アクアがデュークに逆ナンをすると言って、俺たちが逃げた翌日。
俺たちは、屋敷へと戻っていく。
途中、カズマと合流した。
すると。
アクア「よくも逃げてくれたわね、逃げニートに
アクアはそんなふうに言ってくる。
カズマから話は聞いており、結局、ダクネスがデュークに逆ナンを仕掛けて、見事に失敗したそうだ。
その際、カズマとアクアが言いすぎたのか、ダクネスの逆鱗に触れたらしい。
すると、話題を変えるためか、カズマが口を開く。
カズマ「俺の事はいいとして、なんか変なのが生えてないか?」
アクア「ちょっとアンタ、誤魔化すつもり?私が身代わりになってダクネスの怒りを沈めたんだから、もっと感謝しなさいよね。」
カズマがそう言いながら庭にしゃがみ込むと、アクアはそんな風に言う。
俺とトウカも覗き込むと、そこにはフィギュアサイズのこぢんまりとした女の子が生えていた。
湊翔「おい、本当にマンドラゴラが生えてるぞ。街中で悲鳴を上げられたら、大変な事になるぞ。」
トウカ「確かに…………でも、マンドラゴラは来年って言ってたでしょ?」
アクア「種が安く買えちゃったから植えたんだけど……………こんなに早く生えるはずないわ。でも、そうするとこの子は何なのかしら?ていうか、どこかで見たような顔立ちよね。一応、植物型モンスターなんかは成長が早いんだけど……………。」
俺とトウカはそう言う。
マンドラゴラは悲鳴を上げると、まともに聞いた人は発狂して死ぬと言われてるからな。
俺とトウカの言葉を聞いたアクアは、そんな風に呟く。
なんか、すごい嫌な予感がするな。
すると、カズマが口を開く。
カズマ「お前、これ安楽少女じゃん!何でこんなところに生えてんだよ!?」
アクア「ま、待って!私は行商人のおじさんから買った種を蒔いただけよ!?種を買う時、凄く安くしてくれたし、あんなに優しいおじさんがモンスターの種を売るはずがないわ!」
カズマはそう叫ぶ。
言われてみれば、一度遭遇した安楽少女に似ているな。
カズマの言葉を聞いたアクアはそんな風に叫ぶ。
こいつ……………!
湊翔「おい、アクア!そういうのは、モンスターの種だから、安くして叩き売ったんだよ!」
カズマ「お前はドラゴンの卵と騙されてひよこ買っただけじゃ飽き足らず、今度は役にも立たないモンスター育てようってか!」
アクア「ゼル帝はひよこじゃないって言ってるでしょ!それより、この子をどうすればいいの?流石にモンスターなんて育て始めたら、またダクネスと武劉に怒られるんですけど!」
トウカ「アンタは一度、二人に思い切り怒られなさいよ…………!!」
俺はそう叫ぶ。
そういうのは大体、そういうヤバい代物である可能性が高いからな。
カズマがそう叫ぶ中、アクアはそんな風に狼狽えて、トウカは眉間に指を当てる。
すると。
武劉「朝っぱらから大声を出すな。近所迷惑だろう。」
白夜「全くだよ。近所の迷惑を考えろよ。」
ダクネス「…………貴様、よくもノコノコと帰ってこられたものだな!」
武劉と白夜がそんな風に言う中、ダクネスはそんな風に言う。
3人とも、サンダルを履いて庭に出ようとしていた。
アクア「3人とも!ダクネスと武劉がこっちに来ちゃう!ねえ、あの子を何とかして!」
カズマ「俺としちゃ、その安楽少女が見つかって、殺処分されても別に…………。」
湊翔「お前は一度、あの二人に怒られろ。」
アクアがそんな風に言う中、俺とカズマはそう言う。
ゼウスとかが手を焼くのも無理ないな。
アクア「鬼よ!アンタ達、鬼よ!宿ったばかりの小さな命に、アンタ達は何とも思わないの!?」
湊翔「そう言うなら、その優しさの一部だけでも、アンデッドや悪魔に分けてやれよ。」
カズマ「ああ、くそ!こっちに来る!」
アクアがそう言う中、俺はそう言う。
