この白狐の戦士に祝福を   作:仮面大佐

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第19話 孤高の紅魔族との再会

 俺たちの屋敷の物は、殆ど差し押さえに遭ってしまった。

 その為、冬を過ごすのが厳しくなってしまったのだ。

 

アクア「ぶへっくしょい!うぅ〜寒いよ……。あっためてよ…………誰か私を温めてよ!」

カズマ「………ァァァァァァ!!」

アクア「!いきなりどうしたのよ!?」

カズマ「分からないのか!?ダクネスがあの領主の元に行ったきり帰ってこないんだぞ!もしかしたら今頃は!」

「「アァァァァァ!!」」

 

 カズマとアクアは、そんな風に叫んでいた。

 まあ、ダクネスに関しては、大丈夫な気がするが。

 あのドMクルセイダーだぞ?

 ご褒美にしかならないだろ。

 

湊翔「……………あの領主は、そんなにヤバいのか?」

トウカ「ああ。何せ、色々と良くない噂が流れてるのに、裁判になったら、アルダープ側が勝つんだよ。」

白夜「……………あの領主が、裁判長にああ言っただけで、死刑判決にするというのも、随分と怪しいよな。」

 

 確かに。

 いくら領主といっても、判決を勝手に捻じ曲げる事は出来ない筈。

 どうなってんだ…………?

 すると、トウカが俺を見る。

 

湊翔「えっ?」

トウカ「どうしたんだ?」

湊翔「い、いや!何でもない!」

 

 あの裁判の時から、トウカを妙に意識してしまう。

 徐々に存在が大きくなっていく気がする。

 すると。

 

???「なーお。」

 

 そんな猫の鳴き声が聞こえてきて、俺たちは鳴き声がした方を見る。

 すると、めぐみんが一匹の猫を抱えていた。

 

カズマ「めぐみん?何だその猫?」

めぐみん「迷惑はかけないと思うのですが。」

白夜「飼いたいって事か?」

トウカ「それにしても可愛いわね。」

湊翔「そう言う癒しは必要かもな。」

めぐみん「ダメでしょうか?」

 

 俺達はめぐみんが連れてきた猫の顎を掻いてやると気持ちよさそうに目を細めていた。

 なぜかアクアが触ろうとすると、引っ掻いたけど。

 

アクア「ちょっ!なんで私には爪を立てるの!?なんてことかしら。この太々しい態度と言い、漆黒の毛皮といい、何か邪悪さを感じるわ。ねぇ、この邪神の名前はなんて言うの?」

めぐみん「ちょむすけです。」

「「「「「…………。」」」」」

カズマ「……………今、なんて?」

めぐみん「ちょむすけです。」

「「「「「…………。」」」」」

 

 まあ、紅魔族のネーミングセンスの無さは今更だしな。

 めぐみんが口を開いた。

 

めぐみん「ところで、カズマとアクアの2人は何を騒いんでいたんですか?」

カズマ「お前、冷静だな。ダクネスは今頃…………!」

めぐみん「確かにあの領主の良くない噂は聞きますが、あのダクネスが流石に……。」

カズマ「これだからお子様は!まだあの変態の事が分かってないのかよ!『くっ!私の身体は好きに出来ても心まで自由に出来ると思うなよ!』って言うに決まってるぞ。」

 

 めぐみんも事態に気付いたのか、目を見開く。

 すると、ちょむすけを落としてしまう。

 

めぐみん「ど、どどどうしましょう!カズマ!」

カズマ「もう遅い。いいか?ダクネスが帰ってきても普段と変わらず優しく接してやるんだぞ?」

アクア「分かったわ!大人の階段を先に登ったダクネスには何も聞かないのね!」

めぐみん「ダクネスがぁ……ダクネスがぁ。」

湊翔「ダクネスは大丈夫だよな…………?」

トウカ「ダクネスなら、大丈夫だろ。……………多分。」

白夜「多分って言ってるじゃねぇか。」

 

 俺たちはそう話す。

 すると。

 

セナ「サトウカズマ!桐ヶ谷湊翔!両方ともにいるかーー!?」

「「「「「「ん?」」」」」」

 

 そう叫びながら、セナさんが入って来る。

 俺たちは、アクセル近郊の草原へと来ていた。

 その理由は…………。

 

