クエスト「20人で助け合い、崩壊したセカイを救え」 作:夜桜家の壁
夜の街。ひとりの足音が鮮明に聞こえるくらいには静かな夜の街。その中ではとある演出家を尾行するふたり。おばけとお星様である。
「よし、この先だったら先回りする事で逃げ道を一つに絞れるな、オレが先回りするから雷夜はそのまま追いかけるんだ」
「いや、多分だが類はこっちに気づいた上でこっちが来るのを誘ってる。俺たちふたりで話しかけにいけば類は足を止めるはずだ」
「なんだと!?……しかしオレは先回りするべきだと思う。雷夜の事を信じてないわけではないのだが、信じきる根拠がない。ここで類を100%捕まえられるようなものを選びたい」
「確かにここで逃すと次のチャンスがいつかわかんないか。よし、それじゃあそうしよう」
狭い道を通ろうとした類を別で追いかけてた『えむ、寧々チーム』と類の後ろを追い続けた俺たちとで挟みこむことに成功した。
「……………………みんなして待ち伏せかい?悪いけど、僕の考えは変わらないよ」
「……見てほしいものがある」
類は話しかけてきた司に向いて、改めて自身の気持ちを伝えようとする。しかし、司の事を注視していた類は、俺のサインで動き出したえむと寧々に体を捕まれ、それは途中で終わってしまった。
「えむくん?寧々まで……?」
「よし、ふたりともよくやった。あとは司だ早くやれー!」
「ああ!見てもらうぞ類!これがオレの……本当の想いだ!!」
「……!?」
司の持つスマホから白い光がでて、俺たち全員を包み込んで行く。
気づけば、ステージの裏にいた。
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「……けれどそんな日、一座は偶然、森の中でひとりショーをする錬金術師に出会いました♪」
司の本当の想いを伝えるためのショーには原作から俺の、『ゴースト」という新たな役が追加された。その最初の出番は森の木の上から一座を見つけることから始まる。
舞台の裏から木の上に繋がる道を渡ってみんなの事を隠れながら見守る。
『君のショーはすばらしい!君と一緒にショーをすれば、きっとたくさんの客が集まって、大人気の一座になれるぞ!』
『……誰だい?』
『錬金術師よ、オレはショーを作りたい!力を貸してくれないか?必ず楽しいショーにしてみせる!!』
『ショーを……。………そうかい。それなら少しだけ力を貸すよ』
『わーい!一緒にがんばろうね!』
『……わ、わたしも、歌えるかしら……!』
「寧々……」
「錬金術師は、人前で歌えない歌姫のために、代わりに歌声を届けてくれる人形を作りました。そしてショーのために、雷の光、風吹く舞台、大きなドラゴンのカラクリまで用意してくれたのです!」
『なんで………っ』
「けれど、ショーの途中で人形が壊れてしまい、ショーは大失敗!」
『ああ、こんな醜い失敗をするなんて!みんなお前のせいだ!』
「座長は、頭に血がのぼるあまり、みんなから笑顔を奪ってしまい……一座はバラバラになってしまいました。けれど、ひとりぼっちになった座長は、突然とても寂しくなってしまいました。ショーを作っているときは、あんなにも楽しかったのに……」
ここで俺も舞台裏に移動する。木の上から見下ろすようにいたのを降りて、みんなと同じように地面に足をつける。
「座長は深く謝って再び仲間を集めました。しかし錬金術師は、座長を信じられません。座長は本当にショーをやりたいのではない。ただ、人気者のスターになりたいだけではないのか」
「………………………………」
「それでも座長は、どうにか錬金術師に戻って来てもらおうと考えていると、森で錬金術師の事を見守ってきた一匹のお化けに遭遇しました」
『君たち、確かショーを失敗させたやつじゃないか。あれからバラバラになったって聞いてたけど、あれは嘘だったのかな』
『いや、オレたちはバラバラになった。このオレのせいでな。しかし、オレは皆んなが喜ぶようなショーをみんなでしたいんだ。その為には錬金術師がやっぱり大切なんだ。だから頼む!あいつが戻って来るために手を貸してくれ!』
『いいぜ。俺はこの森のことはなんだって知ってる。お前が妖精と話していたことも。あの錬金術師がずっとひとりだったことも。俺はあの錬金術師のいるべき場所があるとしたらこの森じゃなくて、お前たち一座だと思ってるよ』
『やったー!これでおばけさんともショーができるね!』
『確かにおばけだが、ゴーストって言ってくれ。それにショーは今回しか参加しねぇよ。普通は生きてるやつに姿は見せないからな。お前らが特別なだけだ』
『なんか、ちょっとめんどくさい?』
『しかし、ゴーストもこれでオレたちの仲間だ』
「そうして一座は錬金術師のためにショーをしました。精一杯のショーの後、座長は呼びかけます」
ここが一番重要な場面。ここはそのまま類に向ける言葉となる。頑張ってくれ、司。