創世の力なんて物を手に入れたが、価値観はそのままであり、俺はアクアやエリスのように、悪魔やアンデッドには、敵意を向けていないからな。
ダクネス達が来る中、カズマとアクアは口を開く。
カズマ「すまんダクネス、悪かった!昨日はちょっと揶揄いすぎた!この通り謝るから許してくれ!」
アクア「そうよ、ダクネス!昨日の事はもういいじゃない?ほら、私が美味しい朝ご飯を作ってあげるから、早く家に戻りましょう!」
カズマとアクアはそう言って、3人を安楽少女から遠ざけようとする。
それには、ダクネス達も訝しげな表情を浮かべる。
それもそうだ。
こういう時、アクアは積極的に道連れを作ろうとするからな。
ダクネス「……………一体、何をやらかした?」
カズマ「おい、何で俺を見るんだよ!?言っとくけど、俺が何かやった事なんて、数えるほどしかないはずだろ!」
ダクネスがそう聞くと、カズマはそう答える。
武劉がアクアの方を見ると、アクアは反発するように視線を逸らす。
アクアって、誤魔化すのが下手過ぎるよな。
武劉「おい。今度は一体何をした!」
アクア「どうして皆は何か事が起こると、私が犯人だって決めつけるの!?いい加減にそうやって最初から決めつけるのは良くないと思うわ!」
白夜「何回もやらかしてる癖に、どの口が言うんだ。この飲んだくれの駄女神が!」
アクア「わぁぁぁぁん!白夜がいつにも増して、言葉のキレが凄すぎるんですけど!?」
武劉はアクアの態度を見て、何かを確信したのか、そう聞く。
アクアがそう言う中、白夜はそう叫ぶ。
そりゃ、そうなるだろ。
アクアはアクア祭りの時のネズミ講といい、色々とやらかしてるからな。
俺とトウカがアクアを抑えると、ダクネスと武劉の視線は、安楽少女の方に向く。
「「……………おい。」」
アクア「違うの。」
ダクネスと武劉がそう言うと、アクアは否定から入る。
白夜「お前、それは安楽少…………!?」
アクア「違うわ!この子はちょっと成長が早くて可愛く育ったマンドラゴラよ!だって、私はちゃんとマンドラゴラの種を買ったんだもの!」
武劉「何がマンドラゴラだ!安楽少女と大差ない危険な代物じゃないか!」
ダクネス「ええいアクア、そこを退け!せめてもの情けだ!まだ自我を持たないうちに成敗してやる!」
トウカ「こうなるよね…………。」
白夜がそう言いかけると、アクアはそんな風に弁明する。
ていうか、安楽少女とマンドラゴラって、どっちが危険なんだ?
俺がそう考えている中、ダクネスは安楽少女を抜こうとしていた。
アクア「やめて、もうこの子には名前だって付けちゃったもの!マンドラゴラだと思ったから、デッドスクリーム・ブラッディマリーっていう立派な名前を……………!」
カズマ「お前、マンドラゴラでその名前って確信犯じゃねぇーか!大馬鹿野郎!」
湊翔「……………こいつ、ゼウスにもう一回ほど、折檻された方がいいんじゃねぇか?」
トウカ「…………私もそう思う。」
アクアがダクネスに縋りながらそう叫ぶと、カズマもそう叫ぶ。
確信犯じゃねぇか。
ていうより、名前がちょっとかっこいいのが妙に腹立つ。
ゼル帝の本当の名前であるキングスフォード・ゼルトマンという名前といい。
俺とトウカが小声でそう話していると。
朱翼「相変わらずですね…………。」
めぐみん「今度は何をやらかしたんですか?」
めぐみんと朱翼が帰ってきていた。
朱翼は何も変わらなかったが、めぐみんは何故か、全身を泥だらけにして帰ってきていた。
その後、めぐみんが風呂に入り、戻ってきた。
アクア「めぐみんに朱翼ってば、一体どこまで逃げてたの?まさか、夜通しサバイバルするぐらいにあの人をナンパするのが嫌なら、そこまで無理はさせないわよ。だから、もう危ないところに行っちゃダメよ?」
朱翼「私はアクセルの宿屋で泊まってただけですよ。」