アクア「イヤァァァァァ!!」

 

 アクアはそう叫びながら、ジャイアントトードに追われていた。

 何故かと言うと、めぐみんが毎日欠かさずに爆裂魔法を連発してしまい、カエルが冬眠から目覚めてしまったそうだ。

 俺たちは、その後始末に来た。

 ちなみに、龍とアフロディテは、別件で別の場所に居るらしい。

 

アクア「カエルに食べられるのはもうイヤァァァァァ!!!」

カズマ「カエルがこの寒さで動きが鈍くならないなんて逞しすぎやしないか?」

めぐみん「私たちも負けてはられませんよ。この厳しい世界を生き抜くのです。」

湊翔「そうだな。生き抜かないといけないしな。」

トウカ「だな!」

白夜「おう!」

 

 現在、俺たちはそれぞれの武器を持っている。

 俺はマグナムシューター40X、カズマはニンジャデュアラー、めぐみんはビートアックス、トウカはソードエクスカリバーを持っている。

 白夜は、素手だった。

 だが、白夜は素手でもジャイアントトードを倒していた。

 素手でジャイアントトードを倒すなんて、ある意味才能だよな。

 ジャイアントトードは、俺たちより、アクアの方に集中していた。

 俺は狙撃スキルを使って、ジャイアントトードを倒していく。

 カズマはニンジャデュアラーを手裏剣の如く投擲して、攻撃する。

 めぐみんは爆裂魔法を撃った後、ビートアックスのエレメント攻撃で、ジャイアントトードを倒していく。

 トウカはソードエクスカリバーで、ジャイアントトードを斬っていく。

 しばらくすると、ジャイアントトードは粗方倒された。

 

湊翔「ふぅ〜。こんなもんか。」

カズマ「そうだな。」

アクア「ちょっと!今、私のチャームポイントに弾丸が掠めたんだけど!!」

トウカ「食われなかっただけましだろ。」

めぐみん「そうですよ。」

白夜「これで終わりか?」

セナ「みなさん、お見事です。」

 

 俺たちは、そんな風に話す。

 すると、めぐみんが叫ぶ。

 

めぐみん「待って下さい!カエルが!!」

「「「「「「え!?」」」」」」

 

 なんと、カエルが湧いて来た。

 そしてカエルの舌がアクアとセナとめぐみんを捕らえて、飲み込む。

 

アクア「いやあああああああ!!」

めぐみん「あああああああああ!!」

セナ「きゃあああああああ!!」

 

 三人はそんな風に叫びながら飲み込まれた。

 

カズマ「アクア!めぐみん!!」

湊翔「やっべ!」

トウカ「早く助けるぞ!」

白夜「おう!」

 

 俺たちは、ジャイアントトードに食われた人たちを助けようとする。

 だが、他のジャイアントトードも湧いてきて、そちらの対処もする事に。

 早くしないと、食われてしまう。

 すると。

 

???「ライト・オブ・セイバー!!」

 

 光の一閃がカエルを切り裂き、飲み込まれた面子が全員吐き出された。

 俺たちが見た先には、1人の女の子がいた。

 しかも、見覚えがある。

 

ゆんゆん「ふぅ…………。」

 

 そう、ゆんゆんだった。

 アクアとセナさんは、カエルに食われたのがショックだったのか、落ち込んでいた。

 

カズマ「誰だか知らないけど助かった。」

白夜「ありがとうな。」

ゆんゆん「いや、そんな、ライバルがカエルにやられたなんて見てられないし。」

「「ライバル?」」

 

 ライバルなんだ。

 その言葉を聞いて、カズマと白夜は首を傾げる。

 めぐみんは、粘液に濡れながらも、立ち上がる。

 すると、ゆんゆんはめぐみんに指を指す。

 

ゆんゆん「ひ、久しぶりね!めぐみん!今日こそ長きに渡った決着をつけるわよ!!」

めぐみん「…………どちら様でしょう?」

ゆんゆん「えぇェェッ!?」

めぐみん「大体名乗らないなんておかしいじゃないですか。これは以前カズマと湊翔と白夜が言ってたオレオレ何とかって奴じゃないですか?」

 

