ダクネスとアルダープが結婚する。
その噂は、カズマがリーンから聞いたそうだ。
アクセルの街は、その噂で持ちきりだった。
カズマ「というわけで、今から厳重に警備された屋敷にどうやって侵入し、どうすればダクネスに会えるのかの作戦会議をする。といっても、大体の考えはもうあるのですが!」
そんな中、俺たちが住む屋敷に、カズマの言葉が響く。
すると、アクアが口を開く。
アクア「なんかカズマ、テンションが高いわね。つまり街では今、あの熊と豚を足したみたいな領主の人とダクネスとの、結婚話で持ちきりなの?」
トウカ「ダクネスは何を考えているの?アルダープは、悪い噂が絶えないのに…………。」
白夜「確かに。普通なら、ダクネスのお父さんが止めるんだろうが、何があったんだ?現状、バニルの占い通りになってるよな。」
湊翔「確かにな。アルダープと何があったのか?」
それを聞いた俺、トウカ、白夜、アクアはそう言う。
以前、バニルは言ったのだ。
バニル『……ほうほう、これは。うむ、やはり破滅の相が出ているな。貴様の実家、父親が、これから大変な目に遭うだろう。そして貴様は、自分を犠牲にすれば全てが解決すると、短絡的な行動に出るであろう。その行動は誰も喜ばず。貴様の父親は後悔と無念を抱き、そのまま余生を送る事になる。』
……………と。
占いなんて、普通は信じる奴はあまり居ない。
話半分に聞くのが主だろう。
だが、この世界には、魔法もあれば呪いもあるのだ。
何者かが介入している可能性がある。
すると、めぐみん達が口を開く。
朱翼「それで、湊翔さん達は、バニルの占いを信じますか?バニルに言われた通りに、商品開発に勤しんでいますが……………。」
武劉「俺は、バニルとの付き合いは浅いからなんとも言えんが……………あの悪魔が、無償で人助けをすると思うか?何か裏がある気がするんだがな……………。」
めぐみん「朱翼と武劉の言う通りです。紅魔の里に帰る事が出来れば、私の知り合いにちゃんとした腕利き占い師のお姉さんが居るのですが……………。」
その3人は、そう言う。
確かに、ドラゴンもどきの一件の際にも、そんな行動をしたのだから、怪しいと思う点はある。
俺とカズマは、口を開く。
湊翔「まあ、バニルが適当な事を言っていない気がするんだよな。色々とぼかしてて、ダクネスを助ける事で、あいつに何の得があるのかなんて、さっぱり分からんし。」
カズマ「まあ、強がらずに言うが、湊翔と一緒に商品開発をしていたのは、占い通り、ダクネスに何かあったら、いざって時に役に立てる様に。占いが外れても、商品開発は損にはならないから、やってたんだけどな……………。」
俺とカズマはそう言う。
バニルが適当な事を言っているわけでは無いのは、薄々感じているからな。
何を企んでいるのかは知らないが。
すると、トウカが口を開く。
トウカ「私は、バニルの占いを信じた訳じゃないけど、直接ダクネスに会って確認したほうがいいと思う。今のところ、カズマがリーンから聞いたって言う又聞き状態だしね。あの領主には、色んな目に遭わされてるんだから、どういう状況なのかを知る権利があると思うわ。」
トウカがそう言うと、アクア達も頷いていた。
トウカとしても、親友として、ダクネスが心配なんだろうな。
そうして、ダクネスの屋敷に侵入する事になった。
相談の結果、カズマが単独で潜入する事になった。
潜伏スキルや暗視スキルなどの侵入系のスキルを持っているのはカズマだけなので、他に忍び込んでも、バレるリスクが上がる。
その為、ダクネスの屋敷には、カズマ、アクア、めぐみんが向かった。