めぐみん「確かに、逆ナンが嫌でこの家を脱出したわけですが、泥だらけになって帰って来たのには、訳がありまして。」
アクアが保護者みたいな言い方をすると、朱翼とめぐみんはそう言う。
すると、カズマが口を開く。
カズマ「訳って何だ?経験値が詰まってそうなモンスターを見つけて追いかけたとか、子供に名前を馬鹿にされて追いかけてたとかか?」
めぐみん「私を何だと思ってるんですか!最近では近所の子供達で私の名を馬鹿にする子供はいませんよ。軒並み、痛い目に遭わせてやりましたからね。」
ダクネス「な、なあめぐみん。子供の親御さんから苦情が来ているからな?その度に私や武劉が謝ってるんだぞ?」
武劉「もう勘弁してくれよ。」
カズマがそう聞くと、めぐみんはそう答える。
ダクネスと武劉も苦労してるんだな。
それで、めぐみんの動向について、聞く事になった。
めぐみん「実は昨夜、家から脱出した私は行く所もなく、誰か知り合いの冒険者を見つけたら集ろうかと、街をうろうろしていたのですが……………。なんか、ゆんゆんが必死になって例の試練を一緒に受けてくれる人を募集していたので、この私が再び力を貸す事にしてあげたのですよ。」
カズマ「もうオチが読めたから、続きはいいぞ。」
湊翔「またこのパターンか……………。」
めぐみんがそんな風に言う中、俺とカズマはそう言う。
まあ、ゆんゆんからそのメールを受け取ってたからな。
大体分かっている。
めぐみん曰く、試練所を破壊しためぐみんは参加は禁止されたそうだ。
そこで、夜のうちに試練を受けて、事後承諾させる作戦に出たらしい。
だが、何度も不合格を試練所の魔道具に突きつけられた結果、イラついためぐみんが爆裂魔法を放った。
それで、何とか逃げたものの、爆裂魔法という証拠があり、魔道具の弁償を請求されたらしい。
カズマは、その弁償代をめぐみんに手渡した。
めぐみんは、今度は俺たちに何があったのかを聞いて来た。
それで、庭に出ると。
めぐみん「ど、どうするんですか?これ。」
カズマ「どうするも何もないぞ。こいつについてはお前も同罪だ。」
湊翔「アクアと一緒に始めたからな。」
めぐみん「うっ!?いえしかし、まさかモンスターの種が混ざってるとも思いませんし…………。」
めぐみんは生えたての安楽少女を見てそう反応する。
そりゃあ、モンスターの種が混じってるとは思わないけどな。
すると、アクアが口を開く。
アクア「ねえ、皆。この子はちゃんと真っ直ぐ育てるから。今までの安楽少女が悪い子に育ったのは、きっと生活環境が良くなかったのよ。清い心の者が愛情持って育てれば、正しい子に育つと思うの。」
白夜「清い心?ギャンブルとかしまくってる奴が言うセリフか?」
武劉「そういう問題ではないと思うが。」
ダクネス「武劉の言うとおりだ。安楽少女はモンスター、毎年死者が出ているとても危険な……………。」
アクアはそんな風に言い出す。
白夜のツッコミに関しては、尤もだ。
清い心の持ち主を自称するなら、ギャンブルとかすんなよ。
ダクネスと武劉がそう言うと。
カズマ「そうだ、育てるんだ!でかした、アクア!今日のお前は珍しく賢いぞ!」
アクア「何何?カズマさんたら、どんな素敵な事を考えたの?」
湊翔「一応聞いておくか。」
カズマはそんな風に叫ぶ。
俺とアクアがそう言うと、カズマは口を開く。
カズマ「よーし、いいかアクア。よく聞けよ?まずはこの安楽少女を庭で育てる。次にこいつをどんどん増やす。でだ、安楽少女ってのは、話術で旅人を誑かして安楽死させるモンスターだろ?つまり、攻撃力は持たない訳だ。にも関わらず、こいつらはとても高い経験値を持っている。そこでだ、この畑でこいつらをたくさん増やし、いつでも手軽にレベルアップを…………!」
アクア「アンタに頼った私が馬鹿だったわ!このクソニート!カズマさんてば、人の心はどこに落としてきちゃったの!?流石の私もドン引きよ!」