 十中八九、めぐみんの関係者だろうな。

 ていうか、やめてやれよ。

 ゆんゆんが涙目になってるじゃん。

 ゆんゆんは顔を赤くして、涙目の状態で俺の事を見てくる。

 流石に可哀想なので、俺は助け舟を出す事にした。

 

湊翔「……………彼女はゆんゆん。紅魔族のアークウィザードだ。」

トウカ「何で彼女の事を知ってるんだ?」

湊翔「一度、俺とクリスと一緒にクエストを受けたからな。」

トウカ「なるほどな。」

めぐみん「そうでした。我が自称ライバルのゆんゆんではないですか。」

ゆんゆん「じ、自称じゃないから!ちゃんとライバルだから!あと、ちゃんと覚えてるじゃない!」

 

 トウカは俺にそう聞いてきて、俺の言葉に納得していた。

 それを聞いたカズマが口を開く。

 

カズマ「なるほどな。俺はこいつの仲間のカズマだ。よろしくなゆんゆん。」

ゆんゆん「何で驚かないんですか?」

カズマ「世の中にはな、おかしな名前なのに頭のおかしい爆裂娘なんて不名誉な称号を持ってるやつもいるんだよ。」

めぐみん「それって私の事ですか!?私の知らない間にそれが定着しているのですか!?」

 

 まあ、ベルディアがそう言っちゃったからな。

 定着しても仕方ないだろ。

 まあ、本人の前で言うと、爆裂魔法を撃たれかねないと言う事で、黙っているが。

 すると、ゆんゆんが感心した様に言ってくる。

 

ゆんゆん「さ、さすがめぐみんね。いい仲間を見つけたようね。それでこそ私のライバル!私はあなたに勝って、紅魔族1の座を手に入れる!さぁ、めぐみん!私と勝負しなさい!」

めぐみん「嫌ですよ。寒いですし。」

ゆんゆん「え!?なんで?」

 

 ゆんゆんの勝負の誘いを、めぐみんはバッサリと断る。

 ゆんゆんは、勝負を受けてくれない事に、慌てふためいた。

 すると、セナさんが話しかける。

 

セナ「本日はありがとうございました。それでは、私はこれで。」

白夜「じゃあ、俺はギルドに報告と、ジャイアントトードの肉の回収を頼んでくるわ。」

アクア「私はさっさと風呂に入ってこようかしら。」

 

 そう言って、セナさん、白夜、アクアはその場から去っていく。

 この状況をどうしろと。

 俺、トウカ、カズマが呆然としていると、めぐみんはため息を吐きながら口を開く。

 

めぐみん「ハァ…………。しょうがないですね。その代わり、勝負の内容は私が指定しますよ。体術勝負でどうですか?」

ゆんゆん「え?いいの?学園ではろくに体術の授業に出なかっためぐみんが?昼休みの時間になるとこれ見よがしに私の前をチョロチョロして、勝負をさせて私からお弁当を巻き上げていたあなたが?」

「「「……………………。」」」

めぐみん「………………。」

 

 ゆんゆんの言葉に、俺たちは、めぐみんをジーッと見る。

 そんな事してたのか?

 

カズマ「お前……………。」

めぐみん「私だって、死活問題だったんです。家庭の事情で、彼女の弁当が生命線だったのです。」

トウカ「えっ……………?」

湊翔「生命線?」

 

 何言ってんだ。

 そういえば、以前、めぐみんの実家は貧しく、ちょくちょく仕送りをしてるって言ってたな。

 

ゆんゆん「……………分かったわ。体術勝負でいいわ!」

カズマ「え?いいの?」

めぐみん「よろしい。では、何処からでもかかって来なさい!」

 

 そう言って、めぐみんとゆんゆんは構える。

 体格的にゆんゆんに軍配が上がるな。

 だが、めぐみんは、仮面ライダーナーゴに変身するようになってからは、近接戦闘はある程度、白夜に教わっているそうだ。

 ビートアックスも普通に使えているしな。

 すると、ゆんゆんが何かに気づいたのか、目を見開いて、掠れ声を出す。

 

ゆんゆん「……………め、めぐみん。その………貴女の体が、テラテラしてるままなんだけど……………。」

めぐみん「そうですよ。この全身ぬっちょりは、全てカエルのお腹の中の分泌物です。さあ、近づいて来た瞬間、思いっきり抱きついて、そのまま寝業に持ち込んであげます。」

 

