次の日の朝。
一夜明けた王都は、蜂の巣をつついたような大騒ぎになっていた。
なにせ、噂の義賊がたった2人で城に乗り込み、魔道具を強奪していったのだ。
その知らせは、瞬く間に王都を駆け巡り、話題となっていた。
一方、デザイア神殿では。
ツムリ「………………という訳で、王女様が身につけていたペンダントは、そんな危険があったんです。」
ギロリ「私たちは、2人にそのペンダントの回収を頼んだんだ。」
俺たちは、事情を聞いていた。
とはいえ、めぐみんはともかく、口が軽そうなアクアはここには居ない。
ちなみに、カズマとクリスの2人は、正座させられていた。
白夜「そんな事があったのか。」
トウカ「道理で、戦い慣れてる訳だ。」
武劉「なるほどな。」
白夜がそう言う中、トウカと武劉は、納得が行ったような表情をしていた。
そんな中、俺は口を開く。
湊翔「……………で、あれは止めなくて良いのか?」
トウカ「あれね……………。」
朱翼「どうしましょうか………………。」
俺がそう言うと、トウカと朱翼は微妙な表情を浮かべる。
その理由は。
クリス「ダダダ、ダクネス、お願い、落ち着いてえええええ!!さっきもギロリさんとツムリさんが言った通りだからぁぁぁぁ!!」
カズマ「おい、話は聞いただろ!?お願いしますやめてください!これ以上はヤバいって、死んでしまいます!!」
ダクネス「ああ、本気で締め上げるのだけは許してやろう!だが、これはやらねば気が済まん!」
クリスとカズマは、正座をされながら、ダクネスのアイアンクローを食らっていた。
ダクネスって、剣での攻撃はスカが多いのに、拳での攻撃は普通に当たるんだよな。
しばらくすると、ダクネスは落ち着いたのか、口を開く。
ダクネス「全く、お前達は……………。なぜ私に言わなかったのだ。最初からきちんと話せば、あんなバカな真似をしなくても、私がちゃんと話をつけてやったものを。」
ギロリ「それに関しては、申し訳ない。」
ツムリ「公にすれば、悪用されるリスクがありましたので。」
ダクネスがそう言うと、ギロリとツムリの2人がそう言う。
確かに、擬似的な輪廻転生が出来るのだ。
悪用される可能性もあり得たからな。
それを聞いたダクネスは、ため息を吐きながら言う。
ダクネス「やってしまったものはしょうがない。幸い、お前達の正体は、この場にいる全員にしかバレていない。クリスは銀髪が目立ちすぎるから、すぐに王都から出て、アクセルの街に帰ると良い。カズマは……………私たちと一緒に、今から城へ行くぞ。」
カズマ「えっ!?…………ああっ、お前に締め付けられたこめかみが痛い!悪いんだけど、俺はここで休んでるから……………。」
ダクネス「くだらない芝居をしてないで、良いから来い!めぐみんやアクアを迎えに行かなければならないし、アイリス様への別れの挨拶もあるのだろう!」
カズマ「い、嫌だ!ボロが出てバレるのは絶対に嫌だ!それで、嘘を吐くとチンチン鳴る魔道具を持って来られるかもしれないだろ!」
湊翔「あははは……………。」
ダクネスはため息を吐きながらそう言うと、カズマは抵抗して、俺は苦笑する。
よっぽど、あれがトラウマになったんだな。
すると、朱翼が口を開く。
朱翼「そういえば、カズマさん、アイリス様から何かを盗んでませんでした?」
ダクネス「何?」
トウカ「どういう事?」
朱翼「いえ。クリスさんとカズマさんは、2人ともスティールを使っていましたけど、クリスさんがペンダントを奪ったなら、カズマさんは何を奪ったのか気になりまして。」
朱翼がそう言うと、俺たちの視線は、カズマの方に向く。
確かに、あの時、カズマもスティールを使っていた。
すると、カズマが何かを取り出した。
カズマ「もしかして、これの事か?」
ダクネス「………!?ここ、こ、こ………!?これを、アイリス様から盗んだだと!?」
カズマ「そ、そうだけど……………なんだよ、そのリアクションは止めろよ。その反応が怒られたりするより一番怖えよ!そんなに大した物でもないんだろ!?なあ、俺をビビらせてるだけなんだろ!?」
カズマが取り出したのは、アイリスが付けていた指輪だった。
それを見たダクネスは、驚愕の表情を浮かべる。
俺たちが首を傾げる中、ダクネスは口を開く。
ダクネス「いいか、カズマ。その指輪は絶対に無くすなよ?そして、それは誰にも見つからない様に墓の下まで持っていけ。」
