佐藤和真“英雄化”計画【未完】   作:大淵 蒼夜

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回想を考えている内にだんだんと話が広がっていったので大幅に改造しました。
和真が引きこもったのは中学校3年の夏とし、そこから転生する高校2年生までの約二年間を仮面ライダーマギとしての物語としてます。
日常回と戦闘描写は作者の実力の都合で無くなりました。他にも書かないといけない場面が多数存在しますが実力的と時間的な限界から存在しません。

それでも良いという方のみ読んでください。お願いします。


異世界編
プロローグ


 

 

 

 

 

 

 

 その日、天界の上層部に一枚の企画書が提出された。

 

 それは魂を送還し、来世へと送り行く冥府の女神 オーレギオンが提出したもの。

 

 それはゆっくりだが確実に破滅へと向かう世界を救済する企画。

 

 それは1人の少年の人生をねじ曲げる提案。

 

 そう、ここに『佐藤和真“英雄化”計画』が提出された。

 

 

 

 

 

 

 

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 目が覚めると俺は、見渡す限り真っ白な部屋にいた。

 

「佐藤和真さん、ようこそ死後の世界へ。あなたはつい先ほど、不幸にも亡くなりました。短い人生でしたが、あなたの生は終わってしまったのです」

 俺は唐突にそんな事を告げられた。

 

 突然の事で何がなんだか分からない。

 俺は重症を負ったのか? それは死ぬほどだったのだろうか? そんな疑問を胸に抱きながら、俺に人生の終了を告げてきた相手を見る。

 

 部屋の中には小さな事務机と椅子があり、相手はその椅子に座っていた。

 

 目の前の彼女も俺が前に出会った女神を自称する女と同じ様な美貌を持っている。潔く柔らかな印象を与える透き通った水色の長い髪。きっと、水の女神かなんかだろう。

 

 外見上の年は俺と同じくらいだろうか。 外見は完璧で、淡い紫色の羽衣とゆったりとした水色の服に包まれている。内面はどんなもんかわかったもんじゃないが…。

 その女神は、透き通った水色の瞳で状況が掴めず固まったままの俺をじっと見ていた。

…………俺は先程までの記憶を思い出す。

 

 

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 仮面ライダーとして最高のハッピーエンドを掴み取った俺はライダーとしての力を失い、一般人として生活していた。

 

 そんな時、3DSをいじりながら俺の前を歩いていた女子中学生が、信号が青になったのを確認して、そのままロクに左右も見ずに横断歩道を渡っていった。

 

 そんな女の子の横に迫る大きな影。それは、高速で迫る大型トラックだった。

 俺は、頭で考えるよりも先にその子を突き飛ばしていた。そして………

 自分でも不思議なくらいに落ち着いた心で、目の前の美少女に静かに尋ねた。

 

「.....一つだけ聞いても?」

 

 俺の質問に女神が頷く。

 

「どうぞ?」

 

 大切な事だった。情けないことに、トラックに轢かれる寸前に気を失ってしまったのだ。ライダーとしての力を失って、気が弱くなっていたのだろうか。命をかけて助けに入って、間に合わなかったなんて悔し過ぎる。

 

「あの女の子は。……俺が突き飛ばした女の子は、生きていますか?」

 

「ええ、生きていますよ? もっとも、足を骨折する大怪我を負いましたが」

 

 良かった……。

 女の子は怪我はしたが、無事命は助かったようだ。

 ほっとした様子の俺を見た女神は、小首を傾げた。

 

「まああなたが突き飛ばさなければ、あの子は怪我もしなかったんですけどもね?」

 

「……は?」

 

 この女神なんつった。

 

「あのトラックは、本来ならあの子の手前で急カーブをして誰もいないところに追突して止まったんです。物理法則を完全に無視したあり得ないくらいの急角度のカーブをして。つまり、あなたはヒーロー気取りで余計な事したって訳です。……プークスクス」

 

 落ち着け。こいつは仮にも女神だ。俺が生前に大切な仲間に出会えたのもこいつの同僚のおかげなんだっ! だから、何を言われようと……

 

「……つまり、俺はの死因はトラックに轢かれて死んだって事か。」

 

「轢かれて死んだ? いえ、トラックはあなたに当たる寸前でかわしたので、トラックには轢かれてませんよ?」

 

 …………え?

 

「あなたはトラックに轢かれそうになった恐怖で失禁しながら気を失い、近くの病院に搬送。医者や看護師から処置を受け、目を覚ますまで病院のベットで寝かされて………」

 

 女神は耳を塞いでいる俺に近寄ってくると、にまにまと笑みを浮かべながら、わざわざ俺の耳元で、

 

「病室のベッドに寝かされていた所を、病院で有名なドジッ子看護婦が、本来絶対に間違っちゃいけない系の薬を、点滴待ちしていた他の患者と間違えてあなたに……」

 

「あ…」

 

「あ?」

 

「ァぁぁぁあああ! 嘘だぁぁああ!! これでも俺、仮面ライダーだったんですけど! 世界救ったんですけど! そんな情けない死に方ってあんまりだろおおおおお!」

 

「はぁ?あんた何言ってんの?」

 

「あんたみたいな死に方をした奴があの仮面ライダーなわけないでしょ。バチが当たるわよ。ほら、謝って!。謝ってよ!。仮面ライダーの名前を汚した事を謝ってよ!!」

 

 確かに俺は、神造の仮面ライダーだ。神々によって物語のレールを敷かれ、その上を途中までは走り抜けてきた自覚がある。こんな俺が仮面ライダーを名乗って良いのかと自問自答した時期もあった。

 

 それでも仲間に支えられて、凶悪な黒幕を倒して、最高のハッピーエンドを掴み取った。

だが、この扱いはなんだ?おかしくないか?

 

 いや、それとも俺は仮面ライダーにならなくともこの運命によって異世界転生していたのか?俺は神によって人生を歪められたが、死後は少なくとも悪いようにはしないと聞いていた。

 

「話が違うじゃねぇかぁぁあ!!」

 

 絶叫しながら、何故俺が仮面ライダーになったのか、どんな軌跡を歩んできたのかを思い出していた。

 

 

 そう、あれは確か俺が中学三年の夏休みの最終週。東京都の秋葉原に初回限定版特典付きのゲーム『M○F』を買いに行ったことで始まったんだ…………。

 

 

「…………さて、私のストレス発散はこれくらいにして──────」

 

 

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 照りつけるような日差しの中、俺は前から欲しかったゲームの初回限定版。限定CDが付いた『M○F』を秋葉原に買いに来ていた。

 

「ふぅ、やっと買えたぜ」

 

 並ぶこと8時間、店の開店前から列び、見事初回限定版を手にいれたのだ。

 店の前にはまだ長蛇の列ができており、このゲームの人気の高さが伺えた。昨日の夜から列んでて良かったと我ながら自画自賛する。

 

「しかし、運営も酷いことするよな。初回限定版が店舗販売のみなんて……」

 

 そう、今回のゲームの初回限定版はネット販売がなく、店舗限定だったのだ。

 そのために引き籠もりを始めてから滅多に外に出なかった俺は、目当てのゲームを買うためにわざわざ秋葉原まで出てきたのだ。

 そうしてホクホク気分で秋葉原の帰っていた所までは良かったんだけど……。

 急に目の前を光に襲われた俺は、あまりの眩しさに目をつむり、光を手で遮ろうとした。そしてそのまま気を失い、気がつくとゲームの入ったビニール袋を握り占めてどこかの浜辺で横に倒れていた。

 

「なっ、ここは何処だ?」

 

 周囲には俺と同じように拉致されたのか沢山の人が横たわっていた。

 

 空はついさっき秋葉原にいた頃は明るかったのにすっかり暗くなっていた。そして、太陽が月に覆われて黒い円の回りが光っていた。うろ覚えだから確証はないけどたしか日食、それも金環日食って現象だったと思う。

 

 なぜこんなことになっているのか。取り敢えず携帯を取り出して、110番通報をしようとしたその時、

 

 地面に赤色のヒビが入っていき、周囲が赤紫色に塗り潰されていく。そして………

 

「ぐぁぁあああああああ!?」

 

 なんなんだろうか。何で俺は、こんなにも絶望しているのだろう。気が付いたら、ふとした瞬間に思い出したくもない黒歴史を思いだし、絶望の縁に立たされていた。

 

 そして、俺の体にも地面と同じような紫のヒビが広がっていく。

 

 ピシッ、ピシピシピシピシ。

 

「ウッ!?」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」

 

「あぁぁぁぁァアア!!」

 

「きぁぁああああああ!?」

 

「ヴァァァァァァァァ!」

 

 バリッ、バキバキ。ピシッ

 

 悲鳴が聞こえて周囲を見渡してみるとみんな俺と同じような状態になっている。酷い人は硝子のように砕け散っている人もいた。

 

 パキッ、パキャン

 

 そして……、俺は何を見ているのだろう。これは錯覚なのか?。いま、ひび割れて消滅した人の中から化け物、怪人が飛び出して来たような…。

 

 いや、錯覚じゃない。さっきまで周囲にいた人も怪人になってる。俺もあんな風になるのか……

 

 嫌だ。

 

 俺はあんな怪人にはなりたくない。たしかに、将来結婚の約束をした幼馴染みを寝取られて絶望したし、中二病になったときに執筆したポエムを見られた時も恥ずかしさで死にたくなった。そして、義理の妹が欲しいから離婚して女の子、それも年下の子がいる人と再婚してくれと親に言って殴られた時も…………いや、これは俺が悪いな。

 

 だが、俺は死ねない。

 

 俺は幼馴染みを寝取られ、ポエムを暴露された。しかし!俺は怪人にはなりたくない。

 

 そして、そんなことよりも!

 

 なによりも!!