 えげつねぇ…………。

 一応は、アクアによって無臭化されているのだが、ヌメヌメするのは間違いない。

 めぐみんは、目を紅く光らせてゆんゆんに近づいていき、ゆんゆんは同じタイミングで下がる。

 

ゆんゆん「う、嘘でしょ?私の戦意を削いで降参させようって作戦なのよね?でしょう?」

 

 ゆんゆんは、虚勢を張りながら後ずさる。

 その言葉にめぐみんは。

 

めぐみん「…………私たち、友達ですよね。友人とは、苦難を分かち合う物だと思います。」

 

 めぐみんは、そんな事をよくもまあ良い笑顔で言う。

 そして、どうなったのかと言うと。

 

ゆんゆん「いやああああああああああ!!」

めぐみん「ヌーン!ヌーン!」

 

 ゆんゆんは悲鳴を上げながら逃走して、めぐみんは変な事を言いながら追いかけていく。

 

ゆんゆん「降参!降参するから、こっち来ないでぇぇぇっ!!」

 

 ゆんゆんはそう叫ぶが、めぐみんに問答無用に抱きつかれる。

 それを、俺たちは呆然としながら見ていた。

 

ゆんゆん「降参!降参したのに!!」

めぐみん「今日も勝ち!!」

 

 ゆんゆんの言葉に、めぐみんはドヤ顔でそう言う。

 その後、めぐみんは、ゆんゆんからマナタイトを掻っ払った。

 一応、ゆんゆんに声をかけとく。

 

湊翔「その……………大丈夫か?」

ゆんゆん「はい……………。」

 

 流石に、可哀想だからな。

 その後、ゆんゆんは若干顔を赤くしながら帰っていった。

 何で顔を赤くしてんだろ?

 俺は首を傾げつつ、屋敷へと戻る事にする。

 俺、トウカ、カズマ、めぐみんが、アクセルの街を歩いていると。

 

めぐみん「カズマ、湊翔。戦利品です。借金返済の足しにして下さい。」

湊翔「良いのか?」

めぐみん「…………フッ!私の様な規格外な大魔導師には、不要な物なのです。」

カズマ「へいへい……………。」

 

 めぐみんはそうドヤ顔で言う。

 カズマは、そう言いながらマナタイトを受け取る。

 すると、ため息を吐く。

 

カズマ「ハァァ……………。」

めぐみん「ん?何です?」

カズマ「……………さっきの子(ゆんゆん)より、めぐみんの方が可愛いなって。」

 

 カズマはそう言う。

 揶揄ったのだろうな。

 すると、それを聞いためぐみんは。

 

めぐみん「…………それはどうもありがとう!お礼にギュッとハグをしてあげましょう!」

カズマ「ちょっ!こっち来んな!!」

めぐみん「もっと喜んでも良いですよ。ヌルヌルの女の子に抱きつかれるだなんて、場合によっては、お金を払う人だって居ますよ!」

カズマ「うぉぉぉ!カエル臭い!見てないで助けてくれよ!」

湊翔「……………悪い。がんばれ。」

トウカ「というより、こっちに来んな。」

カズマ「酷っ!?」

 

 助けを求めたカズマに、俺とトウカはそう言う。

 その後、無事に屋敷に着いた。

 

カズマ「うう…………こんなに嬉しくない抱擁は初めてだ…………。」

湊翔「まあ…………先に風呂に入れ。俺たちはあとで入るから。」

トウカ「そうだな。」

 

 そう言って、俺たちはリビングへと向かう。

 すると、廊下の方から、声がしてくる。

 

カズマ「……………何だよ?」

めぐみん「レディーファーストって、知ってますか?」

カズマ「俺は真の男女平等を願う男。都合の良い時だけ女の権利を主張し、都合の悪い時は男のくせにとか言う輩は許さない人間だ。」

 

 2人のそんな会話の直後に、風呂場へと駆け出していく音が聞こえた。

 まあ、どっちかが折れるだろ。

 というより、デザイア神殿内にも風呂はあるんだけどな。

 まあ良いか。

 すると、トウカが俺を見てくる。

 

トウカ「湊翔。」

湊翔「ん?」

トウカ「大丈夫なのか?」

湊翔「何が?」

トウカ「ほら、裁判の時に、死刑判決になりそうになった時に、様子がおかしかっただろ?」

湊翔「ああ………………。」

 

