一等星の煌めきを   作:不思議ちゃん

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さんじゅうく

 きっと今、俺はとても嫌そうな顔をしていることだろう。

 すみれも俺がこんな反応するとは思っていなかったのか、驚いた顔で見てくる。

 

「な、何よ。私に曲を作るのがそんなに嫌なわけ?」

「すみれだからってわけじゃないけど……。そもそも、ピアノは弾けても曲作りは」

「本当は出来るんでしょ?」

「…………」

 

 真っ直ぐにこちらを見てくる瞳から思わず目を逸らしてしまい、それからカマかけられたのだと気が付いた。

 今までボロは出していないつもりでいるため、よく考えれば確信に足る情報などないはずなのに。

 

 さっきまであんなヘタレだったすみれに、まさか精神面で負けるとは。

 

 ハッキリと答えるならば、曲を作ることはできる。

 まだこの世にはないが、知っているものを作りました、と言うのではなく。

 自身の手で一からと言う意味で。

 

 だが俺なんか手を出さなくとも、かのんと恋がすみれに合ったとてもいい曲を作るのである。

 

 …………よし。

 

「地区予選じゃなく、すみれのソロ曲って事でどう?」

「私のソロ曲? ……アリと言えばアリね」

 

 なので流れに関係のない曲の提案である。

 ソロ曲はそれこそただ一人、自身のためだけに作られる曲である為、反応として悪くない。

 

「よし、ならそれで──」

「でも私は、あんたに作って欲しいのよ」

「…………」

「さっき言ってくれたわよね。私はもっと輝けるって。かのんや恋が作る曲に不満があるわけじゃないわ。他でもない優、あんたが作った曲でそれを証明したいのよ」

 

 絶対に譲れないという意志が伝わってくる。

 考えさせてと言って時間を稼ごうとしても、きっと無理だろう。

 

 正直なところ、すみれの思いに対して応えたい。

 けど地区予選で歌う曲、あれは俺が作ったものじゃないのにあたかも作ったようにして。

 

 

 

 ──果たして、それは誠意に応えたといえるのだろうか。

 

 

 

 こんな事になるなら初めから深く関わるべきではなかった。

 今更そんなことを思ったところでもう手遅れである。

 

「……分かった。あまり時間もないけど、それを理由に手を抜くってのはないから」

 

 でも、それは俺だけしか知らない事。

 人知れず十字架を……とかいうと厨二っぽいけど。

 

 自己満足ではあるがこの先、すみれだけでなくみんなに誠心誠意尽くすことで償っていこう。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 不思議な気持ちで今、目の前で行われているパフォーマンスを見ている。

 

 『ノンフィクション!!』は五本の指に入るほど好きな曲である為、こうして間近で見られる事に対する嬉しさ、喜び。

 そして、それをあたかも自分が作ったようにして渡したという不快感。

 

 最初に作って聞かせた時、みんなからの眼差しに吐き気すら覚えた。

 

 これで俺が曲を作れることがみんなに知れ渡ったため、この先ももしかしたらこういったことが起こり得るかもしれないと、そう考えるだけでまた吐きそうになるけど。

 

 今更離れようとしても不自然で、それがこの先の不確定要素になりかねない半ば詰みの状況だ。

 懸念点としては自身の問題も含め、まだいくつかあるが。

 

 俺がこうして勝手に苦しむだけで上手くいくのなら、ずっと胸の内にしまっておけばいいだけの話でもあるし。

 

 今はただ、素敵なステージを終えたみんなへと惜しみない拍手を送るのみである。

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