 

「俺はまだ、買ったばかりの『M○F』をプレイしてないんだ!!」

 

「こんなところで化け物になって死んでたまるかぁ!」

 

 そう言った途端、未来への展望を、希望を述べた途端に俺の体の紫のヒビは修まっていった。次の瞬間、全身が光ったと思うとまたも気を失っていた。

 

 そして、次に目覚めたのも同じ浜辺だったが、空は晴天で俺以外の人は誰もいなかった。

 

 一先ず、此処が何処なのか確認しようと後ろを振り替えると、化け物がいた。そいつは喋ることもなく俺に襲い掛かってきた!!

 

 恐怖から目を積むったが、そいつは俺の前に現れた白い魔法陣に阻まれて、俺にはたどり着けたいでいた。そして、吹き飛ばされた。

 

「よく、希望を捨てずに生き残ったな」

 

 ふと、後ろから声がした。肉声のようで違う、若干だけどエコーがかかったような変な声。後ろに振り向くと、そこには白っぽい衣装に身を包んだ人が佇んでいた。

 

「お前は魔法使いとなる資格を得た」

 

「魔法…使い?」

 

 この人は、何を言っているのだろうか。魔法?そんなものあるわけが……いや、目の前で実演されてるな。さっきも変な怪人が魔法陣で吹き飛ばされてたし。

 

 この人はとりあえず、白い衣装に身を包んでいるので、白い魔法使いと呼ぼう。

 

「ファントムを倒し、パスを集める。ただ一つの道だ。」

 

 白い魔法使いが手をかざすと白い魔法陣が現れ、俺にベルトと指輪を投げ渡してきた。

 そして、そのまま何も言わずに去ろうとするので、

 

「ちょっ、ちょっと待てよ! ファントムってなんだ! あんたは俺が巻き込まれた儀式らしいモノに関わって………!」

 

 質問したのだが……無視された。やつは呼び出した魔法陣を通り抜けてこの場から去っていった。

 

「ま、マジでか………」

 

 そうして浜辺に残された俺の手には何かの指輪と、おかしな形をしたベルト。そして購入したばかりのゲームが残った。

 

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 そうして俺は魔法使いになった。使い方が解らなかったが同封されていた取り扱い説明書によって大体は解った。ベルトの名前は“マギアドライバー”ということや、指輪は“マギアリング”といって魔法使いが魔法を使うのに必須のアイテムということも知った。それ以外にも色々なことを知ったが割愛しておく。

 

 最初の頃はロクでもない使い方を考えては実行に移そうとしていた。けど、思ったように行かなかったり、失敗ばかりしていた。その度に俺は白い魔法使いに言われた言葉を思い出しては本当にこんなことに使って良いのか考えてた。その末に俺は白い魔法使いの言う通りにファントムを退治してパスを集める道を選んだんだ。

 俺がファントムを倒す正義のヒーローみたいな事を始めたのは……簡単に言えば女子にモテたかったからと、ファントムに対抗できるのは魔法使いだけと知ったからだ。

 

 この頃は地元から東京に通ってて、交通費が痛かったな。魔法使いになったから、とは言わないけど学校にも通うようになった。世界にはいろんな理由で絶望する人たちを知ったから、彼女でもない人を寝取られただけで引きこもりになのが何だか可笑しくなってきて。週に一回、東京都に出掛けてはゲートを探したり、ファントムを退治したりする日々。

 

 始めの頃はファントムの行為で絶望してファントムを生み出しそうになったゲートの精神世界(アンダーワールド)で実体化する前のファントムを始末していた。けど、俺の中にいるファントムのマギアースドラゴンは言うことを聞かないし、召喚すれば見境なしに攻撃してくるし、毎回操縦機を着けて無理矢理にでも操作しないといけなかったな。

 

 そうしている内にファントムを誕生させようとしている奴らは俺のことを煩わしく思ってきたようだった。だからか、ゾンビみたいな唸り声をあげる怪人が数人、派遣されてきた。

 

 後から知ったのだが、そいつらはファントムが魔石を使って召喚する戦闘員らしい。4種類で4段階の強さに別れている。その中でもコストが一番かからないのがページ。一番コストがかかるのがキングらしい。まぁ、コストがかかるっていっても魔石を三個程度らしいが。そいつらは正直言って雑魚だったのでたいした苦労もなく始末できた。

 

 けど、そうしている内にファントムが一人やって来た。そいつの名は愚者のオスロキ。初めて戦った実体化したファントムで、初めて苦戦した相手。能力は自分を中心とした一定効果領域内における魔法発動の完全封殺。ヤツの能力が発動した後で効果範囲内にいると変身もできないから、物凄く面倒な相手だった。幸いなことに、あいつも魔法使えてなかったけど。理由を聞いたら、

 

「お前、バカか? 俺を中心に発動するんだから、俺も効果範囲内に入るに決まってんだろ!!」

 

 と、言われた。すごい腹が立った。魔法が使えないのなら条件は同じだろ、と思って戦いを挑んだのだが、ヤツは物凄く格闘術に長けていたんだ。格闘なんてロクにやったことがなかった俺は初戦[エヘイエースタイル]の能力をなんも活かせず、何もできずにボコボコにされて敗北した。

 

 それから、幾つかの対策を立てた。奴の能力は魔法の無効化じゃなくて、発動の封殺ということ。魔法無効ではなく封殺ならまだ勝てると見込みはある。まず、封殺発動前に変身している事を前提とする。第一に不意打ちでありったけの魔法を打ち込むこと。第二に魔法で拘束して[エヘイエースタイル]の能力である【光の操作】で魔力を光弾に変換して打ち込むこと。

 

 俺は、奇襲作戦を主軸に作戦を立てたんだ。第一案は周囲に出る被害が大きすぎることから断念した。

 

 だから、やつが一人になった瞬間を狙って不意打ちで拘束魔法を仕掛けた。拘束されて不意打ちを食らった事に気が付いて能力を発動するも、もう遅し。拘束された奴にありったけの光弾を撃ち込んだのだが、オスロキのヤツは生き残っていた。

 

 そこからは魔法発動と封殺能力発動との読み合いになった。俺の魔力にも、あいつの魔力にも限界はあるし、二人とも能力にも限界がある。俺は銃、オスロキは拳を武器としてお互い魔法と能力を相手に発動させないように立ち回った。

 

 最終的には俺が[エヘイエースタイル]の固有魔法を使って〔ホー〇ーマ〇〕の様に弾幕を展開。一度発動すると最大で36万発の光弾を放てるので、間髪なく蜂の巣にできた。発動にも少量の魔力しか消費しないので扱いやすい。弾幕の展開には大量の魔力を消費するけど。

 

 ちなみに、そいつからファントムたちに俺が「宝珠の魔法使い」仮面ライダーマギと呼ばれていることを教えられた。

 

 奴を倒すと”アレフ“のパスが出現した。まるでドロップアイテムみたいだなと思ったのは印象的だった。そのパスを拾うと“ケテルマギアリング”が輝きだして、“コクマーマギアリング”が誕生した。

 

「なるほど。こんな感じで能力が強化されていくのか…」

 

 この頃から俺はファントムを生み出しそうになったゲートの精神世界(アンダーワールド)でファントムを退治するだけでなく、実体化したファントムとも遭遇して戦闘をするようになった。

 

 次に戦った魔術師のイグラムも強敵だった。

奴の人間形態の名は宮火(みやび) 晴登(はると)。警視庁捜査一課の課長だった。奴は警察の身分を利用してゲートを犯人にでっち上げようとしていた。色んな所に潜入しては偽造証拠を処分したり、警察官の洗脳を解いたりと非常に忙しかった。

 イグラムの能力は支配領域内の焔の完全支配。つまり、自分の支配する領域ならどこでも焔を出して操れるということだった。しかも、焔を操る能力以前に魔法も使ってくるし、とにかく手数が多い相手だった。焔の温度は際限知らずだし、燃焼物なくても燃えてるし、ほんとキツかった。

 

 戦法としては《コピー》の魔法で分身を複数呼び出して集団戦法を取り、分身が燃え尽きたところを不意打ちして倒した。

 

 イグラムからは“ベート”のパスを獲得して、“ビナーマギアリング”を得た。

 

 そうして学業の傍ら魔法使いとして過ごし、中学生活の終わりが見え始めてきた二学期末。

 

 ここで俺は一生涯の仲間といえるアイツ等に出会う場所、私立天津高等学校(しりつあまつこうとうがっこう)への進学を決めたんだ。

 進路で悩んでいるときに、白い魔法使いから私立天津高等学校、通称“天地校”に入学してみないかと、誘われのが始まりだっけ。東京の学校に入学したら交通費は無くなるなとは思っていたけど………。たしか、白い魔法使いから利便性を説明されて、それでも家を借りないといけない、家事炊事を一人でやらないといけないとか色々なことで悩んで渋ってたら決めたんだっけな。

 

 あれ、この流れおかしくね?なんで俺こんなにすんなりとこの天地校への進学を決めたんだっけか。

 

 白い魔法使いから誘いを受けて、それで悩んで「ちょっと待ってください」って言ってから意識がボーッとしてきて…………って、俺これ完全に意識誘導されてるな。そうか、俺がこの天地校を選んだのは白い魔法使いに誘導されたからなのか。なんかショックだ。

 

 冬休みが明けて三学期に入っても俺の魔法使い活動は変わらなかった。

 

 そうして、次に戦った相手は女教皇のブワラット。こいつは前の二体よりは苦戦しなかった。

 

 何故なら、こいつの能力は対魔法使いに特化しているわけではなく、火力が高く手数が多いわけでもない。単純にゲートを絶望させてファントムを誕生させることに特化していたのだ。

 

 人間形態の名前は富岡(とみおか) 彩妃(さき)。カウンセラーを営んでる奴だった。今思えば、その立場を利用してカウンセリングに来た人たちの個人情報を得て、仲間たちに流していたんだろう。カウンセラーであればそいつが何を希望にしているのか、心の支えにしているのか。どうすれば絶望するのか、そう言った情報が入りやすいからな。

 戦闘能力は高くなく、固有魔法を使うまでもなく簡単に倒せたが、こいつのせいで絶望した複数のゲートを救うのはギリギリだった。何せ同時にこれだけの魔法を併用したのは初めてだったからだ。《コピー》《オート》《エンゲージ》《キックストライク》《イナーブルフォトン》《フィエルザケル》……etc.