 あの事か。

 まあ、色々あったからな。

 

湊翔「……………大丈夫だ、気にすんな。」

トウカ「そうか……………。」

 

 トウカは、若干納得してなさそうにするが、あっさり引き下がった。

 俺としては、あんな過去はもう思い出したくないがな。

 しばらくすると、アクアが戻ってきた。

 白夜も戻ってきた。

 

湊翔「アクア、どこ行ってたんだ?」

アクア「デザイア神殿内のお風呂よ。そっちの方が早いしね。」

トウカ「なるほどな……………。」

白夜「まあ、今日の夕食分くらいは、何とか集まったぜ。」

 

 そんな風に話す。

 その後、カズマ達とも合流して、夕食を食べに行った。

 だが、カズマとめぐみんが、ギクシャクしていた。

 何があったんだ?

 食べ終わった後、俺たちは屋敷に戻った。

 そういや、風呂入ってないな。

 俺は風呂場へと向かおうとする。

 すると、トウカが服の裾を掴む。

 

湊翔「トウカ?」

トウカ「一緒に風呂に入らないか?」

 

 その言葉に、俺の思考回路は停止した。

 なんとか再生させて、理由を聞く。

 

湊翔「な、何で……………?

トウカ「裁判の時に、心配かけたからだ。」

湊翔「い、良いのか…………?」

トウカ「おい、乙女にこれ以上言わせるのか?」

湊翔「わ、分かった……………。」

 

 そんなこんなで、風呂に一緒に入る事になったのだった。

 まあ、トウカって、ダクネス以上に男勝りな性格で、女性っぽい言葉をあんまり使わないけど、女性だしな。

 流石に、トウカに先に身体を洗わせて、その後、俺が身体を洗う事にした。

 そして、お互いにバスタオルを巻いて、一緒の湯船に入った。

 お互いに無言になった。

 

トウカside

 

 湊翔と一緒に風呂に入る事になったが、凄くドキドキしている。

 まさか、女神である私が、湊翔と一緒に風呂に入る事になるとは…………。

 まあ、今は女神アテナではなく、トウカという1人の女としてだけどな。

 

トウカ(それにしても……………私は、湊翔の事が好きなんだな…………。)

 

 そう思った。

 最初は、少し放っておけなさそうな人という印象だった。

 経歴を見ても、湊翔の事が放っておけない様な物だったからな。

 だが、一緒にパーティーを組む中で、湊翔なりの優しさ、時折見せる大胆さに惹かれていったんだろうな。

 だからこそ、裁判で見せたあんな弱気の湊翔を見たくないが故に、引っ叩いたのだ。

 湊翔の過去を知っているからこそ、あんな過去にまた囚われて欲しくない。

 この世界は、前の世界とは違うのだから。

 

トウカ(でも…………あのゆんゆんも、私と同じ様に、湊翔の事が好きなんだろうな。)

 

 そう。

 ゆんゆんが湊翔を見る目は、恋する女の子の目だった。

 

トウカ(……………私は湊翔の事が好き。でも、ゆんゆんと違って、女神である私は、湊翔を独占する訳にもいかない。どうしたもんかな…………。)

 

 そう考える。

 それにしても、湊翔の事を好きになる人が、増えないよな?

 まあ、いざとなったら……………。

 そんな風に考える。

 

湊翔side

 

 俺は、正直混乱していた。

 何せ、トウカがいきなり風呂に一緒に入ろうと言ってきたのだ。

 正直、これで変態だと思われたくない。

 でも、俺も1人の男だ。

 ほぼ何も着ていない仲間の素肌を見て、興奮しないはずがない。

 それにしても、ここ最近、トウカの存在感が強まっている。

 理由は、間違いなくアレだろう。

 俺がかつての過去に囚われている中、俺の頬を叩いて、目を覚させてくれた事だ。

 その時から、トウカの存在感が強まった。

 それに、やっぱり、トウカは既視感があるんだよな。

 女神アテナと気配が似ているのだ。

 

湊翔(……………まさかな。)

 

 流石に、それは無いよな。

 気のせいだな。

 すると、トウカが声をかけてくる。

 

トウカ「湊翔。」

湊翔「な、何だ?」

トウカ「…………どうなんだ?」

湊翔「な、何が…………?」

トウカ「…………私の肌。」

湊翔「なんと言うか、綺麗です。」

トウカ「……………ありがとうな。」

 

 トウカがそう聞いてきたので、俺はそう答えると、トウカは顔を赤く染める。

 待ってくれ。

 彼女居ない歴=年齢の俺には、刺激が強すぎる!

