殺し屋がブラック鎮守府に着任させられました 作:アイリエッタ・ゼロス
「あー、すんませーん。これとこれ貰えます?」
次の日、俺は街にある服屋で配達員が来ているような服を買った。
「お兄さんこの辺で見ない顔だけど....旅行者?」
「半分はそうだな。もう半分は仕事で来てるんだ」
「仕事? 随分若く見えるけど、何の仕事なの?」
「....まぁ、ちょっとスリルがあって危険な仕事だよ。それじゃ」
俺はそう言うと、袋を持って店から出た。そして、一度旅館に戻りある準備を始めた。
~その日の夜~
「さて....行きますか」
夜の11時ぐらいになり、俺は店で買った配達員のような服を着て何も入っていない
段ボール箱を持って鎮守府に向かっていた。そして、俺は鎮守府の入り口の前に着いた。
「あ、すみません。大本営海妹元帥よりこちらの提督にお荷物です」
「げ、元帥から!? そ、それはご苦労で!」
じいちゃんの名前を出すと、憲兵は緊張感を持った表情で敬礼した。
「では、こちらにサインを」
俺は偽装して作った伝票を憲兵に渡した。
「はっ!」
憲兵は伝票を受け取ると、俺に背中を向けてサインを書き始めた。俺はその間にポケットから
拳銃を取り出し憲兵の男の頭があった場所に銃口を向けた。
「ではこちらをっ....!?」
「ご苦労だったな」
そして、俺の方に再び顔を向けた瞬間、俺は銃の引き金を引いた。銃弾は男の頭を撃ち抜き、
男は背中から地面に倒れた。
「第一段階クリアっと」
俺は近くにあった監視カメラを拳銃で破壊すると、男が着ていた憲兵の服を脱がせてその服に
着替えた。男の遺体はその辺に捨て置き、俺は鎮守府の中に入った。
~鎮守府内~
「荒れてんなぁ....」
鎮守府の中は外の綺麗な外装とは違い、あらゆる部分が壊れていた。
「(まともに生きるのにこれは結構キツイだろ....)」
そう思いながら、俺は鎮守府内を歩いていた。すると....
「○○! ここにいたのか! 屑野提督が待ってるぞ!」
突然背後からその声が聞こえてきた。その男の声は昨日の昼間にさっき殺した憲兵と話して
いた男の声だった。
「○○?」
男は俺が何も返事しなかったのが不思議に思ったのか肩に手を置いてきた。その瞬間、俺は
肩に置かれた手を掴み、男の胸ぐらを掴んで背負い投げをした。そして、地面に倒れた男の
首にナイフを突き刺した。男は一瞬の出来事に反応できず、そのまま死んでいった。
「これで二人....残り三人か」
そう呟いた時、背後から物音が聞こえた。
「っ!」
俺を音の方を向き拳銃を向けた。そこにいたのは、服が所々破れた女の子が三人いた。
三人の女の子のうち、一人の女の子は二人を守るようにしてこっちを睨んでいた。
「(艦娘か....)」
俺はそう思い、銃を降ろし艦娘に近づいた。
「お前らここの艦娘か?」
「....そうよ。それよりも、あんた一体何者なの? あそこにいる憲兵を殺したのあんたなの」
「あぁ。あいつを殺したのは俺だよ。仕事のついでにな」
「仕事?」
「俺は殺し屋だ。依頼を受けてここの提督を殺しに来たってわけ」
「....」
艦娘の顔は俺の言葉が信頼に値するかどうかを見極めるような表情をしていた。
「信じられないならそれでもいいさ。じきにわかる。それか、大本営の元帥にWinterと
会ったって言ってみな」
そう言って、俺は憲兵が歩いてきた方に向かった。
「お前らも、グロイモノ見たくなかったら部屋にさっさと戻ってろよ」
~~~~
艦娘と別れた俺は鎮守府の二階に来ていた。
「(あの部屋か....)」
俺は二階にある扉の中で一際綺麗な扉を見つけた。
「(ちゃっちゃか終わらせるか....)」
そう思い、俺は扉を蹴り飛ばして中に入った。部屋の中には憲兵が二人、メインターゲット、
艦娘が五人いた。艦娘五人の衣服は乱れており、何となく何があったのかを察した。
「貴様っ! 一体何....!」
「うるさい死ね」
俺は憲兵の男が最後まで言う前にナイフを男の頭に向かって投げた。ナイフは男の頭に
突き刺さり、男は背中から地面に倒れた。
「「なっ!?」」
メインターゲットともう一人の憲兵は一瞬死んだ憲兵の方に視線が向いた。それを見逃さず、