俺たちは、屋敷で待機する事に。
湊翔「あいつ、大丈夫なのか?」
白夜「カズマは潜伏スキルとか、色々持ってるんだぜ。大丈夫だろ。」
トウカ「ダクネス……………。」
朱翼「トウカ。ダクネスが心配なんですね。」
武劉「今はカズマを信じるしかないだろうな。」
俺たちはそう話す。
しばらくして、アクアとめぐみんも帰ってきて、俺たちはカズマを待つ事に。
白夜と武劉は、デザイア神殿に向かい、特訓をするとの事だ。
しばらくすると。
カズマ「ふぐぐぐぐ……………!アクアー!アクアー!!ヒール下さい!ヒール下さいっ!!」
そんな叫び声と共に、カズマが戻ってくる。
カズマは、結構ボロボロだった。
湊翔「カズマ、戻ったか……………え?なんでそんなボロボロなんだ?」
アクア「ダクネスに会えたの?何でそんなにボロボロなの?またバカな事でも言ったの?」
俺がボロボロのカズマを見て唖然とする中、アクアはそれを見て嬉しそうにヒールを掛ける。
なんでアクアは嬉しそうにしてんだ。
すると、ソファーで寝てためぐみん達も口を開く。
トウカ「おかえり、カズマ。それで、ダクネスは何でアルダープと結婚する事になったんだ?」
めぐみん「またロクでもない一言でも言いましたか?」
朱翼「大丈夫ですか?」
トウカ達がそう言う。
すると、カズマは2階の自分の部屋に向かいながら、叫ぶ。
カズマ「あいつの事はもうほっとけほっとけ!泣きついてくるまで放っておけ!俺はもう知らねえ!後は任せる!!」
カズマは、そんなふうに不貞腐れた様な言い方をする。
何があったんだ?
すると、アクアとめぐみんが口を開く。
アクア「えー……………。ダクネスにこの子が生まれたら小屋を作るのを手伝ってもらう約束してるんですけど……………。」
めぐみん「カズマ、何があったか知りませんが、不貞腐れてる場合ですか?というかダクネスは、そもそもどんな理由でお嫁に行かなくてはならないのですか?」
2人はそう言う。
確かに、どんな理由なんだ?
すると、カズマは答える。
カズマ「借金だよ!あいつん家には、莫大な借金があるんだとよ!それで、領主と結婚すればその借金がチャラになるんだとさ!」
朱翼「借金?ダクネスのお家が?」
トウカ「どうなっているの……………?ダクネスの家は、かなりの大貴族よね?」
湊翔「分からん……………少し、調べてみるか。」
めぐみん「う……………お金ですか。一体、どれ程の借金かは分かりませんが、実家に仕送りをした後なので、私の持ち金なんて、たかがしれてますし……………。」
カズマがそう叫ぶ中、俺たちはそう言う。
ダクネスの実家のダスティネス家は、王国の懐刀と言われていて、アルダープに借金をする様な家とは思えんが……………。
アルダープの事を調べてみるか。
すると、アクアが口を開く。
アクア「しょうがないわね。お金が必要だって言うのなら、私も虎の子の貯金箱を割っても良いわよ?」
白夜「いや、お前、その卵で全額使ったんじゃないのか?」
武劉「それに、貴族から借りたとなると、アクアだけの金では、どうにもならないはずだが。」
アクアがそう言うと、話を聞いていたのか、白夜と武劉がそう言いながら現れる。
確かに、俺たちのお金では、焼け石に水だろうからな。
すると、カズマは大きく叫ぶ。
カズマ「あいつが決めた事なんだし、もうほっとけ!俺はあいつが泣いて謝って頼んでくるまで絶対何もしないからな!」
めぐみん「カズマ、拗ねている場合ですか!?ダクネスがお嫁に行っちゃうんですよ!?本当にこれで良いんですか!?」
カズマがそう叫ぶ中、めぐみんはそう叫ぶ。
本当に、何があったんだ?
