一等星の煌めきを   作:不思議ちゃん

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さんじゅうはち

 その後を慌てて可可が追いかけ、かのんたちも続こうとするが。

 

「はい、ここまで」

「優!?」

「みんなで行くとややこしくなるからね。ここは可可と俺に任せておいて」

 

 初めは渋っていたが上手くやるからと納得してもらい、部室で待っているよう告げ自身も後を追いかけていく。

 といっても二人は先をいってしまい、追いつく頃には話も進んでいるだろう。

 

 任せておいてとか言いつつ、どうせ二人だけでも話は進むのだしと途中から歩いて向かったのだが。

 着いた頃には可可がティアラを差し出し、平安名がそれに手を伸ばしているところであった。

 

 ならばと、少し朧気になりつつある記憶を頼りに落下地点へと向かえば。

 すぐに突風が吹き、ティアラがこちらの方へ飛ばされてきた。

 二人はそれを目で追いかけており、まだ俺に気づいていないようだ。

 

 あと少しで届きそう、でも届かず、このまま終わるかのように思われたが。

 

「スミレッ!」

「ッ! 届いて……!」

 

 初めて可可が名前で呼んだ。

 それを聞いた彼女は最後にあらん限りの力を込めて跳躍し、ティアラをその手に取り。

 もう二度と離すものかとギュッと抱きしめ、来る衝撃に備え体を丸めて固く目を閉じた。

 

 待っていた場所が合っていて良かったと内心安堵しながら、そんな彼女を優しく受け止めてやる。

 

 訪れる衝撃がなく混乱している様子は面白いけど、今の状態じゃ写真を撮れないのが惜しい。

 そっと目を開け、キョロキョロとあたりを見回して自身の状況を確認した後、俺と目が合う。

 

「この時期に怪我は勘弁だよ、すみれ」

「ッ!?」

 

 落ち着かせるよう優しく声をかけたつもりであるが、すみれは顔を真っ赤にさせバッと素早い動きで俺から離れてしまった。

 

「ユウさん!」

「可可も色々とありがとうね」

「いえ、可可は」

「可可だったから、だよ。じゃなきゃすみれもあそこまで本心で話さなかっただろうね」

「……あんたたち、初めて名前で呼んだわね」

「……そんな事、どうでもいいデス。『Liella!』のセンターなのですから、誰にも文句を言わせないステージにしてくだサイ」

「言われなくても分かってるわよ。私を誰だと思ってるの」

 

 今回はセンターという言葉に怯むことはなく、堂々とした返事であった。

 

 思わず『土壇場で逃げ出すヘタレ』と茶化しそうになってしまったが、せっかく上手く纏まっているのだから自重せねば。

 

「それじゃ、一度部室に戻ろうか」

 

 戻る途中、俺の後ろを歩く可可とすみれから。

 

「……落ちたデスか」

「お、落ちてなんか無いわよっ!?」

 

 と聞こえてきたが、一体どこに落ちたというのだろうか。

 先ほどの出来事を思い返してみても思い当たるものはなかった。

 

 

 

 

 

 部室に戻った際、心配して駆け寄るかのんたちを止め。

 真っ先に頭を下げて謝ったので特別に土下座も勘弁しておく事にしよう。

 

 少し互いにぎこちなさはあるものの、それは時間が解決するだろうし、これまで遅れていた分も取り戻せるくらい練習効率もあがる……はず。

 

 まだ曲は出来上がっていないが、今のすみれからならかのんや恋もいい刺激を受けて思い浮かぶだろうし。

 

「ねえ、聞いているの?」

「聞いてるよ。すみれにする罰ゲームの話だろ?」

「違うわよっ! 優が残れって言ったんじゃない!」

 

 これ以上現実逃避も難しいため、仕方なく目の前に座るすみれへと向き直る。

 今日の練習は一先ず終わりとしたが、すみれに話があるので残ってもらった。

 だけど、どう進めたものか困ってしまう。

 

 面倒だからストレートでいっか。

 

「すみれはスペック高いけど、どれも二番手に落ち着くよね」

「……そんなの、自分がよく分かってるわよ」

「小さい頃から比べられているうちに、自分の可能性を閉じているのも気付いてる?」

「閉じるも何も私は──」

「なれる」

「……えっ?」

 

 このままだと、ただ虐めているだけになってしまう。

 今だって目の前にいるすみれが悲しそうな顔をしているけど、俺の言いたいことはそうじゃない。

 

「すみれ、お前はもっと輝ける。全部で一番になれるポテンシャルがあると俺は思ってる」

「きゅ、急に何を言っているのよ。……小さい頃はそう思っていた時期もあるけど、私には」

「あ、高校在学中にかのんたちを抜かすのは無理だとは伝えとく」

「無理なんじゃないっ!」

「抜かすのは無理だけど、三年生の頃には同率一位ぐらいまではいけるはずだよ」

 

 俺の言っていることは理解できるが、嘘だと思っている顔をしている。

 どうしたら伝わるものか……。

 

「俺、夢に向かって努力して輝いている人を見るのが好きなんだ。だからその為に頑張ってくれない?」

「何よ、その理由は……」

「この先努力して輝いて、これまでの人たちを見返すようになったら。何でもいうこと聞くからさ」

「何でも?」

 

 え、こんなので釣れるの……?

 頑張ってくれるのなら俺としては構わないが、条件曖昧だし軽くない?

 

「約束、反古にされても困るから前もって一つ、叶えたらもう一つならいいわよ」

「え、あー……まあ、今の俺にできる範囲ならいいよ」

 

 それぐらいで輝ける姿を見れるのなら安いやす──。

 

 

 

「地区予選の曲、優に作って欲しいのだけれど」

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