この白狐の戦士に祝福を   作:仮面大佐

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第14章
第135話 シルフィーナの来訪


 ジャッカルの一件の後、俺たちは屋敷に居た。

 そんな中、まるで大切な任務を与えられたかの様な、決意に満ちた顔でアクアが言った。

 

アクア「広めなきゃ…………!ギルドの皆に広めなきゃ…………!」

ダクネス「ま、待て、待つんだアクア、私の話を聞いてくれ!」

アクア「まずはギルドのお姉さんに報告ね。あとはアクシズ教の教会に行って、その次は八百屋のおじさん、肉屋のおじさん、お隣に住んでるおばさんに…………!」

ダクネス「アクア、早とちりするな!まずはこの子をよく見てくれ!」

 

 アクアがそう言う中、ダクネスはそう言う。

 そうなった理由は、少し前に遡る。

 俺たちは、屋敷でのんびりしていた。

 

湊翔「ふぅ…………色々あったな。」

カズマ「まさか、別世界のデザグラに巻き込まれるなんてな。」

 

 俺とカズマはそう言う。

 まあ、塩漬けクエストをクリアしたと思ったら、今度は別世界のデザイアグランプリの騒動に巻き込まれたからな。

 

白夜「まあ、最強フォームの仮面ライダー達が立ちはだかったが、そんなに強くなかったな。」

トウカ「どんな立派な力でも、使う人次第で鈍になるのよ。」

朱翼「そうですね。」

武劉「ああ。あのような連中には負けたくなかったからな。」

 

 白夜達はそう話す。

 すると、ドアがノックされた。

 

めぐみん「おや、お客さんですかね?」

アクア「誰が来たのよ?」

ダクネス「対応しよう。」

カズマ「俺も行くか。」

 

 ドアがノックされて、カズマ達が対応すると、こめっこより少し小さい金髪碧眼の女の子がいたようだ。

 その女の子はダクネスを見ると。

 

???「ママーーっ!」

 

 そう叫んで、ダクネスにしがみついて、現在に至る。

 まさかのダクネスに娘がいたのだ。

 

トウカ「ま、まあ、貴族は若くして子供を産むのは義務みたいなものだしね!」

めぐみん「でも、本当にお母さんにそっくりですよね……!」

朱翼「そうですね!おめでとうございます!」

ダクネス「トウカ、めぐみん、朱翼、違う!これには理由が……!」

 

 トウカ達は若干、挙動不審気味にそう言う。

 ダクネスがそう言おうとする中、女の子は何かいけないことをしてしまったのかと、不安そうな表情を浮かべており、その容姿がダクネスに似ていた。

 

カズマ「お前また新しい属性をつけやがって。でも、この新属性はシャレにならないだろ…………。」

ダクネス「ちちちち、違!!」

白夜「自分にそっくりな女の子がそこにいるじゃないか。」

武劉「往生際が悪いんじゃないか?」

湊翔「そういえば、君の性癖を考えたら、子作りをしてもおかしくないよね。」

ダクネス「ぶっ殺すぞ貴様ら!貴族令嬢がそう簡単に体を許すか!」

 

 カズマがそう言うと、ダクネスは往生際が悪い反応をする。

 白夜と武劉、俺がそう言うと、ダクネスは激昂気味にそう言う。

 俺はそんなダクネスを無視して、困惑している女の子の前に屈み込んで、安心させる様に笑いかけた。

 

湊翔「お嬢ちゃん、お名前は?」

ダクネス「あっ!ま、待ちなさいシルフィーナ、今私が説明するから……!」

 

 俺がそう聞くと、ダクネスが慌てて止めようとする。

 すると、少女はもじもじと指を捏ね回し、恥ずかしそうに呟いた。

 

シルフィーナ「ダスティネス・フォード・シルフィーナ。」

カズマ「お前の娘以外の何者でもないだろ。」

ダクネス「違う、この子は私の従姉妹だ!従姉妹なのだから、家名が同じなのは当たり前だろ!」

 

 そう言ってダクネスは、泣いた顔で俺達に訴えた。

 そうしてダクネスは俺たちに対して、説明をする事に。

 

ダクネス「シルフィーナ、ここに居るのは私の仲間達だから安心なさい。ほら、皆にご挨拶を……………。」

シルフィーナ「シルフィーナと申します。ママ…………ララティーナ様のいとこに当たります。どうかよろしくお願いします。」

 

 ダクネスがそう促すと、シルフィーナは背筋を伸ばして、立ち上がり、スカートの端を摘むと、頭を下げる。

 礼儀正しいな。

 

カズマ「はじめまして。お兄ちゃんは佐藤和真。君のママの仲間で、この街で冒険者をしているんだ。俺のことはお兄ちゃんかパパとでも呼んでくれ。」

ダクネス「お前は何を言っている!シルフィーナの父君は存命だ!」

 

 カズマがそう言うと、ダクネスはそう突っ込む。

 それを見ていた俺たちは。

 