 

 何よりキツいのは巨大なファントム相手に《ドラゴライズ》を使えないことだ。だって、《コピー》で増やしてもマギアースドラゴンは増えないからな。《コピー》で増やした俺は俺と同じ動きしかしないから、《オート》の魔法で自動化しないといけないし……。

 

 ゲートを全員救い終わった後は魔力の使いすぎで昏倒して、次に目が覚めたら病院だった。どうやら俺は体調不良で倒れたと勘違いされて救急搬送されたらしい。

 

 ブワラットからは“ギーメル”のパスを獲得して“ティファレトマギアリング”を得た。

 

 中学校を卒業して春休みから東京で一人暮らしを始めた。

 そんなとき、白い魔法使いが訪ねてきた。

 毎回、思うんだけどどうやって住所を特定しているのだろう。

 どうやら頼み事をしに来たらしい。俺と同じサバトの生き残りのリオって言う少女の面倒を見てもらいたいそうだ。

 そして俺の許しを得る前にリオを置いてどっかに行った。

 それからリオと一悶着あったけど仲を深められた。あの時は美少女と同居だぁーって一人盛り上がってたっけ。

 この頃からかリオを妹として溺愛し始めたんだっけな……。

 

 私立天津高等学校に入学した直後の頃に戦った女帝のダパイルは時間操作による高速移動と強固な結界を展開するファントムだった。重力を重くする結界、業火で覆われた結界、極寒の結界など多彩な結界を高速移動で無数に展開する厄介な奴で、近接戦闘能力も高い。

 人間形態の名は沼尻(ぬまじり) 千奈里(ちなり)。塾の講師をやっていて、塾生の中からゲートを見繕っていたんだ。

 

 こいつと激突した俺は現在の能力では倒せないと踏んだ。だからマギアースドラゴンに力を寄越せと要望したのだが……。どうやら俺から直接接触したのは俺を絶望させようとするマギアゴンにとっては格好のチャンスだったらしい。

 

 俺にとってのトラウマを見せつけて絶望させようとして来た。そう、将来結婚の約束をした幼馴染みが不良の先輩のバイクで2人乗りをして走り去っていく場面を…。

 

 まぁ、今となっては彼女でも何でもないアイツのことなんてもうどうでもいいんだけどな。

 だから、マギアースドラゴンからの絶望を跳ね除け、力を更に引き出すことに成功した。それがこのとき誕生した“オソールマギアリング”だ。

 

 ダパイルからは“ダレット”のパスを獲得して“コクマーマギアリング”と“ビナーマギアリング”の繋がりの強化を得た。

 

 この戦いの後から東京都内じゃなくて、私立天津高等学校内部の生徒がゲートとしてファントムに狙われる様になって、学校内部での戦いが始まったんだ。

 

 それから女帝のダパイルによってファントムを己の精神世界(アンダーワールド)に誕生させて、なおファントムを実体化させなかった椿(つばき) 琴葉(ことは)は白い魔法使いからドライバーとリングを受け取って魔法使いとなっていた。

 

 だから、クラスメイトの椿と桜の奴に仮面ライダーだって正体がバレていたことは驚いた。しかも、椿が魔法使いになってたことも。それからそいつらと一緒に黒魔術部を創部したな。

 

 椿 琴葉(仮面ライダーアールヴ)の初陣で、黒魔術部の初陣でもある皇帝のグラン戦は厳しいものになった。だって皇帝のグランは異常に強かったからだ。絶対に椿の初陣に出会う相手じゃなかった。13個の命と、魔法を打ち消すことができる赤き魔刀「魔法殺し」を武器としていた。魔刀の弱点は右手で振るわなければ性能を発揮できないということだが、それでも強敵だった。剣術に長けているだけでなく、火の魔法も上手く、まるで小さい恒星の様な球体を放ってきたのだから。

 

 奮闘の末、撃退して“ヘー”のパスを獲得して“コクマーマギアリング”と“ティファレトマギアリング”の繋がりの強化した。

 

 それからも法則を操作して様々な物理現象および超常現象を起こす能力を持ったファントム、教皇のエクスイゼ。

 絶世の美貌で相手を魅了して我がものとし、操る能力を持ったファントム、恋人のオルファア。

 物理的、魔法的な攻撃を無効化するほどの頑丈さを持つファントム、戦車のウサンム。

 超光速機動を行い、打撃、斬撃、射撃全てを無効化する防御能力を持つファントム、力のカイレツ。

 

 それぞれを倒して“ヴァヴ”、“ザイン”、“ヘット”、“テット”のパスを獲得して“ケセドマギアリング”、“ビナーマギアリング”と“ティファレト”の繋がりの強化、“ゲブラーマギアリング”、“ケセドマギアリング”と“ゲブラーマギアリング”の繋がりの強化を獲得した。

 

 つまり、これまでに合計8体のファントムを退治したんだっけか。

 

 私立天津高等学校での戦いが始まって五ヶ月が経過した頃、つまり夏休み明けの事だ。うちのクラスに清瀬(きよせ) 快星(かいせい)ってヤツが転校してきた。驚くことにソイツは仮面ライダーで、復讐鬼だった。

 

 ファントムがよく出没するこの学校に復讐対象が現れるのではないかと、推測して転校してきたらしい。

 

 清瀬 快星(仮面ライダーイカルガ)が戦うのは復讐対象と出会う、自分が強くなるために最も効率が良いからであり、そこにゲートを救う目的や、ファントムからゲートを守るといったことはありはしない。

 

 だから快星の奴とは信念の違いから喧嘩した事もあった。最初にあった頃は俺と椿の二人で挑んでやっと戦えるくらい強かったからな、あいつ。まあ、それ以降は仲良くなれたけど。

 

 ファントムとの戦いでは椿、快星と協力して戦える様になってからは分担ができて苦戦する事もなくなったし。

 

 

 

「1つは天国的なところで────」

 

 

 

 次に、巧妙な気配遮断、消音、透明化、無臭といった隠密能力に特化し、知略を張り巡らせるファントム、隠者のソーシル。

 他者から吸収した幸運と限定的な運命操作で、自身に都合の悪い結果を回避し、自身に対する行いへの報いを受けさせるファントム、運命の輪のハノムゲ。

 相手と自身の能力がどれ程の差があろうと均衡を保てる様に自身の力が増減するファントム、正義のブ二リグ。

 優れた直感と英知、そして処刑台を武器として操るファントム、吊された男のオイスカー。

 見た相手の仮死/活性を自在に操り、全身を消し飛ばされなければどのような状態からでも復活する死神のアミア。

 

 そいつ等を倒して、“ヨッド”、“カフ”、“ラメド”、“メム”、“ヌン”ののパスを獲得して“ケセドマギアリング”と“ティファレトマギアリング”の繋がりの強化、“ネツァクマギアリング”、“ゲブラーマギアリング”と“ティファレトマギアリング”の繋がりの強化、“ホドマギアリング”、“ティファレトマギアリング”と“ネツァクマギアリング”の繋がりの強化を得た。

 

 それからも魔法使いが増えていったのは驚いたな。他クラスの沢木(さわき) 士紋(しもん)金坂(かねさか) 結捺(ゆうな)が魔法使いになったんだよな。たしか、沢木 士紋(仮面ライダーカンライ)金坂 結捺(仮面ライダーヨトン)だっけか。

 この頃からファントムは魔法使いを増やすことを目的としていることやファントムを統制する組織『フォンタスマ』があることがわかったんだ。

 

 士紋と結捺は二人とも黒魔術部所属じゃないし、同じクラスでもないから、正体を見つけるのにも苦労した。あと、ファントムに精神支配されていたから、正気に戻すのも大変だったな。正気に戻した後はなんやかんやの末に勧誘に成功して、最終的には黒魔術部には四人の魔法使い(仮面ライダー)が所属したんだっけか。

 

 そして、閃光の如き素早さと、あらゆる行動の消費エネルギーが本来の三分の一となる能力を持つファントム、節制のキギタル。

 高い身体能力を持ち激烈で、暴力的。拘束能力と精神干渉による洗脳能力、限定的な未来視による未来固定能力を持つファントム、悪魔のビサイ。

災難を起こし、落雷を自在に操り、記憶を失わせ、相手の能力と対象となる能力を獲得できるファントム、塔のアリーン

 

 こいつらを倒して“サメフ”、“アイン”、”ペー“のパスを獲得して、“イェソドマギアリング”、“ティファレトマギアリング”と“ホドマギアリング”の繋がりの強化、”ネツァクマギアリング”と“ホドマギアリング”の繋がりの強化を得た。

 

 

 そうして、『フォンタスマ』幹部、四天王と呼ばれる最強の4体と、〈切り札(ジョーカー)〉と呼ばれる1体。

 

 そいつらと戦うことになった。

 

 星のエラメドルには物凄く、苦戦したっけな。何せあいつ時間止められるからな。まぁ、流石は幹部たちだ。苦戦しなかったヤツなんていないからな。

 

 月のモンパルもとんでもないヤツだった。ヤツは非常に高度な幻術使いで、世界に幻術をかけることで虚構を事実に変えることができたからだ。その幻は実態を持ち、その(事実)に関する記憶すらも書き換えられる。ただし、違和感に感づかれると、看破されやすくなり、幻術の効果は自身にも及ぶため、たまに事実か虚構かが判らなくなる欠点がある。それでも、この幻術はコイツの固有能力ではなく、幻術を極めた先にある極致、単なる魔法の延長線上にあると言うのだから驚きだ。

