この白狐の戦士に祝福を   作:仮面大佐

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第67話 アクセルの日常

 あの入れ替わり騒動の後、俺達はギルドに呼び出された。

 とは言っても、俺とカズマが対応するのだが。

 

ルナ「それでは、サトウカズマさん、桐ヶ谷湊翔さん。今回お呼び立てした件ですが……。」

 

 ルナさんはそう言って重い袋を持ってきた。

 満面の笑みを浮かべて、ルナさんは口を開いた。

 

ルナ「今回は賞金が高額なので、支払いが遅れましたが、こちら、魔王軍幹部シルビアの討伐報酬、合わせて合計3億エリスです!あなた方が今までに討伐した魔王軍幹部は、これで4人目です!サトウさんと桐ヶ谷さんは、アクセル冒険者ギルドのエースです!……さあ、これをどうぞ!」

冒険者達「おおおおおおお!!」

 

 見守っていた冒険者達が歓声を上げる。

 俺たちは口を開く。

 

カズマ「落ち着けよ。この俺達が大物賞金首を仕留めるのは今に始まった事じゃないだろ。」

湊翔「あの、ルナさん。離しても大丈夫です。なんで名残惜しそうに見るんですか!」

 

 俺達はルナから報酬を受け取った。

 若干、名残惜しそうにしていたが。

 周囲の冒険者が噂している。

 

冒険者「しっかし、湊翔のパーティーはともかく、カズマのパーティーも随分と出世したよな。」

 

 そんなふうな話し声が聞こえてきた。

 すると、カズマが口を開く。

 

カズマ「ったく。そんな風に煽てたって何も出ないぞ!…………今日は宴会だー!」

湊翔「今日ぐらいは良いんじゃ無いか?」

 

 カズマがドヤ顔で放ち、俺は苦笑しながらその言葉を言うと、ギルドの皆が歓声を上げた。

 

冒険者「うおおおお!カズマさんと湊翔さんカッケェェェェェ!!」

冒険者「キャーッ!カズマさんと湊翔さん、素敵、結婚して!」

冒険者「流石、仮面ライダーだ!」

 

 周囲の冒険者達がそう叫ぶ。

 その後、トウカ達もやってきた。

 

アクア「全く!アンタ達は全く!帰りが遅いと心配してみたら、私たちに内緒で宴会をやってるだなんてどういう事なの?様子を見にきて正解だったわ!」

トウカ「まあ、捕まる様な出来事じゃなくて良かったじゃない。」

白夜「そうだな。」

 

 アクアがそう言う中、トウカと白夜もそう言う。

 すると、めぐみん達が口を開く。

 

めぐみん「でも、珍しく良い方の呼び出しで良かったですよ。」

朱翼「ええ。アクアさんは、良い知らせか悪い知らせかどうかで賭けをしようと言い出して、カズマと湊翔がギルドで逮捕されてる方に三千エリスと言い出したんですよ。」

湊翔「は?」

ダクネス「そして、2人が大変な事に巻き込まれていたら、逃げられる様荷物をまとめておこうと言い出してな。」

武劉「アクアの足元にある荷物がその証拠だ。」

 

 めぐみん達がそう言うと、俺とカズマはアクアの足元を見る。

 そこには、リュックが置かれていた。

 こいつ、何で俺が捕まる事前提で言ってるんだよ。

 俺は、カズマとアクアが取っ組み合いをするのを見ながらそう思う。

 まあ、平和なのは良い事だ。

 それから一週間が経過した。

 俺たちは、お金を得る事が出来たが、節制していた。

 とは言っても、節制しているのは俺や白夜達くらいだ。

 クエストによく行っているので、お金はたくさんある。

 あるのだが、そこまで使う物がある訳では無いので、そこそこだ。

 俺が戻ると、カズマ、アクア、めぐみんがダクネスの方に集まっていた。

 それを、白夜達は呆れながら見ていた。

 