その後、アクセルの街は、お祭り騒ぎとなっていた。
ケチで知られるアルダープが、金を出して、お祝いムードを作っているらしい。
その結婚式は、一週間後を予定しているらしい。
俺は、カズマと一緒に商品開発をしながら、アルダープの事を調べていた。
それには、トウカや朱翼、白夜と武劉も協力してくれた。
そんな中、めぐみんとアクアが色々とやらかしていた。
結婚式まで6日のある日。
ハーゲン「すいません、こちらにサトウカズマ様と桐ヶ谷湊翔様はいらっしゃいますか?」
カズマ「どちら様でしょうか?」
湊翔「あれ、あなたは、ダスティネス家の執事さん…………ハーゲンさんですか?」
カズマが商品開発をして、俺がアルダープの素性を調査する中、初老くらいの執事が訪ねてきた。
確か、ハーゲンという名前の執事だったな。
ハーゲン「お久しぶりです。本日は、お二人に折り入ってご相談がありまして…………。」
湊翔「相談?」
ハーゲン「実は当家のポストに、毎日この様な手紙が投函されまして。」
ハーゲンがそう言うのに対して、俺が首を傾げると、ハーゲンは手紙を渡してくる。
それを見ると、カズマはすぐに土下座をする。
カズマ「すいませんでした!あのバカはちゃんと叱っておきますので!」
ハーゲン「い、いえ、これがエスカレートして領主様の元に送られますと問題になりますので、そうなる前に伺った次第でして。」
カズマが土下座をする中、ハーゲンはそう言う。
ちなみに、手紙の内容は。
『ダスティネス家に告ぐ。とある筋の情報により、近々魔王軍幹部の1人が、アクセルのエリス教会にてテロを行うとの情報を得た。テロ決行日は式当日。直ちに結婚を中止しなければ、式当日には教会に爆裂魔法が炸裂する事になる。どうか、この忠告を受け入れられます様……………。親切な魔法使いより』
との事だ。
十中八九めぐみんだな。
すると、カズマが叫ぶ。
カズマ「めぐみーん!ちょっと話があるからここ開けろ!!」
そんな脅迫状を手に、カズマはめぐみんの部屋へと怒鳴り込んだ。
結婚式まであと四日のある日。
アクア「さあ、続いては!この鞄の中から、鞄よりも大きい初心者殺しが飛び出しますよ!」
カズマ「飛び出させるなそんなもん!何やってんだ、こっち来い!」
アクアがダスティネス家の屋敷の前で初心者殺しを出そうとしていたので、俺たちが阻止した。
流石にそれは危なすぎる。
それからしばらくして、結婚式の日を迎えた。
めぐみん「カズマ、皆!行きますよ!式なんてぶっ潰してやりましょう!……………ふふふ、うっかり魔法が飛んで式場が消滅したり、うっかり魔法が飛んで領主邸が消滅したりなどはよくある事です。」
カズマ「おいやめろ、マジでやめろ。借金背負うどころか、今度こそ本物の犯罪者だぞ。」
めぐみんがそう言う中、カズマはそう言う。
ちなみに、商品開発に関しては、もう作業は終わっている。
すると、めぐみんが叫ぶ。
めぐみん「私の好きな人は、いつまでも腐っている様な人ではないはずです!カズマは!このままあの領主とダクネスが結婚して、本当にそれで良いんですかっ!?ダクネスが、あの領主に好きにされても良いんですか!?」
カズマ「良い訳ねーだろーが!!」
めぐみんがそう叫ぶ中、カズマがそう叫ぶ。
めぐみんは、カズマの罵声に驚き、たじろぐ。
そんな中、俺たちは口を開く。
湊翔「…………調査結果だ。アルダープは好き放題にメチャクチャやっている割には、何故か決定的な証拠が1つも出て来なかった。」
トウカ「不当な搾取に贈収賄、目についた可愛い子や良い女の人をどんな手を使っても物にして、しかも、飽きたら少ない手切れ金を渡してポイで、被害女性も頑なに口を閉ざしてるわね。」
白夜「何でこんなにやってんのに、決定的な証拠が出てこないのかが謎なんだよな。」
朱翼「そうですね。」
武劉「改めて見ると、本当にクズだな。」
