第142話 トウカと白夜の葛藤
ダクネスのいとこであるシルフィーナを救った俺たち。
冒険者ギルドでは。
冒険者「ママーっ!」
ダクネス「貴族がここまで舐められ、バカにされてたまるか!もういい、貴様らそこになおれ!全員ぶっ殺してやるっ!」
そんな叫び声が響いていた。
顔を真っ赤にしたダクネスが、大声でママと叫んでいた男性冒険者に襲い掛かる。
その拳を難なく躱した男が、尚も懲りずに言い放った。
冒険者「ママー!何で怒るの?お腹空いたよママーっ!おっぱいちょうだいぐえっ!」
だが、ダクネスに襟首を掴まれて、絞められた鶏みたいな声を出す。
怒りのあまりこめかみに血管が浮き上がっていたダクネスが、漸く捕まえられた事に喜色をあげる。
すると、アクアが口を開く。
アクア「ちょっとダクネス、宴会の席で暴れるのはマナー違反よ?見なさいな、この楽しそうな皆の顔を。ちゃんと空気を読まなきゃダメよ?」
武劉「ならお前は、普段は空気を読んでるのか?」
湊翔「確かにな。」
アクアがそんな風に言うと、俺はそう言う。
普段の言動がアレだからな。
ダクネスがショックを受けたのか、冒険者を放して膝をついた。
ダクネス「こ、この私が、まさかアクアに空気を読めと言われるなんて……。」
朱翼「相当にショックを受けてますね………。」
ダクネスは酷くショックを受けながらそう言うと、朱翼はそう言う。
そんなダクネスに、1人の女冒険者がニヤニヤしながら近づくと。
冒険者「ママー!あたしも薬の材料集めに協力したんだから、おっぱい……痛たたたたたた!」
ダクネス「おっぱいならここに自前のがあるではないか!私の自慢の力で搾ってやろう!」
冒険者「やめて、ララティーナちゃんやめてぇ!おっぱいちぎれるー!」
湊翔「なら、揶揄わなければいいのに。」
トウカ「……………そうね。」
俺達は、シルフィーナ完治祝いのパーティーをしていた。
内容はほとんど、カオスと言っても過言ではないが。
だが、皆楽しんでいる。
それはそれで良いと思う。
そんな中、トウカはどこか、浮かない顔をしていたが。
俺がトイレに行っている間、トウカに白夜が話しかけていた。
白夜「どうしたんだ?浮かない顔をして。」
トウカ「白夜……………ちょっとね。」
白夜「もしかして、湊翔達が強くなってる事や、攫われた事を気にしてるのか?」
白夜がそう話しかけると、トウカはそう答える。
すると、白夜はそんな風に言う。
それを聞いたトウカは驚きつつも、口を開く。
トウカ「…………ええ。」
白夜「まぁな。カズマはブジンソード、湊翔はギーツIX。新たな力を手に入れた。その力は、今の俺たちよりも遥かに強い力だろうな。」
トウカ「……………ちょっと、湊翔が遠くに行っちゃいそうな気がして…………。」
白夜「……………なら、俺たちは2人に追いつける様に、鍛錬をするだけだ。」
トウカが頷くと、白夜はそんな風に答える。
トウカは、複雑な表情を浮かべてそう言うと、白夜はそう答えた。
それを聞いてもなお、トウカの顔は晴れなかった。
俺はトウカの事が気になったが、あまり深入りするのも良くないかなと思ったのだった。
その翌日、俺たちがのんびりしていると、カズマが何かを受け取っていた。
ダクネス「…………なあ、カズマ。一体何を頼んだんだ?」
湊翔「カズマ、何だそれ?」
カズマ「これか?ふふん、聞いて驚けよ?これはな、あの有名なドラゴン肉だ!」
俺とダクネスがそう聞くと、カズマはドヤ顔でそう答える。
ドラゴンの肉か…………。
カズマとダクネスが話し合う中、俺はトウカ達に話しかける。
湊翔「なあ、ドラゴンの肉ってどんな感じなんだ?」
トウカ「ドラゴンの肉ね…………。あんまりお勧めできないわよ?」
白夜「まあな。ドラゴンは筋肉に覆われてて、脂肪は殆どないし、臭いぞ。」
