一等星の煌めきを   作:不思議ちゃん

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じゅうはち

 早くも七日目を迎え、千砂都が出るダンス大会当日となった。

 かのんは朝から出て千砂都の元へと向かっており、残された側はかのんが書き上げた曲の練習である。

 

「歌に関して指導はできるけど、見本にはなれないから」

「あんたも出来ないことってあるのね」

「そりゃ一般人だもの」

「……一般人、ねぇ」

 

 またピアノを弾けるのは嬉しいが、歌いたくないなぁ……。

 『普通』というのが、かのんから聞いた俺の歌の感想である。

 特に可もなく不可もなく、これといって述べる感想が出て来ないとのこと。

 サニパさんも俺の歌が気になるとのことで見にきているが、聞くだけ無駄だと思う。

 

「取り敢えず一度歌うから。歌詞見ながら聞いて覚えて」

「あの、チサトは来るのデスか?」

「来るよ。そこらへんの心配はしなくても大丈夫」

「そうデスか」

 

 パート分けされている名前の一つに、千砂都とある。

 これまで断ってきたのに本当に来るのか、もしくは間に合うのか、不安なのだろう。

 来なかったらその部分が穴になってしまうのだから。

 

 だから目を逸らすことなく、ハッキリと口にした。

 不安に思うことなんて何一つないと、安心されるため。

 

 ああ、そうだ。

 いつものを送っておかないと。

 

 

 

「普通、ね」

「普通デス」

「普通だね」

「普通だったわね」

「最初にそう言ったじゃん……」

 

 三日目に行った俺考案の練習を行ってから、女性陣の思いが一つになったような気がする。

 共通の敵を作ると仲が深まる、というのは本当だったのか。

 

 一度歌ったはいいものの、真っ先に俺の歌に対する感想とは。

 サニパのお二人はいいが、可可と平安名はキチンと頭に叩き込んだのだろうか。

 

「時間もないしフルは置いておいて、ステージで歌う分を頭に叩き込んでいくから」

 

 とは言ったものの二人は物覚えも早く、歌詞を見ないで歌うのにそう時間はかからなかった。

 問題は昼食を挟んだ午後、踊りながら歌う練習の時である。

 

 ある程度の振り付けは考えたものの、千砂都に見てもらいブラッシュアップされるため。

 今のを覚えて変な癖がついては困るのだ。

 特に可可。

 

 というわけで、筋トレをしながら歌ってもらうことにした。

 プランクなどの維持系にしか出来ないが、これはこれでおもしろ……効果はあるのではないだろうか。

 

「これキッツ……」

「平安名、喋るんじゃなくて歌うんだよ」

「そんな、の……分かってる、わよ!」

「可可もへばるのいつもより早いぞー」

「私の事は置いて先にゆけ、デス……」

 

 置いてゆけも何も、本人がやらなきゃどうしようもないというのに。

 

 二人の様子を見た感じ、今日はこれくらいで一度終わり。

 まだ出来そうではあるけどこれまでの疲労が蓄積されてみえるため、ゆっくり休んでもらおう。

 あとはかのんと千砂都がこちらに来てから相談だな。

 

 サニパのお二人もということで別メニューを考えたが、可可と平安名が終わる少し前に全てこなしてストレッチへと入っている。

 可可と平安名にもストレッチしてゆっくり身体を休めるよう伝え、ピアノの鍵盤へと指を置く。

 

「ユウさん、何か弾かれるのデスか!」

「え、うん。適当に弾くだけだから、BGM程度に聞いててよ」

 

 弾くのは久石さんより、大好きな一曲。

 夏に入ったばかりであるが、夏の懐かしさを思い起こさせる曲。

 

 四人にはリラックスしてもらって、いい曲だな程度に思ってもらえれば良い。

 と、思っていたが、ストレッチを途中でやめた可可は慌ててどこかへと行き、ドタバタと音を立てながら三脚を手に戻ってきた。

 

「ハイ! いつでも大丈夫デス!」

 

 スマホをセットし、カメラをこちらに向けて何やら操作を終え、そう口にする。

 動画を撮っているようだが、一体なぜ……。

 

「いつでもどうぞ! カメラの事は気にしなくていいデス!」

「…………まあいっか」

 

 乱れた自身のリズムは適当に音を出してリセットをはかり、その余韻が空気へ溶けていくにつれ集中が深まっていき。

 

「…………っ」

 

 自身の思い描く夏の色、夏の匂い、夏の音。

 それらが聞いているみんなにも伝わるよう、奏でていく。

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