だが、そんな時間は真夏のスコールのようにある一通の手紙によって吹き飛ぶのだった。
もくもく雲が伸びる真っ青な空の下、孤児院には爽やかな風が吹き抜けていた。たとえ日差しが厳しくとも、これほど元気に風が吹いていると汗もすぐ乾いて過ごしやすい。
そんな心地よさも手伝ったのだろうか。はしゃぎ声を上げながら、1人の少年が部屋から飛び出してきた。彼は風を切って縁側の通路を駆けていく。
「待てーッ、コラー!!」
その直後、修道服姿の大きな子供が、怒声を上げながら部屋の扉を突き破ってきた。
全力で廊下を突っ走り、シャニーは曲がり角でさえ勢いを殺さず横滑りで抜けて加速する。反対から歩いてきたシスターを旋風に巻きこみながら、少年が作った風さえ掻っ切る勢いで追跡していく。
「はあ、はぁ……。クッソー! 何なのよ、あの逃げ足! まさかあたしの上を行くヤツがいるなんて……」
それでも相手が上手だった。
忽然と消えた少年を、しばらくきょろきょろ見渡して探すも見つからず、シャニーは地団太を踏んだ。
動乱で慰問に訪れたときにもいた連中が、どうやら顔を覚えていたらしい。あのとき同様にイタズラを仕掛けられては、こうして追い掛け回している。
(ぐぬぬ~! ……ま、あたしはもう大人だし、今日はこのぐらいにしといてやろっと)
こんなところに独りでいてはまた狙われかねない。仲間の許へと戻るしかなさそうだ。
回廊を抜けて中庭に出ると、隅で座り込むミリアとレンを見つけた。ちょうど建物と聳える大きな木の影に彼らは座っており、周りにはたくさんの子供たちがいる。混じり気のないはしゃぎ声が駆け回り、離れていても楽しげに聞こえてくる。
「二人とも大人気だね」
正直、ミリアたちが羨ましい。
彼女たちは上手く子供を叱りながら遊んでいて、ワガママを言って悪さをする子がいないのだ。自分が言ったところで、口答えで済まずに挑発までされるシャニーにとっては、どうしてこうも違うのか不思議だった。
「なんだか、夢が叶ったみたいッス」
「夢?」
「ウチ、ホントは先生になりたかったんスよ。こうやって囲まれてると、楽しいっていうか」
「へぇ……ミリアが先生かぁ」
ミリアから納得の答えが返ってきた。叱り方が上手なのも、きっと子供が好きゆえなのだろう。
それにしても、彼女の夢をこんな形で聞くことになるとは。何より意外だ。暇さえあればクロスボウをこれでもかと改造して、悦に浸っているような人間なのに。
「今でも目指してるの? 先生」
「うーん……。あっ、今は天馬騎士が天職だと思ってるッスよ」
「天馬騎士というより、十八部隊ね」
レンの自然なフォローが、心に清々しい風を吹き入れてくれた。
リキアについてきてくれた皆の気持ちを疑うわけでは無いが、不安が無いと言えば嘘だ。部隊として、部隊長として、ちゃんと先陣切ってやれているのだろうか。
この部隊を天職だなんて、そんな不安に風穴を開けてもらえた気持ちだった。
「フフフ、十八部隊より素晴らしい部隊などないさ。世界ひろしと言えどね」
ついつい気持ちのままが口から出てしまった。
もちろん言葉に偽りはない。イリアでも民に寄り添う唯一の機能としてどの部隊より飛びまわっていたし、このリキアでも勲章をもらえたのだから。
それでも、ミリアとレンは眉を下げながら顔を見合わせている。
「スイーツ以外でも壊れちゃった」
「マンガか何かに出てきたんスかね」
二人とも呆れたように苦笑いして全然乗ってきてくれない。
木にもたれて本を読んでいたルシャナからも、今にも何か言いだしそうな冷たい眼差しがジトっと飛んできたではないか。