俺たちは、調査結果を報告する。
アルダープって、本当にクズだな。
その為、ベルゼルグ王国でも、アルダープを持て余している様だ。
それで、ダクネスのお父さんは、アルダープの悪事の決定的な証拠を得る為、お目付け役として派遣されたらしい。
すると、めぐみんが口を開く。
めぐみん「でも、尚更放ってはおけませんよ!カズマならどうにかなりませんか?」
カズマ「無理だ。まず、ダクネスの借金の額が分からない。次に、借金の額を調達しても説得出来ない。そして貴族同士の結婚で、警備も厳重。結婚式にも乱入出来ない。」
湊翔「シエロの親が貴族らしいから、どうにか出来ないか頼んでみたが、アルダープが手を打ってたのか、ダメと言われたらしい。」
めぐみんがそう言う中、俺とカズマはそう言う。
そう。
ある日、聞かされて驚いたのだが、シエロの実家は、エルロードという隣国の名門貴族、ロイエンタール家の長女だそうだ。
その為、それを使って式に手引きしてくれないか頼んだのだが、アルダープに断られたらしい。
その後、めぐみんは出かけた。白夜と武劉、朱翼も着いて行かせて、方針が決まり次第連絡する手筈になっている。
アクアは接客中らしい。
俺達が作った物を纏めていると。
バニル「へい毎度!頼りにならない女神を差し置き、見通す悪魔が助けに来たぞ!我輩の登場に泣いて喜び踊り狂うが吉と出た。さあ!貴様らの持てる知識の数々を見せて貰おう!」
そんな風に、バニルが叫びながら現れる。
少しは空気を読めよ……………。
すると、カズマは口を開く。
カズマ「おい、美人店主を連れて来い!チェンジだチェンジ!こんだけやさぐれてる時に何でお前と商談しなきゃなんないんだよ!美人店主へのチェンジを希望!ウィズ!ウィズが良い!」
バニル「奴は今頃、もう少しだけ寝かせてほしいと泣きながら、売れ子をしておるわ。『涙ぐみながら働く店主さん可愛い』『商品が売れて嬉し泣きしてるのか!もっと買おう!』などと、予想外の効果も表れホクホクである。それに、あの負債生成装置にまともな商談ができるものか。昨日も少しだけ仏心を出して休憩を与えたら、ちょっと目を離しただけで、これはカップル冒険者に売れますよ!とか言って、このペンダントを仕入れてきたのだ。」
カズマがそう叫ぶ中、バニルはそう言いながら、ペンダントを取り出す。
トウカは、それを少しだけ興味深そうに見る。
トウカ「これ、何のペンダント?」
バニル「これを着けている者が瀕死の重傷を負うと、その最後の命を燃やし、爆発するペンダントである。コンセプトは、『最後の時には、命を懸けて大切な人を守れる様に……………』だそうだ。ロマンチックじゃないですか?などとキャッキャと喜んでいたが、威力が強すぎて、敵どころか守るべき愛する人とやらも皆まとめて吹っ飛ぶという、もう店主の商売センスがどうなっているのか疑いたくなる一品である。お一つどうか?」
湊翔「いらねぇ。」
本当にいらねぇな。
ウィズの商売センスは本当にどうなっているんだよ。
すると、カズマが口を開く。
カズマ「それよりお前、助けに来たって言ったが、どういう事だよ?」
バニル「その件は後だ。まずは商品をキリキリ出すべし。我輩の目利きでズバリ適正価格を見抜いてくれよう。……………とまあ、そんな事を言っても我輩はすでに、貴様らが納得するだけの金をここに用意してあるのだが。」
カズマがそう聞くと、バニルは小さな黒い鞄をポンと叩く。
効率が良いな。
カズマ「と言っても、俺が取引に応じるかは分かんないぞ?これは俺に残された知識の集大成だからな。当然安売りする気なんてないからな?」
バニル「助けに行きたくて行きたくて、しかし助けに行ってバッファに拒絶される事を恐れる男よ。見通す悪魔バニルが宣言しよう。貴様とギーツは全ての知的財産権と引き換えに、この鞄の中身を所望する。」
