そのためにも、もっともっとバリバリ頑張りたいんだけどなぁ。
一番大事な仕事?
晴れ空が海のように続くのどかな午前。天馬で飛ぶためにあると思えるくらい、リキアの気候は気持ちがいい。
見回りから帰ってきたシャニーは、さわやかな風を惜しむようにゆっくり城へと降りていく。
「ふぃ~! 今日も気持ちよかったぁ!」
哨戒に行ったはずなのに、遊びから帰ったような声が出てしまった。
イリアの寒空と違い、リキアは本当に清々しい。いくらでも飛んでいられる暖かさと、心地よい緑の匂いはクセになりそうだ。
気分に任せて天馬から飛び降り、伸びをしていたら後ろから声を掛けられた。
「今日もご苦労。異常はなかったか?」
「うん、ちっとも! リキアは平和だよ」
落ち着いた声でピンときた。振り向いた先にいたランスに、敬礼して報告する。
これで良いのかと心配になるほど、何もしていない気がする。
治安が保たれているリキアには賊がそれほどおらず、本当に空を飛んでいるだけで終わる日さえある。イリアでは信じられないことで、ただただ、こんな世界が本当にあるのだと驚かされる毎日だ。
やはり、道が整備されているから警備しやすく、悪事を働きにくそうに見えた。どれもこれも、リキアは勉強になる。
「……イリアは大変だったのか?」
ランスは心配してくれているのか、故郷のことを聞かれた。
悪く言うつもりはなかったけれど、リキアに比べると色々遅れているのが率直な感想だった。どうしても、言葉を選んでしまってトーンが下がる。
「大変と思ったことは無いけど、賊討伐はほぼ毎日だよ」
「毎日……か」
ロイと同じ反応をされてしまった。どうしてだろう、どこか悔しい。とは言え、仕方ないことだ。
むしろ、リキアから見たら、黎明のイリアはどんな風に映るのだろう。もっと聞きたくなって故郷の状況を話してみることにした。
「リキアみたいに大きな道も整備されてないから、どこでも潜伏できるんだよね。本当に勉強になるよ!」
真っすぐな開けた街道で繋ぐだけで、だいぶ違う気がする。今日もイリアに持ち帰りたいものを一つ手に入れてニコニコが止まらない。
「そうか……。知りたいことがあれば、何でも話すといい」
ランスはいつでもこう言ってくれるし、聞けば親身になって相談に乗ってくれる。一昨日だったかも、質問攻めにしてだいぶ時間を使わせてしまった。
それでも、嫌な顔をするどころか、ひとつ聞けばそこから話を広げていっぱい教えてくれるおかげで、楽しくて時間を忘れてしまう。
「えへへ、ありがとう! 頑張って本も読んでるからね!」
彼が貸してくれたリキアの戦術書や地理本は、20巻以上あって最初は読めるか不安だったものの、眠い目をこすりながら何とか半分までは読み進めたところ。
少しずつリキアのことが頭に入ってくるようになったのは、ランスがあれこれ相談に乗ってくれるおかげ。
「ねえねえ。ランスさんって、何でそんなに優しくしてくれるの? あっ、もしかして……」
天馬隊はランスの第二騎兵隊配下ではない。それでも、彼はいつも声を掛けてくれる。今日だってそうで、兄か何かのような優しさに映った。
年上の男性にこんな風にしてもらえたのはディーク以来だろうか。興味津々を向けてみたが、ランスは小さくふっと笑うと、変わらないトーンで返してきた。
「ロイ様をお守りする同士として、当然のことをしているまで。特段、優しくしているつもりはないが」
彼は、騎士としてノブレス・オブリージュを果たしているだけだと言うのだ。感動して、気づいたら手を結んでわあっと声が出ていた。
(クールだなぁ、それに比べてアッチは……!)