湊翔「……………え?どういう状況?」

トウカ「あ、ああ、湊翔。」

白夜「それがな…………。」

 

 俺がそう呟くと、トウカ達は、事情を説明する。

 どうやら、我慢大会の練習をしていた様なのだが、カズマ達がくすぐっていたそうだ。

 というより、夏が近いのに暖房を焚くなよ。

 そう言うと、朱翼と武劉が口を開く。

 

朱翼「それがですね……………ダクネスのお父さんは、ここ最近、体調を崩したそうで。」

武劉「ダクネス曰く、気を遣ったそうだ。」

湊翔「ダクネスのお父さんが体調を崩した?大丈夫か?」

 

 ダクネスのお父さんが体調を崩したね。

 大丈夫なのだろうか。

 それはそうと、少し気になるのだが。

 

湊翔「おい、アクア。それ、何だよ?」

カズマ「確かに。何だそれ?」

 

 そう。

 アクアは、膝の上に毛布を置き、小さな卵を載せていた。

 

アクア「あらあら、カズマに湊翔ったら、早速これが気になる様ね?いいわ、教えてあげる。聞いて驚きなさいな。これは何と、ドラゴンの卵よ。」

「「「ドラゴン!?」」」

 

 えっ!?

 ドラゴンの卵を買ったのか!?

 すると、トウカが耳打ちしてくる。

 

トウカ「……………湊翔。あれはドラゴンの卵じゃない。鶏の卵よ。」

湊翔「えっ?」

 

 トウカがそう言ってくるので、よく見ると、確かに前世での鶏の卵に酷似していた。

 すると、アクアがドヤ顔で自慢げに言ってくる。

 

アクア「こないだ、1人で留守番してたら、私たちの活躍を聞きつけた行商の人が来てね?『お目にかかれて光栄です!危険も顧みずに日夜魔王軍と戦うあなた方に、とっておきの品を譲らせて下さい!』って言われたの。今後も魔王軍やジャマトと渡り合うつもりなら、使い魔としてドラゴンくらい必要でしょうって言われて、なるほどって思ったわけよ。」

 

 アクアがそう言う中、驚愕より訝しむ気持ちが強まった。

 それって、俺たちが大金を手にした事を聞きつけたの間違いじゃね?

 すると、アクアが俺とカズマを見たのか、呆れた表情で言ってくる。

 

アクア「良い?カズマに湊翔は、ここの常識を知らないアンポンタンだから教えてあげるけど、ドラゴンの卵ってのはね、本来なら凄く手に入り難いの。市場に出たとしても、貴族か大金持ちが先に手に入れちゃうのよ。そこへ、わざわざ私たちに譲らせて欲しいって人が現れたなら、そんなの買うしか無いでしょう?ドラゴンよ、ドラゴン。ワクワクするでしょ?」

 

 アクアはそんな風に言う。

 お前にアンポンタンって言われるのは、凄く腹が立つな。

 というより、絶対にドラゴンじゃないだろ。

 それを見ていたトウカ達は、トウカと朱翼は、呆れた様に首を振り、白夜と武劉は、アクアに冷たい眼差しを向けていた。

 まるで、残念な奴を見るかの様な視線だった。

 

湊翔「……………ちなみに、その卵は幾らしたんだよ?」

アクア「それがね、なんと、私の持ち金全部と交換で良いって言われたのよ!ドラゴンの卵なんて、最低でも億は下らない代物なのに、何でそんな安い値段にするのかって聞いたらね?貴族やお金持ちみたいに、金持ちのステータスとして飼うんじゃなく、凄腕の冒険者達に育ててもらって、来るべき魔王との戦いに役立てて欲しいから、だって!」

 

 俺がそう聞くと、アクアは卵を大事そうに抱きしめながらそう言う。

 全額使ったのかよ……………。

 詐欺に遭ってるじゃねぇか。

 俺が呆然とすると、カズマは目眩がした様によろけかけて、アクアに聞く。

 