湊翔「なぁ、どう見る?ダクネスを儚くして縮めたような感じがするが。」

トウカ「髪の色や目の色、顔立ちは結構似てるわね。」

白夜「だが、どことなく品があるな。」

朱翼「結構似てますよね。」

武劉「ああ。ダクネスの子供なら、もっと頑丈かと思ったが。」

ダクネス「おいお前達!聞こえているぞ!先ほどからいとこだと言っているだろうが!シルフィーナが私のことをママと呼ぶのは、この子が幼い頃からずっと私が面倒を見てきたからで…………!」

 

 俺たちがそう話すと、ダクネスはそう激昂する。

 シルフィーナがくすりと笑う中、めぐみんが口を開く。

 

めぐみん「シルフィーナと言いましたね。私はめぐみん。見ての通りの紅魔族にして、このアクセルの街随一の魔法使いです。」

シルフィーナ「めぐみん様…………。」

 

 めぐみんはそんな普通の自己紹介を行う。

 まあ、名前が独特だからな。

 するの、ダクネスがシルフィーナの頭に手を置く。

 

ダクネス「改めて紹介しよう。この子の名はダスティネス・フォード・シルフィーナ。私のいとこで、事情があってこの街に越してきたのだ。」

 

 ダクネスはそう言う。

 シルフィーナは、幼い頃に母親を亡くして、何かと世話を焼いていたダクネスの事を母親の様に慕っている。

 ちなみにダクネスの母親はこの子の実の姉で、母方の家系は強い魔力や魔法抵抗力を持つが体が弱く、シルフィーナも例に漏れず病弱らしい。

 そして、ダクネスは母方の強い魔法抵抗力に父方の頑強な体という両親の良い所だけを受け継いだ、ダスティネス家のハイブリッドらしい。

 

「「ハイブリッド……?」」

ダクネス「う、うるさいぞ、湊翔、カズマ。何か文句でもあるのか。余計な口を挟まず最後まで聞け!」

 

 俺とカズマがそう呟くと、ダクネスはそう言う。

 最近何かと魔王軍が活発化している中、体の弱いこの子を何度も疎開させるのも負担がかかる。

 その結果、ダクネスの誘いでこの街に来て、ダクネスの親父さんからこの屋敷を聞いて、遊びに来たそうだ。

 

カズマ「……なるほど、なかなか良く出来た設定じゃないか。」

めぐみん「確かに今の所は無理のない設定ですよね。」

ダクネス「設定じゃない!そもそもこの子の年を考えろ、私がいくつの時の子供になるのだ!」

 

 カズマとめぐみんがそう言うと、ダクネスはそう叫ぶ。

 確かに、ダクネスの年齢を考えると、10代前半で出産した事になる。

 すると、シルフィーナがくすりと笑った。

 俺たちの視線が集まると、シルフィーナは慌てて顔を俯かせる。

 

シルフィーナ「ご、ごめんなさい。ママ…………ララティーナ様がこんなに楽しそうにしているのは初めて見たから……………。」

ダクネス「別に楽しそうにはしていない!ほらシルフィーナ、この男(カズマ)にだけは近づくんじゃないぞ。アイリス様のように悪い影響を与えられては敵わないからな。」

 

 シルフィーナがそう言うと、ダクネスはカズマから庇うようにシルフィーナを背に隠す。

 すると、カズマが口を開く。

 

カズマ「シルフィーナと言ったねお嬢ちゃん。君のママはね、口ではこんな事を言っときながら、お兄さんがお風呂に入ってる所に乱入したり、夜中に部屋に潜り込んできたりと…………。」

ダクネス「聞くんじゃない、シルフィーナ!ほら、めぐみん達もなんとか言ってやれ!」

 

 カズマはそんな風に言うと、ダクネスはシルフィーナの両耳を塞いで、俺たちに釈明を求める。

 すると、俺たちは顔を見合わせると。

 

「「「「「「大体合ってる。」」」」」」

ダクネス「お、お前達!!」

 

 俺たちがそう言うと、ダクネスは涙目になる。

 そりゃあ、エルロードに向かう途中での一件を知ってたらな。

 すると、シルフィーナが咳き込む。

 本当に病弱だったのか。

 

ダクネス「…………シルフィーナ、私の実家からこの屋敷まで歩いてきたのだろう?体が弱いのに無理をしてはいけない。お父様には私から言っておくから、今夜はここに泊まっていくといい。しばらくの間、このソファーで休みなさい。」

シルフィーナ「はい、ごめんなさい、マ………ララティーナ様…………。」

 

 それを見たダクネスがそう言うと、シルフィーナはそう謝りながら言う。

 それを聞いたダクネスは、優しげな苦笑を浮かべると。

 

ダクネス「もう、ママでいい。だがこの人たち以外の前では名前で呼びなさい。」

シルフィーナ「はい、ママ!」

 

 ダクネスがそう言うと、シルフィーナは苦しそうにしながらも、笑顔を見せた。

 いい話だな。

 すると、ダクネスが口を開く。

 

ダクネス「そうだ、あまり辛いようなら、アクアに回復魔法をかけてもらって…………?なあ、お前達。アクアはどこへ行った?やけに静かだと思えば、いつの間にか居ないじゃないか。」

 

 ダクネスは何かを思いついたかのような表情でそう言うと、俺たちにそう聞く。

 