あの赤い騎士にも、少しランスを見習って欲しかった。今日も出撃しようとしたら捕まって、開口一番稽古だったのだ。
彼は彼で、ロイを守るためと一生懸命になる姿は尊敬できるのは間違いない。とは言うものの、加減が辞書に無いのかぜんぜん容赦してくれない。彼に付き合っていたら、午前中でこっちのスタミナを空っぽにされてしまう。
その時、ふいに向こうでアレンのくしゃみが聞こえてきて、思わずぷっと笑う。
「カッコイイなぁ! ランスさんってホント、騎士! って感じする。あたしも見習わなきゃ」
ランスのような、皆に頼られる優しい騎士になりたい。心の底からそう思える。彼は視野が広いし、仲間にも頼られていて理想像にさえ映った。
そうやって褒めても、ランスは静かに笑って見せるだけ。
「いや、君も騎士そのものだ。民を想う気持ちは強く伝わってくる。色々と教えたくなるというものだ」
「ランスさんにそう言って貰えると嬉しい!」
憧れの人が褒めてくれて、舞いあがってしまったのがマズかったか。飛んで跳ねて喜んでいたら、ランスが渋い顔をしはじめたではないか。
叱られるのかとハッとしたが、彼は思わぬことを口にした。
「不思議だ。なぜ、これ程の意志を持った者を、国外に出そうとしたのか。国にとって損害でしか無いはずではないか」
「……あたしにも分かんない」
ランスの口ぶりだと、十八部隊がここに来た理由をある程度気付いているのかも知れないが、それは口にしたくない。今リキアにいるのは、イリアに足りないものを学ぶために他ならない。
「でも、遠くても、想わない日はないよ」
自然に北の空を見上げ、心の中で祈る。
こうするのは日課になっていた。
イリアを出て三か月弱、皆は無事だろうか。賊は沈静化しているだろうか、イドゥヴァはきちんと国力向上活動をはたして継続してくれているだろうか。作物の実りは、イリア風邪は……とにかく、心配が尽きない。
「我々は今、ロイ様にお仕えする騎士。君の気持ちは分かるが、ロイ様をお守りすることを第一に考えてくれ」
ところが、ランスの声に視界を呼び戻された。
口調は変わらず優しくとも、言葉が厳しくなったのが分かる。
見上げたら、やはり先ほどより強い視線が突き刺さって思わず息をのむ。
(ありゃ。もしかして、叱られた?)
ストレートに受け取ると、故郷に現を抜かすなということになる。
さすがに厳しい人だ。それでも、すぐに手を挙げてはきと答えた。
「もっちろんだよ! ロイ様を支えたいって、ずっと思ってたんだ」
経緯はどうあれ、ようやく夢が叶った今は毎日が楽しい。
ランス達も良くしてくれて居心地はいいし、故郷を考えなければ、ロイの言葉に甘えて永住してしまいたいくらい。
もう少し仕事があれば言うこと無し……そう言いかけたのを読んでいたかのようだった。
「君にしか出来ないことは、たくさんあるはずだ。城の護りは我々に任せ、ロイ様のお望みを叶えてさしあげてくれ」
ランスから返ってきた思いがけない言葉は、雷でも脳天に落ちたようで、口から何も出てこなくなった。
嬉しいことを彼は言ってくれたはずなのに、心をジンジンと火で焙るようにそわそわさせる。思った通りになってしまったのかもしれない。
(うわ~、これ、この前のコト言ってんのかなぁ……)
城の護り……どう考えてもあの夜の話に違いない。
ロイはランスに相談したと言っていたが、さっきの目つき、そしてこの思わせぶりな言葉。やはり怒っているのかもしれない。
無理もない。相手がロイでなかったら、自分だってあんなことはしなかった。
「あの……。──オスティアのこと、ごめんなさい。やっぱり止めるべきだったよね」
あの日は互いにドレスコードを固めて、ただでさえ天馬に乗るには危険だと承知していたのに。馬上はロイと二人きりになれる貴重なひと時。それをロイから提案されて浮かれてしまった。
