?血は繋がってない義理のお兄様だけど。」

トウカ「なんでそう、話をややこしくするのよ…………。」

 

 レヴィ王子がそう聞くと、カズマは平然とそう宣い、トウカは呆れ気味に頭を抱える。

 すると、レヴィ王子は首を傾げながら口を開く。

 

レヴィ「血が繋がってない?ど、どういう……………事だ?ジャティス王子ではないのか?となるとお前は一体誰なんだ?」

カズマ「ベルゼルグ一かもしれない冒険者、サトウカズマです。」

湊翔「あっ。」

 

 レヴィ王子がそう聞くと、カズマはそう言い、俺はそう呟く。

 これは、詐称とかと訴えられてもおかしくないからな。

 すると、レヴィ王子はあまりピンと来てないのか、口を開く。

 

レヴィ「……………ああ、何か訳ありの兄妹という事か?まあ、それにしてもアイリス姫が兄と慕っているのだから、やはり俺にとっても……………。」

カズマ「いやいや。お前、アイリスと婚約解消したじゃん。」

武劉「お、おい……………!」

 

 レヴィ王子がそう言うと、カズマは平然とそう言い、今度こそ、この謁見の間の時間が止まった。

 

アクア「ねえねえ、あの人ピクリとも動かないわよ?大丈夫かしら?」

朱翼「大丈夫じゃないと思いますよ…………。」

めぐみん「その、そっとしておいた方がいいと思います。」

トウカ「というより、言っちゃいけない事ってあるのよ?」

白夜「せっかく誰も触れなかったのに、どうして傷口を抉る真似をするんだよ。」

 

 それを見たアクア達はそんな風に話す。

 本当だよ。

 どうすんだよ、この状況。

 すると、レヴィ王子が口を開く。

 

レヴィ「あ、ああ、あれは…………べ、ベルゼルグと距離を置こうとして、それでアイリス姫にワザと嫌われようとしただけで、本心から言っていたわけでは…………!それに、俺も宰相に騙されていたわけだし、何よりも同盟と友好の証というか……………!!」

湊翔「……………随分と必死だな。」

武劉「それ以上言うなよ。」

 

 レヴィ王子が慌てながらそう言うと、俺はそう呟き、武劉から釘を刺される。

 流石に死体蹴りはしねぇよ。

 すると、アイリスは一瞬だけカズマの方を見て、困った様な表情を浮かべると。

 

アイリス「……………ベルゼルグとエルロードは、ずっとずっとお友達です。なので私たちも、ずっとお友達でいましょうね。」

レヴィ「待ってくれええええええ!!」

 

 アイリスはそんな風に言うと、レヴィ王子の悲痛な叫び声が響き渡る。

 なんか可哀想だな。

 こうして、ベルゼルグとエルロードの同盟関係はそのままに、支援金を得て、アイリスとレヴィ王子の婚約は破棄されたのだった。

 結果的に、カズマとクレアの思惑通りになったわけだ。

 俺たちは、ベルゼルグへの帰還の準備を進めていた。

 

湊翔「まあ、今回の一件は、悪くなかったんじゃないか?外国に行けたわけだし。」

トウカ「まあ、まともに観光できたのは私たちだけよ。」

白夜「あいつらはどこでも問題を起こすからな。」

朱翼「ですね。」

武劉「トラブルメーカーだからな。」

 

 俺たちはそんな風に話す。

 エルロードでも、あいつらは何も変わらなかった。

 まあ、そう簡単に変わるわけがないのだ。

 俺たちは荷造りを終えて、いつでも帰れる様にした。

 そんな中、カズマ達がやってくる。

 

湊翔「準備は終わったか?」

カズマ「ああ。」

アクア「ねえ、私たちってひょっとして、まともに観光地を楽しんだ事ないんじゃないかしら。」

白夜「今更何言ってんだ。高確率でトラブルを起こすのに。」

アクア「はぁぁ!?今回はお小遣いさえもっとあれば、まだまだ楽しめたんですー。」

武劉「はぁ…………。なんでこいつはこんな風に言えるんだ…………。」

 

 俺たちはそう話す。

 本当だよ。

 アクアだって、勝手に店の調度品を使って手品をしただろうが。

 三分の一とはいえ、俺たちが払ったんだから。

 すると、アイリスが口を開く。

 

アイリス「あの……………お兄様!」

カズマ「どうしたんだ、アイリス?」

アイリス「あの……………お兄様!私と付き合ってくれませんか!」

一同「……………えぇぇぇぇぇぇっ!?」

 

 アイリスがそんな風に言うと、カズマは話を聞く姿勢をとる。

 すると、アイリスはそんな爆弾を放り投げていった。

 俺たちが驚いた。

 

ダクネス「あ、アイリス様!?」

トウカ「嘘……………!?」

朱翼「急ですね……………。」

めぐみん「っ!?」

武劉「それで、カズマはどうなんだ?」

 

 ダクネス達が驚く中、武劉はカズマの目をまっすぐに見て、そう聞く。

 それに対して、カズマは口を開く。

 