カズマはそんな風に提案してくる。
それを聞いたアクアは、そんな風に叫んだ。
マジかよ、こいつ…………。
いくらモンスターとはいえ、やり過ぎな気が……………。
カズマ「おい、待てよ。強い紅魔族がモンスターを動けなくしたところを、弱い紅魔族がトドメを刺してレベルを上げるっていう、養殖とかいうレベルアップ方法があるのを聞いたぞ。最初聞いた時は俺も引いたけど、結局それと同じだろ?」
めぐみん「紅魔族に伝わる養殖は、一応、強敵相手に危険を冒しながらモンスターを動けなくしています!こんな反則レベルアップと一緒にしないでください!」
ダクネス「う、うむ…………。効率は良さそうなのだが、これは流石に非人道的では………。」
カズマがそう聞くと、めぐみんとダクネスはそう言う。
見た目が厄介なんだよな…………。
湊翔「俺もちょっと乗り気じゃないな………。」
トウカ「私も…………そんな外道にはなりたくないわ………。」
白夜「だな。」
朱翼「そんな方法を思いつくなんて、どうかしてますよ。」
武劉「効率はいいんだがな…………。」
俺たちも、カズマに引きながらそう言う。
ちょっと、どうかと思うし。
すると、アクアは口を開く。
アクア「ねぇ。この子の事は取り敢えず置いておくとして。」
武劉「おい、置いておくな。もう殺処分するぞ。」
アクア「武劉、ストップ!今はそれよりも、昨夜、ダクネスがナンパしたものの、見事に振られたあの男のことよ。」
ダクネス「あ、アクア…………あまりそう………振られた振られたと言うのはやめて欲しいのだが……………。」
アクアはそんな風に言う。
武劉が安楽少女を引き抜こうとすると、アクアに止められる。
置いておくなよ。
ダクネスがしょぼくれる中、アクアは口を開く。
アクア「エロ担当のダクネスに靡かなかった以上、次の刺客はロリみんにトウカ、朱翼よ。それすらも撥ね除けられたなら、流石に私も認めざるを得ないわね。」
朱翼「何度も言いますけど、絶対に嫌ですよ!」
めぐみん「あと、ロリみん言うのはやめてください!」
トウカ「というより、勿体ぶらずにアクアが行きなさいよ!」
アクアがそう言うと、朱翼達はそう叫ぶ。
確かに、そこまで言うのなら、自分で行けよ。
トウカの言葉を聞いたアクアは、手を打つと。
アクア「言われてみれば、それもそうね。この美しくも麗しいアクアさんの誘いを断れるのなら、その想いは本物だという事。いいわ、ダクネスじゃあ無理だったけれど、この私がちょっと捻ってあげるわよ!」
ダクネス「なあ、自分でこんな事を言うのもなんだが、私は女として、アクアには負けてないと思っているのだが!おいアクア!今、鼻で笑っただろう!ちょっと待ってくれ!アクアの中で私はどれだけ低い位置に置かれているんだ!?」
アクアがそう言うと、ダクネスはそんな風に言う。
すると、アクアはダクネスを鼻で笑い、トウカに慰められていた。
そして、その夜は大勢でゾロゾロ行っても怪しまれるので、俺たちは留守番をする事になった。
そんな中、俺は白夜に呼ばれた。
湊翔「どうしたんだよ、白夜。」
白夜「ちょっと、お前に相談があってな。」
湊翔「俺に?」
俺がそう聞くと、白夜は神妙な面持ちでそう言う。
俺が首を傾げると、白夜は口を開く。
白夜「……………最近、ウィズがデュークの事を気にしたり、朱翼がデュークに逆ナンさせられそうになった時、妙にモヤっとしたんだよな。」
湊翔「……………え?」
白夜がそう言ってきて、俺はそう首を傾げる。
まさかの恋の相談か……………。
白夜「なぁ、どうして何だ?」
湊翔「……………そうだな。それは、白夜が二人の事を気になってるからじゃないのかな?」
白夜「俺が?」
白夜がそう聞いてくると、俺はそう答える。
それは、嫉妬と言うべきだろうな。