朱翼「でも、その割には高級食材として扱われてますよね?」
武劉「単に食べるとステータスが上がるから高いだけだ。」
俺がそう聞くと、トウカ達はそう答える。
ダメじゃねぇか。
すると、カズマとアクアの言い争いが聞こえてくる。
カズマ「ふざけんなよ!お前も一緒に食うんだよ!足りない頭をドラゴン肉で補えよ!」
アクア「誰の頭が足りないのよ、無礼者!賢い私にはそんな物必要ないわ。」
白夜「……………詐欺にあって、鶏の卵を買った奴が言っても、説得力ねぇな。」
アクア「はぁぁぁ!?ゼル帝はドラゴンなんです〜!それに、頭の足りない子に果たして、こんな物が作れるかしら?」
カズマがそう叫ぶと、アクアはそんな風に言う。
白夜のツッコミにアクアはそう言いながら、あるものを見せる。
それは、地球産のフィギュアも顔負けの十二分の一スケールのめぐみんのフィギュアだった。
アクア「粘土フィギュア第二弾、爆裂特攻小めぐみんよ。なかなかの自信作だし、きっとこれも高値で売れるわね。」
武劉「朝から庭の粘土を集めてこね回していたのが気になったが、そういう事か。」
めぐみん「待って下さい!そんな物を作ってたのですか!細部にこだわりすぎですよ!スカートの中が大変な事になってるじゃないですか!」
アクアがドヤ顔でそう言い、武劉がそう言うと、めぐみんはそう叫ぶ。
クオリティが無駄に高ぇな。
何をどうしたら、こんな物をここまで再現できるんだよ?
すると、めぐみんの言葉に対して、アクアは口を開く。
アクア「だってしょうがないじゃない。お小遣いが足りないのよ。ヘンテコ悪魔が売れそうな物持ってきたら買ってやるって言ってたから、アクセルの冒険者フィギュアを売り出す事にしたの。」
湊翔「だったら、自分のを作ったり、節制したら良いだろ。」
めぐみん「湊翔の言う通りですよ!あっ、ちょっと待ってください!これ、パンツまで脱げる様になってますが、まさか…………!」
アクアはそんな風に言う。
節制しろ。
めぐみんは、自分のフィギュアのパンツが脱げる事を察した中、カズマは口を開く。
カズマ「なあ、それ俺にも売ってくんない?」
アクア「お安くしとくわ。」
トウカ「アンタ達……………。」
めぐみん「2人とも、張り倒しますよ!アクア、それをこっちに渡して下さい!大体、お小遣いならカズマに貰っているでしょう!いつも一体、何に使っているのですか!?」
カズマがそう言うと、アクアはそう答える。
それを見て、トウカがドン引きする様な表情を浮かべると、めぐみんはアクアからフィギュアを取り上げようとしていた。
すると、先ほどからずっと黙っていた父さんと母さんが口を開く。
聡介「ん?そういえば、先ほど、第二弾と言ったな?」
朱美「言ってたわね。」
アクア「ん?粘土フィギュア第一弾はスケスケ令嬢エロティーナね。最近、ダクネスがよく着けてるえっちいネグリジェの再現が大変だったわ。その分、高値で買ってくれたけどね。」
父さんと母さんがそう言うと、アクアはそう答える。
すると、ダクネスは屋敷から飛び出していく。
恐らく、そのフィギュアを回収しに行ったのだろう。
すると。
聡介「……………アクアさん?」
アクア「ひっ!?」
聡介「確かに、クオリティが高いフィギュアだ。だが、そういうのは相手側の許可を貰って行う物だろう?」
朱美「いくら何でもねぇ…………。」
父さんと母さんはそう言うと、アクアに対して、説教を行う。
まあ、この世界に肖像権なんて物があるのか知らないが、そういうのは許可をもらう必要があるな。
俺たちが苦笑しながら見ていると、ドアがノックされて、
ゆんゆん「あの、めぐみん居ますか……?」
狼菜「こんにちはです。」
果物の詰め合わせを持ったゆんゆんと狼菜がいた。
ゆんゆんがきた理由は、紅魔の族長試練があるから、是非受けてくれとの事だ。
しかし、めぐみんは受ける資格が無く、八つ当たりしていた。