堪らず彼らに背を向けたときだ。少年が居り、じっと見上げてくる彼と視線がぶつかった。
「なあに? まさか、そんな弓でこのシャニーを倒そうって?」
少年の手には木の枝で作ったかわいらしい弓が握られていた。矢はもちろん無いものの、彼は毛糸で作った弦を引きながら目を眇めて狙いを定めてくる。
「はっはっは! 受けて立とう!」
両手を腰にあてて強気な笑みを浮かべたシャニーは、少年の指先を目で射る。
「見切った!」
今の動きならば、本物であってもかわしていただろう。
少年の指が動いた瞬間、全身のバネで跳ね飛んだ。シャニーはおもちゃの弓を相手に、本気の動きで避け続ける。
最初こそ拍手していたミリアの顔には、すぐに困惑が浮かび始めた。
「ビュッ、ビュッっ!」
少年もむきになったのか、声をあげてどんどん弓を射って見せるものの、シャニーの動きは激しさを増すばかり。
妖精が宙で弾けるような電光石火を前に、少年は息が上がったらしく弓を下した。
「ふふん、その程度でこの『妖精』を倒そうなど100年はやーい!」
全然当たってくれない……少年はそんな顔で口をあんぐりさせている。その前で勝ち誇った笑みを浮かべながら得意げにするシャニーに、ミリアたちは呆然としていた。
「シャニー……いじめちゃダメ」
「本気には本気で返さなくちゃね」
仕返しと言わんばかりに、背後で少年が何度も射るポーズをして見せて逃げて行ったことに、シャニーは気づいていないらしい。
妙に格好をつけるシャニーに、返す言葉に困ったのかレンは眉をひそめている。
「大人気ないのはいやだねー」
ルシャナまでもが嫌味を言い出し、いつの間にか蔑視に囲まれていた。
とんでもない誤解と言わざるを得ない。みんなは知らないだけなのだ。ここにいる子供たちの真の姿を。見習い時代はやられるばかりだったが、今回はそうはいくものか。
「この孤児院の子たちはなかなか手強いからね。手を抜いたら失礼ってもんさ」
口での挑発やスカートめくりなど生ぬるい方で、落とし穴やら寝込みを狙った落書きにと、とにかく枚挙にいとまが無いくらい凶悪なのだ。
隙を見せればこちらがやられる。そんな世界にいるはずなのに、「失礼ねえ……」とルシャナの目つきはさらに怪訝そうに細くなった。
「おおかた、またオモチャにされてたんだろ?」
ズキンと頭が揺さぶられて時が止まった。
もう言い当てたつもりらしく、ルシャナは素っ気なく視線を本に戻してしまっている。ミリアたちまでもが「またか」と、今にも言い出しそうな苦笑いを浮かべるものだから、頭より先に口が動いていた。
「オモチャなんてそんな! チカンの追跡だよ!」
「やっぱり……」
待っていたようなルシャナの一撃を浴びて、前からも後ろからも飛んでくる呆れた視線に宙づり状態。
振り向けば、本の隙間から刺してくるルシャナの視線はあからさまにもの言いたげだ。それだけで済まず、彼女は口元に含み笑いを浮かべだしたではないか。
こう毎日、毎日、子供から仲間から弄繰り回されたのでは、桃のハートがズタズタになってしまう。
「な、なによ、その顔ぉ!」
「あんた、隙だらけだから狙いやすいだろうね」
「そんなこと──」
反射的に言い返した途端だった。
なにか、こう、お尻がスーッとするような気がする。
油が切れたようにゴチゴチする目で背後を一瞥すると、あってはならないものが見えた。白く、長いひらひらするもの……頭にジュワッと血が上る。
風になびく修道服の後ろでは、さっき逃がした少年が白い歯を見せてニヤついていた。
上った血が火花のように弾けて、頭のてっぺんが吹き飛んだ。
「あいつうー!!」