湊翔「ああ。特に気にしていないなら、デュークって男に関わっても、何とも思わないはずだろ?まあ、恋愛経験がそんなに無い俺が言うのも何だけどさ…………。白夜は、ウィズと朱翼の事を気になってんじゃ無いのかな?」
白夜「俺が…………あの二人に…………。」
俺はそんな風に言う。
偉そうな事を言える立場じゃ無いのは分かってる。
でも、少しでも支えになってほしいからな。
白夜「……………そういえば、お前は何で、あの3人を受け入れたんだ?」
湊翔「……………そうだな。俺だって、本当は一人だけを選ぶつもりだったんだ。でも、それだと、残り二人は悲しませてしまう事になる。俺は、それが受け入れられなかったんだよな…………。俺の手で不幸にさせるなんて、嫌だから。」
白夜「……………すまん。」
白夜がそう聞いてくると、俺はそう答える。
一人だけを選ぶことも出来ただろう。
ただ、その為に残りの二人を傷つけて、不幸にさせてしまうというのは、とても耐えられなかった。
湊翔「……………結局は俺のエゴだよ。でも、3人はそんな俺を受け入れてくれた。本当に嬉しかったんだ。あんな過去を持っていると知っても、受け入れてくれた3人が。……………まあ、どうするのかは、自分の心に聞いてみたらいいんじゃないか?」
白夜「……………そうだな。ありがとよ。ちょっと考えてくる。」
俺はそう答える。
それを聞いた白夜は、そんな風に言って、部屋を出ていく。
少しでも、支えになれたら良いんだけどな。
これまで、支えてくれたからな。
恩を返していきたいと思ってる。
その翌日。
アクアは朝帰りをしてきた。
ちなみに、白夜は久しぶりにソロ討伐をすると言って、どこかに出かけた。
アクア「あのデュークって人は面白いわね。なかなか楽しませてもらったわ。」
めぐみん「あああ、アクアが、アクアが大人に…………!」
ダクネス「違うぞ、めぐみん。アクアは実は元から大人の女だったんだ…………。」
トウカ「何話してるのよ。」
アクアがそんな風に言うと、めぐみんとダクネスはアクアに畏怖の眼差しを向けて、トウカは呆れていた。
湊翔「で、お前は何をしてたんだ?」
カズマ「なんか、途中から宴会になったから、俺は呆れて帰ったんだけどさ。朝帰りって、お前、まさかだよな…………?大人な関係になった訳じゃ無いんだよな?」
俺がそう聞くと、カズマもそんな風に聞く。
すると。
アクア「今更何言ってんの?私は立派な大人の女性よ?当然、大人な遊びをしてくるに決まってるじゃ無い。お椀の中にサイコロ振って、出た目で勝負するゲームをしたわ。全部負けたけど。」
湊翔「はぁ…………。」
アクアはそんな風に言ってくる。
お椀の中にサイコロを振って、出た目で勝負するゲームって、チンチロじゃねぇか。
要はギャンブルをやったらしい。
確かに、ギャンブルも大人のゲームだけども。
ちなみに、負けた分は面白情報を教えて、相殺したらしいが、全てでは無いらしい。
カズマがお金を渡して、アクアが余計な事を言って、カズマに取り上げられようとしていると。
トウカ「それで?あのデュークって男はどうだったの?話を聞く限り、誠実で一途なイメージからかけ離れたけど。」
アクア「そうね。なんて言うか、本物の女性を見抜く目を持った大人の男って感じだったわ。私ぐらいになると子供みたいなものだけど、お子様なウィズにしたら、少々荷が重いかしら。でもまあ、アンデッドや悪魔嫌いだし、根は悪い人じゃ無いと思うの。」
朱翼「アンデッド嫌いという時点で、おかしく無いですか?」
トウカがそう聞くと、アクアはそう答える。
カズマから話を聞いていたのだが、アンデッドや悪魔が嫌いとの事で、どうもおかしいと思った。
そして、前に予想してたことが的中しようとしていた。
朱翼がそう聞くと、アクアは口を開く。
