一等星の煌めきを   作:不思議ちゃん

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さんじゅういち

 さっそく今からエントリーしマス! と張り切っている可可がカタカタとキーボードをならしながら必要事項を打ち込んでいく。

 

 興味があるかのんと恋は後ろから画面を覗き込んでおり、千砂都は平安名と雑談を始めたのでポチポチスマホを弄ることに。

 

 あ、四季メイから連絡が。

 普段行っている練習メニューを教えて下さい……これ、教えたらやるつもりだな。

 最初から同じレベルは無理だから、この程度から始めて、と返しておく。

 

 これで全員に練習メニューを渡したことになる。

 五人とも本来よりも力がついているので、来年入ってくるだろう四人も今から始めておけば丁度いいぐらいだろう。

 

「ぬわっ! 私とシタことが!」

「えっ、何!?」

「可可ちゃん、大きな声出してどうしたの?」

「私たちは今まで大切な事を忘れていまシタ!」

「大切な事?」

「ハイ!」

 

 これデス! と可可が指差す画面を見に千砂都と平安名が移動する。

 小さなモニターを五人で見ている姿をこっそりパシャリ。

 

「グループ名……?」

「それなら、結ヶ丘女子高等学校スクールアイドル……って、なるほど」

「グループ名としても問題なさそうですが」

「確かに問題はないデス。実際、そのまま名前にしているグループもありマス。ですが! 名前はグループそのものを表しているのデス! ここで妥協は出来まセン!」

「そっか。私とクゥクゥちゃんの二人の時は『クーカー』って名前があったけれど、それ以降は付けてなかったね」

 

 あ、四季メイはなんか無茶して身体痛めそうな気がした。

 追加でそれぞれ、無茶したらこの写真をかのん達に見せると釘を刺しておこう。

 

 メイにはつい最近、文化祭で感動から涙流しているところ。

 四季も同じく文化祭であるが、小さくリズムとって振りコピしているところを動画で。

 

 大量の文が二人から飛んできたが、そうなるのは分かっていたのでミュートにして放置。

 

「ん? みんな、どうかした?」

「スマホを見て楽しそうにしているわね」

「大事な話の最中デスよ!」

「優くんも私たちのマネージャーなんだから、しっかり考えてよ!」

 

 ふと顔を上げれば、みんなから視線を集めていた。

 話だけは聞いていたから、そこまで怒らなくても……。

 

 ホワイトボードにはいくつか名前の案が書かれているが、どれもダサい。

 

「なら、きっといい名前があるんでしょうね」

「あるけれど、まだ言わない」

「言いなさいよ!」

「だって自分たちが何なのか、まだ気付いていないから。答えを先に知るのはズルじゃない?」

「どういう事?」

「さっき、可可も言っていたでしょ? 名前はグループそのものを表すって。今一度、よく考えてみるいい機会だと思うよ」

 

 恋の母親の思い出が詰められていた箱はいま空となっているため、そこにグループ名を書いて入れ、鍵を自分で保管することに。

 

「これでズルは出来ないでしょ? きっと同じ答えに辿り着くだろうし、まだ時間もあるからゆっくり考えてみなよ」

 

 あ、あとラブライブに出るための曲作りも忘れないうちにね。

 

 そう伝えれば、みんな流されていい具合に納得してくれた。

 いや、平安名だけ訝しげな目を向けてくるが、スッと目を逸らして触れないでおこう。

 

「やる事たくさんデス」

「曲作りなら私が詩を書くから」

「私が作曲、ですか」

「今日はこのまま、ラブライブへ出るためには何が必要なのかを改めて確認。そのためにどうするかの話し合いとしようか」

「そんなっ!? 可可、練習できマスよ!」

「いや、最初にダメって言ったよね」

「…………そうデス。忘れていまシタ」

 

 勢いよく立ち上がった可可だが、すぐに肩を落としてイスへと座り直している。

 もっと頑張らないと、といった気持ちは分かるが、それなら尚更言うことを聞いてもらわないと。

 

「歌が出来れば、踊りが出来れば、って世界じゃないからね。こういった話し合いもチームワークを深めるためには大切な事だよ」

 

 納得してくれた様で、ホワイトボードに必要なものを書き出していき、足りなものを聞いたり、優先順位を付けるための話し合いを始めていく。

 

 うんうん、これもいい光景だな。

 またスマホのカメラを構えて写真を撮るが、一人険しい表情の子が。

 

「せっかくの綺麗な顔が台無しだよ」

「そんなことで誤魔化そうったって、私は騙されないわよ」

「人を詐欺師みたいな」

 

 曲作りはかのんと恋。

 振り付けは千砂都。

 衣装は可可。

 

 手が空いている状態となっている平安名は何故かここ最近、俺に噛み付いてくる。

 

「後で話があるから」

 

 これ以上ここで話せば注目を浴びてしまうためだろう。

 話を切り上げた平安名は俺から視線を外し、話し合いへと加わっていく。

 

 周りをよく見ているし、勘が鋭いのも悪くは無い。

 だが自身で抱え込みすぎだし、優しすぎる。

 多少なり軽くなればなと思っていたが、逆に俺のせいで重くなっているなこれは。

 

 この先の流れでどうにかするしかないかとこの場で考えるのはやめ、話はどうなったのかと視線を移せば。

 話し合いが大事だと言ったのに詩と曲、どちらを先に作るか決めてない。

 

 ……まあ、これも一つの流れかと俺は何も指摘しなかった。

 頑張れ、みんな。




本日、地上波で『ビタミンSUMMER』ですね。
とても楽しみです。
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