もう一度提案されても、きっと同じ反応をしてしまうに違いないが、騎士としては失格と言えるだろう。
でも、ランスは「謝る必要はない」そう言って続けた。
「ロイ様は君を信頼なさっている。それに君は応え、なすべきを果たした。違うか?」
「えっと。うん。頼りにしてもらえるのは、うれしいよ」
「なら、これからもロイ様のお気持ちにお応えすべきだろう。それは、君にしかできない」
怒っていないと分かってほっとしたのは束の間だった。ランスの言葉に心臓が飛び出しそうになった。
「ロイ様がお望みなら……我々を気にせず、その通りお呼びすると良い」
「えっ……?!」
目が飛び出しそうになり、聞き間違いかと反射的にランスを見上げてしまった。
初日に、槍で串刺しにするような目で見てきた人が言うセリフとは、とても思えなかった。もしそれが出来るなら、どんなに嬉しいか。
にもかかわらず、今はその喜びよりも驚きばかりが湧き上がって、あんぐり開いた口をどう閉じていいか分からなくなっていた。
(ランスさんがこんなこと言うなんて……)
そういうことには一番敏感だと思っていた。
嬉しいはずなのに、どこか急に怖くなってきてしまう自分がいて、気づけば、ストップをかける言葉が口から飛び出していた。
「で、でもさ。あたしみたいな傭兵なんか──」
そこまで言いかけたところで、口に指を立てられた。
「それはロイ様が一番お嫌いになる言い方……そうでは無かったか?」
「そ、それは。それは……──そうだけど、さ。でも……」
なぜなのだろう。どうして嬉しいのに、夢が叶うのに、こんなにも前に踏み出せないのか。自分でも分からずに先を言えないでいたら、先にランスから問いかけられた。
「君は先ほど、ロイ様をお支えしたいと言ったな?」
「う、うん」
何を言われているのかいまいち分からず、唇に手を当てて考えようとした時だ。
「そんな君が覚悟を決めぬ態度では、ロイ様を危険に晒しかねない」
(あたしが……ロイを危険に? そんなの……)
びくっと肩が跳ねた。支えたいと思っているはずなのに、自分がロイを危険にさらすかもしれない。それをランスに言われてしまうと声が震える。
そんなの絶対嫌に決まっている。どうすれば良い? いつの間にか、彼をじっと見上げていた。
「ロイ様にとって、君は心の支え。我々は気にせず、ロイ様をお支えしてくれ。その気持ちがある限り、私は、いや我々は君の仲間だ」
仲間──その言葉は勇気をくれた。
喜ばせてあげたくても、なかなか一線を越えられないこともたくさんあった。その背中を、ランスは押すと言ってくれたことになる。
(あたしにしか出来ないこと……うん、そうだね。ロイが喜ぶなら……)
傭兵の自分なんか──それがまず浮かんだが、すぐに払った。ロイも、ランスも、自分だから出来るものを求めている。
憧れの人を支えること、その夢が今叶ったのだ。
何を出来るのかまだ見えないが、とにかく頑張ろうと、ランスへうんうんと頷いてみせた。
「ありがとう、ランスさん! 色々叱ってよ、頼りにしてる」
何だか新鮮な気持ちだった。
天馬騎士団にいたときは、こんな感じに騎士の心得をアドバイスしてもらえることなんて無かった。不思議とこの人の言葉なら、口答えせずに素直に聞けそうな気がしてくる。
やっぱり、憧れる。こんな頼りになる騎士になりたいと、改めて思える人だった。
「でさ、もっとお仕事したいんだけど、他に無いの? 奇襲とか、防衛戦とか」
さっそく出来そうなことを探して元気よくアピールしてみるのだが、ランスは首をかしげるだけだった。
「そんな任務を毎日こなすのか? イリアは」
「毎日じゃないけど、いろんな任務があるよ。訓練の種類も多くてさ」
「たとえば?」
「変わったのだとね、んー……あっ、拷問を受けた時の訓練とか? お任せ! とは言いたくないけど……」
「リキアでは拷問は禁止されている。機会は無いはずだ」
