ラフテルへと辿り着き、海賊王となったモンキー・D・ルフィ。
海賊王となってから五年後、病により命を落としたルフィは五歳の頃に戻ってきており、今度こそ、救いたかった人を救う為に行動していく事を決意した。
五歳の自分に戻ってきた事を理解したルフィは、さっそく行動を開始した。
フーシャ村を出て、再び崖の方へと移動し、近くにあった岩の上に飛び乗って座り込む。
「身体は完全に子供の頃のままだなぁ……ゴムでもねぇし、まだできることは限られてっか」
先程、この崖からフーシャ村へと全力疾走しただけで息も絶え絶えになったことから、身体能力は完全に子供の頃のままだと判断した。
この頃の自分は、まだ悪魔の実を食べていない為、身体が伸びるようなことも無い。
「シャンクスとウタに会ったのは六歳ん時だっけ」
シャンクス率いる赤髪海賊団がフーシャ村に来たのは、ルフィが六歳の時だった。
つまり、あと一年後……シャンクスに、そしてウタと出会う。
それまでに、すべきことは既にルフィの中で固まっていた。
「身体の方は鍛えるとして、後は……やっぱり覇気だな!」
そう。身体作りと【覇気】である。
未来の世界において、ルフィが義兄エースを失った頂上戦争の後、シャボンディ諸島へ戻る二年の間に、かのロジャー海賊団の副船長を務めた【冥王 シルバーズ・レイリー】から教わった技術だ。
この世界に住む全ての人がもつ気配や気迫、感情、闘争心といった目に見えない感覚【意志の力】を操る技術であり、自分の体内に流れる力をその身に纏う【
「まずは武装色から行ってみっか」
武装色の覇気。
自身の体内に流れる覇気であり、その身に纏う事で防御力と攻撃力を底上げすることができる。
更に、物理的な攻撃に対して無敵に近い流動する体を持つ悪魔の実の能力者相手に攻撃を通す事も可能となるのだ。
座っていた岩から下に飛び降り、岩の前に立ったルフィは、スッ、と腰を落として構えた。
今から十二年後……十七の時に教わり、その後、海賊王になるまで磨きあげた技術であるが、感覚は自分の身体がしっかりと覚えていてくれた。
「武装色、硬化」
自身の腕に目に見えない鎧を着る感覚で覇気を纏わせる。
すると、ルフィの幼い右腕が一瞬で黒曜石のように真っ黒に染まった。
「ゴムゴムの~(まだゴムじゃねぇけど)
そのまま、目の前にある自身の背の二回り近くはある岩に突き出すと……
ドゴッ! と凄まじい音を立てて岩は粉々に砕け散った。
……今一度言うが、今のルフィは身体は五歳の時のままである。
明らかに五歳の子供が放つパンチの威力ではない。お前は化け物か。
「よし、できた……けど、やっぱり覇気の量も減ってんなぁ……これも鍛えねぇと」
パラパラと砕けた岩の破片が落ちる中、黒くなった右腕を見つめ、ニカッと笑うルフィであったが、身体能力と同じように自分の中にある覇気の量も減っている事に気づき、課題が一つ増えた。
必要以上に膨大な覇気を使用する事で、絶大な力を誇る武装色であるが、そんな覇気にも限度がある為、幼くなった今は自身の覇気の量を増やす事に専念しようと判断した。
その後も、未来においてワノ国で会得した【纏わせた覇気を相手の内部へと送り、内側から破壊する】と言った特殊な技術【
「次は……見聞色!」
視線をフーシャ村のある方角へと向けて見聞色を発動させる。
「おっ、見える見える! にししっ、あっ、マキノがケーキ作ってくれてんなぁ!」
フーシャ村にいるマキノや村長、村人の気配を一人一人感じ取り、見聞色の覇気も問題なく使える事を判断。
ぶっちゃけ、今いる崖からフーシャ村までそれなりの距離がある為、いくら見聞色といえど五歳の少年が村人一人一人の気配を感じ取れるのは明らかに異常なのだが、ルフィは全く気づいていない。
そもそも未来の世界においても、レイリーからは基礎だけを叩き込まれ、そこから自力で新世界を渡れるだけの覇気を習得したのだ。
さらに新世界を渡る中で出会った数々の強敵と闘いを繰り返していく中、ルフィの技術はその度に進化していった。
それだけで、ルフィの類稀な戦闘センスがどれだけずば抜けているかが伺える。
当の本人は気づいていないが。
「覇王色は……さすがに村は危ねぇな。覇王色は鍛えようが無ぇから後でいっか」
最後は覇王色……と行きたいところであるが、もしも村人全員気絶したらえらい騒ぎになるので自重した。
先程の武装色、見聞色とは違い、覇王色だけは鍛錬による強化は不可能であり、人間的な成長でしか強化されない為、後回しにした。
そもそも、海賊王となった時のルフィの覇王色はあのシャンクスと同等レベルであり、もしも今、その覇気が村人に向け放出されたら騒ぎどころではなかった。