アクア「大丈夫。ウィズは確かにアンデッドだけど、あの子は清潔にしてるから、腐敗臭だってしないし、そこら辺は小さな事よ!」
ダクネス「何故だろう……………私はアクアが評価しだしたおかげで、途端にあの男が胡散臭く思えてきたのだが……………。」
武劉「心配するな、俺もだ。」
アクアはそんな風に言う。
そう言う話じゃ無いと思うけどな。
ダクネスがそう言うと、武劉も同意する。
というより、俺もそんな風に思ってるから。
その後、アクアはデュークからの言伝を頼まれたそうで、ウィズ魔道具店へ向かうことに。
アクア「セイクリッド・ハイネス・エクソシズム!!」
ゼーレシルト「ピャアアアアアア!!」
バニル「毎度毎度ゼーレシルトを浄化するな!復活させるのにも手間がかかるのだぞ!」
魔道具店に着くと、ゼーレシルト伯爵が店番をしていた。
すると、出会い頭にアクアによって、ゼーレシルトが浄化され、バニルが激昂する。
毎度これでは身が持たないな。
アクア「今はそんなことどうだって良いのよ!それより、ウィズに言伝を預かっているから、あの子を出しなさいな!」
バニル「ウィズなら、店の裏庭で花を相手に語りかけているぞ。正直、見ていて気持ちが悪いので、とっとと決着をつけ、我輩を楽しませて欲しいものだ。」
アクアがそう言うと、バニルはゼーレシルト伯爵を蘇生させながら、店の裏手を指差す。
アクアが店の裏手に向かう中、俺は口を開く。
湊翔「なあ、バニル。あのデュークって奴、お前なら、正体が分かってるだろ?」
バニル「さあ?答えを言ってしまっては興醒めというものだろう!フハハハハハ!我輩は嘘は言わぬ。我輩が以前見通した通り、色ボケ店主があの男の想いに応える時。これ以上にない至上の歓喜と幸福を享受する者が誕生する。それだけは間違いない。悪魔は嘘はつかないのだ。ぜひ楽しみにしておくが良い!」
湊翔「コイツ知ってやがるな。」
俺がそう聞くと、バニルははぐらかしながらそう答える。
まあ、バニルはこういう奴だ。
という事は、魔王軍の関係者である可能性が増したな。
でも、何だってウィズに接触してきたんだ?
俺がそう考えていると、めぐみんはゼーレシルト伯爵と何かを話していた。
すると、多少げんなりとした表情のアクアが帰ってきて、ウィズは物憂げな、それでいてどこか浮かれた表情を浮かべて戻ってきた。
ウィズ「……………私、あれから真剣に考えたんです。デュークさんの想いに応えるべきか、それともここで、バニルさんの願いを叶える為に、店を頑張っていくべきか…………。」
バニル「我輩は何度も言っているが、汝が嫁に行ってくれた方が、店の経営はうまくいくのだが。」
ウィズはそんなふうに言う。
鬱陶しいと言わんがばかりのバニルの言葉をスルーしたウィズは、悲劇のヒロインみたいに大仰な仕草で嘆いた。
ウィズ「ああっ、毎日平和にお店を繁盛させていただけなのに、突然こんな事になるなんて。アクア様、私は一体どうするべきでしょう?バニルさんは確かに私を必要としてくれています。ですが…………。」
バニル「必要なのは汝の魔法で、経営能力ではないのだが。」
ウィズがそう言うと、バニルは再びそう突っ込む。
確かに、白夜に見せない方がいいかもな。
すると、ウィズは再び口を開く。
ウィズ「ですが!デュークさんに至っては、私を必要としているのではなく、私じゃ無いとダメだと。私以外には考えられないと、そこまで言ってくれてるわけで…………。」
カズマ「いや、確かそこまで言ってなかったと思うぞ。」
湊翔「話を聞く限りな。」
ウィズ「言ってくれているわけで!どうすべきでしょうか、アクア様。私はどちらの道を選ぶべきなのでしょうか…………?」
ウィズはガラスにペタリと手を置くと、そんな風に言う。
ウィズは、俺とカズマのツッコミすらも受け流す。
重症だな。
俺はバニルに話しかける。