カズマ「……………それで、買っちゃったのか。」

アクア「買っちゃったわ。すでに名前も付けてあるの。この子の名前は、キングスフォード・ゼルトマン。なにせ私が育てるんだもの。この子はいずれ、ドラゴン達の帝王になるわ。この子を呼ぶ時は、ゼル帝とでも呼んであげて。」

 

 カズマがそう聞くと、アクアはそう言いながら、卵に柔らかな光を浴びせ始めた。

 何がドラゴンの帝王だよ。

 ただの鶏の卵だろうが。

 ドラゴンに食われるオチが見えるのは、気のせいか?

 

アクア「というわけで、孵化するまで私はクエストに参加出来ないからね。ねえカズマ、湊翔。どっちでも良いから、私、手が離せないから、晩御飯を持ってきて食べさせて。」

 

 アクアはそんな風に舐めた様に言う。

 ふざけんな。

 その卵を割って、目玉焼きにでもしてやろうか?

 その翌日、俺、カズマ、トウカ、白夜、アクア、ダクネスがウィズの店に向かう。

 ちなみに、残りの面子に関しては、めぐみんが卵を温めており、朱翼と武劉は、めぐみんが倒れない様にサポートをする事に。

 店に到着すると、アクアが叫ぶ。

 

アクア「たのもう!ねえ開けなさいよ!もうお日様はとっくに昇ってるわよ!」

湊翔「アクア、近所迷惑になるからやめろ。」

白夜「本当だよ。」

バニル「朝っぱらからやかましわ!近所迷惑を考えろ公害女め!開店にはまだ時間がある、顔を洗って出直してこい!」

 

 アクアがそんな風に叫ぶ中、俺と白夜はそう突っ込む。

 すると、バニルが怒鳴りながら現れる。

 

アクア「今日は別の用事でやって来たのでした!開店時間に来るとアンタ達忙しいでしょ?わざわざ気を遣って早起きして来てあげたんだから、感謝なさい。ほら、ちゃんとありがとうって言いなさいな。」

白夜「ダメだこいつ……………。」

 

 アクアはそう言うと、白夜は呆れた様に首を振る。

 現在、ウィズ魔道具店は、俺達が作った商品を主軸として、未曾有の大繁盛だ。

 俺達への報酬は開発した商品の知的財産権買い取りなので、ウィズ魔道具店で売れても増えはしないが、売れて嬉しい。

 

バニル「空気を読まない事には定評のある貴様に気を遣ったと言われるのはゾッとせんな。何かオチがあるのではと疑ってしまう。…………まあ良い。用件は分かっている。そこのギーツとタイクーンへの報酬であろうて。今持ってくる。」

 

 バニルはそんな風に言って、店の中に入る。

 すると、アクアがそんなバニルにちょろちょろと纏わりつく。

 

アクア「感謝して!木端悪魔如きにわざわざ時間を割いて頂いて、どうもありがとうございますって感謝して!」

湊翔「アクアもいちいち挑発するなって。」

バニル「やかましいと言っておろうが!現在徹夜続きの過労店主が店の奥で眠っているのだ、静かにしてもらおうか!これ以上騒いで当店の評判を落とす気なら、尻からアロエが生える呪いを掛けるぞ!!」

アクア「やれるもんならやってみなさいか!アンタみたいな雑魚っぴ悪魔の呪いが私に通じるわけないでしょう?バカなの?アンタ仮面が本体だって言ってたけど、脳みそって物はどこにあるの?」

バニル「フハハハハハ!フハハハハハ!!やはり、貴様とは決着をつけねばならんようだ!よかろう、表に出るが良い!!」

 

 アクアがそんな風に言うと、バニルと口喧嘩が始まる。

 俺たちは、そんな2人を抑える。

 