カズマ「おい止めろよ!そ、そんなに大事なものなら、その辺で拾ったって言って返しに行こうぜ!?」
ダクネス「戯け!これは王族が子供の頃から肌身離さず身につけ、婚約者が決まった時にのみ外し、伴侶となる相手に渡す物なのだ。それを賊に奪われ、その辺の冒険者が拾ってきただなどと……………!善意で届けたとしても、お前は口封じに始末されるだろうな。」
湊翔「マジか。」
そんな代物だったとは。
それを聞いた俺たちが驚き、顔を見合わせる中、トウカとクリスが口を開く。
トウカ「それにしても、ダクネスは随分と変わったよな。」
クリス「確かに。証拠隠滅を奨めるだなんてね。これは……………あれかな。助手君に毒されてきたのかな?」
ダクネス「なっ……………!?ま、まて、自分では自覚がないのだが、わたしはそんなに変わったのか!?もしや私は、アイリス様が毒されるのだと心配している場合ではないのか!?」
トウカとクリスはそう言うと、ダクネスはショックを受ける。
確かに、仲間になった初期は、証拠隠滅を奨めるなんて事はしなかったからな。
その後、クリスは王都から離れる事になり、俺たちはアイリスの元へと向かう。
すると、ダクネスはアイリスの部屋の前で立ち止まると、口を開く。
ダクネス「………………今の状態のお前を連れていくと何かと面倒臭そうだな。神器の件は私が説明するから、お前はここでじっとしていろ。」
カズマ「お前、何の為に俺を連れて来たんだよ。今の俺はやさぐれてるからな。ここまで連れて来られて1人にされたら、城の中で何するか分かんないぞ。」
湊翔「子供か。」
トウカ「流石に入れてあげたら?」
白夜「まあ、俺らが上手く説明すれば大丈夫だろ。」
ダクネスがそう言うと、カズマはそう言う。
それを聞いた俺、トウカ、白夜はそう言うと、カズマはさっさと中に入る。
武劉「おい!ノックしないのは失礼だろ!」
朱翼「いつの間に………………。」
ダクネス「アイリス様!ダスティネスです!緊急の話があり、参上しました!」
カズマがさっさと中に入った事に、武劉、朱翼、ダクネスがそう言う。
俺たちも中に入ると。
アクア「まあ、この私にかかればチョロいもんよね!そんな訳で、あの危険な神器はガッチリ封印したからもう使えないわ。だから安心してくれて良いわよ!全く、あの盗賊といい、石井樹といい、とんでもない物に目を付けたものね!」
めぐみん「魔道具に関してのエキスパート、紅魔族であるこの私が保証します。あれほどの神器は、もう誰にも作る事が出来ないでしょう。つまり、これにて一件落着ですね!」
アクアとめぐみんが、ドヤ顔でそう言っていた。
ていうか、めぐみんはともかく、お前は大して何もしてないだろ。
石井樹が従えていたジャマトを相手にしても、何もしてなかったくせに。
すると、レインが口を開く。
レイン「流石はアクア殿とめぐみん殿!いや、それなら安心しましたよ。アクア殿からあの魔道具の真の力を聞き、青くなりましたよ。」
クレア「……………しかし、石井樹という男はともかく、あの義賊達の目的は何だったんだろうか?巷での評判を聞く限り、その神器を悪用する様な連中とも思えないのだが……………。む?ダスティネス卿に、湊翔殿達…………………なんだ、貴様か。」
レインとクレアがそう言うと、クレアは俺たちに気づく。
相変わらず、カズマには辛辣な様だな。
ダクネス「あの神器について調べた結果、大変危険なものであるとの情報を得たので、報告に来たのですが………………。」
武劉「どうやら、その必要は無さそうですね。」
ダクネスと武劉はそう言う。
すると、アイリスが口を開く。
アイリス「………………もしかして、あの方々は、私を助けに来てくれたのでしょうか。あのネックレスの本当の力を知り、その危険性を素直に告げれば、誰かに悪用されかねないと……………。」
クレア「アイリス様、それは流石に考えすぎです。いくら評判の義賊とはいえ、その様な目的で、わざわざ危険を冒してまで王城に忍び込んでは来ないでしょう。………………もし本当にそうだとしたら、あの者達は、大した男だと言わざるを得ませんが………………。」
アイリスがそう言うと、クレアはそう言う。
クレアは、悔しそうながらも、少しだけ尊敬の籠もった小さな声でそう呟く。
というより、正体がバレてないか?