カズマ「……………ごめん、アイリス、こんな俺に告白してくれてありがたいし、メッチャ嬉しいけど…………今、俺はめぐみんとまだ友達以上恋人未満の関係だから、めぐみんを振って、その告白を受ける事もできるけど、めぐみんもメッチャ大切な存在だし、最近はダクネスにもなんか好かれていて、この旅で犯されかけたし。」

ダクネス「お…………お、お前は何を言い出してるのだ!やめろ〜!」

トウカ「ダクネス、落ち着いて!!」

 

 カズマはそんな風に言い始める。

 めぐみんが顔を赤くする中、ダクネスはカズマの方に向かおうとして、トウカに抑えられた。

 カズマは再び口を開く。

 

カズマ「そして今、愛する妹に告白されて、俺はどうすればいいんだとなってて…………なんとも言えないけど…………とにかく、今は、その告白は受けられない。その返事はしばらく待っててくれ。」

湊翔「………………なるほどな。」

 

 カズマはそう言う。

 まあ、俺はそれに口出しをする権利はない。

 何せ、トウカ、ゆんゆん、リアという恋人が3人もいるのだから。

 普通に考えれば、カズマの方が正しいだろう。

 とはいえ、俺はそれでも3人を愛するのだが。

 それを聞いたアイリスは、少し落ち込む。

 どう声を掛けたらいいんだ……………。

 そんな風に思っていると、アイリスは口を開く。

 

アイリス「分かりました!では、私から指輪を奪った罰として、お兄様…………いえ、カズマ様が魔王を倒したら、その返事をお聞かせてださい!」

一同「っ!?」

 

 アイリスは少し黙っていると、そんな風に言う。

 カズマが指輪を盗んだって知ってるのか!?

 マジかよ……………。

 そして、めぐみんとダクネスはなんとも言えない表情を浮かべる。

 すると、そんな空気をぶち壊す傍若無人な声が響き渡る。

 

アクア「ちょっと!ロリコンでパンツ脱がせ魔で最弱のヒキニート!なんで清く美しいこの世のお宝で、宇宙一の女神アクア様の名前がないのよ!」

 

 アクアだ。

 そんな風に宣ったのだ。

 それを聞いた俺たちは……………。

 

湊翔「……………アクア、それはあまりにも自意識過剰過ぎないか?」

トウカ「空気読みなさいよ、空気…………。」

白夜「そんなんだからだろ。」

朱翼「ですね。」

武劉「やれやれ…………。」

めぐみん「アクア……………。」

ダクネス「………………。」

 

 俺たちはそんな風に呆れたり、そう言う。

 宇宙一の女神様を自称するなら、酒で酔っ払ったり、借金を作ったりするなよ。

 そんな風に思っていると。

 

カズマ「お前みたいなクエストでは問題しか起こさない!そのクエストやお酒の飲み過ぎで借金を作るわ、その借金を自分ではなく他人に感謝もせずに払わせて、店のツケを他人に払わせて、夜には酒を飲む年齢不詳のおっさんみたいになる奴に、惚れる所なんてないだろうが!ゼウスさんやケケラ、ウォルバクの所で独り立ちする修行をつけてもらってこい!この最低最悪の阿婆擦れ穀潰し駄女神がああああああああああ!!!」

アクア「わぁぁぁぁぁぁん!!カジュマさん!そんなに言わなくたって良いじゃない!!」

湊翔「カズマ、落ち着け!」

 

 カズマはそんな風に叫び、アクアは泣き出して、俺たちはなんとか宥めようとする。

 結局、こうなるんだよな。

 その後、馬車の中は気まずい空気が立ち込めていた。

 その頃、馬場武と牛島闘轟は。

 

武「何だロキ。」

闘轟「俺たちを呼び出して、何の用だ?」

ロキ「来たか。お前達に話があってな。」

 

 その2人は、ロキに呼び出されており、2人がそう聞くと、ロキはそう言う。

 

闘轟「何だ?」

ロキ「奴らにジャマトグランプリを阻止されて、願いを叶える権利が残ってしまってな。それで、ジャマトグランプリに参加しつつ、残っているのはお前達2人だから、与えてやろうと思ってな。」

武「へぇ……………良いじゃん。貰ってやるぜ。」

闘轟「ふんっ。」

 

 闘轟がそう聞くと、ロキはそう言う。

 ジャマトグランプリの参加者は、ジャマト側は闘轟と武しか残っておらず、2人に与える事にしたらしい。

 2人はデザイアカードを受け取ると、記入していく。

 2人が書いた内容は…………。

 

『仮面ライダーを倒せる力 馬場武』

『全ての仮面ライダーをぶっ潰す力 牛島闘轟』

 

 との事だ。

 それを見て、ロキはほくそ笑む。

 果たして、その願いの意味とは。




今回はここまでです。
今回で、10巻の内容が終わります。
エピローグ的な感じなので、短めです。
アイリスは、カズマとめぐみんの距離が近い事に嫉妬して、告白をしました。
保留という感じになりましたが。
その裏で、闘轟達は新たな力を得ていた。
果たして、どうなるのか。
次回から、11巻の内容に入っていきます。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
11巻の内容をどういう感じにやって欲しいというのがあれば、受け付けています。
11巻の内容が終われば、いよいよギーツIXの登場も近いです。
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