貴族が領土を管理するリキアは、そうそう大規模な戦闘が無いらしい。やはり、リキアはいろいろな意味で進んでいるように聞こえる。
とは言え、聞けば聞くほど、今度は何をすればいいか分からなくなってきた。
「私から指示することは特にない。自己研鑽に努めると良い」
「じこけんさんって……」
首をかしげてしまった。まだ午前なのに、ここから決まった仕事はないし、他に貢献したくても、これ以上は必要ないと言うのだ。
傭兵が出撃もしないで、どうやってロイを喜ばせてあげればいいのだろう。
どこか、動いていないと落ち着かず、望んでいたはずの平和が息苦しく感じた。
◆◆◆
「……で、暇でしょうがなく稽古に来たってわけか」
見まわり以外の仕事は見つからずじまい。
天馬でフェレ領を三周したシャニーは、中庭の隅にある武器庫の前で、ユキと剣の稽古に精を出していた。
シャニーの振る木刀を軽い剣さばきで受け止めるユキから、片手間で済ますなと言わんばかりの嫌味が漏れる。
「そんな言い方しなくたっていいじゃん!」
ムスッと口を尖らせる。一生懸命やっているのにあんまりだ。
ちょっと強めに振り下ろし、いい感じにヒュンと音を立てた一振りも簡単に弾かれた。
「ま、早く中伝あたりまで行ってくれないと困るし、丁度良いさ」
やっと上手く鋒を使えるようになってきたのに、ユキはちっとも褒めてくれなかった。口を開けば早く中伝……そればかり。
騎士剣から太刀への転向は思った以上に難しい。ユキやセチが付きっきりで指導してくれる時間を無駄にはできない。これこそ自己研鑽というヤツだ。
「なんて言うか物足らないっスね。全然仕事無いッスよ」
稽古を眺めていたミリアがため息交じりに混ざってきた。
彼女はよほど暇なのか、相棒のクロスボウをバラしはじめている。丁寧に薬品で拭いたパーツを合わせ、パチッと良い音をたてる相棒へ、ニッと満足そうな笑みを浮かべていたのは束の間のこと。
「こうやってメンテしても、仕事が無いんじゃ緊張感が無いッス」
「ね。見回りだけじゃ、なんか仕事した気になれないよ」
リキアは平和だ。こうして剣術を磨いても使う機会が来るのか疑問なくらい。
こんな風に出撃もせず、城の中でノンビリしていると罪悪感さえ湧いてくる。
ロイに雇われて最初の一週間は、身近なことを覚えるだけであっという間に時間が過ぎた。
6月に入って騎士団にも慣れ、そろそろ傭兵としてちゃんとした仕事をしたい。そう思って今朝もランスに聞いたはずが、答えは拍子抜けだった。
(こんなんでロイの役に立ててるのかな……)
ようやく夢が叶い、ロイを支えるのだと意気込んできた。それが、何も貢献できていない気がする。
ランスの期待にどうしたら応えられるだろう。考えれば考えるほど、水の中で振っているように太刀筋がバラけていく。それがいけないと分かっていても、強く打ち付けるユキの剣に何度も意識を引き戻される。
「イリアが異常なんだよ。早く慣れることだね」
にべもないユキの答えは困惑を膨らませるだけ。鋭く切り上げてきた彼女の剣に木刀を弾かれそうになった。
リキアの様子やランスの反応で気づいてはいた。だからと言って、慣れてしまっていいのだろうか。イリアに帰ったらそれでは済まないし、もっとやるべき仕事がある気がする。
「それに、あんたには見回り以上に大事な仕事があるはずだ」
今、まさに考えていたことを、声が聞こえていたみたいに読まれた。
ユキの問いかけに手元が跳ね、危うく木刀を弾かれるところで手首がしびれる。
(あたしの一番大事な仕事……。うん……)
ずっと心の中に渦巻いていた。
それが何かは、言われなくたって分かっている。そのくせ、他にやるべきことを必死に探そうとしている。
────ロイ様にとって君は心の支え
ランスに言われ、あらためて自分だけの仕事を認識できた。
