一等星の煌めきを   作:不思議ちゃん

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にじゅうく

「こんにちは」

「はわっ!? な、なんですの?」

「いや、体調でも悪いのかなと」

「別にそんなんじゃないですの」

「それなら一先ずは安心だ。何か悩み事?」

「ぐ、ぐいぐい来ますわね……」

 

 イスの端っこに腰掛ければ、なんだコイツみたいな顔して見られた。

 そりゃそうなるか。

 

「一応、スタッフとしてここにいるからね。悩み事なら知らない人の方が案外話せたりするかもよ?」

「……いや、話さないですの」

「別に無理にとは言わないよ。……あ、さっきのステージ観てくれたりした?」

「諦めて帰ったりしないんですのね。……まあ、観ましたの」

「そしたらそれが原因だと。自分が何をしたいのか、どうありたいのか……みたいな悩みかな?」

「エスパーですの?」

「ただの勘。でも答えは教えてくれたね」

 

 俺の雑な推理に素直なあたり、ピュアだな。

 なんだかんだで話に乗ってくれるのは彼女の優しさか、それとも吐き出し口が欲しかったのか。

 

 しばらく互いに黙っている時間が続き。

 その間にかのんから今どこにいるのかと連絡が来ていたが、電源を落として見なかったことにした。

 

「…… 将来なりたい夢を見つけて、でもその才能が無かったらどうしますの?」

「うーん……まず、才能ってのが気に入らないかな」

「どういう事ですの?」

「例えば、運動音痴の男の子がプロのサッカー選手になりたいと口にした。その夢は叶うと思う?」

「それは無理ですの」

「そう、誰もが君と同じ言葉を口にする。でも、プロのサッカー選手になれないのは才能がないからじゃないんだよ」

 

 少しだけ、身体がこちらを向いた。

 俺の話すことに興味を示してくれたようで、続きを話すよう目で訴えかけてくる。

 

「確かに才能は必要だけれど、それは努力する才能、続ける才能。これらが一番大事だと思う。例えどれだけ上手かったとしても、練習しなければ衰えるだけ」

「でもそれじゃどれだけ時間が掛かるか分かりませんの。それに本当にその夢が叶うのかどうかも」

「自分がなりたいものを疑ったら、そこで終わり。馬鹿みたいに目指すべき場所しか見えてない人だけが勝つんだと、俺は思ってる」

 

 そこまでしたとしても、叶えられるのは一握り。

 とは口にしなかった。

 

「…………酷い根性論ですの」

「夢を叶えるってそういうもんさ」

「それなら私は、ただ自分に甘かっただけですのね」

 

 そうポツリと漏らす少女の目はどこか寂しそうで、空虚であった。

 それは鏡に映る自身の目にそっくりだ。

 

 少しだけ違う点があるとすれば。

 彼女の目の中にはとても小さな瞬きだが、星が煌めかんとしている事だろうか。

 

「やりたい事って身近に落ちているというか、些細な事から見つかったりするものよ。たとえば知り合い程度の仲である人からの言葉であったりとか」

「それがあなたとでも言うんですの?」

「あはは。それを決めるのは自分自身だよ。そうかもしれないし、違うかもしれない。……これ、君が将来する事に役立つと思うから気が向いたらやってみて」

 

 渡された紙を見て、顔を顰めながら俺を見てくる。

 ただ、自身ではまだ気付いていないだろうけど、キッカケをくれたと感謝の念が見えた。

 

 もしかしたら俺の思い込みによる勘違いかもしれないが、来年になれば分かるだろう。

 

「それじゃ、俺は予定があるからここらへんで。また機会があればよろしく」

 

 去り際、とても小さな声で『ありがとうですの』と聞こえたような。

 振り返り見れば顔をそっぽに向けた姿しか見えなかったが、髪から覗く耳が真っ赤であった。

 

 

 

 素直な子と、そうじゃない子と。

 反応が面白くて可愛いなぁと思いながら部室へと向かえば。

 

「一体どこで道草食ってたのかなぁ?」

 

 何故か少し怒っている五人が出迎えてくれた。




自分で言うのもあれですが、割と独特な改行をしているのかなと思います。
間違えているわけではないです。
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