俺はもう一人の憲兵に接近してナイフで首筋を切り裂いた。男は何もできず切られると、
そのまま地面に倒れていった。そして、俺はナイフを持っていない方の手に拳銃を持ち、
メインターゲットの両足を拳銃で撃ち抜いた。ターゲットは悲鳴を上げると、地面で
のたうち回っていた。
「き、貴様! この儂を誰だと思って....!」
「さぁ? お前が誰だろうと俺は興味ねぇよ」
そう言いながら、俺はターゲットの眉間に銃口を当てた。
「まぁ、自分がやってきた事を後悔しながら死んでくれよ」
「ま、待て! 待ってくれ! 金ならやる! だから殺すのは....!」
「金ねぇ....そっちは興味ねぇが、俺の言うことを聞いたら拳銃で殺すのは見逃して
やってもいいぞ」
「わ、わかった!」
「そうか。なら、お前のこれまでやってきた汚職を改竄した人間とお前の手下の名前を全員
この紙に書け。嘘は書くなよ? 嘘だとわかった瞬間、頭をぶち抜く」
「わ、わかった....」
ターゲットはそう言うと、ペンで紙に名前を書き始めた。
「あぁ。そこの艦娘五人、服着なおしてこの部屋から出ときな。脳みそがぶちまけるとこ
見たくないだろ?」
「な、何を勝手に....」
「ん?」
「な、何でもない....」
俺はいらんことを言おうとしたターゲットに銃口を向けた。ターゲットは銃口を向けられた
瞬間、黙って再び名前を書き始めた。
「ほら、さっさと行った」
そう言って手を振ると、艦娘は頭を下げて部屋から出て行った。そうして五分後....
「こ、これで全部だ!」
「....ふーん」
「文句はないだろ! だからさっさと....!」
「わかったわかった」
そう言いながら、俺は銃をホルダーに入れナイフを取り出した。
「お、おい! 何でナイフなんか出して....!」
「あれ? 俺の言った言葉を忘れたか? 俺は拳銃では殺さないって言っただけだ。ナイフで
殺さないなんて一言も言ってねぇぞ?」
「そ、そんなの詐欺じゃ....!」
「汚職しまくってる奴に言われたくねぇっての。てかもう死ね。お前の利用価値は無いからな」
そう言って、俺はターゲットの首を切り落とした。ターゲットの首は地面に落ち、首からは
大量の血が噴き出した。
「さて....後はコイツの持ってる裏金と資料の回収だな」
俺は死体から視線を外してターゲットの机の引き出しを見た。引き出しには鍵がかかって
いたが、俺は拳銃で鍵を壊して引き出しを開けた。引き出しの中には到底公に出せないような
資料がいくつも出てきた。そして、塀の上にあった有刺鉄線に電気を流している機械の装置も
入っていた。俺は機械を壊し残骸は適当にその辺に捨てた。そうして色々と見つかるのだが、
引き出しの中にも部屋の中にも裏金の存在はなかった。
「(どこに隠してる....)」
そう考えながら部屋を見渡していると、突然ズボンの裾が引っ張られるような感覚がした。
足元を見てみると、そこには小人のような小さな女の子五人がいた。
「....お前らも艦娘か? にしては随分とちっさいな」
「ちがうよー」
「ようせいだよー」
「妖精?」
「そうだよー」
「こっちこっち」
小人は俺から離れると手招きをするように部屋の外に出て行った。気になってついていくと、
小人達はこの部屋の近くにある絵の前で止まっていた。
「絵....まさか....」
俺は絵を壁から外した。すると、絵の後ろには隠し扉の様なものがあった。
「なるほど....隠し部屋か」
俺は隠し部屋に入り中の様子を見た。部屋の中には変な液体が入ったバケツが大量にあり、
拷問道具がいくつか置かれていた。
「趣味悪い部屋だな....っと、これか」
俺は部屋の隅に置かれたアタッシュケースを開けた。ケースの中には大量の一万円札が
入っていた。俺は部屋の中にあるケースを纏めて隠し部屋から出た。
「そういや、あの妖精は....」
俺が隠し部屋の方を見ると、妖精は変な液体が入ったバケツをどこかに運んでいた。
「(まぁ、ほっといても大丈夫か)」
そう思い、俺は一度ターゲットを殺した部屋に戻りターゲットの首を回収して鎮守府の塀の
上にある有刺鉄線に突き刺してこの場から去った。