カズマがそう言う中、バニルは全て分かっていると言わんがばかりにそう言う。
本当に、見通す悪魔は厄介だなぁ。
バニルが数々の設計図やら試作品などを詰め込む中、俺はバニルに聞く。
湊翔「なあ、バニル。お前、色んな事が分かるんだろ?」
バニル「うむ。全てとは言わんが、大概の事が見通せるな。例えば、今から貴様らが聞きたがっている事も勿論分かる。バッファが何故、領主に莫大な借金をしたのか。助ける方法は無いのか。なぜあの領主は、あれだけの事をやらかしているのにも拘らず、証拠の一つも出ないのか。」
俺は、世間話をするかの様にバニルに聞くと、バニルはそう言う。
すると、トウカが胡散臭そうな視線をバニルに向けながら言う。
トウカ「……………あんた、悪魔の。」
バニル「悪魔のくせに、なぜ貴様らに協力的なのか。何か企んでいるんじゃ無いか、……………などなど。勿論、企んでいるぞ。なにせ我輩悪魔だからな。だがまあ、今回の件では貴様らと利害が一致した。だからこれだけ協力的なのだ。例えば、もしもの為に貴様が手元に置いておきたがっている高値で売れそうな様々な権利も、この際まとめて安く売ってもらおうとな。」
トウカがそう言う中、バニルは食い気味にそう言う。
本当、敵に回したく無いよな、バニルって。
カズマ「そんな物、俺が売らないって言えばそれまでだろ。それより、俺が聞きたい事分かっているのなら、勿体ぶらずに教えてくれよ。」
バニル「良いだろう良いだろう。では、今貴様らが知りたがっている事を教えてやろう!そう、ウチの店主の今日の下着の形と色であるな!フハハハハハ、なんつって……………おや?タイクーン以外しか、美味な悪感情が湧いてこないな。」
カズマ「それはそれで後で聞きたいからです。」
バニル「そ、そうか……………。では、本当に貴様らが知りたい事を教えてやろう。あの娘が何故借金をしたのかと言うと……………。」
アクア「『セイクリッド・エクソシズム』!」
カズマがそう言う中、バニルはそんな風に言う。
そんな事を暴露するな。
カズマがそう言うと、バニルが珍しく動揺するが、すぐに説明しようとする。
だが、アクアの魔法により、あっという間に崩れる。
カズマ「ちょっ、バニル!お前大悪魔なんだろ!?大丈夫だ、お前ならあんなトイレの女神の攻撃じゃ終わらないだろ!おい、しっかりしろよ!」
アクア「ああっ!?ちょっと目を話した隙に、カズマが悪魔に洗脳された!?ねえなんで悪魔の味方してるの!?それに私、水の女神よ!」
湊翔「アクア、空気読めよ……………。」
カズマがそう言う中、アクアはそう叫び、俺は呆れ声を出す。
空気を読んでくれよ……………。
トウカは、何とも言えない微妙な表情を浮かべていた。
すると、バニルの体が再生される。
バニル「フハハハハハ!不意打ちとはやってくれるな、チンピラ女神、我々悪魔と変わらんでは無いか!見ろ、我輩のかっこいい仮面にヒビが入ったわ!」
アクア「ヤダー、悪魔なんて害虫と一緒じゃ無いですかー!あんた、害虫駆除する時に一々、これから駆除させて頂きます申し訳ありませんなんて断るの?バカなの?プークスクス!」
二人は睨み合いながら、お互いに罵倒していく。
そんな中、俺は二人を仲裁する。
湊翔「二人とも、それは別の日にやれ!今はバニルの話を聞くのが大切なんだ!」
俺がそう言うと、アクアは渋々引き下がる。
それを見ていたハーゲンは、アクアに何かを話しかけて、そのまま去っていく。
そんな中、アクアが超至近距離でバニルを睨む。
バニル「凄くやりにくいのだが。…………さて、神が隣に居るのにも関わらず、神頼みすら出来ない哀れな男よ。貴様らが知りたいのは、バッファの借金の経緯だったな。事の発端は、貴様ら冒険者が機動要塞デストロイヤーを倒した事に起因する。」
バニルが世間話をする様なノリでそんな風に言う。
………………え?