その後、ゆんゆんや狼菜と共にドラゴン肉を食べたのだが、心の中で二度と食わないと誓った。
本当に、美味しく無かった。
翌日、俺、トウカ、白夜、朱翼、武劉、カズマ、アクア、めぐみんの8人でウィズ魔道具店を訪れた。
ちなみに、父さんと母さんは、屋敷に住むのではなく、別の家を借りてるそうだ。
カズマ「ウィズ、バニル、いるかー?」
湊翔「ちょっと用事があるんだが……。」
バニル「何故だ、何故我輩の言う事を聞かぬのだ!我輩は見通す悪魔!助言を真摯に受け止めて、指示の通りに動いてくれれば赤字になどならぬのだ!」
ウィズ「バニルさんの言う事だけを聞いているのなら、それってバニルさんが店主みたいなものじゃないですか!私はバニルさんと一緒にこのお店を盛り上げていきたいんです!」
俺とカズマがそう言いながら扉を開けると、毎度の如く、バニルとウィズが言い争っていた。
またかよ……………。
カズマ「朝っぱらから何してんだ?」
湊翔「またウィズが変な物を仕入れて喧嘩か?」
バニル「おお、これはこれは小僧共!今日は素晴らしい物があるぞ!こ、こらっ、そのガラクタを放さぬか!」
俺とカズマがそう言うと、バニルはそんな風に言ってくる。
すると、ウィズは足元に置かれた大きな箱を庇う様に覆い被さった。
ガラクタを買わせようとすんなよ。
湊翔「ガラクタって、それを買いに来た訳じゃないんだけど。」
カズマ「俺達は、シルフィーナを助けてもらうのに協力してくれた礼を言いに来たんだよ。」
バニル「あのガラクタを買い取ってくれる事こそ我輩にとっての最大の礼なのだが。しかし、流石は貴族令嬢。昨夜は泣きながら自らのスケスケ令嬢フィギュアを仕入れ値の倍額で回収に来た物だが、律儀な事だ。それより最近、それぞれの相手と良い感じになっておるタイクーンとギーツよ。貴様らには本当に良い商品があるぞ、お一つどうだ?」
俺とカズマがそう言うと、バニルはそんな風に言う。
どうせ、見通して、そんな展開になるって分かってただろ。
アクアとめぐみんとトウカと白夜と朱翼と武劉が箱に興味を示す中、バニルが耳打ちしながら小瓶を渡してきた。
湊翔「胡散臭い物は買わないぞ。」
カズマ「ちなみに、これって何だ?」
バニル「避妊薬である。ちなみにお値段1万エリスだ。」
カズマ「はい。」
湊翔「………一応、俺も。」
俺とカズマがそう言うと、バニルはそう言う。
それを聞いた俺たちは、皆に見られないようにお金を渡した。
トウカ達と付き合う様になってからは、そういうのを意識する様にはなったからな。
バニル「お買い上げありがとうございます!男性が飲めば1週間は効果があるぞ。汝ら偉大なるお得意様よ、他にも強力な精力剤や、匂いを嗅ぐだけで何となく良い雰囲気になる芳香剤もあるが、どうであろうか?」
カズマ「買います。全部買います。」
湊翔「………一応、俺も。」
バニル「ありがとうございます!!」
若干迷いつつ、申し訳なさがありながらも購入した。
これは、トウカ達の為を思って買った物だ。
そう言い聞かせていると、トウカが近づいてきた。
トウカ「随分とホクホクしてるけど、一体何を買ったの?」
湊翔「…………まあ、ちょっとな。」
トウカ「そっか。」
トウカがそう聞くと、俺はそう答える。
これは本当に、トウカの為の行動だ。
傷つけない為の行動だ。
改めてそう言い聞かせていると。
???「バニル様!助けて下さい!」
アクア「『セイクリッド・ハイネス・エクソシズム』!」
???「ピャアアアアアー!!」
そんな叫び声と共に、着ぐるみが入ってきた。
すると、その着ぐるみは、アクアに浄化されたのか、着ぐるみが床に力無く落ちる。
アクア「ちょっと、何これ着ぐるみだわ!ねえ、カズマ。悪魔の匂いが染み付いたペンペンよ!臭いくせに可愛らしいとこが憎たらしいわね!」
