一等星の煌めきを   作:不思議ちゃん

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にじゅうご

 葉月さんが加わり、メンバーにも慣れ親しんできた頃。

 相談したいことがあると言われたので、こうして部室に二人残っているわけだが。

 

「ほ、本当に私がセンターで良いのでしょうか」

 

 その内容とは、先ほど葉月さんが述べたものであった。

 まだ完成とはいかないが、曲が出来つつあり、また不安になってきたのだろう。

 

「まだ入ったばかりですし、他の方が良いのではないかと」

「そんな心配しなくても大丈夫だよ。音楽科と普通科、一つになってこの学校の素敵なところをみんなに見てもらうんでしょ?」

「そうなのですが……」

「それに葉月さんが気にしているの、本当は別のところにあるでしょ?」

 

 煮え切らないところ悪いが、さっさと本題に入ってしまおう。

 みんな、つつけばすぐに目を逸らすから分かりやすくて本当に面白い。

 

「まだ引きずってるんでしょ?」

「…………はい。その通りです」

 

 側から見れば五人仲良くしているように見えるが、葉月さんの中ではまだわだかまりがあるようで。

 正直、邪魔と言ってもスクールアイドル部創設時に条件が合ったぐらいでそれ以降は特に何事もない。

 

 そうならないよう早めに手を打ったというのに、真面目な性格ゆえか譲れない部分があるようだ。

 

「んー……葉月さんはここしばらく一緒に活動してきたわけだけど、まだみんなの事を頼れない?」

「い、いえっ、そのようなことはありません! ただ、私のケジメとして必要だと」

「それならこの問題は俺じゃなく、ここで盗み聞きをしているみんなに話さないとね」

 

 部室の入り口へと足音を殺して向かい、一気に開ければ。

 先に帰ってるね、と言って部室を出て行った四人が倒れ込んでくる。

 

「み、みなさんっ!?」

「え、えへへ……」

「やっぱり優くんにはバレバレだったか」

「あんたがクシャミしようとした時にバレたんじゃ無いの」

「平安名のチョロ毛のせいデス」

 

 床に倒れ込んだまま各々反応を見せるが、盗み聞いていたのには変わりない。

 取り敢えず、反省の証として正座させる事にしよう。

 

「さて、気を取り直して葉月さんの心の整理についてなわけだけど」

「あ、あの、このままというのは流石に……」

「大事な話を盗み聞いていたわけなんだから、このくらい当然だよ。なんなら過去の葉月さんよりも重い罪じゃない?」

「ゆ、優! これは恋ちゃんのわだかまりをトントンにする為なんだよ!」

「それ、いま思いついたでしょ。無しで」

 

 アホな事を言っているかのんはさておき、なんか面倒な状況になったなぁ……。

 ぶっちゃけ、個人で葉月さんの悩みを解決できたかと聞かれたら半々だったため、助かっている部分もあるが。

 

「一つ、案としてはある。でも葉月さんもメンバーなのだから、こういうのは無しにしていきたいんだけど」

「どのような案でしょうか」

「貸し一つ。葉月さんに対して常識の範囲内でお願いができる権利」

「それでいきましょう!」

 

 何も考えず、反射で答えていたりしないよね。

 ……あ、うん。なんかとても納得しているようだし、いっか。

 

 かのんたちも葉月さんがそれで納得するならと受け入れているし、これで解決……でよいのかな。

 

「勿論、優さんも何でもおっしゃってください」

「んー、なら早速」

 

 何でも言ってくれ、に男として反応してしまうのを必死に抑え。

 どうせ俺もだろうなと思っていたので、あらかじめ考えていたお願いを口にする。

 

「色々と合ったけど、今こうして一緒にいる縁が出来たんだ。お母さんもやっていたスクールアイドル、気楽に楽しんで」

「そのようなお願いで大丈夫でしょうか」

「俺にとっては割と大事なところかな」

「……分かりました。たくさん頑張りたいと思います!」

 

 こういうのはさっさと済ませるに限る。

 

「え、普通……」

「パンか飲み物でも買いに行かせるのかと思っていたデス」

「恥ずかしい秘密を言わせて弱み握るとか」

「千砂都以外の三人、明日の練習覚悟しておけ」

 

 正座したまま何やらコソコソと話している三人。

 残念ながらキチンと聞こえている。

 

「れ、レンレン! 可可のお願いです! 明日の練習を軽くするようにユウさんへ頼んで欲しいデス!」

「は、はい! 優さん、明日の練習は軽くお願いしたいのですが!」

「分かった。葉月さんだけ別メニューで組んでおくね」

「え、あ、はい。わかりました。……あの、可可さん。私だけ別メニューになってしまいました」

「違うのデス!」

「全く、何やってんのよ」

 

 いま、目の前で凄くしょうもないコントを見せられている。

 続いて平安名が見てなさい、とばかりに顔を上げた。

 

「恋、明日の私の練習を軽くするよう頼んでくれないかしら」

「分かりました。優さん、明日のすみれさんの練習を軽くしてくださることは可能でしょうか」

「ダメです」

「すみません、すみれさん。ダメでした」

「なんでよっ!?」

 

 いや、そりゃそうでしょ。

 逆にどうしていけると思ったんだ。

 

「恋ちゃん」

「はい」

「私のお願いは優の居ない所で相談に乗って欲しい事かな」

「あ、それなら私もそれでお願い」

「俺、はぶ?」

 

 かのんも続くのかと思ったら、予想外の願いであった。

 千砂都も同じらしいが……ああ、女の子の悩みか。

 

「なら明日は午前で終わりにして、午後時間取るよ」

 

 この日はこれで解散となったが、最後に四人からよく分からない視線を向けられていたのが引っかかった。

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