クエスト「20人で助け合い、崩壊したセカイを救え」   作:夜桜家の壁

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相棒

 WEEKEND GARAGEに入ると、ちょうど歌い終わった杏と、それを見ていたこはねが目に入る。

 

 

「ふぅ!どうだった……って雷夜じゃん。いらっしゃい!」

 

「連絡ありがとう杏。おかげでこはねちゃん見つけられて良かったよ。そういえばこはねちゃん、さっきの杏はどうだった?かっこよかった?」

 

「すっごく……すっごくカッコよかったです!ありがとう杏ちゃん!特にあのアレンジのところが……!えっと、あそこの……♪────ってところとか、♪〜〜ってところとか!」

 

 

 それを聞いた杏は何か感じたのか、とてもワクワクという言葉が一番合う表情になり、興奮しているように見える。

 俺自身もこはねの歌声はリアルで聴くと何か心の奥から湧き上がる何かを感じる。

 

「……もしかしてこはね、歌えるの?」

 

「え?」

 

「ていうか、ちょっと歌ってみない!?今聴いた感じ、歌詞も覚えてそうだし!はいマイク!雷夜もこはねに何かを感じたでしょ?歌わせるの手伝って!」

 

「え、ちょっと、待っ……!わ、私、こんなところで歌ったりできないよ!怜華ちゃんのお兄さん、た、助けてください!」

 

 

 こんなちっこい子(ほとんどかわらない)からのお願いを無視するのは大変辛いものがあるけれども、俺はこはねの歌をきいてみたいという、我儘のために動くと決めたから助けることは出来ない………ごめん。

 

 

 

「おねがい!こはねの歌、聴いてみたくって!大丈夫、こはねなら、きっとカッコよく歌えるよ!」

 

「………す、少しだけなら大丈夫だけど………でも……笑わないでね?」

 

「もちろん!」

 

「………───♪───♪───♪───♪」

 

 

 こはねが歌い始めて、少しすると杏が我慢できなくなって一緒に歌い始めてしまった。どちらも白熱し、とても気持ちよさそうに歌っている。まだまだ足りないものはあるけれども、合ってまだ半日も経っていないとは思えないほどもっともっと聞きたいと思えるような歌い方をしていた。

 

 

 

 

 

「……見つけた!やっと見つけた!ねぇ、こはね!私と組もう!私と組んで、一緒に最高のイベントをやろうよ!」

 

「……ええっ!?」

 

「やっとだね。こはねちゃんどう?杏と組むの、多分良い経験にはなってくれるはずだよ」

 

「こはねも感じなかった?一緒に歌うと、すっごく気持ちいいって!」

 

「それは………そうだったけど………で、でも、私なんかが、杏ちゃんと一緒になんて………」

 

「こはね。『私なんか』なんて、言わないでよ。私、小さい頃から、イベントやこのお店でいろんな人の歌を聴いてきたよ。その中には、歌の上手い人もたくさんいた。でも、今日こはねと歌った瞬間が、一番ドキドキした!だから、こはねと一緒にもっといろんな歌を歌いたいの!」

 

「ドキドキした……?私の歌に……?……………私、人前に立つと緊張しちゃうし……杏ちゃんに迷惑かけちゃいそうだけど……変われる、のかな………やってみてもいいのかな……?」

 

「うん!やろうよ!それに、迷惑だっていっぱいかけていいし!」

 

「え?」

 

「お互い困った時は助け合う、みたいな感じでさ。こはねが困ったら私が助ける!だから私が困ったら、こはねが助けてよ!」

 

「……!」

 

「こはねちゃん、よかったら怜華に迷惑かけておいで。あいつなら同じ学校だし、杏と同じくらいには上手いからね」

 

「確かに!ていうか、怜華って私より普通に上手いよね、雷夜もだけど、なんていうんだろ?なんかコツ?を知っているから急激に上手くなってるのかな?日々の積み重ねが出るものは負けてないけど………何か私が持ってないものを持ってるよね」

 

「お兄さん、杏ちゃんよりも上手いの?」

 

「昔ならそう言い切れるけど、今だとわかんないって感じだと思うよ。全力を出し切るようなイベントとかになったら確実に杏の方が上。怜華は知らんけど」

 

「こはねは今度学校で歌って貰えばいいんじゃない?」

 

「さすがに学校では無理なんじゃない………かな?」

 

「無理だったとしても今度一緒にここに来ればいいしね」

 

「なんか話すごい脱線してるね。杏そろそろ軌道修正したら?」

 

「そうだった!えっとなに言おうとしてたんだっけ………そう助け合う関係!」

 

 

 杏は父親の謙さんたちの話や、この街で最高のイベントだった『RAD WEEKEND』、そしてそれを超えるという自身の夢についての話などを熱く語った。

 

 

「……やってみたい」

 

「え?」「お?」

 

「私も、そんなイベントやってみたい。杏ちゃんと一緒に……やってみたい!」

 

「本当に!?じゃあ、一緒に歌ってくれるの!?」

 

「やったじゃん、俺もっと2人の歌聴きたかったからよかったよ」

 

「えっと、どこまでできるかはわからないけど、がんばってみる……!」

 

「よしこれで杏も無事に相棒を見つけられた!今日はお祝いしなきゃだな!」

 

「お祝いってそんな……」

 

「確かにいいかも!」

 

 

 そう、浮かれたような会話をしているとお店の扉が開いて、カランコロンっと、音が鳴った。

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