話を変えるべく、俺は口を開く。
湊翔「そういえば、石井樹はどうなりますかね?」
レイン「はい。あの石井樹という者は、アイリス様に危害を加え、誘拐しようとしたので、指名手配されるのは間違い無いでしょう。」
クレア「当然の判断だな。」
俺はそう聞くと、レインとクレアはそう答える。
そりゃあ当然か。
王族を攫おうとしたのだ。
指名手配もされるか。
すると、アイリスが口を開く。
アイリス「お兄様。一つ、お願いがあります。」
クレア「あ、アイリス様?」
アイリスは、真剣な表情でカズマの方を見る。
アイリスが何かを言おうとした瞬間、ダクネスが口を開く。
ダクネス「アイリス様。そのお願いの前に、私からアイリス様に、申し上げたい事があります。このサトウカズマなる者と、桐ヶ谷湊翔なる者は、数多の魔王軍幹部を倒してきました。そしていずれは、魔王を倒すやも知れぬ者たちです。それはとても困難で、常人には成し得難い事ですが……………そんな困難に立ち向かおうとするこの者たちに、何かお言葉を掛けてやっては頂けませんか?」
ダクネスはそう言う。
まあ、デザ神になる為には、魔王を倒す必要があるからな。
アイリス「……………魔王を倒す?本当に?お兄様達は、本当に、魔王を倒そうとお思いですか?」
湊翔「ああ。例え、誰が強くなろうと、最後に勝つのは………………俺だ。」
カズマ「ま、まあ、俺も魔王討伐を考えてはいる……………からな。」
アイリスがそんな真面目な表情でそう聞くと、俺とカズマはそう答える。
すると、アイリスが口を開く。
アイリス「そうですか……………。お兄様達ならきっと出来ます。魔王退治、頑張って下さい。……………どうか、お兄様達にご武運を!」
アイリスは満面の笑みを浮かべながらそう言う。
それには、誰も何も言えなくなる…………筈だった。
めぐみん「お兄様お兄様と、良い加減その呼び名は止めるべきです!あなたには本物のお兄様が居るのでしょう?そっちとイチャイチャしていればいいじゃないですか。その呼び方は、何だか自分の存在が脅かされそうでイラッとするのですよ!魔王なんていずれこの私が葬ってくれます!カズマや湊翔が出るまでもありませんよ!」
めぐみんはそうカッカしながら、そう言う。
アイリス「お、お兄様はお兄様です!私がお兄様をお兄様と呼んで何が悪いのですか!それに、あなたが魔王を倒してしまっては意味がありません!私はお兄様に魔王を倒して欲しいんです!」
めぐみん「止めろと言った途端にお兄様を連発するとか、それは私に喧嘩を売っているんですね!」
アイリス「や、やる気ですか!?お、王族は強いんですよ!」
2人はそう言って、取っ組み合いを始める。
喧嘩するほど仲が良いとは言うが、これはどういう事か。
それを見たダクネスとクレアが慌てて止める。
ダクネス「こらっ、めぐみん止めろ!昨日はいつの間にかアイリス様と仲良くなっていた癖に、今日は突然喧嘩を始めるだとか、一体何のつもりだ!」
クレア「アイリス様、どうか落ち着かれます様に!喧嘩なんてされた事もないのに、突然どうしたのですか!?」
ダクネスとクレアがそう言う中、トウカ達も口を開く。
トウカ「まあでも、負けられないのは事実かな。」
白夜「だな。デザイアグランプリの最終目標は、魔王を討伐する事。どの道、誰がデザ神になるのかを決めないといけないからな。」
朱翼「私は大丈夫ですけどね。」
武劉「俺にも、叶えたい理想があるのでな。」
トウカ達はそんな風に言う。
確かに、デザイアグランプリはそんな感じだからな。
俺たちは、仲間であると同時に、ライバルでもあるからな。
すると、カズマが口を開く。
カズマ「……………で、お願いってのは何だったんだ?ほら、何でも言ってみろよ。」
アイリス「お願い……………私のお願いは…………まだゲームの決着が付いていません。いつかまた、私と勝負して下さい。」
カズマはそう聞くと、アイリスはしばらく考え込み、年相応の悪戯っ子の笑みを浮かべながら、そう言う。
そして、俺たちはレインが唱えたテレポートで、アクセルの街に戻る。
俺たちが居なくなった事で、その部屋はシンとなった。
クレアは、アイリスに話しかける。
クレア「アイリス様。その………………どうか、あまり落ち込まれませぬ様に……………あの男達が来てからというもの、アイリス様は本当に楽しげで、幸せそうだった事は承知しております。ですが………………あの男達とは、元々住む世界が違うのです。特定の異性に情が移れば、アイリス様が嫁がれる際に、きっとお辛い想いをするでしょう。お叱りは受けます。ですが、どうかご理解頂けると……………。」