湊翔「お前ら、毎度毎度顔を合わせる度に喧嘩するんじゃねぇよ!!」

カズマ「それにしても、ウィズが徹夜続きって、そんなに儲かっているのか?」

バニル「うむ、笑いが止まらんとはまさにこの事だ。作れば作るほど売れるので、店主には先日の入れ替わり騒動での折檻も含めて、食わせず休ませず、昼は店番、夜は商品の生産というサイクルをさせたら、二週間ほどで、情緒不安定になってしまってな。人様の前に出せる状態では無くなってきたので、今は休ませている。」

白夜「お、お前……………。」

 

 俺たちが仲裁する中、カズマがそう聞くと、バニルはそう答える。

 それって、ブラック企業で働く社畜みたいだよな。

 ウィズが社畜になってる。

 ドン引きしている俺達に袋を持ってきながら口を開く。

 

バニル「我輩は考えたのだ。あの1人にさせると何かやらかすトラブル店主にどうやったら赤字を出させないかを。ここしばらくの観察で、あやつは暇を持て余すと余計な事をすると気付いたのだ。そこで、飯を食う暇もないほどに24時間働かせてみたら、これがまあ上手くいってな。」

 

 バニルはそんな風に言う。

 どっちが店主で、どっちがバイトか分からなくなるよな。

 すると、バニルはダクネスを見ながら口を開く。

 

バニル「おい、先ほどから暇そうにしているそこの。日夜熟れた身体の性欲を持て余し、処女の癖に夜な夜……………。」

ダクネス「ナァァァァ!!」

 

 バニルがそう言うと、ダクネスは大声を上げながらバニルに突っ込んでいく。

 バニルもダクネスを揶揄うなよ。

 ダクネスの突進をバニルは容易く躱した。

 

バニル「……うむうむ、極上の羞恥の悪感情、美味である。……………バッファよ。貴様には破滅の相が出ているな。貴様らの傍には、常に鬱陶しい発光女がいるせいか、未来を見通し辛い。大きな儲け話を持ってきた礼に、我輩の力でじっくりと占ってやろう。」

 

 バニルはそんな風にニヤリと笑いながらそう言う。

 他の人たちの反応は。

 

アクア「ねえ、発光女って私の事?」

ダクネス「……破滅の相だと?」

トウカ「…………聞いても良いんじゃないか?胡散臭いけど。」

白夜「良いんじゃねぇのか?」

湊翔「聞いたらどうだ?」

カズマ「そんな事よりも、さっきダクネスの事をなんて呼ぼうとしたのかを詳しく!」

 

 俺たちがそんな風に反応する中、カズマはそう叫ぶ。

 カズマはダクネスに盛大に殴られた。

 俺達は自業自得として見捨てた。

 そんな中、バニルは口を開く。

 

バニル「では、一つ見てやろうか。貴族としての変な義務感だけは強いくせに、実力が伴わず空回りばかりする娘よ。さあ、ここに来るが良い。」

 

 バニルがそう言う中、ダクネスはバニルの対面に座る。

 すると、アクアが口を開く。

 

アクア「ねえダクネス。悪魔の占いなんて、話半分に聞いときなさいよ。そんな怪しげな物より、尊い私のお告げの方が、絶対ご利益があると思うの。」

「「それは無い。」」

アクア「何でよ〜!!」

トウカ「アクア、落ち着けって!」

 

 アクアがそう言うと、俺と白夜は同時にそう言って、アクアが俺たちにつかみ掛かってくる。

 トウカが抑える中、バニルが口を開く。

 

バニル「ふん。我が占いは、神々のいい加減などうにでも解釈できる、あんな抽象的な物では無いぞ。見通す悪魔である我輩の占いは、本職に引けを取る物ではない。……………では、今から幾つかの質問をする。中には答え難い物もあるだろうが、正直に答えるのだぞ。」

 

 バニルはそんな風に言う。

 ダクネスは躊躇っていたが、最終的に受ける事にしたようだ。

 