今度という今度は逃がしてなるものか。このままでは部隊長の立場だけでなく、騎士としての威厳に係わる。
怒声をあげながら、シャニーは風を切り裂いて駆けていく。
もう少しで捕まえられそうなところまで追いつめては、嘲笑うように上手く地形を使って逃げられて地団太を踏む。
そんなシャニーと少年を眺め、ミリアはのんびり両手を挙げて伸びを始めた。
「うーん、やっぱり子供はイイッスねえ」
「ね。しばらくここでお仕事してもいいかも」
イリアとはまるで別世界に転生でもしたような平穏が場を包んでいる。
ずっとここで生きてきたような懐かしさと、受け止めてくれる優しさや子供たちの明るさが、いつまでもこの場に居たいと思わせてくれるのだ。
温かく穏やかな雰囲気に浸るミリアとレンの前を、烈風が吹き抜けて止まった。
「あたしはムリ……」
早くも息切れを起こし、ぜえはあとシャニーは膝に手を突いた。
なぜ自分ばかりが狙われるのかまるで分からない。このままでは、何の仕事をしているのか分からないくらい。
それでも、子供のスタミナは無尽蔵だ。休む間も無くまたお尻をタッチされ、瞬間的に頭が沸騰して飛び出した。
「楽しんでるねえ」
どこに行ってもおもちゃにされ、ムキになって叫ぶシャニーの声を聞きながら、ルシャナがまた読書に目を落とした時だった。
ふいに遠くから叫び声が聞こえてきた。シャニーの怒声とは違う、どこか焦りを含んだ息遣いに誰もが振り向く。
「たいへんだよ! みんなー!!」
駆けた来たルゥの手には、一通の封書が掲げられていた。
◆◆
「宣戦布告が届いたってのは本当なのか?」
単刀直入にディークが切り込む。
シャニーたちはディークも呼び、ルゥの部屋で届いた書状について内容を確認していた。
いつもは穏やかな院長室も、灼熱に突き上げられるような緊張感が包む。
「うん。三日後の朝、日の出と共にって書いてある」
ルゥが差し出した手紙に、さらさらと水を流すように目を通すディークの眉間にどんどんしわが寄る。怒っているというより、困惑しているようにシャニーには見えた。
彼女にとってもそれは同感だった。ディークの脇の下に頭を突っ込み、一緒に手紙を覗きこむ。日時の指定や手紙を送った経緯などが、達筆に記されている。
「なんか、略奪団にしてはきちんとしているというか」
手紙の右下には竜と雷をかたどったと思われる黒塗りの紋章が描かれている。送り主は件の略奪団であり、その頭領からのもの。いわゆる決闘書だ。
こんなもの、貴族間の小競り合いのときにしか見たことの無い代物だ。奇襲や夜襲といった手段を選ばない手合から寄越されるとか気味が悪い。
「自信があるんだろう。ハッ。なら、しっかりもてなしてやんねえとな!」
戦神の血が騒ぐのか、ディークは拳を打ち鳴らして迎え撃つ気満々だ。
予想外過ぎて髪の毛が逆立つようにゾワっと来た。ディークなら回避する方法を考えると思っていたのに、まさか〝もてなす〟なんて。
おかげで戦
「受けて立つつもりなの?! ここで?」
「ボスも来るんなら手間が省けるってモンだろ。件の殺しで知ってることを吐いてもらうにはな」
「でも、ここで受けたらみんなが」
「いや、ここの方が大勢を迎えるには都合がいい。地の利は活用しねえとな」
たしかに、この場で戦えるのはディークと十八部隊の5人だけ。一体どれだけ大挙して報復にやってくるか分からない中で、ただっぴろいフィールドでの野戦は不利どころの話ではない。
拠点防衛は遠距離攻撃と遊撃、そして狭い地形を使って可能な限り相手の物量メリットを潰すことが肝要だ。
問題は、ここが孤児院と言うことだけ。
「なにより、宣戦布告されてんのは手を出したおまえらなんだしよ、しっかり働け」