湊翔「それはどう言う事だ?」
バニル「どういう事かと言われても。今までの街ならば、デストロイヤーにより蹂躙され、領主は土地を失う物だ。街の住人は焼け出され、領地を失った領主も貴族も責任を取らされ、皆仲良く路頭に迷う。むしろ、根無し草な貴様ら冒険者達には、その方が良い結末だったのかもしれん。だが……………この街は、そうはならなかった訳だ。」
俺がそう聞くと、バニルは勿体つけるでもなく、淡々と言う。
それに関しては、良いんじゃ無いのか?
俺とカズマのそんな感情までも見通しているのか、バニルは再びニヤリと笑う。
バニル「街自体は助かった。街中で商業に携わっている者たちは、結局何の被害も受けてはおらぬ。ほとんどの住人達もそうだろう。……………そして、デストロイヤーは街の目の前で倒された。すると当然、穀倉地帯や治水施設は破壊されて蹂躙された。」
トウカ「……………最小限なんでしょうね。それでも。」
バニルはそう言う。
すると、トウカは微妙な表情を浮かべ、そう言う。
被害自体は、最小限に抑えられたんだが、無事では済まないだろうな。
バニル「農業に携わっていた者達は、穀倉地帯を荒らされ、仕事を、財産を失ったも当然だ。荒らされた穀倉地帯は簡単には復興しない。そして、農業に携わっていた者たちは、領主に助けを求めていたが……。」
カズマ「……………まさか。」
バニルがそう言うと、俺たちは嫌な予感がして、顔を顰める。
まさか。
すると、バニルが口を開く。
バニル「そう、貴様らの予想通りだ!あの領主は、助けを求める人々にこう言った。命が助かっただけでも儲けものだろう、贅沢を言うな。文句があるなら、それは穀倉地帯を守り切れなかった冒険者達には言うと良い。ほら、冒険者達は今、莫大な報酬を得て潤っている。彼らの報酬を補償に充てて貰えば良いだろう?…………と。」
湊翔「マジかよ………………。」
悪代官も真っ青だな。
アクセルの領主なら、見捨てるなよ。
そして、責任を俺たちに転嫁するなよ。
そんな表情を見たのか、バニルが口を開く。
バニル「うむ。今回の件は、責務を放棄した強欲な領主以外、誰も悪くは無いのかもしれない。だが被害に遭った住人達も、このままでは路頭に迷ってしまう訳だ。その者達の気持ちも分からんでもない。天災みたいな物だから、諦めろと言われても無理であろう。領主に補填を断られた者は泣きついた。そう、貴様らと関わりの深いダスティネス一族にな。そして、彼らはこう言った。『一介の冒険者達が洪水で壊した建物の弁償金。その大半を負担した、慈悲に溢れるダスティネス様。どうか、我らにもお情けを』……………とな。」
バニルは、実に悪魔らしい笑みを口元に浮かべて、聞き捨てならない事をサラッと言った。
それを聞いて、全てに辻褄が合う事を悟った。
カズマ「今、何つった?洪水で壊した建物が何だって?」
湊翔「………………まさか、ベルディアの時の洪水被害の借金も、ダスティネス家が負担したのか?」
トウカ「えっ!?」
バニル「ほう、気づいたか。その通りである。ダスティネス家は、屋敷を除くその保有資産の大半を、建物の弁償金に充てた。そしてその時に資産の大半を失ったダスティネスの鎧娘は、それでもデストロイヤーに蹂躙された者達を助けようと、責務を放棄した領主に頭を下げ、金を借りた訳だ。」
カズマがそう聞くと、俺はそう言う。
あの時、ルナはこう言ったのだ。
ルナ『ええと、ですね。今回、カズマさんと湊翔さん一行の………アクアさんの召喚した大量の水により、街の入り口付近の家々が一部流され、損壊し、洪水被害が出ておりまして……。………まあ、魔王軍幹部を倒した功績もあるし、全額とは言わないから、一部だけでも払ってくれ………と…………。』
そう、一部だけでも…………と。
つまり、俺たち以外にも、アクセルの街の洪水被害での借金を負担した者がいたわけで。
バニル「金を貸すのを渋る領主に、こういう条件付きでな。『もし、ダスティネス家の当主に何かが起こり、返済が困難になった場合には、担保としてその身体で』。」