バニル「では、汝に問う。防御力も大事だが、攻撃に踏ん張れる重さも重要なクルセイダーなのに、最近こっそり鎧の軽量化を行った様だが、それは何故か?」

ダクネス「……………そ、その……………わ、わ、私は不器用なので、鎧を軽くし、少しでも攻撃を当てやすくしようと……………。」

バニル「我輩は、正直に答えよと言ったぞ。」

 

 バニルがそう聞くと、ダクネスは震えて、しどろもどろになりながらそう言うが、バニルはそう言う。

 ダクネスは、顔を俯かせながら言う。

 

ダクネス「……………最近、ますます腹筋が割れてきたのを気にして、鎧を軽くして……………みました……………。」

トウカ「気にしてたんだ………………。」

 

 ダクネスがそう言うと、トウカはそう呟く。

 親友のそんな一面を見て、そんな風に呟いたのだろう。

 バニルは、満足げに頷く。

 

バニル「よしよし。……………では、汝に問う。風呂場の洗濯籠に放り込まれていた、ナーゴとスワンのワンピース。これらをこっそり自分の体に当て、鏡の前でちょっと嬉しそうにしながら、『うん、これはない。これはないな………』とぶつぶつ言っていたのは何故か?しかも、自分ではこれはないとか言いながら、普段笑いもしない無愛想な顔を首を傾げてニコッと笑ませていたのはなぜか。そして頬を染めて周りをキョロキョロ確認し、そのまま慌てて洗濯籠に戻していたのは何故か。」

 

 そんな事をしてたのか。

 俺がそう思いながらダクネスを見ると、ダクネスは更に顔を赤くして、両手で覆う。

 

ダクネス「……………か、可愛らしい系の服は似合わないし、買うのも買ってきてもらうのも恥ずかしいので、今までは触ることも無く…………ふと目にしてつい、試してみようかな、という出来心で…………。こ、こんな無愛想な筋肉女が出来心で体に合わせてしまいました。ごめんなさい…………ご、ごめんなさい…………。」

 

 ダクネスは震え声で謝る。

 別に、それくらいは大丈夫じゃねぇの?

 

アクア「私は可愛いワンピースを着たダクネス、悪くないと思うの!いつもかっこいい系や大人系の服を着てるしね!お嬢様風のドレスだって着たんだから、可愛いワンピースだって着ていいじゃない!ダクネスがこっそり可愛い服を着る事の何が悪いのよ!」

トウカ「アクア、そこら辺にしてやってあげて。」

白夜「ダクネスに追い打ちをかけるなよ。」

 

 アクアはフォローしているつもりだが、追い打ちになってしまい、トウカと白夜はそう言う。

 バニルは再び口を開く。

 

バニル「では、最後に。同居人であるタイクーンにいやらしい目で見られている事を自覚しながら、それでも屋敷内で、身体の線がくっきり出る服を着てウロウロしているのは…………。」

ダクネス「これはっ!これは本当に占いとやらに関係あるのか!?」

 

 バニルがそう聞く中、ダクネスはそう叫びながら立ち上がる。

 すると、バニルが口を開く。

 

バニル「いつ我輩が、質問しなければ占いは出来ないと言った。この質問は、占いの結果が出るまでの暇つぶし……………こっ、こらっ!やめろ!何故お前達は我輩の仮面に気安く手をかけるのだ!泣きながら仮面を引き剥がそうとするな!」

 

 バニルがそう言うと、ダクネスは涙目を浮かべながら、バニルにつかみ掛かる。

 その後、俺たちはダクネスを落ち着かせて、バニルの占いの結果を待つ。

 すると、バニルが口を開く。

 

バニル「……ほうほう、これは。うむ、やはり破滅の相が出ているな。貴様の実家、父親が、これから大変な目に遭うだろう。そして貴様は、自分を犠牲にすれば全てが解決すると、短絡的な行動に出るであろう。その行動は誰も喜ばず。貴様の父親は後悔と無念を抱き、そのまま余生を送る事になる。良い回避法は……。」