湊翔「お前、容赦ねぇな…………。」
カズマ「こいつアレだ、シルフィーナの薬の材料集めに爪をもらいに行った、何たら公とかいう悪魔だよ。……………もう死んじゃったみたいだけど。」
武劉「こいつがゼーレシルトか。」
アクアがそんな風に叫ぶ中、俺がそう呟き、カズマがそう言う中、武劉はそう呟く。
その着ぐるみの中身がゼーレシルト伯爵なのか。
アクアとめぐみんが話をする中、バニルはため息を吐くと、その着ぐるみに近づいて、手を突っ込む。
すると、何もなかったはずの着ぐるみが膨らんでいく。
ゼーレシルト「はっ!?」
アクア「『セイクリッド・ハイネス…………』!」
カズマ「おい、やめてやれ。また中身が無くなるだろ。」
湊翔「めっちゃ怖がってるし……………。」
ゼーレシルト伯爵が復活すると、アクアは再び浄化魔法を放とうとする。
流石に可哀想なので、止める事にした。
すると。
ゼーレシルト「バババ、バニル様、この凶暴な青髪女は、よもや、まさか…………!」
バニル「うむ、汝の予想通りの我らが宿敵である。汝は店に入ると同時、残機を全て消し飛ばされたのだ。我が前で消失したばかりだったが故に、何とか残機を分けてやれたが、今後、我輩がいないところでコレに遭遇したら終わりだと思え。」
ゼーレシルトが震えながらそう聞くと、バニルはそう答える。
確かに、バニルがいない所でアクアと遭遇したら終わるだろうな。
すると、白夜が口を開く。
白夜「ところで、アンタは悪魔であっても、貴族なんだろ?領地をほっぽり出して大丈夫なのか?」
バニル「確かに。仮にも高位悪魔である汝がまさか、一撃で葬られるとは思わなかったぞ。今まで貯めた残機はどうしたのだ?」
ゼーレシルト「そ、それが…………実は今、大変な事になっておりまして…………。」
朱翼「大変な事ですか?」
白夜は気になったのか、そんな風に聞く。
確かに、貴族という事は、領地を持っていてもおかしくはないが。
すると、ゼーレシルトは口を開く。
ゼーレシルト「我が城に、女神エリスが毎日のように襲撃に来ては、残機を削っていくのです。」
湊翔「……………え?」
カズマ「ぶーーーっ!?」
ゼーレシルトがそう言うと、俺は呆気に取られて、カズマは紅茶を吹き出した。
伯爵曰く、エリス様に残機を減らされまくって、逃げてきたそうだ。
容赦無いですね、エリス様。
湊翔「容赦ないなぁ……………。」
トウカ「まあ、私もそうしたとは思うけどね。」
武劉「…………というより、話を聞く限り、交渉に応じたものの、ゼーレシルト伯の条件に答えられなくて、強硬手段としてそうしたのだから、カズマ達に非があると思うが?」
カズマ「それを言われると、ぐうの音も出ないので、やめてくれ……………。」
俺がそう呟くと、トウカはそう言う。
そうだ、トウカも女神だった。
それを聞いた武劉が冷静にそう言うと、カズマはそう言う。
アクアとめぐみんが着ぐるみのチャックを開けようとして、ゼーレシルト伯爵の抵抗を受けていると。
ダクネス「邪魔するぞ、ウィズ、バニル。そこにいるカズマ達から聞いていると思うのだが、今日はこの子を助けてくれた礼を…………えっ?」
そこに、ダクネスがやってくる。
その隣には、まるで甘える様にシルフィーナがダクネスの腰にしがみついていた。
すると、ダクネスに気づいたゼーレシルトが口を開く。
ゼーレシルト「これはこれは。誰かと思えば先日、私の城に侵入し、散々暴れてくれたダスティネス卿ではないか。フフフ、まさかこんな所で再び
アクア「……………ぷーっ。」
ゼーレシルト「ピャアアアアアア!!」
ゼーレシルトは、ラスボス感が出ている様な態度でダクネスにそう言う。
すると、アクアにチャックをちょっと開けられて、息を吹き込まれて、ゼーレシルトは転げ回る。
悪魔は女神の吐息だけでもダメージを受けるのか?