 

 なんたって、現実をねじ曲げて生徒に扮し、黒魔術部に潜入してきたんだから。

 

 太陽のハーソトルは魔力減衰や体調不良といった阻害効果を与える能力と自身が望む者を創造する能力、約束された将来を具現化する能力を持ってた。

 

 審判のロナージは俺達が今まで倒してきたファントムを転生という形で復活させる能力と覚醒といって仲間の能力を向上させる能力を持ってた。そして、自分の情報を絶えず更新して何度でも復活してきた。

 

 世界のレジセアズは何でこんなに強いのってレベルで強かった。正確無比の攻撃に、相手を完全攻略するためにあらゆる弱点を見抜く能力。これまでのファントムを上回る総合的な能力の高さ。欠点という欠点や弱点が見当たらない完成されたヤツだった。

 

 激戦の末に“ツァディー”、“コフ”、“レーシュ”、“シン”、“タヴ”のパスを獲得して“ネツァクマギアリング”と“イェソドマギアリング”の繋がりの強化、“マルクトマギアリング”、“ホドマギアリング”と“イェソドマギアリング”の繋がりの強化、“ホドマギアリング”と“マルクトマギアリング”の繋がりの強化、“イェソドマギアリング”と“マルクトマギアリング”の繋がりの強化を得た。

 

 四天王のファントムを全部倒して、パスを全部集め終えた後に激突した愚者のオスロキ戦で“ダアトマギアリング”が誕生したんだっけ。

 

 〈切り札(ジョーカー)〉として甦ってきた愚者のオスロキは魔法発動封殺能力だでなく、アンダーワールだ内部のファントムにも直接攻撃できる能力を新たに獲得してた。つまり、ライダーに攻撃すると変身者と魔力の源にして相棒のファントムにダメージを与える事ができたのだ。

 

 すごい大変だった。だってマギアースドラゴンは一回殺されるし、他の皆は封殺能力で変身できなくなるし、とにかく大変だった。まぁ、勝ったけど。

 

 

 

「いい? 天国的な所ってのは───」

 

 

 

 それからは三大柱って呼ばれる『フォンタスマ』のトップ直属の配下、峻厳のフリーク、慈悲のファテイ、均衡のサンライとの戦いが始まった。そうして、最終決戦へのカウントダウンが始まったんだ。

 

 峻厳のフリーク、慈悲のファテイ、均衡のサンライは三大柱の名に恥じず今まで戦ってきたファントムよりも強かった。性格的にも能力的にも。

 

 けど、“ダアトマギアリング”の力はそれ以上で、峻厳のフリークと互角以上の戦闘を繰り広げて勝利した。他の皆も慈悲のファテイと均衡のサンライを連携技や連撃をあわせて撃退。

 

 そうして三大柱との激闘を征した直後、賢者の石を狙っていたファントムにリオを連れ去られてかけたんだ。そのファントムは何回蘇るんだと突っ込みたくなる程何回も蘇る、愚者のオスロキだった。オスロキは突如、空から現れた白い魔法使いによって撃退されたけど。そこで俺たちは白い魔法使いの正体を知った。彼は俺たちが通う学校の理事長、千明(ちあき) 誠馬(せいま)さんだった。

 彼は俺から“ダアトマギアリング”を強奪するとリオを連れて何処かへ行ってしまった。それから、俺たちは魔法を行使してリオの行方を探したが一行に見つからなかった。皆が必死で探している中で俺は若干だけど、千明のリオの誘拐を容認し始めていた。リオの体は限界が来はじめていたし、活動に必要な魔力量も段々と上がってきていた。だから、リオを救うために、千明を信用しようとした。

 

 そんな時、俺たちの元に愚者のオスロキが訪ねてきた。リオを失った元凶の一人に一触即発の雰囲気になるもオスロキは戦うつもりはなく、交渉と説明に来たらしい。

 

 そして彼は俺たちに千明さんはリオの父親であることその目的と計画を話した。元々、私立天津高等学校は千明 誠馬(白い魔法使い)の実験のための箱庭だってこと、私立天津高等学校にゲートが多いのもそれが理由だったらしい。

 千明 誠馬(白い魔法使い)は娘を蘇らせるためにサバトに俺を含めた複数のゲートを生け贄にして引き起こしたが、失敗。そのサバトを生き延び、セフィロトの宝珠に適合した俺に希望を見いだした千明 誠馬(白い魔法使い)は俺と言う存在を使って魔法使いの量産と“ダアトマギアリング”の完成を目指した。

 それが今までファントムたちと繰り広げてきた戦いの真相。量産した魔法使いを人柱とし、ダアトマギアリングを使うことでリオを完全に蘇らせるためにこのファントム対魔法使いの構図を作り上げたようだ。

 

 その事実に俺は愕然とし、今まで信じて戦ってきたモノが、これまでの出来事が全て誠馬さんの策略の内であったと気付く。

 愚者のオスロキは賢者の石を手にいれることが目的で、そのために協定を結びに来たらしい。俺たちはリオを手放す気はなかっため、その協定を拒否しようとしたが快星の提案で受けることにした。誠馬さんとの戦いのあとで賢者の石を巡って争った方が堅実的で確実だから、と理由を聞かれた快星は答えていたが本音はどうかは今では分からない。

 そのあと、協定を結んだ愚者のオスロキは「お前たちには攻撃しない」とだけ言って帰っていった。

 リオがいなくなってしまう、その事に絶望して話を聞いた直後は失意に溺れてリオのためなら人柱になってもいいかもな、って思っていた。けど、そのサバトで無関係の人たちまで犠牲になることを知った。仲間にも諭されて俺はサバトに、賢者の石に頼らないリオの蘇生方法を見つけ出そうと誓った。

 

 改めて全力でリオを探していると、オスロキを消滅するために躍起になり、リオの監視を千明が疎かにしたことで、屋敷から抜け出せたリオと公園で再開した。

 俺は姿を見るとリオにかけよって、見たがその体は魔力が尽きかけて限界を迎えていた。俺は彼女の延命のために魔力を渡そうとしたが拒絶されてしまった。

 そして彼女はおれに“ダアトマギアリング”を託して意識を失った。

 俺は急いで彼女を連れ帰ろうとしたのだが……リオが千明さんのもとから逃げ出すのも折り込み積みだった様で、俺たちが再開したこの場所で第二のサバトが始まった。

 

 けど、前から準備をしていたのかサバトは絶望させる旋律の影響を受けない快星と士紋の手で阻止された。

 

 そうして迎えた誠馬さんと最終決戦だと思っていた戦いでは、誠馬さんには勝利したけど、誠馬さんは愚者のオスロキに殺されてしまうし、リオは賢者の石を抜き取られて消滅してしまった。

 

 その後にオスロキと激闘の末に賢者の石を取り返したけど、リオは復活を望まなかったからそのまま消滅してしまった……。

 

 そうしてファントムを統率する組織はいなくなり、平和が訪れたと俺たちは思っていたが、全くそんなことはなかった。ファントムの残党を倒していくうちに、ファントムの数がこれまで以上に増えていること、そしてこれまで以上に強くなってきていることに気がついたからだ。

 

 高宮(たかみや) 聖夏(ひなつ)神野(かの) 叶恋(かれん)がファントムたちの新組織『ミズガルド』を率いて現れた時は驚愕した。それからはそいつらと戦いながら、ファントムを打ち倒していった。

 

 『ミズガルド』の本拠地まで高宮 聖夏(仮面ライダーテイタン)神野 叶恋(仮面ライダーオリス)を追い詰めて、挑んだ決戦では無事、二人を倒すことに成功した。

 

 これから聖夏と叶恋を話を聞こう、というときにヤツらは現れたんだ。そいつは自分のことを全てのファントムの父“ルシファー”、長男“鴨志田(かもしだ) 龍之介(りゅうのすけ)”と名乗った。そうして、

 

「ああ、そうか。お前さんたちは知らなかったのかい。高宮 聖夏と神野 叶恋は幻造人間で、俺達が計画のために造り上げた道具なんだよ。短命だから、お前たちが何をしようともうすぐ死ぬんだよ。」

 

そう俺たちに告げてきたんだ。あと、二人は用済みであるから、好きなようにしろ。そして、お前たちはいい御飾りだった、いい操り人形だったと伝えてくれと。

 

 

 

「だからね、そういう若くして死んだ人たちを─────」

 

 

 

 そして、俺たちに感謝の意を告げてきたんだ。今まで俺達の思い通りに動いてくれてありがとうと。そこで、俺たちは衝撃の事実を知った。

 

 “セフィロトの宝珠”と呼ばれる最善の魔宝石を使ったマギアリング。“クリフォトの宝玉”と呼ばれる最悪の魔宝石を使ったマギアリング。その両方があいつらの計画には必要だった。誠馬さんも鴨志田とルシファーの奴に利用されて、セフィロトの宝珠を磨きあげる研磨剤として使われたんだ。つまり、誠馬さんとの戦いはセフィロトの宝珠を完成させるためのモノで、全部鴨志田の手の内だったんだ。

 

 そして俺たちは鴨志田に教えられて、『佐藤和真“英雄化”計画』という神々の計画によって敷かれた物語のレールを走り抜けてきた事を知った。そして、鴨志田たちはその物語を破壊して、自分達のモノにするために動いてきたことも。

 

 あいつらが神々に叛逆しようとしてたのも自分達が使い捨ての道具じゃないということを思い知らせてやろうってのが根源だったしな。

 

 

 

「あれ? ちょっと────」

 

 

 