湊翔「気づいてなかったのか?」

カズマ「お前が説明を始める前に、玄関からこっそり出てったが。」

白夜「あの様子だと、今にも広められていることは間違い無いだろうな。」

 

 俺とカズマと白夜がそう言うと、ダクネスはすぐに飛び出していった。

 その後、カズマとめぐみんがシルフィーナと一緒におままごとで遊び、俺達はそれを和やかに見ていた。

 

湊翔「なんか、良いよな。こういう光景。」

トウカ「そうね。」

白夜「純粋だな。」

朱翼「ですね。」

武劉「悪くないな。」

 

 俺たちはそう話した。

 ほのぼのしていた。

 その日の夜。

 あの後遅くにアクアを連れて帰ってきたダクネスがシルフィーナに訪ねた。

 

ダクネス「シルフィーナ。今日はカズマとめぐみんの2人に遊んで貰ったと聞いたがどうだった?一体何をして遊んでいたんだ?」

シルフィーナ「はい、お2人にはおままごとで遊んでいただきました。」

 

 ダクネスがそう聞くと、シルフィーナはカエル肉のステーキに四苦八苦しながらも、笑顔で答えた。

 その光景を見ると、母子というよりは姉妹みたいな感じだな。

 見た目がそっくりな事もあってか。

 だが、気になる事がある。

 

カズマ「で、お前は一体何やってんの?」

湊翔「何をやらかしたんだ?」

 

 俺とカズマは、正座したまま反省させられているアクアに尋ねた。

 それを受けて、アクアが騒ぎ立てる。

 

アクア「聞いてよ皆!ダクネスってば、ちょっと冒険者ギルドや色んな所で話を広めたくらいで大変な怒り様だったのよ?ダクネスに捕まった後折檻される端からヒールで癒して平気な顔してたらお家の権力を使って私にお酒を売らない様に圧力をかけるって脅されたの。私は見たままを話しただけなのに、酷くないですか?」

ダクネス「冒険者ギルドに入った瞬間おめでとうを言われた身にもなってくれ!酔っ払い冒険者には冷やかされるわ、ギルドの受付嬢には何故か妬まれるわで散々だったのだぞ!それに、父親は誰かと聞かれるし……!」

 

 アクアがそんな風に叫ぶと、ダクネスはそう避ける。

 まあ、冒険者からしたら、揶揄いのネタが出来た事だし、ルナさんは行き遅れてることを焦っている素振りがあるからな。

 ちなみに、それをルナさんの前で口にしたら、制裁されるのは目に見えるので、言わない。

 すると、シルフィーナが申し訳なさそうに俯いた。

 

シルフィーナ「私のせいでごめんなさい、ママ……。久しぶりに会えたから、嬉しくて、つい……。」

ダクネス「あ、違うんだシルフィーナ!私は子供は好きだし、お前の事は迷惑だなどと思ってはいない!父親が誰だと勝手な予想をされ、揶揄われただけで……。」

 

 シルフィーナがそう謝ると、ダクネスはそんな風にフォローする。

 すると、ダクネスは俺たちの方をチラリと見ると、アクアが口を開く。

 

アクア「本命予想がカズマさんで、2番が湊翔さんで、3番がどこかに居なくなっちゃった熊みたいな領主のおじさん。それでなんだっけ…………そうそう!ダークホースが、なんとかいう金髪のチンピラの人だったわ!」

カズマ「俺が自分で言うのもなんだけど、お前ロクでもない男との噂しか立てられないな。」

ダクネス「うるさいぞ、本当にお前が言うな!」

湊翔「なんで俺も入ってるの?」

 

 アクアがそう言うと、カズマはそう言い、ダクネスはそう叫ぶ。

 なんか、釈然としねぇな。

 アルダープと一緒の扱いをされるのは、すげぇ嫌だな。

 その後、皆でシルフィーナを囲んで今までの冒険話をしたりした。

 その頃、ロキは何かの装置の調整を行っていた。

 

ロキ「…………これでよし。あとは、あの2人を捕縛すれば…………!」

武「何作ってんだ?」

 

 ロキがそう言う中、武はそう言う。

 

ロキ「武か。私の目的がもうすぐ叶うからな。待ち遠しいんだよ。」

武「何だそりゃ?」

ロキ「この装置はその為に必要なものだ。」

 

 ロキがそう言うと、武はそう聞く。

 そこから、ロキは語っていく。

 一体、この装置がどういう物なのかを。

 

武「へぇ…………それを使って、お前の目的を果たすってわけか。」

ロキ「ああ。私の理想の世界にな!」

 

 武がそう言うと、ロキは高らかにそう言う。

 それを影で聞いていた人がいた。

 

闘轟「………………。」

 

 闘轟だった。

 闘轟はそのまま、どこかへと向かう。

 果たして、ロキの目的とは。




今回はここまでです。
今回から、12巻の内容に入っていきます。
シルフィーナの登場により、変な誤解を抱かれたダクネス。
そんな中、ロキの計画が動き出そうとする。
それを聞いた闘轟は、何を思ったのか。
次回は税金関連の話になります。
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