クエスト「20人で助け合い、崩壊したセカイを救え」 作:夜桜家の壁
連休の中盤、彰人たちと杏たちのタッグが勝負をした事を彰人から聞きに行こうとして、東雲の家に向かっている途中に家にある小さな公園に軽くアップをしていた冬弥くんを見つけた。
「あれ、冬弥くん?今から練習?朝から元気だね」
「っ!おはようございます。雷夜先輩。そうですね、今から練習してお昼まで続けようかと」
「そっか、あの夜を越えるつもりなんだもんね。そりゃこれだけの努力もするか。それと俺に対しては先輩って言わなくてもいいよ。えらい事とかしてないし、なんか苦手なんだよね」
「それでは雷夜さんと呼びます。それと一つ聞きたいことがあるのですが……聞いてもいいですか?」
ゆるい呼び方でいいよと伝えたらなんとも困る顔をしながらも、妥協案を見つけた冬弥から何かの質問を受ける。
「どんな事聞きたいの?ある程度は答えられるけど……?」
「彰人や杏が目標にしているあの夜って雷夜さんも見たんですか?」
「見たよ。彰人も俺も初めて見たイベントだった」
「その時の事聞いてもいいですか?」
「ただの感想になっちゃうと思うけどそれでも問題ない?」
「はい、問題ないです。どんな風に感じたのかそれが俺は知りたい」
公園のベンチに座り、目を閉じて当時の事を簡単に思い出す。彰人を連れて行ったあの夜の事はいつまでも覚えている。
「初めて見るイベントだからかも知れないが、あんなに素晴らしいものだったのかとか、そこに引き込まれていくような、そんな世界を見たよ。あの夜はこの街で誰も越えることができないと皆んなが言うのも理解できるほどすごかった。あの凄さは他のイベントに行ってより実感した、最初の音で空気が全く違うんだ。言葉にするなら、とにかく音楽が楽しいんだって伝えるような、命をかけてその一回に使い尽くした………とも言えるほどの覚悟、そんなものを感じさせられたよ」
「………覚悟ですか」
「悪いとは思うけど、こればかりは実際に見ないとわからないよ。けどその凄さがわかりやすい存在として君の相棒の彰人がいる。彰人は初めて見たそれを追いかけてずっと続けてるんだ。すごいだろ」
中途半端なやつだと、彰人がこはねに言った言葉が実際には冬弥にヒットしてしまう。答えのない、と言うより人によって覚悟が違うから教えるなんて事はできないし、自分で気づくしかないのだ。
その手助けだけは何かしようと思うけどね。
「覚悟なんてよくわからないでしょ。こはねが持ってないって彰人は言ったらしいけど、持ってるよあの子は。そうじゃなきゃ足を踏み込むことすらできないよ。覚悟ってのはね、小さな一歩でも命をかけた何かでも、本質は変わらない」
「本質は変わらないとは……?」
「全部持論だし、間違ってると思うけどさ、背負う重さが違うとか色々あるじゃん。けどやってる事って自分を奮い立たせる事なんだよ。自分の何かを振り絞るんだ。誰かに謝りたいとか、本当はこんな事がしたいとか、色々言うのってその人は大変だからさ、それを舐めたらよくないよね」
「少しだけ、わかる気がします。俺もこはねはちゃんと覚悟を持ってると思いました」
「そうなんだよ。こはねだって持ってるし、杏と彰人は言わずもがなだし、冬弥くんだって持ってるからね。あの夜の事知らなくて少し不安に思ったのかも知れないけれど、自分でどうにか聞こうとしてるならそれは勇気ある行動、覚悟の一種。がんばれ」
「っ!わりとあるような質問だと思ったんですけど、そんなにわかりやすいですか?」
「どうだろう、普段なら気にしないけど、こはねのトラブルを彰人が起こしてて、そんな質問があるならば邪推するかな。タイミングのせいだね」
普通に原作知識のせいだが。
「とりあえず、こはねは戻ってくるよ。ビビッツの事また見て考えたらいいと思う。自分の気持ちに嘘だけは付いちゃダメだからね。それじゃあ俺は彰人探してくる」