 自分のしてきた事が全ての誰かの手の内で、自分達の掴み取った結果だと思っていた事は全部、予定調和だったって知ったときはキツかった。

 

 そして、自分も世界が滅ぶ理由の1つとなっているってのは絶望したな。確かに、俺という存在がいなければ神々は『佐藤和真“英雄化”計画』なんてモノを実行どころか発案すらしなかったのだから。

 

 鴨志田たちは魔宝石の世界を基点としてセフィロトの宝珠とクリフォトの宝玉を使って世界を侵食してファントムの世界へと作り替えようとしいたんだ。そうして増やしたファントムを自ら取り込み、ファントムの神となって神々に叛逆する。これが鴨志田たちの計画の最終目標だった。

 

 教えられた真実と厳しい現実に絶望して自問自答している俺たちを完全に無視して、絶望へのカウントダウンは進んでいたんだ。そう、既にあいつらの計画は最終段階に移っていたんだ。

 

 始まりはなんだったか。2月が過ぎても冬が終わらないことか。南半球で夏の気候が一夜にして冬の気候に変わったことか。

 

 そして、太陽と月が文字通り物理的に消滅したことか。

 

 気づいたときには遅かったんだ。

 

 そう、俺たちがどんな手を打ったとしても取り返しのつかないところまで、事態は進行していたんだ。

 

 

<◆><◆><◆><◆><◆><◆><◆>

 

『昨日、N〇SAは緊急会見を開き、太陽と月が物理的に消滅したことを正式に発表しました。NA〇Aは原因究明を急いでいますが………』

 

 静かな黒魔術部の部室にテレビの音だけが響く。

 

「和真、不味いことになったな。」

 

「ああ。きっとあいつらの、鴨志田たちの計画が最終段階を迎えたんだ。」

 

 快星と俺の言葉が響くこの部室。今現在、学校は臨時休校だ。いや、冬が続く異常気象や太陽と月の消滅によって政府をはじめとした公的機関は混乱している。日本だけじゃない、どの国も混乱状態だ。そのうち、電気消費の削減とか言って、テレビも映らなくなるどころか、テレビ局自体が無くなるだろう。

 

「ねぇ、和真君、快星君。私たちで何ができるのかな」

 

 唯一の救いは太陽が消滅したにも関わらず、気温が低下していないことか。これは、ファントムを生み出す為に必要な人間を絶滅させるためにはいかないからだろう。

 

 こんな異常事態なんだ。鴨志田とルシファーの計画を阻止しに行かなければならない。

 

「決まってるだろ。そんなこと。鴨志田とルシファーの奴を止めにいくんだよ。」

 

 そうだ、この絶望を招いたのは俺なんだ。だから、その責任は俺がとる必要がある。例え俺がどんなことになろうとも、責任は果たさなければ……。

 

「そうだな。それは確実だろう。しかし、どの様に動き回るのか作戦を立てる必要がある」

 

「何よりも、今は俺と和真と椿の3人しか揃っていない。まずは他のメンバーが揃うのを待ちながら、情報を精査をしよう」

 

「これが今現在の俺が調査した資料だ。急造だから、見にくいところがあるかもしれんが。それは我慢してくれ。」

 

 そう言って、快星は懐から資料を取り出した。

 

「マジかよ、快星。お前、いつの間に……」

 

「お前が腑抜けている間にだ。和真、例えお前が造られた英雄だとしても、俺たちが出会ったのは計画があったからだ」

 

「まず、周知の事実だと思うが太陽と月が消滅してから異様な魔力が満ち溢れるようになった。」

 

「これは日本上空に展開された魔宝石の世界“ユグドラシル”によるものだ」

 

「ユグドラシル?」

 

「ああ。名前の由来もあるが、それ以外にも重要なことがある。」

 

「まず、今までにない奇病が流行している。ファントムの影響ではないのに全身に紫のヒビが入る病気だ。そして、ここが一番重要だ。国連軍がファントムと戦っている。」

 

!!!!!!

 

「やつらはどうも最初は魔力を使わない攻撃でも倒せる特別製のファントムを投入したらしい。だか、普通は魔法を使わなければ倒せない。特別製のファントムを倒し終えて快進撃を見せる国連軍の前に通常のファントムを繰り出して絶望させる算段だったのだろう。」

 

「見事に成功し、ファントムは無数に誕生。もう、すでに国連軍は敗走し始めている」

 

「そして、俺が魔宝石の世界をユグドラシルと名付けた理由だが……攻め混んできたファントムの名前や姿が北欧神話に登場する神獣や神に瓜二つだからだ」

 

 

 

『きっ、緊急速報です。げ、現在、未確認、せっ生物と交戦中だった、自衛隊を含めた………各国の……連合軍は……ざっ惨敗……………』

 

『も、もう間も無く日本にも攻め込まれると思われます!!』

 

 この時、俺たちは悟ったんだ。この世界は終わったんだと……。

 

<◆><◆><◆><◆><◆><◆><◆>

 

 

 黒魔術部のメンバー全員が揃い、作戦をたてた俺たちは、答えを得ないまま、あいつらの計画を阻止するために、更なる被害を食い止めるために仲間たちと共に戦いに挑んだ。

 

 

 金坂 結捺(仮面ライダーヨトン)は大阪で白銀の大狼のファントムが率いるファントムの軍隊と激突。

 

 沢木 士紋(仮面ライダーカンライ)は猛毒を持った竜のファントムとの激戦。

 

 神野 叶恋(仮面ライダーオリス)は冥府の犬のファントムとの戦い、高宮 聖夏(仮面ライダーテイタン)と終わりの笛を鳴らすファントムと戦いに挑んだ。

 

 椿 琴葉(仮面ライダーアールヴ)は世界を焼き尽くすファントムと戦う。

 

 (仮面ライダーマギ)清瀬 快星(仮面ライダーイカルガ)はユグドラシルへと侵入するも、読まれていたらしく、清瀬 快星(仮面ライダーイカルガ)はそこで待ち構えていた幹部と激突する。

 

 (仮面ライダーマギ)はユグドラシルの深奥で、鴨志田龍之介、ルシファーと激突する。

 

 それぞれが強敵に苦戦し、一度は負けかけた。苦しい展開が続く戦いの最中、何度も訪れるピンチの中で、相棒たちや仲間たちの支えを思い出してそれぞれの答えを出した俺たちは相手を撃破した。

 

 

 

「ねぇ、聞いてる?───」

 

 

 

 しかし、撃破したのは俺だけで、仲間たちは皆、敵と相討ちするか、善戦の末に敗北していた。

 それを知らずにユグドラシルで快星と別れを済ませてユグドラシルから人世界へと帰ってきたら、滅んでたからな。世界。生き残った人たちは少なく、統率を失ったファントムの残党が跋扈していた。あの時はすごい悔しかったし、悲しかったし、負の感情が溢れまくってたな。

 

 

<◆><◆><◆><◆><◆><◆><◆>

 

 仲間を探して日本中を駆けずり回り、どこを探してもアイツらがいないことに絶望した。

 

 そんなときに、4人の女神を自称する美少女、美女がコンタクトをとってきた。そいつらは『佐藤和真“英雄化”計画』のメンバーで、計画を実行する神々をまとめる会長と副会長らしい。そいつらは自分のことを「冥府の女神 オーレギオン」「時の女神 ディア」「空間の女神 ルキア」「相反の女神 ラティナ」と名乗った。どうやら世界が滅亡しかけるのは神々にも想定外だったらしい。「オーレギオン」曰く、

 

「すまなかったな。正直に言うと、この計画は天界の上層部のみが知る極秘なんだ。だから、世界がこうなるのは困るんだ。他の神に計画が露見してしまう。だが、私達の手で世界を修復する、と言うわけには行かないんだ(まぁ、長い時間をかけて干渉していけば修復は可能なんだかな。だが、それでは計画の成功には至らない。英雄にはこれくらいの困難は乗り越えてもらわなくては……)」

 

だから、

 

「一度創ったモノを壊すのは楽だけど、改編するのは大変なんです。ちょっとしたミスで壊れてしまいかねませんからね。」

 

「そんな面倒なことをするのなら、改編する相手に自分で自分を改編してもらった方が楽。だから、君はこの歴史を改編のために、その起点を作ってきて。」

 

「ふぁいと」

 

 と「ディア」「ルキア」「ラティナ」に言われて、彼女たち3人の神格が持つ力をそれぞれ込めた魔宝石“金剛玉(こんごうだま)”、“真白玉(ましらたま)”、“白金玉(はっきんだま)”を貰った。自分勝手なやつらだな、コイツら!!。と思ったいたが、どうやらコイツらは人の心を読めるらしい。

 

「此方にも事情があるのだよ」

 

 俺の心を読んだ上で返答してきた。そして、心を読めるのに、俺の気持ちを無視して話を進めだした。

 

「別に悪い話ではあるまい。君はこの結末を変えたいと思っているだろう」

 

 たしかに、話から察するにこの力があれば時間跳躍、つまり過去に行ける様だ。だが、1つだけ知りたいことがある。

 

「なぁ、『佐藤和真“英雄化”計画』ってなんなんだよ。どうして俺が選ばれたんだ?」

 

「その計画は私が発案したものだ。だが、別にそれは君が気にする事ではない。そうだな、強いて言うなら世界救済のための計画で、君が適任だったから…だな」

 

「それに、君にも悪い話ではないはずだが。この計画がなければ君はあのまま不登校になり、今の仲間とも出会うことはなかったはずだか?」

 

 ぐっ。痛いところを突いてきやがる。

 

「確かにあんたたちの言う通り、魔法使いになってなければ、英雄化計画がなければ俺は引き籠もりのままで今の仲間とは出会わなかっただろう」

 

「なら、話は早いな。君は過去に跳んで叛逆計画を実行に移す前の原初のファントムとその息子。つまり、ルシファーと鴨志田を倒せばいい。これで、この世界にファントムがいたと言う歴史は消滅し、この未来もなかったことになるろう。」

 

 そうか。それでこんな未来はなくなるのか。その事にホッとした俺は…………あれ?ファントムがいた歴史がなくなる? それじゃ、

 

「それじゃ俺の、仮面ライダーマギの歴史もなくなるんじゃないのか?」

 

 そうなると、黒魔術部も仲間と出会ったこともなくなるんじゃないか?