 

湊翔「な、なぁ、そろそろ上がるか?」

トウカ「ま、まあ、そうだな。上がろう。」

 

 そう言って、トウカは脱衣所へと向かう。

 すると、途中で立ち止まり、俺の方を見る。

 

トウカ「湊翔。」

湊翔「何だ?」

トウカ「…………リビングでの話の件だけど、話したくない事があるのなら、無理に話さなくて良いぞ。でも、私は湊翔の味方だからな。」

湊翔「トウカ……………ありがとう。」

トウカ「ああ。それじゃあ、お休み。」

 

 トウカはそう言って、脱衣所の中に入り、しばらくして、俺も服を着て、部屋に戻る。

 いずれ、過去は話すかもな。

 まあ、どうなるのかは、全く分からないのだがな。

 

翌日

 

 俺達はめぐみんが昨日、ゆんゆんからパクったマナタイトを持ってウィズの店に向かって行った。

 

カズマ「ちわーす。これを買い取って欲しいんだが……。」

 

 そこにはウィズだけでなく、ゆんゆんも居た。

 

めぐみん「あ……………。」

ウィズ「実は……。」

ゆんゆん「わ、我が名はゆんゆん!何という偶然こんな所で鉢合わせるなんてやはり終生のライバル!」

ウィズ「皆さんのことを聞いてずっと待ってらしたんですよ。」

ゆんゆん「な、何を言ってるんですか店主さん!わ、私はただマジックアイテムを買いに来ただけで!あ!これ下さい!」

 

 事情を聞いた。

 その時アクアは、クッキーとお茶をウィズに出してもらっていた。

 

カズマ「なるほどな。」

湊翔「そんな事せずに家に来ればよかったのにな。」

ゆんゆん「そ、そんないきなり人様の家に行くなんて…………。」

めぐみん「煮え切らない子ですね。これだからボッチは。」

「「「「え?」」」」

アクア「そうなの?」

めぐみん「ゆんゆんは、紅魔族の中でも変わった子で友達が1人も居ないのですよ。周囲をこれ見よがしにウロチョロしていると喜んで勝負を挑んで来ました。」

 

 おい、やめてやれよ。

 まあ、ゆんゆんって、紅魔族にしては、常識的だしな。

 周囲から浮いたんだろうな。

 

ゆんゆん「そんな事無いわよ。友達くらいいるもん!」

めぐみん「今、聞き捨てならない事が。ゆんゆんに友達?」

ゆんゆん「居るわよ友達くらい!ふにふらさんやどどんこさんが私達友達よねって言って、奢ったり。」

カズマ「おいやめろ!」

湊翔「それ以上は言うな!!」

白夜「これ以上、地雷を踏むんじゃねぇ!」

 

 ああ、奢らされたんだ。

 一体過去に何が………!?

 

めぐみん「ところで、私としては魔法の勝負は避けたい所ですが。」

ゆんゆん「いい加減に他の魔法を覚えなさいよね。スキルポイントも貯まったでしょう?」

めぐみん「貯まりましたよ。漏れなく全て、《爆裂魔法威力上昇》や《高速詠唱》に注ぎ込み………。」

ゆんゆん「バカっ!どうしてそんなに爆裂魔法に拘るのよ!」

 

 めぐみんの言葉に、ゆんゆんはそう言う。

 まあ、めぐみんの場合は、仮面ライダーになれるしな。

 大丈夫じゃね?

