一等星の煌めきを   作:不思議ちゃん

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ついに手を出しました。
必要なタグがあれば教えていただけると幸いです。


Tiny Stars
いち


 朝、ノンビリ朝食を取っていれば、普段よりも少し遅い時間にかのんが起きてやってくる。

 既に制服へと着替えているようだが、どこか機嫌が悪そうだ。

 

「おはよう、かのん。朝ご飯は?」

「いらない」

「かのん」

「……な──んむっ!?」

 

 母親が声をかけるも、挨拶なしに必要ないと一言のみ。

 仕方ないので食べかけのトーストを半分にちぎり、呼び止めて開いたかのんの口へと突っ込む。

 

 初めは何されたのか分からない驚きからこちらをジッと見ていたかと思えば、状況を理解したのかキッと一度睨んで学校へと向けて家を出ていった。

 

「いってらっしゃーい」

 

 ヒラヒラと手を振って見送るが、マンマルへの挨拶だけでこちらは無視。

 そんなかのんを見送り、また残りのトーストへと齧り付く。

 

「ありがとね、優」

「まあ、仕方ないと言えば仕方ないよ。一時的な反抗期だと思えば可愛いところもあるし」

「結女が女子校じゃ無かったら、学校でのかのんの様子も見てもらえたのに。……今からでも女装して転校してみない?」

「冗談でしょ?」

「私、兄さんなら行けると思うけど」

「ありあまで……俺、もう行くよ。ご馳走様」

 

 二人が言うことは冗談だと分かっているが、話の流れが変な方向に行きそうなので逃げる事に。

 女装して入学の話は受験の時期も散々されたので十分である。

 

「まあ新しい環境になったし、かのんもそのうち前みたいに戻ると思うよ」

「そうだと良いけどね……。いってらっしゃい。気を付けてね」

「うん、いってきます。マンマル、いってくるね」

 

 いってらっしゃいの変わりに一度羽を広げてくれたマンマルに手を振り、自分も学校へと向かう。

 二十分も歩けば着く共学校であるが、かのんが通うところとは反対に位置するのが少し残念である。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 今日は始業式だけで昼には終わるため、まだお天道様が高い位置にあるが帰路へとついている。

 学校をサボっているみたいな変な気分を味わいながらも家へと向かわず、とある場所に向けて歩を進めていく。

 

「あれ、優くん。どうしたの?」

「久しぶり、千砂都」

 

 目的の場所とは幼馴染がバイトをしている場所であり、今まさに開店の準備をしているところであった。

 

「もうちょっと準備かかるから待ってて」

「急いでないし、ゆっくりで大丈夫だから」

 

 イスに腰掛けてスマホを弄りながら待つこと十数分。

 目の前に出来立てのたこ焼きが置かれる。

 

「はい、綺麗なまん丸のたこ焼きだよ!」

「ありがと。ほい、代金」

「優くんには新作の開発とか手伝って貰ってるから、大丈夫なのに」

「それはそれ、これはこれよ」

 

 最後は受け取ってくれるのだが、この毎度のやり取りは俺も千砂都もなんだかんだで気に入ってるのだ。

 

「それで、今日はどうしたの?」

「学校でのかのんの様子を聞きたくて。学科の違う千砂都に聞くのもあれだけど」

「姉思いだね、優くん」

「あはは、そんなんじゃないよ」

 

 千砂都も本気で言っていないため、すぐに切り替えて腕を組み、学校でのかのんの様子を思い返し始めている。

 

「うーん……やっぱり引きずってる感じかな? 私の制服姿を褒めてくれたんだけど、無理してたから」

「そうなるよね」

「あ、でも留学生の子に何か凄い誘われてたの見たよ」

「何それ、面白そうな光景の予感」

「そんなこと言ってると、かのんちゃんに怒られるよ」

 

 その後は雑談や、客が来て千砂都が働いている姿を眺めたりして、今度こそ家へ。

 流石にたこ焼きだけじゃお腹は膨れなかった。

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