 

 ダクネスも流石に真剣な面持ちになる。

 すると、バニルが口を開く。

 

バニル「……おや、貴様の力ではどうにもならんと出たな。その時が来たならば、いっそ全てを捨てて逃げるが吉。そこのタイクーンと共に遠い地でやり直すが良い。」

湊翔「………どういう事だ?」

トウカ「………ダスティネス家に、一体何が起きるんだろう?」

白夜「さあな。」

 

 バニルがそう言う中、俺、トウカ、白夜はそんな風に話す。

 その時、ダクネスが立ち上がった。

 

ダクネス「……バニル、占いには感謝する。だがどんな事態に陥っても、逃げる事は出来ない。…………まあ、話半分に聞いておこう。今の占いが気になる訳ではないが、久しぶりに実家に寄るとしよう。」

 

 そう言って、ダクネスは出て行った。

 俺たちが見送る中、アクアはバニルに話しかける。

 

アクア「ねえ、木っ端悪魔。アンタもっと具体的な事言えないの?さっきは神々のお告げを抽象的だとか何とか言ってくれたくせに。あと、私の事も占いなさいよ。とりあえず、時期に生まれるゼル帝が何ドラゴンかとか。ドラゴン族を治めるだけの器があるか。あっ、後あれよ。ゼル帝を買ってお金が無くなっちゃったから、楽ちんにお金が稼げる方法とかも教えなさいよ。あんた、何でも見通せるんでしょう?」

白夜「………………アクア。仮にも女神を自称するなら、そんな俗物的な事を言うなよ。」

湊翔「本当だよ。」

 

 アクアはそんな風に言う。

 俺と白夜が呆れながらそう言うと、バニルは心底嫌そうに言う。

 

バニル「ギーツとライコウの言う通りだ。それに、そう言った技能は、欲にかまけて使うと、碌なことにならぬ。貴様はそれでも本当に女神なのか?」

アクア「所詮は悪魔ね。誇大広告も甚だしいわ。は〜使えない、使えない。皆、もう帰りましょう?帰ってゼル帝の孵化に戻るの。早くあの子を孵化させて、この悪魔をあの子の養分の足しにでもしてあげるわ。」

バニル「…………おっと、我輩、ピンと来た。そのゼル帝とやら、名を照り焼きに改名するが吉。さすれば、晩飯の際にでも皆に愛される事、請け合いであろう。」

 

 バニルはそう言う。

 確かに、そういうのって、変に使うとしっぺ返しがくるもんな。

 某国民的猫型ロボットが出てくるアニメでも、それはよくあるからな。

 アクアがそう言うと、バニルはそう返す。

 すると、お互いに睨む。

 

アクア「あらあら。何その名前。卵からはドラゴンが生まれるのよ?高いお金を出して買ったんだから。なぜそんな美味しそうな名前をつけなきゃいけないのかしら?」

バニル「見通す悪魔、バニルの名に賭け宣言しよう。節穴女神の御眼鏡にかなった卵からは、さぞかし立派な鶏肉が生まれるであろうと……………。」

 

 アクアとバニルはそう言いながら、お互いに睨む。

 すると、バニルが俺たちに話しかけてくる。

 

バニル「おい、貴様ら。我輩がこの店で告げた事を覚えているか?」

湊翔「途轍もない試練って奴か?」

白夜「そう言えば、そんな事を言ってたな。」

カズマ「……それが?」

 

 そう。

 バニルには以前、ある事を言われたのだ。

 

バニル『三人の仮面の戦士よ。汝らにこれからとてつもない試練が起こるだろう。その試練は強大で、金髪鎧娘が居なくなるかもしれない。それまでに我らが商売に協力する事が吉と出た。お一つどうか?』

 

 そんな風に言われていたのだ。

 俺たちがそう返すと、バニルは口を開く。

 