 

「その件に関しては君が考えている通りだな。しかし、それは先の戦いで敗北した君の責任だ。それに今回の改編はこの未来を救済するためのものであって君達を助けるためではない」

 

 なっ。なんだよ!それ………

 

「君の仲間はもう既に死んだのだ。君の行いで改編された未来で君の仲間は、君とで会うことのなかった、ファントムが存在しない世界での未来を歩むことになる。安心しろ。君のことを思い出すこともないが、ファントムと戦うこともない」

 

 たしかに、俺の仲間はもう死んでしまった。それは現実からの目を背けたくてウジウジしてた俺の責任だ。ライダーの責任から逃れて籠っていた俺が原因だ。けど、俺の知る皆じゃなくなっても、俺は快星や椿たちに生きていてほしい。だから、俺は行くよ。

 

「分かったよ。俺は皆を助けるために。皆には生きていてほしいからさ」

 

「そうか。なら準備をして行くといい。なに、君の死後は悪いようにはしないさ」

 

<◆><◆><◆><◆><◆><◆><◆>

 

 

 それから俺は貰った魔宝石をマギアリングに加工して、そのリングで魔法を発動。時間跳躍で過去に遡って。

 

 

 

「ねぇ、ちょっと?、あんた──」

 

 

 

 計画に移る前の鴨志田とルシファーを消滅させることが出来たんだよな。

 

 

<◆><◆><◆><◆><◆><◆><◆>

 

 時間を遡っているとき、俺は今までの俺の軌跡を思い返していた。楽しかったこと、辛かったこと、皆でバカをしたこと。いろんな思い出が溢れ帰ってきた。

 その都度に俺の中には悲しみと怒りと、憎しみが貯まってゆく。時間移動を終える頃には限界まで憎悪と怒りがたまっていた。憎き仲間の仇。世界を滅ぼした怨敵。時空間を抜けた過去の世界にて、一目散に奴等の元にたどり着いた俺は、

 

 

「ルシファァァァ!!、鴨志田だあああぁぁぁ!!!、」

 

〔ガチョイン〕

 

 ハンドオーサーを右に傾けて、

 

〔ルパッチマジッ《エクスプロージョン》!!〕

 

 絶叫しながら、爆発魔法を奴らに向かって放った。

 

 

<◆><◆><◆><◆><◆><◆><◆>

 

 そうして“アインマギアリング”に覚醒したり色々して勝ったんだ。

 

 思い返してもよく、鴨志田とルシファーを倒せたよな……。現代でも、過去の世界でも厳しい戦いだったしな。

 

 それから無事、歴史の改編が行われて鴨志田とルシファーの計画がない世界となった。計画によって人生を狂わされた誠馬さんと里桜の千明家や快星の清瀬家は無事に生活できていた。

 

 その代わり私立天津高等学校が無くなってたけど。まぁ、当然だな。誠馬さんは魔法使いになる必要も、実験をする必要もないんだから。

 

 その後も色々調査したけど、他の黒魔術部のメンバーがどうなったのかは解らなかった。

 学園がなくなったこともあるけど、皆の無事を確かめている途中で俺の魔力が切れたからだ。いや、正確には切れたというよりは歴史改編の影響でファントムがいない世界となったからだな。相棒のマギアースドラゴンが存在を保てなくなったのだ。あの別れはキツかったなぁ…。

 

 そうして魔法使いでない中学校生活を送り、仲間のいない高校生活の途中で亡くなって。

 

 そして、今に至るのか。

 

「ちょっと!! 何、ボーッとしてっ、え? ちょっとどうしたの? なんで泣いてんのよ? 大丈夫?」

 

 思い出に浸っていると、どうやらしびれを切らしたのか、女神が声を上げて迫ってきていた。ようだが……?困惑している感覚が伝わってくる。

 

 ふと、気づいた頬を流れる液体の感覚。どうやら俺は泣いていたらしい。この女神でも、さすがに目の前で泣かれたら女神らしく有ろうとするらしい。涙をぬぐいながら、俺は感心した。

 

「気にすんな。こっちの話だ」

 

「ふーん、まぁいいわ。そんなことより、あんた、さっきから生返事ばっかりじゃない。 絶対にきちんと話を聞いてなかったでしょ! 女神の私を放ったらかしにて良いと思ってるわけ?」

 

 前言撤回。こいつ何も変わってねぇ。

 

「なっ、少しぐらい思い出に浸ってもいいじゃねえか!!」

 

「はぁ? 何いってんの? 後がつかえてんのよ。いい? あんたみたいな面白しょうもなく死んだ人に使える時間は長くないの! あんたをさっさと案内して次の人に移りたいんだから!」

 

 こいつ! 俺を誰だと思ってんだ! 数多のファントムと互角以上に渡り合い、世界を救っ…世界をすくっ、世界救えてないな………。

 

「もう一度言うけど、あんたには三つの選択肢があるからとっとと決めてちょうだい」

 

 どうしようもないから、全部なかったことにしただけだし……。

 いやもう、話が進まないから黙っとこう。

 

「一つは記憶を消して人間として生まれ変わり、新たな人生を歩むか。そしてもう一つは、天国的な所で、永遠にひなたぼっこでもしながら世間話をする暮らしをするか」

 

 なにその身も蓋もない選択肢。しかも、天国的な所って天国的よりも地獄的なんですけど。

 しかし、赤子になってもう一度人生やりしか……。いや、まだ二つしか選択肢を聞いてない。

 

「三つ目はなんなんだ?」

 

「三つ目は異世界転生よ。」

 

 異世界転生?なんだろう、物凄く胡散臭い。まあ、他の選択肢はできるなら選びたくないし、詳しく聞いてみるか。

 

「異世界転生ってどんなのなんだ? できれば教えてくれ」

 

「えぇー。さっき話したじゃない。仕方ないわね~。いい、一度だけしか言わないからしっかりと聞いときなさいよ」

 女神の説明を要約すると、こうだった。

 ここではない世界、すなわち異世界に魔王がいる。 そして、魔王軍の侵攻のせいでその世界がピンチらしい。 その世界では、魔法があり、モンスターがいて。 言うなれば、有名ゲーム、ド〇クエや〇フ〇フのようなファンタジー世界があるらしい。その世界で死んだ人達ほほとんどが、その世界での生まれ変わりを拒否。このままでは人口は減る一方。それなら他の世界で死んじゃった人達をそこに送り送り込もうということになったらしい。

 

 何という移民政策。

 って

 

「これかぁぁぁぁぁぁアああ!」

 

 これが俺が巻き込まれた計画の原因か! 何やってんだよ先代転生どもは!!

 

「ちょっとなによ!急に叫びだして!」

 

「悪い、悪い。こっちの話だ」

 

「まっ、いいわ。続けるわよ。で、どうせ送るなら、若くして死んだ未練ある人を、異世界転生させるのよ。転生特典をつけてね。別に悪い話じゃないでしょ」

 

 なるほど、確かに悪くない話に思える。

 と言うよりも、むしろテンション上がってくる。 ゲーム好きな自覚はあるが、まさか自分が、大好きなゲームの世界みたいな所に行けるとか。

 

 と、その前に。

 

「 えっと、聞きたいんですけど、向こうの言葉ってどうなるんです? 異世界語とか喋れるの? 」

 

「その辺は問題ないわ。私達神々の親切サポートによって、異世界行く際にあなたの脳負荷を掛けて、一瞬で習得できるわ。」

 

 親切? 基本お前ら神々が俺に親切だったことってほとんどないだろ。全部、自分達の都合じゃねぇか。

 

「もちろん文字だって読めるわよ? 副作用として、が悪いパーになるかもだけれど。

 

・・・・・だから、後は凄い能力か装備を選ぶだけね」

 

「今重大な事が聞こえたんだけど。 運が悪いとパーになるって言ったか? 」

 

「言ってない☆」

 

「言ったろ」

 

 先ほどまでの緊張感もなく、相手は女神だというのに、俺は既にタメ口だった。

 しかし、これは確かに魅力的な提案だ。 もしかしたらパーになるかもという恐怖はあるが、自慢ではないが運強さに関してだけは、子供の頃から自信がある。と、俺の目の前に女神がカタログの様な物を差し出した。

 

「選びなさい。たった一つだけ。あなたに、何者にも負けない力を授けてあげましょう。例えばそれは、強力な特殊能力。それは、伝説の武器。さあ、どんなものでも一つだけ。異世界へ持って行く権利をあげましょう」

 

 女神の言葉に、俺はそのカタログを受け取ると、それパラパラとめくってみる。 そこには〈怪力(かいりき)〉〈超魔力(ちょうまりょく)〉 〈気配遮断(けはいしゃだん)〉〈精霊召喚(せいれいしょうかん)〉〈ドラゴン召喚(しょうかん)〉〈聖剣(せいけん)アロンダイト〉〈聖刀(せいとう)クサナギ〉〈聖刀(せいとう)マサムネ〉〈魔刀(まとう)ムラマサ〉〈魔刀(まとう)倶利伽羅(くりから)〉〈魔剣(まけん)ダインスレイフ〉〈魔剣(まけん)ティルフィング〉〈光槍(こうそう)ブリュナーク〉〈紅桜(べにざくら)〉〈木刀(ぼくとう)洞爺湖(とうやこ)〉〈ノロワ・レター・メガネ〉〈ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲〉〈無限の爆弾(アンリミテッド・ジャスタウェイ・ワークス)〉〈斬魄刀(ざんぱくとう)〉〈無限の剣製(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)