バニルがそう言う中、俺とカズマは、壁とテーブルを殴りつけた。
それに、アクアがびっくりする中、俺とカズマは、無言でアクアに手をスッと出す。
アクア「……………ねえカズマ、湊翔。怒りに任せてテーブルと壁を殴ったら痛かったのね?痛かったのね?」
トウカ「ダクネスの奴………………!!」
アクア「トウカも気持ちは分かるけど、落ち着いて。」
アクアがそう言いながらヒールを掛ける中、トウカは苛立ちを滲ませた言葉を出す。
全てがつながった。
あの無礼な執事は、アルダープからの使者だったのだろう。
ダクネスのお父さんが体を壊した事を知り、借金の催促をしたのだろう。
それで、アイツは借金を何とかしようと、単独でのヒュドラ退治をしようとしたのだろう。
だが、ダクネスを心配して集まってくれた冒険者達を見て、吹っ切れたのだろう。
あいつ、俺が1人で抱えるなって言った筈だ。
トウカを泣かせやがって……………。
俺とカズマは、バニルに聞く。
カズマ「あいつの借金の額はいくらだ?」
湊翔「それを用意出来るか?」
バニル「丁度、お客様2人の資産の半分とこの鞄の中身を合わせると、丁度同額になります。では、商談に入ろうか!」
俺とカズマがそう聞くと、バニルはそう答える。
やっぱりか。
とはいえ、半分で済むのなら、それでも良いか。
一方、別の場所では。
ロキ「アクセルの街に、ラフレシアフォートレスジャマトを二体向かわせた。暴れたいのなら、行ってくると良い。」
武「良いねぇ。ここ最近、動いてないから、暴れてくるぜ。」
闘轟「そうだな。戦いたい相手も居るしな。」
要「そうさせてもらいます。」
遥「ええ。遠慮なく。」
光太郎「行ってくるぜ。」
樹「それで、ロキはどうすると言うんだい?」
ロキ「少し、野暮用があってな。」
ロキがそう言う中、馬場武達も、アクセルの街へと向かう。
樹がそう聞くと、ロキはそう答える。
樹はそれを聞いて、すぐに馬場武達の方へと向かう。
そんな中、ロキは仮面を被った一人の男性に話しかける。
ロキ「……………さあ、行くぞ。」
???「そうだな。さあ、始めよう!ハラハラドキドキするゲームを!」
ロキ「ああ。期待しているぞ、コラス。」
ロキとコラスという人物は、ある土地へと向かっていった。
ロキとコラスが向かった土地では。
???「鹿夫……………。」
ある女性の幽霊が、棺を見ながらそう呟き、その棺の中には、一人の男性がいた。
今回はここまでです。
今回は、ダクネスの結婚式の直前の話です。
ダスティネス家の借金の理由も、判明しました。
アルダープは、本当に最低な人間ですよね。
領主としての責務を放棄して。
そして、馬場武達も動き出し、ロキとコラスも、ある場所へと向かう。
いよいよ、波乱の結婚式が幕を開けます。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
ガッチャードとギーツの冬映画で、ギーツがモンスターマグナムフォームになるみたいですね。
ちなみに、トウカのラウンズ、白夜のライコウ、朱翼のスワン、武劉のダイルも、ケミー化させようかなと思います。
ガッチャードも、波乱の展開になってきましたね。
ドレッドライバーが、デモンズドライバーやヴィジョンドライバーに続く、LED搭載型のドライバーですね。
この小説の今後の展開などでリクエストがあれば、下記のリンクからも絶賛受け付けています。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=302686&uid=373253
あと、湊翔のヒロインであるトウカ、ゆんゆん、リアに関して、どのタイミングでくっつけて欲しいというのがあれば、お願いします。
今後、闘牛ゲームをやる予定ですが、闘牛ゲームで、湊翔の過去を明かしたいなと思っています。
ベロバとの決着も、下記のリンクから受け付けています。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=305236&uid=373253