バニル「汝ら、その報酬だけで満足する事なく、更なる売れ筋商品を沢山作っておくが良い。お前達の頑張り次第では、どうにもならん事も無いかもしれんぞ?」

湊翔「分かった。心に留めておく。」

トウカ「………………ええ。」

アクア「なら、私からも助言をあげるわ。汝が必死に稼いだ大金は、またもウィズに使い込まれ、しばらくの間、真っ白に燃え尽きる事でしょう。どう?どう?見通すアクアがアンタの未来予想図を立ててあげたわよ?」

「「………………。」」

 

 バニルがそう言うのに対して、俺とトウカはそう返す。

 トウカに関しては、訝しげ気味だが。

 その後、ポーションの割れる音や、2人の罵声が響くウィズ魔道具店から去っていく。

 それにしても、ダスティネス家に何が起ころうとしているんだ?

 そんな風に考えるが、答えは出なかった。

 その夜、全員で食事をしていると、執事服を着た無愛想な男が人の許可もなく、勝手に入ってきた。

 その人は、執事服を着ていた為、執事であろうと推測できた。

 

執事「このような時間、それも食事中に失礼。実はダスティネス卿に火急の用があり、こうして参上したのですが、少し時間を頂けませんか?」

 

 男は名前を名乗らずに不躾に要件だけを告げて、俺たちをどこか冷めた目で睥睨する。

 ダクネスは不機嫌気味に言う。

 

ダクネス「私の事をダスティネス卿と言う事はどこかの貴族の使いか?…………一応、聞くだけ聞こうか。用は何だ?」

執事「いえ、我が主、アレクセイ・バーネス・アルダープがお呼びです。この様な所では何なので、表に馬車を用意しております。詳しくは我が主の屋敷にて。どうぞ、こちらへ。」

 

 ダクネスがそう聞くと、その男は悪びれもせずに外を示す。

 人様の屋敷をこの様な所とは、随分と俺達を見下してるな。

 ダクネスもフォークを自分の握力でへし曲げた。

 だが、フォークを置くと。

 

ダクネス「………少し出かけてくる。私の帰りが遅ければ、鍵は閉めてくれ。では、行ってくる。」

 

 そう言ってダクネスはその執事についていった。

 それを見ていた俺たちは口を開く。

 

めぐみん「……………何だったのでしょうか、あの人は?」

カズマ「アルダープって言ってたな。」

湊翔「確か、アクセルの領主だったな。」

トウカ「何だって急に…………。」

白夜「何が起ころうとしているんだ?」

朱翼「分かりません……………。」

武劉「何がともあれ、警戒するに越した事はないだろう。」

 

 俺たちは、そんな風に話し、表情を曇らせる。

 俺達がダクネスの身を案じている中。

 

アクア「ダクネスが出かけるなら、ハンバーグの残りは私が貰っても良いわよね。ねえめぐみん、今日はめぐみんが食べさせて?カズマったら、人に食べさせるのが下手くそなのよ。昨日なんて、スプーンによそったシチューを鼻から食べさせようとしたんだから。」

 

 空気を読まない事に定評のあるアクアが、そんな風に言う。

 あと、飯を食う時位は、卵を置いておいても大丈夫だろ。

 アクアがそんな風に言う中、俺たちは、何かに巻き込まれそうな空気を感じていた。




今回はここまでです。
大金を受かった矢先、アルダープの陰謀が動き出す。
アクアは、ドラゴンの卵と騙され、鶏の卵を購入しましたが。
次回は、クローンズドヒュドラ戦に入っていきます。
感想、リクエストなどは絶賛受け付けています。
この7巻に相当する話の後は、MOVIEバトルロワイヤルの話をやって、8巻の内容に入っていきます。
つまり、ジャマトグランプリが始まろうとしています。
9巻の内容でやる予定の戦国ゲームでリクエストがあれば、下記のリンクからそのページに飛べます。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=303117&uid=373253
今後のこのすばとギーツの展開でリクエストがあれば、受け付けています。
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