 

 その他諸々色々な名前が記されていた。 って〈紅桜(べにざくら)〉? これ伝説の武器でもなんでもないよな。たしか『銀○』って言う漫画の機動兵器だったと思うんだけど……。いや、これ以外にも伝説の武器でもない他の創作物の能力や武器が混ざってる。 いいのか?これ。 しかも、〈無限の剣製(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)〉って。これ固有結界(リアリティ・マーブル)で衛宮士郎専用の能力じゃなかったか? 嫌だぞ、能力に人格が侵食されて衛宮士郎の様になるのは。しかし、参ったな。これだけあると目移りする。 と言うか、ライダーの勘だが、創作物の能力以外もこれらは反則級の能力や装備の予感だ。

 

 いや、待てよ。これ、創作物の能力は小さく<注意:これは本物ではありません>とか<注意:自分で成長させましょう>って書いてあるな。パチモンじゃねーか。

 

 つまり、〈無限の剣製(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)〉は剣を創造できる能力で、固有結界(リアリティ・マーブル)なんかは無い。〈斬魄刀(ざんぱくとう)〉は死神の誰かのを使えるワケじゃなくて自分で成長させる必要があると……。創作物の能力は選ばない方がいいな。純粋に異世界系の能力にしよう。

 

「ねー、早くして! ? どうせ何選んでも一緒よ。 引き篭もりのゲームオタクに期待はしないから、なんか適当選んでサクッと旅立っちゃって。 何でもいいから、はやくしてはやくして! 」

 

「オタクじゃないっ!出掛けてて死んだ訳だし、引き籠もりは克服したんだよ!」

 

 大声で声で言い返すが、女神は自分の髪の先の枝毛をいじりながら、俺には全く興味無さそうに言った。

 

「そんな事どうでもいいから早くしてー。この後、他の死者の案内が、まだたくさん待ってるんだからね?」

 

 言いながら、女神は椅子に腰掛けこちらを見もせずに、スナック菓子をぼりぼりと・・・

 

 こいつ、初対面のくせに人様の死因を思い切り笑ったり、さっきからちょっとばかかわい可愛いからって調子に乗りやがって。 女神の面倒臭そうな投げ船なその態度に、流石に俺もカチンときた。 早く決めろってか。 じゃあ決めてやるよ。 異世界に持っていける“モノ”だろ?

 

「............じゃあ、アンタ」

 

 俺は女神を指差した。女神は、こちらをキョトンとした顔で見て、ぼりぼりとスナックをかじっている。

 

「ん。それじゃ、この魔法陣の中央から出ない様に............」

 

 そこまで言って、女神はハタと動きを止めた。

 

「今何て言ったの?」

 

 と、その時だった。

 

「承った。これからのアクアの仕事は私とこいつが引き継ぐ」

 

 何もない所から、白く輝く光と共に、突然二人の女性が現れた。片方は一言で言えば、天使みたいな翼が生えている。

 

「(へぇ、この水髪の女神はアクアって言うのか)」

 

 今さらだが、今この女神の名前を知った。アクアの名前から察するにどうやら本当に水の女神だったようだ。

 

 もう片方のは一人黒い服装を見にまとった少女が……って

 

「オーレギオンじゃねえか! 話が違うぞ!どうなってんだ!!」

 

 そう。奴こそ俺の人生を歪めた元凶。善かれと思って世界や人の人生を歪めるヤツだ。ヤツには感謝もしているが、文句の一つくらいは言ってやりたい。ヤツは俺の方を向くと満面の笑みを浮かべ、異世界へと転送準備を始める。

 

「......えっ」

 

 呆然と呟くアクアの足元と、そして俺の足の下に青く光る魔法陣が現れた。

 

「ッ!」

 

 これは転送の魔法の超高位版か?いや、違うな。なんの魔法なんだ? なんの魔法か解らないと止めることができない。このままだと、オーレギオンに文句を言う前に異世界へいってしまう。

 

「ちょ、え、なにこれえ、え嘘でしょ? いやいやいやいや、ちょっと、あの、おかしいから!」

 

「女神を連れてくなんて反則だから! 無効でしょ? ! ? ! ? こんなの無効よね! 待って! 待って! 嘘だって言ってよレギオン先輩!」

 

 涙目でオロオロしながら、滅茶苦茶に慌てふためき、オーレギオンに縋り付くアクア。

 

「おい、待てオーレギオン!! ちょっと話をさせろ!」

 

 そのアクアに、

 

「行ってらっしゃいませアクア様。 後の事はお任せを。無事魔王を倒された時には、こちらに帰還するための迎えの者を送ります。 それまでは、あなた様の仕事の引き継ぎはこのわたくしとオーレギオン様にお任せを」

 

「頑張れ、アクア。和真は我々の手によって造られた神造の仮面ライダーだ」

 

 と、オーレギオンと天使は無慈悲に告げた。

 

「待って! ねえ待って! 話聞いてよ! 私、女神なんだから癒す力はあっても戦う力なんて無いんですけど!魔王討伐とか無理なんですけど!! あと、仮面ライダーってなに? カズマって本当にライダーだったの!?」

 

 そしてオーレギオンは俺に。

 

「和真。貴様は我々の想定以上の力を手にいれた英雄だ。その調子で頑張れ」

 

 と、俺の文句を受け流して言い放った。

 

 そして天使は、泣きながらすがるアクアを尻目に、俺に笑みを浮かべ。

 

「佐藤和真さん。 あなたをこれから、異世界へと送ります。 魔王討伐ための勇者候補の人として魔王を倒した暁には、神々からの贈り物を授けましょう」

 

「おい!話を聞けよ! 」

 

 何で天界の奴らは話を聞かないのが多いんだろうか。

 

 ん? ………贈り物?

 

 何がもらえるんだろうか。ここはおとなしく聞いておくべきだ。

 

「贈り物?」

 

 オウム返しの様に聞いた俺に。その天使は、穏やかに微笑んだ。

 

「そう。世界を救った体業に見合った贈り物。…………………たとえどんな願いも。たった一つだけ叶えて差し上げましょう」

 

「おおっ!」

 

 それはつまり、冥府の女神 オーレギオンに文句が言えると言うことだろうか。

 

「ねえ待って!そういうカッコイイを告げるのって、私の仕事なんですけど!」

 

 いきなり現れた天使と先輩女神に仕事を奪われ、泣いてすがるアクア。 アクアのその姿を見られただけで、俺は1つを除いて満足していた。俺はそのままアクアを指差し。

 

「散々バカにしてた男に、一緒に連れてかれるってどんな気持ちだ?おい、俺が持っていく“者”に指定されたんだ、女神ならその神パワーとかで、精々俺を楽させてくれよ! 」

 

「いやあー!こんな男と異世界行きだなんて、いやああああああああ!」

 

「さあ、勇者よ!願わくば、数多の勇者候補の中から、あなたが魔王を打ち倒す事を折っています。······さあ、旅立ちなさい!」

 

「わああああああーっ! 私のセリフー! 」

 

高らかに天使が告げる中、泣き叫ぶアクアと共に明るい光に包まれた・・・・・・

 

 

<◆><◆><◆><◆><◆><◆><◆>

 

アクアと和真、そして後任の天使が出ていった後の死者を導く部屋。

 

誰もいなくなったはずの部屋にいる人影。それは、冥府の女神 オーレギオン。佐藤和真の人生を歪めた張本人。

 

「しかし、まさか平行宇宙であんな情けない死に方をした彼が、この世界では英雄らしく誰の命を救って逝こうとするとは。これも英雄となって成長した彼の姿かな?」

 

そう言ってため息を着いた彼女は安堵の表情を浮かべた。

 

「ふぅ、一応、情けない死に方の運命のまま固定しておいて良かった。そうしないと彼は全自動蘇生特典(アクア)を連れていってくれないからね。平行宇宙での彼の活躍には水の女神の協力があってこそ成し得たものと判明している。連れて行ってくれないとこちらも困るんだ。この異世界での経験を得て、怠惰で我が儘だが無駄に能力の高い駄女神の彼女も更生するといいんだがな……」

 

「さて、ディアエゼル様とアルディアス様の許可も戴いたことだし、佐藤和真(仮面ライダーマギ)。折角、お膳立てをしてあげたんだ。必ず、企画通りに魔王を討伐して世界を救ってくれよ」

 

オーレギオンが見つめる紙には 『佐藤和真”英雄化“計画』 その提案内容が記されていた。

 

 

《◆》《◆》《◆》《◆》《◆》《◆》《◆》

 

企画名:『佐藤和真“英雄化”計画』

提案者:冥府の女神 オーレギオン

共同企画者:勝利の女神 カノン

 

<現状>

異世界(以下世界Bと呼称)は魔王軍の侵略によって危機に瀕しており、死した人間は恐怖から世界Bに再び転生することを拒否。人口減少が少しずつ加速している。それを防ぐために移民策として、地球(以下世界Aと呼称)の若くして死した人間を強力な能力と共に送り出し、魔王討伐を促しているが成功例は無し。

 

<問題>

世界Bに転生した世界Aの人間は、強力な能力による冒険者としての金稼ぎによって満足してしまっており、魔王討伐という使命を抱くものはごく僅か。このままでは魔王討伐は失敗し、人口減少が加速、人類は敗北する可能性が高いと言える。

 

<主題>

平行宇宙において魔王討伐を成し遂げた佐藤和真の同一の存在である世界Aの佐藤和真を世界Bに転生する以前から強化することにより、魔王討伐の成功を促す。また、世界Aにて様々な出来事を体験させることにより精神的成長を促す。そのために世界Aの歴史や世界Aの人類に様々な干渉を行い、佐藤和真を主人公とした物語「仮面ライダーマギ」を展開する。