その後、ダクネスはゼーレシルトから事情を聞いて、話しているのを眺めていた。
ちなみに、シルフィーナは、ゼーレシルト伯爵の事を気に入ったのか、抱きついていた。
すると。
ルナ『緊急クエスト!緊急クエスト!街の中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まって下さい!』
そんなアナウンスが流れてくる。
俺たちは、顔を見合わせた。
湊翔「お前ら、今度は何をしたんだ?」
カズマ「俺は何もしてない。」
アクア「私だってそうよ!」
めぐみん「私もですよ!爆裂魔法の使用場所や用法、用量はきちんと守っていますからね。」
俺がそう聞くと、カズマとアクアとめぐみんはそう答える。
すると、俺たちの視線はダクネスに集まる。
ダクネス「おい、こっちを見るな!私は最も揉め事とは無縁なはずだ!こないだの税金騒動にしたって、ギルド職員からの相談を受けただけであって…………!」
トウカ「なるほどね…………。」
朱翼「じゃあ、一体何なんでしょうか?」
俺たちの視線が集まった事に対して、ダクネスはそう叫ぶ。
何事かと思っていると。
ルナ『繰り返します。街の中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まって下さい!冒険者の皆さんっ!!宝島です!!』
ルナさんのアナウンスは、どこか喜色を含んだ声でそんな風に叫んだ。
その声に、バニルとウィズが走り出した。
気付いたら、アクアも並走していた。
何事かとカズマと目を合わせていると、トウカに手を掴まれた。
湊翔「トウカ?」
トウカ「何してんの!早く行くよ!」
白夜「行くぞ!」
朱翼「宝の山ですね。」
武劉「俺は待ってる。」
そうして、俺達は街の外へ向かう。
ちなみに、ダクネスと武劉はウィズの店にいて、ゼーレシルトが店番を担当する事に。
カズマ達と合流して、アクアからツルハシにリュック、ヘルメットを受け取った。
マジで展開が読めん。
湊翔「良い加減に説明してくれ!宝島って何だよ!」
カズマ「割の良いクエストだと思うけど!」
俺とカズマは状況を飲み込めずに、そう叫ぶ。
すると、トウカ達は口を開く。
トウカ「宝島は玄武の俗称なんだけど、その玄武は、10年に一度、甲羅を干すために地上に出てくると言われてるのよ。その甲羅には希少な鉱石がくっついているの。」
白夜「だから、鉱石を掘ろうと集まってるわけだ。」
朱翼「せっかくだから、欲しいかなと思って。」
トウカたちはそんな風に言う。
なるほど、だから周りの冒険者達はやる気になっているのか。
カズマ「しかし、その巨大な亀とやらは背中を掘られて攻撃してきたりはしないのか?つーか、既に凄い人数の冒険者とすれ違ってるぞ?俺たちがつく頃には掘り尽くされてるんじゃないのか?」
カズマはそんな風に聞く。
すると、アクアが口を開く。
アクア「宝島は温厚で、余程のことをしない限りは攻撃なんてしてこないわ!それに、掘り尽くされる心配なんてないわよ?まあ、なぜ宝『島』なんて呼ばれてるのか、見れば分かるわ。」
白夜「というより、バニル達も来るんだな。」
バニル「我輩とて、こんなバカな事をしたくないわ!だが、このポンコツ店主がまたくだらぬものを勝手に仕入れ、新たな赤字を生み出したのだ!このままでは、今月の店の家賃が…………っ!」
ウィズ「大丈夫です、バニルさん!今は赤字に見えますが、仕入れたものがうまく育ってくれさえすれば、きっと大きな利益になります!…………だ、だからそんなに無機質な目をこっちに向けないでください!怖いです!」
