一等星の煌めきを   作:不思議ちゃん

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じゅうく

 いつかこんな日が来ればいいなと、ずっと願っていた。

 

 仲間がいて。

 

 大好きな人がいて。

 

 大切な人がいて。

 

 このステージで私の『楽しい』を存分に感じ取ってくれたら嬉しいな。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 神津島での村起こしイベントも無事、終了した。

 かのんたち四人とサニパのお二人がいろんな人に囲まれているのを遠目に、先ほど出店で買ってきたかき氷を食べすすめていく。

 

 短期間で仕上げたため納得のいかない部分もあるだろうが、とても良いステージだった。

 レベルの高い千砂都が入ることでみんなの気持ちも釣られ、普段以上のパフォーマンスを披露していたようだし。

 

 音楽科に入り、大会で優勝するような実力もあるのに、それらを躊躇なく捨ててこっちを選ぶなんてほんと凄いな。

 

 何に価値を見出すかなんて人それぞれであるが。

 千砂都には、かのんと共に過ごす時間にそれだけ惹きつけられる『何か』があるってことなのだろう。

 

 夢中になれるモノがあって、それに今の全てをかける事のできるかのん達は輝いていて少し眩しい。

 

 ただ単に面倒くさがり、逃げているだけの俺が抱くには不相応な気持ちではあるが。

 

「なに辛気臭い顔してるのよ」

「そんな顔してたかな」

「少なくとも私にはそう見えたったら見えたわよ」

 

 いつの間にやら側まで来ていた平安名は、一人分のスペースを空けて腰かける。

 その手にはたこ焼きが二パックあり、うち一つをこちらに差し出してきた。

 

「……賄賂?」

「なんでそうなるのよっ! …………一応というか、その、あんたには感謝してるのよ。素直に受け取りなさいったら受け取りなさい」

「うん、ありがとう」

 

 たこ焼きを受け取り、正面へ向き直る。

 特に平安名も話しかけてくる事はなく、人々の楽しそうな声、海の音を聞きながらゆっくりとした時間が流れていた。

 

「ねえ」

「ん?」

「マネージャーをやってもらって助かっている身で言う事じゃないのかもしれないけれど、他にやりたい事とか無いの?」

「特には無いかな」

「ピアノ、あれだけ上手いのに? 中学の頃やってた部活だって……」

「うーん……かのんは変わらずお喋りだな」

 

 中学にやっていた部活といってもありふれたバスケ部員ってだけだし、プロになりたいとか全く思っていない。

 あの時は何やってもよかったが、部活に入る前に読んでいた漫画がバスケだったのでそのまま。といった具合に始めたのも大した理由じゃ無いし。

 

「今の俺が仮に才子だったとしても、二十歳過ぎれば只の人だよ」

「何か一つ、真剣になれば……」

「別に俺はプロになりたいわけじゃないよ。好きだからやってるだけ」

「そう…………少しだけ、あなたの本心が見えたような気がするわ」

「えっと、勘違いとかしてない? 大丈夫?」

「ええ、大丈夫。私はショービジネスの世界にいた女よ? 何かあったら何時でも話を聞くわ──優」

 

 言いたいこと言って満足したのか、満足そうな笑みを残して何処かへと行ってしまった。

 

「…………熱っ」

 

 おそらく何かしら勘違いしているであろう平安名だが、残された俺にはどうしようもない。

 誤解なのだからそのうちどうにかなるだろうと放置することにし、折角だからと貰ったたこ焼きを一つ頬張る。

 

 時間が経っていい具合に冷めているだろうと思ったがそれは表面だけであり、中はまだ熱々であった。

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