 

 

<賛同神>

「冥府の女神 オーレギオン」「勝利の女神 カノン」「傀儡と復讐の女神 レジーナ」「不死と災いの女神 ゼナリス」「陽光と月光の女神 ソラス」「闘争と守護の神 エルセウン」「絶滅と誕生の女神 ゼノア」「大地と大海の女神 シャーレイム」「大地の神 ラグンド」「海の神 イオガ」「天空の神 レウザ」「時の女神 ディア」「空間の女神 ルキア」「相反の女神 ラティナ」「雷の神 ゼロム」「炎の女神 レラム」「氷の女神 キムレ」「生命の女神 ネアス」「破壊の神 イベル」「護りの神 コケコ」「護りの女神 テテフ」「護りの神 ブルル」「護りの神 レヒレ」「太陽の神 ソルガ」「月の女神 ルナール」「暗黒の神 ロズマ」「剣の神 シアン」「盾の神 マゼンタ」「無限の神 ダイナ」「古の女神 コライ」「未来の女神 ミライ」

 

<許可神>

「創世神 ディアエゼル」

「創造神 アルディアス」

 

《◆》《◆》《◆》《◆》《◆》《◆》《◆》

 

           <To Be Continued>

 

 

 

 

 




ちなみに、日本担当のアクアが和真が仮面ライダーであることを知らない理由は簡単に言えば『佐藤和真“英雄化”計画』が天界の中でも上層部、それも世界創造クラスの神とその直属の配下の独断で行われたからです。和真の手によって『仮面ライダーマギ』の歴史がなくなったことも都合がよく、他の神話派閥にバレないように隠蔽工作をしなくてよくなりました。後、『佐藤和真“英雄化”計画』が進行していた時の日本での異変に気が付けなかったのは単にアクアの怠慢です。世界滅亡の際には昼寝してました。天界の時間は地球を流れる時間よりも遅いので、和真が頑張って奮闘している頃、アクアは寝てました。



下記の内容は読み飛ばしても構いません。自分で作成した特典の詳しい概要です。この二次創作のものなので、このすば原典の特典はこの能力ではありません。

特典の能力一覧

怪力(かいりき)
筋力、生命力のステータスが最高峰レベルに高くなる。

超魔力(ちょうまりょく)
魔力、知力のステータスが最高峰レベルに高くなる。
注意:この特典は必ずしも魔法がすぐに扱えることを保証するものではありません。

気配遮断(けはいしゃだん)
気配を断つ能力。余程の事がない限りはそこにいることはばれないが、探知系の魔法や特典には発見される恐れがある。そして、此方から相手に殺気や攻撃的な行動を起こすと発覚しやすくなる。

精霊召喚(せいれいしょうかん)
精霊を召喚する。野良精霊と契約をするのではなく、転生の際にこの特典を選んだ転生者の思念から転生者が思う姿の精霊を誕生させる。転生者と精霊の仲が険悪になった場合、精霊の方から一方的に契約を破棄される場合がある。

〈ドラゴン召喚(しょうかん)
ドラゴンを召喚する。野良ドラゴンと契約するのではなく、転生の際にランダムで選ばれるドラゴンと契約する。転生者とドラゴンの仲が険悪になった場合、ドラゴンの方から一方的に契約を破棄される場合がある。

聖剣(せいけん)アロンダイト〉
不壊の剣。その切れ味や強度は落ちることはない。竜殺しの特性を持ち、ドラゴンには特効効果を持つ。保有者に身体能力強化の加護を授けるが、魔剣(まけん)グラム程ではない。

聖刀(せいとう)クサナギ〉
日本刀。高い火力を持ち、剣先から光線を放つ。魔法《ライト・オブ・セイバー》の様に込めた魔力次第で威力・射程ともに変化する。魔力効率も魔法《ライト・オブ・セイバー》よりも高い。身体強化、魔力強化の加護を保有者に授けるが、魔力強化の方が強化比率が高い。また、両方強化しているため中途半端であり、身体能力も保有魔力も一流とまではいかない。

聖刀(せいとう)マサムネ〉
日本刀。魔剣(まけん)グラムと同様に使用者に強化な身体能力強化の加護を授ける。

魔刀(まとう)ムラマサ〉
日本刀。斬り付けた対象から魔力を吸収し、保有者の身体能力を限定的に強化し、魔力や体力を回復させる能力を持つ。

魔刀(まとう)倶利伽羅(くりから)
日本刀。対霊系モンスターに特化した剣。あらゆる不浄を浄化し、問答無用で霊を成仏させる。

魔剣(まけん)ダインスレイフ〉
自動追尾機能を持った剣。この剣を振るえば必ず的に命中する。しかし、名刀電光丸の様に相手の攻撃を自動では防いでくれないため、剣を振り続けないといけない。剣を振り続けると対処の出来る限りの範囲で、自動で相手に攻撃を当て、相手の攻撃を防いでくれる。保有者に身体能力強化の加護を授けるが、魔剣(まけん)グラム程ではない。

魔剣(まけん)ティルフィング〉
剣。錆びることなく、手入れをする必要もない。切れ味も高く、剣筋の補正機能を持つ。保有者に身体能力強化の加護を授けるが、魔剣(まけん)グラム程ではない。

光槍(こうそう)ブリュナーク〉
五つの穂先を持つ槍。五つの切っ先からそれぞれが別方向に飛ぶ光線を放つ。しかし、命中させるのは至難の技。全部同じ方向に向けた方が楽。また、投げると自動的に相手に向かって飛んでいくが、帰ってはこないので取りに行く必要がある。保有者に身体能力強化の加護を授けるが、魔剣(まけん)グラム程ではない。

紅桜(べにざくら)
漫画『銀魂』に登場する対戦艦用機械機動兵器の模造品。電魄(でんぱく)という人工知能を持ち、周囲の状況把握(レーダー)と搭載されている迎撃システムで戦闘経験を積んでいき、能力を向上させていく。原典の寄生能力は失われている。名刀電光丸に近いシステム構成で、保有者の体を操って自動戦闘をしてくれる。そのため、本人の鍛練が(おろそ)かになりがち。使い慣らせば戦艦十隻に匹敵する戦闘力を獲得できるが、使いこなせた者はほとんどいない。

木刀(ぼくとう)洞爺湖(とうやこ)
漫画『銀魂』に登場する木刀の模造品。非常に堅固な木刀。真剣よりも軽く、神器なので切れ味も抜群。手入れは紙ヤスリできる。それだけ。『銀魂』原典の様に洞爺湖仙人などはいない。

〈ノロワ・レター・メガネ〉
漫画『銀魂』に登場する眼鏡の模造品。あらゆる真実を見抜く眼鏡。異世界系定番のスキル“鑑定”の様な能力。音声ガイドつき。しかし、表示されるのはVikipediaの抜粋がほとんど。執筆者は天界の暇してる神及び女神。一度着けると取り外せない欠陥がある。そして強度は普通の眼鏡と変わらないので簡単に壊れる。

〈ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲〉
漫画『銀魂』に登場する大砲の模造品。魔力を弾に変換して放つ。神器なので堅固で壊れにくい。それだけ。

無限の爆弾(アンリミテッド・ジャスタウェイ・ワークス)
漫画『銀魂』に登場する爆弾、ジャスタウェイを無限に創造することができる能力。創造できるジャスタウェイは原典と同じく、出汁を取ることができ、目覚まし時計、機械のパーツにもなる。創造するのには魔力を必要とする他、両手に一個づつしか創造できないという制約がある。

斬魄刀(ざんぱくとう)
漫画『BLEACH』に登場する日本刀の模造品。霊力ではなく魔力で出来ている。破損すれば魔力で修復できる。漫画に登場する死神の誰かの斬魄刀が手に入るわけではない。原典と同じく浅打(あさうち)から始まり、己の魂を写し取って斬魄刀に仕上げる必要がある。霊を浄化させる能力は備わっており、柄の印鑑を押すか、斬るかで成仏させられる。アンデットの類いにも有効。始解(しかい)卍解(ばんかい)に至るにはそれなりの修練が必要。そのため、この特典を選らんだ者は沿いも揃って退魔師の道を選ぶ。そして、修練を重ねて始解(しかい)卍解(ばんかい)に至る者と諦めて放り投げる者の二択となる。なお、卍解(ばんかい)に至れたものは極僅かで、それも全盛期を通り越した老人となってから。そのため、この特典を選らんだ場合は担当者から忠告を入れることが義務となっている。また、原典と同じく卍解(ばんかい)は破損したら治らない。そして、保有者以外にとってはただの切れ味の良い刀となり、他人が始解(しかい)卍解(ばんかい)を使えた原典とは異なる。

無限の剣製(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)
『Fate』シリーズに出てくる英霊エミヤの宝具を神々の手によって再現した能力。そのため、固有結界(リアリティ・マーブル)を由来とする能力ではなく、単に剣の贋作を製作する能力となっている。一度見た剣はその材質・構造から創造理念まで完璧に解析するが心象風景に貯蔵するのではなく、特典として脳内に与えられた本棚に記録する。剣を創造する際はそこから必要な情報を読み出し、魔力を用いる。その剣の持つ能力や効果に応じて消費魔力は増減する。また、神器は創造できない。そのため、固有結界(リアリティ・マーブル)を展開することなんでできないし、『Fate』に出てくる宝具の贋作を投影することもできない。正真正銘、剣の贋作を創造する能力。性質的には『Fate』の無限の剣製(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)よりも『ハイスクールD×D』の魔剣創造(ソード・バース)聖剣創造(ブレード・ブラックスミス)の方が近い。というか、剣の模造機能がついて、属性付与した剣の創造機能が失われた魔剣創造(ソード・バース)及び聖剣創造(ブレード・ブラックスミス)そのものである。

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