ロイの為なら思うままに振舞えと背中を押してくれた今、ずっと彼の傍にいれば良いはず。
今まで踏み出さなかったその先。せっかく道が開けたのに、今度は踏み出せずにいる。何をためらっているのか……考えに耽っていた時だった。視界が勝手に宙を滑る。
「脇が甘い!!」
「ぐえっ?!」
まともに息が出来ない。気付いたらトマトでも踏みつけたような潰れた声が飛び出していた。直撃を喰らったか。
激痛と共に宙へ放り出された体は、武器庫へガシャンと突っ込んだ。
「いたた……」
喘ぎながら頭を擦る。
どこからかカラカラと妙な音がするが、もうもうと埃臭く目を開けられない。
「って!! あわわわわぁ?!」
体を起こそうと見上げた視界に入ったものに、堪らず悲鳴を上げた。
ばたばた四つん這いのまま飛び出した直後、バランスを崩した槍が積み重なるように降ってきた。爆風が噴き出すように広がる土煙に押し出され武器庫から弾け飛ぶ。
「ふにゃあ……」
間一髪で雪崩から避難し、しばらくペタっと大の字になっていた。
直撃を許したのはいつぶりだろうか。いろいろな意味であやうく死ぬところ。
「もうっ、そんな本気出さなくてもいいじゃん!」
ばっと上体を起こして目を三角にする。
木刀だって下手すれば死ぬことだってあるのに、ユキは謝るどころか、刀のような眼光であっさり斬り返してきた。
「颯閃一刀流に防御は無いんだ。覚悟を決めなきゃ死ぬぞ、あんた」
狙われたのは間違いなく急所だった。殺す気かと思ったが、ユキから投げつけられた言葉にごくっと息を呑む。
さっきランスに言われたそばからこれだ。きゅっと口を閉じるとそのまま剣は下を向いてしまった。
(覚悟……。でも、でもどうしたらいいの、あたし……)
剣を振りながら考えて、ちょっとだけその理由が分かった気もする。
だけど、夢から醒めてしまったら、もうロイの傍にいられない気がして心が千切れそうになる。もしかしたら、ルシャナ達の人生だって変えてしまうかもしれない。
(あたしみたいな傭兵が……)
ロイの望みを叶えてあげたい。でも、それが本当にロイの為になるのか? その自問を跳ね返せなくて下唇を噛む。そのときだ。
「──ッ!?」
体が勝手に反応した。襲い掛かってきた上段を何とか受け止め、木刀同士の弾ける高い音が響く。
「あんた、何を悩んでる」
「え……?」
ギリギリとした鍔迫り合いの向こう側、黒髪の奥からギョロっと睨んでくるユキに問われて息が詰まった。
「前も言ったはずだ。相手の剣はどうにも出来ない。あんたがどうするかだけだよ」
びくっと目が震えた。
なぜユキが知っているのだろう。ハッと仲間へ視線を移せば、慌てて目を逸らすミリアの姿が映る。
「ちょっと、見回り範囲広げてくるよ!」
とても稽古などしていられる気分ではなくなって飛び出した。
空へと翔けあがる。
どこまでも続く、淡色の向こう側をぼんやり見つめているうち、ぽつりと零れた。
「どうするのが一番良いか……それが分かんないんだよ……」
したいことは決まっている。求められているのが何かも気づいている。
だけどそれらが、本当の意味でロイを支えることになるのだろうか? このまま……夢は夢のまま、醒めないままでいたほうがいいのではないか? 夢から醒めたら、きっと起こるそれは……──許せない。
何が最善なのか、今日も踏み出せないまま一日が終わってしまった。
この章はロイシャニを中心に進めていきます。
原作では、ロイと結ばれる可能性がある女性は複数います。
他の女性は明確に〝結ばれた〟と後日談にあるのに対し、実はシャニーだけはその記載がないのです。
支援でのロイのアプローチもストレートなものではなく、
後日談でも
もしかしたら、仕える道を選んだのでしょうか?
三章は、そんな含みのある後日談をもとにしたものとなっています。
表紙はpixivのるーいんさんからお借りしています。