アイリス「私は大丈夫です。2人とも、顔を上げなさい。」
クレアはそんな風に言うと、目を伏せ、深く頭を下げる。
レインもそうする中、アイリスはそう答える。
すると。
ニラム「失礼します。」
クレア「む?ニラム殿か。どうしたのだ?」
ニラム「いえ。アイリス様達に、お客様がお見えになられました。」
レイン「お客様?」
ニラムが入ってきて、クレアがそう聞くと、ニラムはそう答える。
すると、ミッションボックスを三つ持ったツムリが入ってくる。
アイリス「その方は?」
ツムリ「お初にお目にかかります。ツムリと申します。厳正なる審査の結果、アイリス様達は選ばれました。今日から仮面ライダーです!」
レイン「私たちも……………ですか?」
ツムリ「はい!」
クレア「何?」
ツムリはそう言うと、3人にミッションボックスを渡す。
3人はミッションボックスを開けると、中にはデザイアドライバーとIDコアが入っていた。
アイリスは不死鳥を思わせる絵で、クレアは黒豹、レインは白い虎の絵だった。
レインの奴は、白夜の奴に似ていたが、色は黄色ではなく白だった。
アイリス「これで……………お兄様と一緒に戦えますね。」
アイリスは、そう呟く。
こうして、アイリス達も変身が可能になった。
一方、石井樹は、ロキ達の方に戻っていた。
すると、馬場武達が口を開く。
武「戻ってきたか。随分とボロボロみたいだな。」
闘轟「人の弱みにばかり漬け込もうとする作戦を考えてたばかりだからだ。」
要「意気揚々に向かい、返り討ちですか。」
遥「情けないですね。」
光太郎「まったくだな。」
ベロバ「ふふふふっ。随分と情けない姿よね。アハハハっ!」
樹「黙れ。それより、ロキ。あの仮面ライダー達は、何者だ?」
ボロボロになって戻ってきた石井樹に対して、馬場武達がそう言うと、石井樹はそう一蹴して、ロキにそう聞く。
ロキ「今、調べているところだ。………………ほう。なるほどな。」
武「誰だ?」
樹「何………………っ!?」
要「佐藤和真だったのか。」
ロキはそう答えながら調べると、樹が応戦した仮面ライダーの正体が、カズマとクリスである事を突き止めた。
武「ほう。小型バックルだけで戦うとはな。」
闘轟「なかなかやるな。」
要「ふぅん……………少し、興味が出てきたかな。」
遥「やるじゃない。」
光太郎「それで、どうすんだ?」
樹「決まっている。今度はしっかりと下準備をしないとね。ふふふ………………。」
ベロバ「ふぅん。まあ、どうでも良いんだけど。」
それを知った馬場武達は、そんな風に反応する。
一方、ロキは。
ロキ「ほう……………。(この気配、このクリスは確実に女神エリスだろうな。そして、トウカという女が、アテナという訳だ。)」
ロキは考え事をしていた。
すると、ある事を思いついた様だ。
ロキ「(よし。エリスかアテナのどちらかを利用し、私の計画を進めるとしよう。そろそろ、あの男の魂をサルベージ出来そうだしな。)くっくっくっくっ………………!」
ロキは、何を企んでいるのか。
俺たちがアクセルに戻る中、ロキの企みは、確実に動いていた。
今回はここまでです。
今回で、このすばの原作6巻の話は終わりです。
アイリス達も、仮面ライダーになれる様になりました。
アイリスはオリジナルの仮面ライダーであるフェネクス、クレアとレインは、ランサーとガルンです。
護衛繋がりで。
そして、ロキの企みは加速していく。
クリスがエリス、トウカがアテナである事を、知られてしまった。
果たして、どうなるのか。
次回からは、このすばの原作7巻の話に入りますが、リクエストがあった入れ替わり回をやります。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
昨日と今日は、色々とギーツ関連の話がありましたね。
昨日は、ドゥームズギーツという存在が判明して、今日は、尺の都合上、カットされた話を見る事が出来ました。
ガッチャードとギーツの映画の情報は来ませんでしたが、やる事を信じています。
ドゥームズギーツに関しては、この小説でも出す予定です。
誰が変身するのかは、未定ですが。
戦国ゲームや、今後の展開でリクエストを受け付けています。
戦国ゲーム
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=303117&uid=373253
4人のエースと黒狐に相当する話や、ギーツIXなど
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=302686&uid=373253
これからも応援の程、よろしくお願いします。