 その時、アクアが何かを見つけたようだ。

 

アクア「ねぇねぇ、これなんてどうかしら?仲良くなる水晶!」

ウィズ「あぁ、それは、熟練した魔法使いじゃないと使えないんですよ。」

ゆんゆん「それを使えば仲良くなれるの?」

ウィズ「えぇ、まぁ。そうだ!折角ですし試してみませんか?」

 

 なんか、胡散臭いな。

 ウィズの店の商品だから、致命的な欠陥がありそうだが。

 同じく胡散臭い物だと気付いたのか、めぐみんは呆れながら言う。

 

めぐみん「別に仲良くなる必要は無いです。」

ゆんゆん「怖気ついたの?めぐみん?」

めぐみん「アァン!?」

ゆんゆん「これはどちらかが使えた方が強い魔法使いである証明!勝負よめぐみん!」

 

 と、本質の所は、ゆんゆんもめぐみんも同じように感じた。

 

めぐみん「そこまで言うのなら、見せてあげましょう。真の大魔法使いの力を!」

ゆんゆん「今日こそ決着をつけるわよ!」

 

 そう言って二人は水晶に魔力を流し始める。

 ゆんゆんも、一緒にクエストに行った時に、中々の実力者だと感じていたが、間違いないそうだな。

 すると、周囲が暗くなって何かが映し出された。

 

ウィズ「こんなに投影されたのは初めてです!すごいです2人共!」

カズマ「何だ…………あれ!?」

湊翔「………………え?」

 

 俺たちは唖然となった。

 とんでも無いものが映ったのだ。

 まず一つは、めぐみんがどこかに忍び込んで、パンの耳を必死に集めている映像。

 

めぐみん「あぁぁぁぁぁ…………!!」

カズマ「あれ………パンの耳集めてるのか?」

トウカ「おい、アレって…………。」

 

 トウカが指差した先には、ゆんゆんの物が映っていた。

 大きなケーキと沢山の料理が映っている。

 しかし、その場にいるのはゆんゆんだけである。

 

ゆんゆん「あぁぁぁぁぁ…………!!」

アクア「1人…………なの?」

 

 え、おい待てよ。

 これって、まさか…………!

 そう思う中、映像はどんどんと映っていく。

 農家の畑から野菜を盗み、おそらくめぐみんの妹であろう小さな女の子と一緒に、野菜に齧り付いている映像。

 ゆんゆんが1人チェスに興じている映像。

 めぐみんと、めぐみんの妹が川に行き、ザリガニに似た奴を捕まえて、寸胴鍋で茹でて、齧り付く映像。

 ゆんゆんが動物を撫でようとすると逃げられて、花の匂いを嗅ごうとしたら、花にも逃げられる映像。

 めぐみんが、今度はセミを捕まえ、焼いて妹と共に食べる映像。

 ゆんゆんが、『もう、悪魔が友達でも良いかな…………。』と死んだ目で言いながら、悪魔を召喚しようとしている映像。

 そう。

 映し出されたのは、めぐみんとゆんゆんの黒歴史と言える思い出の数々。

 

カズマ「友達に奢る為に…………アルバイトするのか?」

アクア「えっ?ちょっと待って。虫…………食べてる?」

湊翔「ザリガニ茹でてんぞ……………。」

トウカ「悪魔が友達って……………拗らせすぎじゃないか?」

白夜「……………いくらなんでも、貧乏すぎねぇか……………?」

ウィズ「………………。」

めぐみん、ゆんゆん「アァァァァァ!!」

 

 とんでも無い黒歴史に、俺たちがドン引きする中、めぐみんとゆんゆんは、体をくの字にしながら叫ぶ。

 

めぐみん「何なんですか、これは!?」

ゆんゆん「店主さん!仲良くなれる水晶だって言いましたよね!?」

ウィズ「これは、お互いの恥ずかしい過去を晒しあって友情や愛情をさらに深められる大変徳なアイ…………テム…………です。」

白夜「いや、やばいだろ、これ…………。」

 

 白夜の言う通りだ。

 絶対にやばいって、これ!

 魔力を注いだら、黒歴史を強制的に公開するなんて!

 誰だよ、こんな魔道具を作ったのは!!

 傍迷惑じゃねぇか!!