湊翔「なあ、ウィズはどうしたんだよ?」
カズマ「変なもんを食わせてないだろうな?」
バニル「心外な事を言うな。我輩とて、今の店主のあまりの惨状に心配になり、ここ最近は多少マシな物を食わせているのだ。そうしたら…………何故かあの疾患店主は、我輩がウィズをこの店に引き止める為、いつもより優しくしだしたと、妙な勘違いを始めてな。」
俺がそう聞くと、バニルはそんな風に答える。
その様子から察するに、かなり苦労したんだな。
武劉「なるほどな。それで、放っておいたら、この有様というわけか。」
バニル「そういう事だ。ああしていると、おかしな物を仕入れてくる事だけは無くなったので、商売の邪魔にはならないのだが…………。我々悪魔にとって、精神攻撃という物は、下手な魔法よりも効くのでなぁ…………。」
朱翼「苦労してるんですね。」
武劉がそう言うと、バニルはそんな風に言う。
朱翼がそう言う中、ウィズは構って欲しそうな感じで、バニルの事をチラチラと見ていた。
すると、バニルは大きなため息を吐き、口を開く。
バニル「発情店主よ。呼び出しの手紙を受け取ったのだろう?とっとと行ってケリを付けて来い。そしていつも通りの汝に戻り、我輩との契約を果たすがいいわ!」
ウィズ「……………それってつまり、赤字ばかり出すこの私に、店主を続けて欲しいって言ってるんですか?」
バニル「店主を我輩にやらせろと言っても、汝は聞こうとはしないだろうに。」
バニルはそんな風に言う。
それを聞いたウィズがそう聞くと、バニルはそう言う。
口元を歪ませながら、嫌そうに溢しているが、バニルの意思表示だろう。
ウィズ「バニルさんはツンデレですねぇ。」
バニル「性別のない悪魔にツンデレもクソもあるものか。気持ちの悪い事を言っていないで、いいからとっとと行って来い。我輩は見通す悪魔。汝がどんな決断を下す気なのか、そのぐらいは長い付き合いから力を使わずとも予測が出来る。多少は苦戦するだろうが、心配するな。汝ならきっと勝てる。我輩は今から商品の仕入れに行ってくるが……………。」
ウィズがそう言うと、バニルはそんな風に言う。
まあ、どうなるのかなんて、結果は分かっているんだろうが。
すると、捻くれた見通す悪魔は口を開く。
バニル「それが終わったら、必ず現場に駆けつけよう。我輩は汝を気に入っているのだ。今日はせいぜい楽しませてもらおうか。それで、ここ最近の大赤字はチャラにしてやろう。汝は、かつて人の身でありながらも、この我輩と対等に渡り合った事のある人間だ。それが、今更あの程度の男に負けるはずがあるまいて。…………さあ、行ってくるがいい!」
ウィズ「はいっ!」
バニルは不敵に笑いながら、そんな風に言う。
それを聞いたウィズは、そう答える。
一応、連絡しておくか。
俺はそう思い、スパイダーフォンを取り出して、素早くメールを打つ。
その頃、白夜はゴブリンの一団と初心者殺しやら、中級者殺しを返り討ちにしていた。
すると、俺からのメールが届く。
そこには、ウィズがデュークと決着をつけるという事と、座標が書かれていた。
白夜「…………俺も、覚悟を決めるか。」
白夜はそう呟いた。
果たして、その意味とは。
いよいよ、ウィズにとっての運命の時が近づいていた。
今回はここまでです。
今回は、ウィズがデュークの元に向かう直前です。
白夜も、湊翔に相談をする事に。
湊翔なりの答えを出して、白夜はソロ討伐に向かいました。
安楽少女を庭に生やすなど、アクアは相変わらずであった。
次回、デュークとの戦いです。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
このすばとしての物語もクライマックスに向かってきていますね。
今後の展開などでリクエストがあれば、活動報告から承っております。