今はとりあえず……
「飯だ飯~~!」
……お腹も空いたことだし、自分の誕生日会に向かうことにしたルフィだった。
そして、それから一年後……。
いつものように、あの崖の上で一日たりとも欠かさず鍛錬を繰り返し続けているルフィは、その途中、ピタリと動きを止めた。
見聞色により、はるか遠くからフーシャ村に近づく船に気がついたのだ。
そして……
「……ッ! 来たッ!!」
その船に乗る『懐かしい気配』を感じとったルフィは、いてもたっても居られず、鍛錬を中断し、崖からフーシャ村の港へと全力で駆けて行った。
全力で駆ける事、数分……港へと着いたルフィは遠くの海を眺める。
……ちなみに崖からフーシャ村までは大の大人が全力で走っても十分はかかる距離である。
六歳にして既にルフィの身体はおかしくなっていた。
「……見えた!」
そして、港から数百m先の海に一隻の船を見つけた。
船首に真っ赤なドラゴンを置き、帆と海賊旗には左目に赤い線の入ったドクロに剣がクロスされたマーク。
シャンクスが率いる赤髪海賊団の乗るレッド・フォース号だ。
「シャンクス……ウタ……みんな……」
シャンクスの気配は既に甲板の上にあり、他の船員達と荷物を纏めているようだ。
そして、ウタ……甲板の縁をバランスを取りながら歩いて遊んでいる。
……生きている……動いている。ウタが。自分が最後まで愛した少女が。
その気配を感じ取ったルフィは自然と涙を流していた。
しばらくして、港に近づいてきたレッド・フォース号。
ルフィは流し終えた涙の痕をぐしぐしと拭き取り、甲板の上を見つめた。
麦わら帽子を被り、炎が常に燃え盛っているかのように赤い髪と、左目に鋭利な爪で引っ掻かれたかのような三本の傷を残した男。
こちらを見つめ、穏やかな笑みを浮かべている。
ルフィが生涯を通して憧れた男であり未来では四皇と言われる大海賊の『シャンクス』だ。
そして、その隣に……
右側がシャンクスのように赤く、左側が雪景色のように白いツートンカラーの髪に、アメジストのように紫色に輝く瞳をした少女がジッとルフィを見つめていた。
シャンクスの娘であり、ルフィが未来において最後の最期まで愛した少女『ウタ』である。
「お前ら……海賊か?」
ルフィはあえて知らぬ振りをして、そう問いかける。
自分が未来から戻ってきた、などと話しても信用などされないし、向こうからしたら初めて会った少年が名前を知っていたら不可解だからだ。
中身はだいぶ大人だからこそ、ある程度冷静であった。
「そうよ。なにか文句でもあるの? 」
その問いかけに、透き通るような声で返しウタはその場に座った。
「だったら聞くよ。船長シャンクスの娘、このウタが」
まるで、こちらを挑発してくるかのような言い分に、ルフィは「ウタと最初の出会いはこんな感じだったな」と思い返して感慨にふけっていた。
「やめとけ、ウタ。俺たちは喧嘩しに来たわけじゃない」
そんなウタを制して、見た目通りの穏やかな物言いでシャンクスが口を開いた。
「この村には、手強そうな保安官がいるんだな」
柔らかな笑みを浮かべてルフィを見るシャンクスの姿……未来の姿とは違い、若々しい見た目をしているが、その芯には誰よりも強い熱い炎が燃え盛っているのを肌でビリビリと感じた。
「俺はシャンクス。この船の船長だ。よろしく頼むよ小さな保安官」
「おれはモンキー・D・ルフィ! この村に変なことしたら、ただじゃおかないからな!」
こうして、過去に戻ってきたルフィは憧れた海賊と、その娘である愛しき少女に再会を果たしたのだった。
ここから先は、未来における海賊王となったルフィの設定みたいなものです。
本編にはあまり関係ないかもしれないです。
名前
モンキー・D・ルフィ
二つ名
海賊王
新時代の英雄
麦わらのルフィ
年齢
享年25歳
懸賞金
56億2900万ベリー(取り下げ済み)
海軍元帥サカズキの発言のもと懸賞金は取り下げられた。
「儂らが築き上げられなかった新時代の英雄に、こんなもの(懸賞金)は不要じゃろうて」
好きな物
肉
好きな人
ウタ
ナミ、ビビ、ハンコック、レベッカ、しらほし姫と言った数々の女性からアプローチと勉強をさせられ、ようやく恋というものを知った。
死後、ルフィの亡骸はシャンクスとかつての仲間達の手により、ウタの隣へと埋葬された。
その墓には、麦わら帽子が置かれ、今ではシャンクスが二人の墓を守るためにフーシャ村で過ごしている。
なんなら、最強の墓守。
二人の墓に不穏な気配が寄れば、村から遠距離覇王色で気絶させる。
命あるだけマシ。
サカズキが二人の墓参りに来てる時にいたらこんがり焼かれるか溶かされて海軍に処理される。