「言わずもがな、だよ! でも……」
襲撃してきた略奪団の男を返り討ちにしたから、名指しされるのは別に驚く事でもない。
でも、どこか喉に魚の骨でも刺さっているようにすっきりしないのだ。その理由……レンに目をやると、彼女は困惑の眼差しを向けてきた。
直接手を下したシャニーを名指しするのが自然のはずが、銀髪の女に裁きを下す──手紙にははっきりそう記されている。
とはいえ、やることは変わらないし、ディークの言うとおり一網打尽にしてしまえば全部分かるだろう。
どんな作戦で迎え撃つか検討に入ろうとした時だ。ルゥが魔導書を手に席を立った。
「ぼくも戦うよ! みんなだけに戦わせるわけにいかない」
もう一人……頼れる人がいた。
ルゥはリキア同盟軍への参加者の中でも最年少だったが、ベルン動乱でもその正確無比な魔法でただならぬ存在感を放っていた賢者だ。『理の申し子』の二つ名は伊達ではない。
それでも、シャニーは笑みを浮かべながら首を横に振った。
「ううん、ルゥくんは子供たちをお願い。身を隠すのに都合がいい場所とか、詳しいでしょ?」
この場所を戦場にしてしまうのなら、子供たちを守れる誰よりも強い力が側にいて欲しい。
ルゥならあらゆる意味で適任に違いない。子供たちの信頼も、守る力も、そして地の利を活かす智も。
「それに、万が一……俺らがやられた時、あいつらを守れるのはお前しかいねえしな」
ディークが付け加えた最悪に、ルゥは唇を噛んで静かに頷いた。
考えないわけには行かないことではあるものの、そんなつもりはないからこそ口にできるセリフとも言える。現にディークは、心配するなと言いたげにルゥの頭に手をやって励ましてる。
「もちろん絶対勝つけどね!」
念のため付け加えると、ディークはまた脅すようなことを言いだした。
「何より、だ。俺たちは傭兵。てめえの命が一番だからな。逃げるかもしれねえぜ?」
雇い主を試すようなことをするのは毎度のことで、彼なりの流儀のひとつと言えるだろう。
いくら懇意にしても雇い主を過信するな、肩入れするな……見習いのときはそう口酸っぱく教えられたもの。そうした〝臭い〟を嗅ぎ分けて、捨て駒に使うような人間から自分の命を守るのも傭兵として必要なスキルと言って。結局、そのディークもロイに対しては全幅の信頼を置くことになったわけだが。
とは言え、今回の相手はルゥだ。こんな純真な子に言うことではないに決まっている。
「ル、ルゥくん、大丈夫だよ! このオジサン、悪ぶってるだけでそんなこと絶対しないから!」
案の定、ルゥが不安げな目で見上げて来るではないか。
こんな円らな瞳で見つめられては黙っておれなかった。なのに、ディークは相変わらず胡散臭いオジサンを演じている。
「分からねえぜ? それにシャニー、いい加減オジ──」
「お兄さん! お願い! 子供たちのために一緒に戦ってください!」
ついに居てもたってもいられなくなったらしく、ルゥはディークの手を取って今にも泣きそうだ。
するとどうだろう。それまで悪人面していたディークは、まるで魔法をかけられたように目を見張りだしたではないか。
しばらくすると、彼はむず痒そうな笑みを浮かべながら視線を外し、頭をボサボサやりだした。
「ま、まあ俺らも金で動いてるからな。契約金分は最低限働かないとな」
つい直前まで見せていたハードボイルドはどこへやら。
口ではそれっぽい事をまだ言っているが、緩んだ口元だけ見てもまんざらでもないに決まっている。いくらルゥが鬼殺しな瞳をしているとしても、ここまでとろけたディークは見たことがない。