 

ゆんゆん「め、めぐみん!これで私達仲良くなれるの!?」

めぐみん「おん、ドリャァァァ!!」

「「「「「アァァァァァ!!」」」」」

 

 めぐみんが耐え切れなくなったのか、水晶を地面に叩きつけて、割った。

 

ウィズ「これはカズマさんにつけときますね。」

カズマ「待て。壊したのはめぐみんだろ。」

めぐみん「その水晶を使おうと言い出したのはゆんゆんです。ゆんゆんが払います。」

ゆんゆん「勝負が、折角の勝負が…………。」

 

 カズマとめぐみんで、お金のなすりつけあいをして、ゆんゆんは呆然としながらそう呟く。

 

めぐみん「いつまでメソメソしてるのですか?」

ゆんゆん「だってこれじゃどっちが強いのか分かんないじゃない。ねぇ引き分けでいい?」

めぐみん「構いませんよ。もう、勝負事で熱くなるほど子供じゃないので。」

ゆんゆん「そういえば紅魔の里で発育勝負なんてやったわね!またあの勝負をしてもいいわよ!」

 

 一体、何種類勝負をしたんだ?

 ていうか、発育勝負って、絶対にめぐみんが負ける奴じゃん。

 ゆんゆんがそう言う中、めぐみんは余裕そうに首を振る。

 

めぐみん「子供じゃないとはそう意味での子供じゃないという事です。だって私は……。ここにいるカズマとお風呂に入る仲ですから。」

カズマ「ちょっ!?」

ウィズ「まぁ!?」

ゆんゆん「え。えぇェェェェ!?」

 

 めぐみんのその言葉に、ウィズはそう反応して、ゆんゆんは叫ぶ。

 ていうか、やっぱり一緒に入ったんだ。

 まあ、俺もトウカと一緒に入った訳だが。

 

カズマ「お前ふざけんな!この口か!この口がまた俺の悪評を広めるのか!?」

 

 カズマはそう言いながら、めぐみんの口を引っ張る。

 すると、ゆんゆんは震えて。

 

ゆんゆん「き、きょ、今日の所は私の負けで良いから!えぇぇん!!」

 

 ゆんゆんは泣きながら、そう叫んで、店を出ていく。

 

ウィズ「またどうぞ。」

アクア「賑やかな子ねぇ。」

カズマ「お前もな。」

湊翔「ホントだよ。」

白夜「全くだ。」

トウカ「めぐみんも、随分と大胆だな。」

 

 めぐみんは顔を赤くして、メモ帳に丸印を書いていた。

 

めぐみん「今日も勝ち!」

 

ゆんゆんside

 

 そ、そんな!

 まさか、めぐみんがそんな事を…………!?

 私は泣きながら、アクセルの路地裏へと行く。

 で、でも…………私にも、そんな人が出来るのかな…………。

 すると、湊翔さんの事が浮かぶ。

 あの日からずっと、湊翔さんの事が気になってしまう。

 すると。

 

???「おめでとうございます!」

ゆんゆん「えっ!?」

 

 そんな風に声をかけられて、私は振り向く。

 そこには、1人の女性が。

 

ゆんゆん「あの……………あなたは…………?」

ツムリ「私はツムリと申します。厳正なる審査の結果、ゆんゆんさん。貴方は選ばれました。今日から仮面ライダーです。」

 

 仮面…………ライダー…………?

 それって確か、湊翔さんがなってたよね…………?

 確か、仮面ライダーギーツって…………。

 私も仮面ライダーになれたら、湊翔さんと一緒に戦えるんじゃ…………?

 私は、その人から湊翔さんが言っていた、デザイアドライバーというのを受け取る。

 あと、もう一つあって、何か、鳥の頭が描いてある丸いものも受け取った。

 

ゆんゆん「私も、仮面ライダーか…………。」

 

 先ほどのめぐみんの発言は、もう気にならなくなっていた。

 これがあれば、湊翔さんと一緒に戦えると思うと……………。

 そう思っていた。




今回はここまでです。
ゆんゆんが本格的に登場して、ギンペンに変身出来る様になりました。
そして、湊翔とトウカの距離も、徐々に近づいてきました。
ちなみに、本作のゆんゆんは、湊翔の事が気になっていて、めぐみんの発言は、あまり気にしなくなってきました。
ただ、若干の危うさはありますが。
ちなみに、ゆんゆんがこうなったのは、あくまでそうなるかなと思ったからです。
友達が居ない中、湊翔の存在感が強いのです。
フィーバースロットや、ジャマトライダーに関しては、バニル戦で登場させる予定です。
フィーバースロットも、本家ギーツの主要ライダーだけでなく、オリジナルライダーや、サブライダーにも、渡される予定です。
まあ、一部、不安視されているのが居ますが。
レイジングソードに関しては、ハンス戦で使わせる予定です。
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