アクアはそんな風に叫ぶ。
俺とカズマが顔を見合わせて首を傾げると、白夜はそう聞き、バニルとウィズはそう言う。
それにしても、バニル達も来るとは、ウィズ魔道具店の経営はどんなに上手くいってないんだ。
それで、俺たちはその玄武が居る場所に向かうと。
カズマ「…………ありえねぇ。」
湊翔「うそーん………。」
小山と見紛う程の巨大な亀が居た。
確かに、これは神獣だ。
多くの冒険者が次々とよじ登っていく。
その中には、アクセルハーツや一部見知った顔が混じっていた。
湊翔「リア達も来たんだな。」
リア「ああ。私たちのコンサートの費用を稼がないといけないからね。」
シエロ「それと、大きく稼げるはずなので、これでリアちゃんの部屋を掃除する為に、業者を雇うんです。」
リア「えっ!?そんなに汚くないだろ?」
エーリカ「何言ってんのよ!カビとかが生えてるくせに!」
リアにそう話しかけると、リアはそう言う。
シエロの言葉にリアがそう言うと、エーリカはそう突っ込む。
相変わらず、部屋が汚いんだな。
実は、リアの部屋の掃除を手伝ったことがあるのだが、すぐに散らかるのだ。
アクア「いくわよカズマに湊翔!タイムリミットは日没まで!リュックがパンパンになるまで稼ぐのよ!!」
まあ、レア鉱石が混じってるのなら、俺も採取しに行くか。
俺達はそれぞれの仮面ライダーに変身して、ツルハシを振るい始める。
一応、念には念をと言う事で、デザイアドライバーやレイズバックルは持ってきている。
トウカ曰く、中には鉱石モドキというモンスターが混じっているそうで、現れた時には、マグナムシューターで撃退している
すると、誰かの悲鳴が聞こえてくる。
冒険者「おああああーっ!やっちまった!鉱石モドキを掘り当てちまったっ!」
そんな声が聞こえてきて、俺たちは視線を向けると、1人の冒険者が複数のタコの様なモンスターに襲われていた。
カズマ「何だありゃ!?」
湊翔「助けに行った方がいいんじゃね?」
アクア「ほっときなさい!ここに居る皆は仮にも冒険者!彼らはいつだって死ぬ覚悟は出来ているわ!そんな彼らを勝手に助けるだなんて、決死の覚悟を踏み躙る行為だと思いなさい!」
ウィズ「全くです!たとえ力及ばず果てるとしても、クエストの最中に亡くなるのは冒険者としての誉れです!それに…………それに借金が……………っ!!」
カズマがそう叫び、俺がそう言うと、アクアとウィズはそう叫んだ。
人としてどうなんだ、それは。
というより、あの2人は女神とリッチーで、人ではなかったな。
すると。
白夜「オラっ!大丈夫か?」
冒険者「は、はい!」
白夜がすぐに鉱石モドキを蹴散らして、冒険者を助けた。
そんな中、朱翼はバニルに話しかけていた。
朱翼「バニルも必死ですね。」
バニル「やかましいわ!今月は洒落や冗談ではなく、真剣に家賃がヤバいのだ!とっとと作業に戻って、赤字を埋めなければならん!」
朱翼がそう話しかけると、バニルはそんな風に叫び、作業に入る。
しかし、いつもは飄々としているバニルも必死になるとは。
よっぽど家賃がやばいんだな。
それから半日が過ぎて、飽きて入口にいたカズマの元へと戻る。
俺は、こういう地味な作業は飽きないので、リュックがパンパンになるまでやった。
単純作業には飽きないのだが、周囲からは、ブラック企業に勤めてそうと言われた事がある。
湊翔「それにしても、結構手に入ったな。」
