一等星の煌めきを   作:不思議ちゃん

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よんじゅうに

「東京大会で披露する曲だけど、地区予選で歌えなかった『色づいて透明』でどうかな?」

 

 翌日、練習を始める前のストレッチをしている時間。

 いつものように話し合いを交えながらしている中、かのんがそのようなことを言い始めた。

 

「確かに、出来上がっているもので今から練習を始めたら良いものが出来そう!」

「まだ未発表の曲デスから問題ないと思いマス!」

「ま、いいんじゃない?」

「私も賛成です!」

「あ、俺反対」

「なんで!?」

 

 半ば決まりかけになっているところ申し訳ないが、ダメである。

 本来とは違う曲を歌うことで突破できる可能性が出てくるかもしれないが、確実にこの曲では無理なのだ。

 

「『色づいて透明』は一度学校のみんなに見てもらった時、かのんや恋、他の人がいいんじゃないかって意見が出てたよね?」

「うん」

「悪い言い方をすれば、あの時のすみれ以外だったら誰でも良いってことになる。それも過去の話で、一皮剥けたいまのすみれが良いって言う人もいると思う」

「それはそれで良いんじゃないの?」

 

 何がいけないのだろう、と言ったみんなの視線。

 確かに何も悪いことはないが、それが良いって事もない。

 

「これまで披露してきたのはクーカー以外になるけど、この子が、この子たちがメインなんだろうって分かるんだよ。他のグループは明確なセンターを決めているけど、『Liella!』は曲ごとに変えている。……何が言いたいかっていうと、この曲だと曖昧な印象になりかねないってこと」

「そんなこと無いんじゃない?」

「んー……なら、またみんなに見てもらって意見もらってみようか」

 

 説明だけじゃ五人とも納得いかないようなので、そう提案し話を終える。

 

 

 

 一週間後。

 立ち位置など変えているけど、一度練習していただけあって早めに出来上がり。

 同級生たちに見てもらい、意見を聞いてきてもらった訳だが。

 

「センターに誰がなったらいいのかだけでこんなにも意見が割れるとは……」

「他にも変わらず曲は好きだって言ってくれるけど、何か物足りないって意見も多かったよね」

「物足りない、何か違う。私たちも踊っていて何となく感じていたわね」

「デモ、何が必要なのか分からないデス」

「優さんは分かりますか?」

「色」

 

 簡潔な俺の返しにみんなして『何言っているんだこいつ』といった顔するのは良くないと思う。

 特に恋とか、ここ最近は悪い方に染まってきている。

 

「この『色づいて透明』は『Liella!』を表すのにとても良い曲だと思う。だけど良すぎるが故に今の実力じゃ足りていないものばかりってこと」

「そう、なのかなぁ……?」

「もしかして、自分たちが高いレベルにあるって自惚れてる?」

「え、いやそんな事はないよ」

 

 顔が全てを物語っているが、まあいいか。

 既に出来ている曲が使えないことに納得してもらった今、新たな曲についての話し合いとそれに向けた練習へ切り替えて──。

 

「あ、優」

「ん?」

「実は今日、理事長に呼ばれていて。私たちが通っていた小学校で歌を歌って欲しいってお願いされたんだよね」

「いつ?」

「二週間後」

「そう。頑張って」

「いやいやいや! 手伝ってよ!」

 

 聞けば昼休みに呼ばれて話を聞いていたらしく。

 ならその時に連絡送っておいてよと伝えれば、笑いながら忘れてたと。

 

「連帯責任でみんな腕立て十回」

「なんでよっ!?」

「連絡、かのんじゃなくても出来たよね?」

「うぐっ」

 

 腕立て伏せを始めるみんなを横目に、さてどうしたものかと考える。

 大まかな流れは覚えているのだが、時期が曖昧になってきているためすっかり忘れていた。

 

 まあ、踊りはなく歌だけで大丈夫なはずだったから、何とかなるといえば何とかなるか。

 

「詳細の書かれた紙とかないの?」

「ちょっと待ってて!」

 

 先にノルマを終わらせたかのんが小走りで部室へと向かい、紙を手に戻ってくる。

 

「はい、これ」

「ありがと」

 

 書かれている事は簡単で。

 特別授業として『Liella』に歌を歌って欲しいとのこと。

 あとは予定している日にち、その前にも一度打ち合わせをするため来て欲しいと。

 

 本来なら色々と小難しいことが書かれてあるだろうが、そこら辺は理事長がやってくれていることだろう。

 

「なるほどね。それじゃみんな、頑張って」

「優、曲作ってくれないの?」

「ラブライブの為に作り始めようと思っていたんだけど……かのんがメインで俺は手伝うくらいなら良いよ」

「一緒にかぁ……それはそれでアリだね!」

 

 許可が降りたので少し安心。

 今後のために色々と根回ししなくちゃいけない事もあるし、ある程度自由に動ける時間が必要だったので助かった。

 

「ね、優くん」

「ん?」

 

 『頑張るぞ』と張り切っているかのんに苦笑していると、背後から服の裾を引っ張られる。

 

「後で少し相談したいことがあるんだけど、いい?」

「いいよ」

「ありがとっ。それじゃまた後でね」

 

 内緒話はどうやら俺だけらしい。

 すみれだけこちらに気付いていたので、手を振って大丈夫だと伝えておく。

 

 それにしても相談は何だろうかと少し考えたが、この話が出たいまだと一つしかなかったな。

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