仲間たちもぽかんとして、夢から醒めたような顔をしている。
「この弟子にしてこの師匠ありって言うか……」
「意外とチョロいね。このお兄さん」
なぜかルシャナに横目でチロっとやられ、とばっちりが飛んできたではないか。レンの容赦ない評価の前では、さすがにディークの顔からニヨニヨが飛ぶ。
おまけに当のディークからもギロっとやられるとは。たぶん部下の躾がなっていないとでも言いたいのだろう。今回ばかりは自業自得だ。
ジト目でやり返してやると、彼は咳払いして話をすり替えた。
「そうと決まれば作戦を練るぞ。シャニー、どう動く?」
「え、あたし?」
思わず聞き返してしまってからハッとするが、口に出してからでは遅い。
「ったりめーだ。おまえが部隊長だろうが。俺はお守りだしな」
ディークが側にいると、ついつい傭兵団時代のクセで彼の意見を待ってしまう。
本当は歴戦の傭兵だった彼の意見も聞いてみたいところだが、成長したところを見てもらうチャンスとも言える。
拠点防衛や住民の避難なら、イリアで何度も経験してきた。
「守りが手薄になりそうなとこの補強と、みんなの避難路の確保。あとは、敵戦力の分散……かな」
「ま、そんなとこか」
ひとまず合格点だろうか。本当は「やるじゃねえか」くらいの言葉を期待していたが、ダメ出しされないだけでもレベルアップだ。
段取りが決まるとディークは休む間も無く席を立って出口へと歩き始め、すれ違いざまに彼は肩をポンと叩いて行った。
「事前に対策できるとこはしとくぞ。まずは戦場の下見と行くか」
ルゥたちとの連携をミリアらに任せ、ディークの後を追ってシャニーは部屋を出た。
拠点としてどこに弱点があり、どこが奇襲や迎撃に使いやすいポイントかを見極めることで作戦のポイントが決まると言える。すでに戦い始まっているのだ。
(特に今回は拠点防衛だし、罠の設置とかも考えなきゃだね。隠しやすいところ……あっ、万が一のときのバレないような退避経路も必要だね。バレないトコかぁ……──お?)
そこまで巡らせて、頭の中で繋がった糸がピンと名案を吊り上げた。
「そうだ! 子供たちに聞いてみようよ!」
「なに? ガキどもに?」
振り返って腕組みするディークの目は、続きを催促するようにまっすぐ見下ろしている。
「だって、ここをきっと知り尽くしてるよ。あたし捕まえられなかったしさ」
逃げ足なら右に出る者がいない彼らなら、思いもよらないとびきりを持っているに違いない。これなら、奇襲に罠と、あれだけやりたい放題弄ばれたのも意味があったというものだ。
目をつぶって何か納得するように頷いたディークは、腕組みを解くとシャニーの頭に手を置いた。
「いいアイデアだ。使えるもんは何でも使うとすっか」
シャニーの口元がわっと輝いて、太陽に負けない笑顔が咲く。
今度はちゃんと言ってもらえたのだ。かつては決して褒めてもらえなかった厳しい師匠からの一言は、勲章をもらった時と同じくらい……いや、もっと嬉しいかもしれない。
そんな浮かれる気持ちをたしなめるように、ディークはもう歩き出している。
「とりあえず、まずは俺らの目を使うぜ」
「りょーかい! シショー!」
「やめろって言ってんだろ、それ」
「んー。よっし、じゃあディークの〝お兄さん〟!」
言った途端だった。魔法がかかったようにピタリとディークが止まった。後ろ目がギラリ光った気がして、シャニーも地面に突き刺さってごくりと息を呑んだ。
「……あとでおまえ、聖堂裏な」
「じょ、ジョーダンだよ、ジョーダン……。ね? ディークさんってば……」
どうやらルゥみたいにはいかないようだ。
三十路を迎えた男心は難しい。