トウカ「湊翔って、こういう単純作業をやる事って、あまり抵抗がないわよね。」
湊翔「そりゃあ、コツコツとやっていくのは楽しいからな。」
白夜「お前らしいな。」
朱翼「ですね。」
俺たちはそう話す。
すると、めぐみんの爆裂魔法の詠唱が聞こえてくる。
声のした方を向くと、めぐみんが爆裂魔法を放とうとしていた。
湊翔「めぐみん!?何やってんだ!?」
アクア「あんた達、何してんの!?」
めぐみん「『エクスプロージョン』ーーっ!!」
俺たちが驚く中、めぐみんは爆裂魔法を放つ。
宝島の僅か上空で発動した爆裂魔法は、甲羅に残っていた鉱石類を砕いて落としていく。
すると、宝島はめぐみんとカズマをチラリと見る。
俺たちが固唾を飲んで見ていると、宝島はむくりと起き上がり、気持ちよさそうに伸びをすると、大きく開いた穴の中に入っていく。
それを見て、俺は悟った気がした。
湊翔「…………もしかして、宝島は人間達に背中の鉱石を取ってもらう為に、街のすぐ近くに来るんだろうな。」
トウカ「……………そうね。」
白夜「流石は玄武って言った所だな。」
朱翼「はい。」
俺たちはそう話す。
トウカ達から聞いた話によると、宝島は必ず街の近くで甲羅を干す為に現れる。
それは、人間達に鉱石類を掃除してもらう為なのだろうと。
すると、宝島は穴の中に向かう途中で、再びカズマとめぐみんをチラリと見ると、巨体を震わせて、まだ残っていた鉱石類を飛ばす。
まるで、残っていた鉱石類を取ってくれたカズマとめぐみんへのお礼と言わんがばかりに。
宝島は、さっぱりした様に穴へと潜っていく。
俺たちがそれを見ていると。
アクア「ねえ、カズマ。あれってめぐみんの爆裂魔法へのお礼よね?なら、私たちだけでこのお土産の鉱石、全部もらって良いわよね?」
ウィズ「こ、これでお店の借金と、家賃が…………!」
良い雰囲気をぶち壊す声が二つ響いてきた。
やれやれ……………。
俺たちは何とも言えない表情を浮かべる。
そんな中、どこかを見ていた男の元に、1人の女性がやってくる。
サマス「ロキ様からの指令です。ギーツを亡き者にし、ロキ様の理想の世界を叶える足掛かりにしろと。」
ジット「…………お安い御用だ。」
その女性はサマスという人物であり、男に話しかける。
その男は、ジットだった。
サマス「ギーツは創世の力を持っていますので、ご注意を。」
ジット「……………分かっている。仕込みはしている最中だ。この世界を絶望や不幸が満ちる世界にする為にな。」
サマスがそう忠告すると、ジットはそんな風に答える。
果たして、ジットの仕込みとは。
俺たちが気づかない中、ロキの勢力の暗躍は続いていたのだった。
今回はここまでです。
今回は、アクセルの街に宝島という名前の玄武がやってくるまでです。
シルフィーナを助ける事ができて、皆が盛り上がる中、トウカは沈んでいた。
どんどん強くなっていく湊翔に対して、遠くに行ってしまう様な事を思っていた。
それに対して、白夜は強くなるだけと答えたが、それでもトウカの気持ちは晴れなかった。
宝島で鉱石採掘を行う中、ジットは何かを企んでいる様だった。
果たして、ジットの仕込みとは。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
今後の展開などでリクエストがあれば、活動報告から承っております。
今にして思えば、この小説の主人公である桐ヶ谷湊翔は、他のいろんな小説にまで出張しているなと思いまして。