来月のliella3rdの楽しみを心の支えに。
『Tiny Stars』はとても思い入れ深い曲である。
それは俺だけでなくかのんに可可はもちろん、ステージを見ていた平安名やサニパのお二人も少なからず思っているだろう。
ピアノということで少しアレンジを加えたりしたが、やっぱり楽しいな。
自分の好きな時に弾きたい曲を弾ける、これに限る。
発端としてはかのんだが、結果的にこうして良い物で良い曲が弾けたので許してやろう。
約四分、弾いている時は長いようにも感じたが、終わってみればあっさりあっという間である。
これで終わりというのは少し勿体無いというか、まだ触っていたいというか。
次は何を弾こうか……。
「ねえ」
「ん?」
「将来はピアニスト、とかじゃないのよね?」
「うん? まあ、なりたいとは思ってないかな」
「…………そう」
平安名の唐突な質問に面食らったが、何だったのだろう。
可可やサニパのお二人は俺の返しに何やら驚いているようだが。
「とても素晴らしい演奏だったと思うけれど、ならないのには何か理由が?」
「いや、特に深い理由があるわけじゃないですけど……これくらいなら誰でも弾けると思うので」
柊さんも気になるのか深掘りしてきたが、そんな大層な理由などない。
好きなものを仕事にしたら嫌いになるという話はよく聞くため、それでならないっていうのは理由の一つとしてあるが。
もう一曲、サニパさんの曲で弾ければと思っていたけれど。
何故かそんな空気ではなくなっていたため、仕方なく蓋を閉めることに。
良いものに触るとまた触れたくなるため、誰か金持ちのピアノ持っている知り合い作って家にお邪魔したいな。
「夜、お二人も食べていきます? 作るのに少し待ってもらいますけど」
「あ、うん。お言葉に甘えて頂こうかな」
「何か手伝うことはあるかしら?」
「いえ、こっちは大丈夫なのでゆっくりしててください」
特に当番などを決めたわけではないが、昨日は可可と平安名に作ってもらったので今日は俺が作ろうかと。
マネージャー的立ち位置なら、それが普通だろうし。
可可が故郷の料理を作ると頑張っていたため、冷蔵庫の中には少し扱いずらい食材が入っていたりしたが、何とかなるはず。
内容までは分からないが何やら女子トークをしているようだし、ノンビリ作ることにしよう。
家が喫茶店という事もあり、料理はそこそこ出来る。
どちらかといえば料理よりもデザートの方が作り慣れているが。
男友達とかなら大雑把な味付けでも米に合えばどうとでもなるけども、俺以外全員女子なためそこら辺は少し気にして作った。
「……あんた、将来は料理人に」
「ならないよ。これくらいならかのんも作れるし」
「いやいやいや、無理だから」
「料理人は考えてないけど、喫茶店の後継ぐのは良いなと思ってる」
「ふーん……」
何やら意味ありげな納得の仕方をしている平安名だが、さっきから何なのだろう……。
可可や聖澤さんみたいに美味い美味い言いながらたくさん食べていればいいのに。
いや、こいつ自分の分をしっかり確保してやがる。
可可もそれに気がついて食い意地はってると口にしたが、それはブーメランだよ……。
みんなの口に合ったようで、個人的には満足である。
明日はサニパさんからの提案でこちらの普段やっている練習をすることになっているし、しっかり食べて休んで体力つけてもらわないと。
一つ、気になる点があるとすれば。
今日で二日目が終わるわけだが、ここへの滞在期間は十日。
十日目は帰る日であるため、九日目が村起こし当日。
後一週間で曲と振り付け、衣装を作ったり覚える事になるのだが間に合うのだろうか。
村起こしの二日前には千砂都の大会も控えているし。
…………うん、みんな頑張れ。
実際、どんな日程でこなしているのか気になる所。
本当は千砂都の大会と村起こしの間を一週間設けるか悩みました。