一等星の煌めきを   作:不思議ちゃん

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さんじゅうに

 ある程度まとまったところで今日は解散となり。

 かのんに寄るところがあるからと告げ、平安名からメールで指定された場所へと向かう。

 

「あ、ちょっと待って」

 

 平安名の実家である神社がその場所なのだが、早く座れと急かす平安名を待たせてまず挨拶を。

 

 手水で手と口を清め、お金を入れて鈴を鳴らす。

 そして二礼二拍手、感謝を述べ、一礼。

 

「お待たせ」

「……あんた、意外と信心深いのね」

「そう? これくらい普通だと思うけれど」

「私たちくらいの歳で鳥居をくぐる前に礼とか、手水の作法、真ん中を歩かない、なんて知っている人いないわよ。分からないけれどたぶん、お願いもしないで感謝を述べたんじゃない?」

「さあ、どうだろ。それとそこら辺の知識は興味の差じゃない?」

「本当に同い年なのか疑いたくなるわ……って、こんな話をするために呼んだんじゃないのよ」

 

 俺は別に話の誘導なんてしていないから、そんな睨まないでほしいのだが。

 

「んで、何が聞きたいの?」

「何がも何も、隠していること全部よ」

「あはは、それで話したら隠し事をしている意味ないじゃん」

「いま、隠し事しているのを認めたわね? マネージャーだからって抱え込みすぎるなって話をしてるのよ」

「それはお互い様じゃない?」

「…………何のことよ」

 

 真っ直ぐに目を見て返せば、平安名は罰が悪そうな顔をしながらスッと視線を外す。

 直球で来られると嘘をつけないのは分かりやすくていいな。

 

 ただ、このまま話す話さないだけのやり取りは意味がない。

 かといって突っ込みすぎるのも今のタイミングじゃない様な気もするし、どうしたものか。

 

「私たちが集中出来るよう、色々としてくれているのはよく分かってる。でも、あんたは誰に頼る訳?」

「んー……? 特に頼らなきゃいけないほど困っているわけじゃないけど」

 

 なんて思っていたら彼女の方から話を進めてくれたが、ちょっと面倒な流れになってきそうなので上手く誤魔化せないものか。

 

「そういうことじゃないわよ。いまは大丈夫かもしれないけど、一人じゃいずれ限界がくる。その時どうするのかって話よ」

「いや、みんなに頼るけど」

「…………そう」

「うん」

「…………ちょっと、もう一度言ってくれるかしら」

「みんなに頼るよ。だって自分じゃどうにも出来ないんだし」

「つまりその、何よ。本当の本当に、現状特に問題なく事をこなしているってこと?」

「まあ、そういうことだね」

 

 あ、面白い顔をしているのでパシャリと写真を一枚。

 目の前でスマホを構え、写真を撮っているというのに何も反応がない。

 

「…………」

「…………」

「…………」

「…………ぎゃ」

「ぎゃ?」

「ギャラクシー!」

 

 互いに無言の時間があり、ようやく自身が勘違いしていると思った平安名は羞恥に耐えきれず。

 お決まりのセリフを叫びながら走って去っていった。

 といっても彼女の家は目の前だが。

 

「また明日」

 

 もう家の中へと入っていってしまったため、聞こえてはいないだろう。

 ただ何となく、口にしたくなった。

 

 カバンを肩にかけて家路へとつくさなか、先ほど述べた事を思い返す。

 

 半分本当で半分嘘。

 現状困っていることなどないが、何かあったとしてもきっとみんなに頼ることは無いだろう。

 

 ──自身に起こり得る問題は、彼女たちと何も関係がない事なのだから。

 

 

 

 

 

 翌日、練習を始める前のストレッチをしているみんなの横にて、パッと思い浮かんできたというグループ名を確認していたが。

 

「没」

「グループ名『Circle』とか、凄くいいと思うんだけどなぁ」

「円、循環、人との輪、つながり。意味を考えたら確かにアリだけど、普通」

 

 頭の方に意識がいき、身体が疎かになっているので手を叩いて意識を戻す。

 

「自分達だけで考える必要はないよ。色んな人の意見、取り入れてみたら?」

「その手がありまシタ! かの有名なレジェンドスクールアイドルもグループ名を募集したと聞いていマス!」

 

 今後の方針として一つ決まり、負担が少し軽くなったと五人は少し晴れやかな表情をしている。

 

 可可が口にしたレジェンドスクールアイドルもやっていた、がいいスパイスになっているのだろう。

 俺の知っている限り、まともに意見が寄せられた事なんて無いのに。

 

 それをわざわざ口にして変な空気にするなんてしない。

 そんな事は空気の読める男のすることじゃないため、何も言うまい。

 

 昨日は話し合いに時間を使った分、今日は少し濃くやらないと。

 基礎はいくらでもしっかり固めるに限るからね。

 

「なんか、イヤな予感がするんだけど」

「優くん、何か企んでたりしない?」

「何も企んでなんかいないよ。昨日の分も含めて今日はみっちりやっていこうと思ってるだけだよ」

 

 流石、小さい頃から一緒にいるだけあって変なところで鋭い。

 こんな簡単な事で誤魔化せるため、精度はまだまだ甘いが。

 

 練習をみっちりやると聞き、千砂都と恋以外の三人が嫌そうな顔をしている。

 文化祭までの練習を見てきて思ったが、千砂都に次いで恋も割と体力オバケなのが発覚した。

 今じゃどこまで出来るのかそれを見極めるのがとても楽しい……おっと、思考が逸れた。

 

「それじゃグループ名募集箱、設置して一週間は様子を見てみるってのとで」




すみれ、動かしやすいとか嘘でした。
勝手に動いてこの先の展開練り直しになる……。
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