F.S.S.〜ファンタジー.ショート.ストーリー.〜   作:Jakki

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 どうも皆さんこんにちは。というわけでF.S.S.次話投下でございます。楽しんで頂けると幸いです。


幻想世界小噺 とある兄弟への依頼

 「中等2級冒険者ハイド。これまでの貴方の行動、発言、その他諸々の告発を加味し、等級降格処置、並びに、報酬減額処分を申し付けます。」

 

 春の陽射しが窓から差し込むギルドの一角で、可愛らしい、しかし厳しいそんな声が聞こえている。その声の主の少女は長い金色の髪をかきあげながら書類を見ていた目を目の前の男に向ける。

 

 「また、この処置を受けた貴方は一ヶ月に一回の口頭による話し合いで、心からの反省を見られない限り続きます。また、この処分の最中に似たような告発を受けた場合、最悪冒険者登録抹消、冒険者としての活動ができなくなる可能性があります。…宜しいですね?」

 

 と彼を見ていた目を険しくする。それはそうだ。こんな処分、よほど酷い行動がない限り、このギルドでは下されない。それだけ目の前にいる彼、「ハイド」と呼ばれた冒険者は

ギルドの管轄内で暴れたのだ。

 

「…。」

 

 しかし、その視線を受けてなおこの青年、ハイドは足を組みながら目を浅く(そう見える)閉じ、椅子に座っている。

 

 「…聞いてるんですか!?ハイドさん!?」

 

 その様子に怒った少女、ヘレンは机をバンッと叩きながら声を荒げる。全く反省の様子が見られない。何を考えているのだ、この男は?

 

 「ん~~?あ~。聞いてるよ。降格とクエスト報酬減額、あと月イチの口頭弁論だろ?聞き飽きてるよ。そのセリフ。眠っちまうわ。」

 

 と閉じていた目を開きつつ、そのくすんだ金髪を掻き上げる。その目は眠たげで、気怠げそうにこちらを睨んでいる。

 

 「…!?いいですか!?こんな処分、このギルドではめったに出ることではありません!!それを何度を受ける貴方はハッキリ言いますと…!!」

 「あーはいはい分かった分かった。それも聞き飽きたって。ギルドに入ってから5回は聞いた。」

 「7回!!この弁論で7回目です!!聞き飽きたって言うなら、いい加減にその態度やらを直してください!!なんで7回もこの処分受けながら全く治る様子がないんですか!?」

 

 全く反省の色がないハイドに今日一番の大声を出しながらヘレンは机から身を乗り出しながら詰め寄る。そう7回。本来はあまり受けない処分をこいつは7回も受けているのだ。何なんだこの冒険者は。

 

 「あ~OKOK。んで?今回はどんぐらい等級下がって、どんぐらい報酬ひかれんの?等級はどうでもいいけど、カネはあんまり引かねぇんでほしんだけど?」

 「……ッ!?…はぁっ!もぅっ…!今回は報酬の3分の2!こんなに引かれたら何も残らないでしょう!?冒険者ってお金がかかるのよ?どうするの?」

  

 やや落ち着いたのか、呆れて諦めたのか、後半は諭すような言い方になった。このギルドで働き始めたときから冒険者となった彼、と彼とコンビを組んでいる彼の兄は、今では昔馴染みのような感覚になっている。無論、だからといって職員としての役目をやめる訳にはいかないが、それでも同時期にこのギルド所属になったのだ。多少、というか大いに気にかけていた。

 

 「ふ~ん。3分の2カットねぇ…。」

 

 しかしハイドはそんなことは一切気にしてないかのように、いや、気にしてないのだろう。報酬カットのほうに意識を向けている。

 

 「……まあ、なんとかなるか。で?他はなんかあんのか?無ぇんなら、帰っていいか?」

 

 そう。これである。

 

 「…貴方本当に反省してる?」

 

 と、もはや敬語をかなぐり捨て話すヘレン。こいつに敬語で話しても無駄だと悟ったのだろう。実際賢明な判断だ。

 

 「ああしてるしてる。すっげぇしてる。」

 「ウソ。絶対反省してない。」 

 「おお。よく分かってんじゃん。ヘレンちゃ〜ん。」

  

 とヘラヘラしてるハイドに「はぁ…」とため息をつき、頭を抱えながら着席したヘレンの顔には、明らかに目の前のこの男に対する苦労が見え隠れしていた。

 

 「…というより、なんで私が毎回貴方の処分を伝えないといけないの…。」

 「知らねぇよ。俺達と同時期に所属すっからじゃねえの?」

 

 だとしたら理不尽過ぎる。いや目の前のコイツのせいなのだが。

 

 「…そもそもなんで今回は処分を受けることになったの?」

 「酒場で飲んでたら酔っ払いに絡まれたんだよ。」

 「どうせそいつに色々言われてムカついた。とかのいいわけが来るんでしょう?」

 

 聞き飽きたわよとさっきのハイドのマネをして言っても、分かってんじゃん~。と平気でヘラヘラと笑うハイド。それを見て頭を抱えながらため息をつくヘレン。この二人のこの景色もはやこのギルドの一種の風物詩になりかけていた。

 

 「ま、何を言われても俺には響かねえよ。そんで?念の為聞くけど、今回はどんぐらい等級下がってんだ?」

 「念の為って…。はぁ。…マイナス2等級で、うわ、低等1級だって。大分依頼の質と報酬下がるわね。」

 「ほーん。」

 

 その全く気にしてないハイドに何度目かのため息を吐くヘレン。

 

 「全く…。とにかく、これ以上騒ぎを起こしたら、ほんとに冒険者を続けられなくなるから、気を付けなさいよ。じゃあ今日のところは以上です!なにか質問はありますか?」

 

 すぐにギルド職員としての顔に戻ったヘレンの言葉に対し「ヘ〜い」という気のない返事のハイドだったがふと思い出したように「あっ」と。

 

 「そういやさ、俺とあいつ、コンビ組んでるよな?その場合あいつがあいつの等級相当の依頼受けたら、俺もそれに参加できんのか?」

  

 と、質問するハイド。流石に冒険者として気になるとこだったのだろう。珍しくちゃんと聞こうとしている。態度はどうこうとして、だが。

 

 「え?あぁ。それはコンビとかパーティでの話し合いになるわ。等級に不釣り合いだとリーダーが判断したら参加できないし、できると判断したんなら参加できるって感じね。」

 

 質問されたのが意外だったのか、ついついいつもの調子に戻ってしまったヘレンに目をくれず、一人「なるほどねぇ」と独りで納得しているハイド。

 

 「じゃあその場合、報酬は分割で、俺の場合はそっから更に3分の2、と?」

 「そうね。」

 「…。あれ?結構やばい?」

 「だからそう言ってるでしょうが!!!!」

 

 今更気づいたのか!と再び今日1番の大声を更新したヘレンを無視しつつ、今更頭を抱えるハイドであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 ここまで読んで頂きありがとうございます。良ければ感想などあれば書いていただけると発狂して喜びます。今回はなんというか、説明会みたいな感じになった?ような?ではまたの機会でお会いしましょう。ではでは(^^)/。
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