クエスト「20人で助け合い、崩壊したセカイを救え」 作:夜桜家の壁
「おい、なんのつもりだクソ兄貴」
イベント会場を離れて、近くの公園で話をすることになった。何故俺たちが冬弥を家に帰したのか。理由は単純に冬弥の選択を尊重するためでしかないけれど、多分そうじゃないよね。何故話す機会を無くしたのかとかじゃないかな。
「いやー、俺ってわかるんだよね。冬弥が悩んでること」
「………は?」
「正確には俺だからわかるんじゃなくて、お前じゃないからわかるみたいな?」
「より意味わかんねーよ」
「この前冬弥くん連れてきたでしょ彰人。その日に私は聞いてたんだけど、冬弥くんどうやら自信がなさそうだったらしいのよね」
「それって……兄貴が公園であいつと話してた事か?」
「その時に自信が無さそうだったんだよね。あの時からコンビ解消の事考えてたんじゃないかな」
「………は!?」
コンビ解消を前から考えていた事実などを知って、少しパニックになった彰人は口を開け、マジかよ…などと小さく漏らしていた。
「待てよ、でもその時はあの夜について聞いてたんだろ?何かおかしいんじゃねーの?もう関わるつもりがないならそんな質問するはずないんじゃないのか?」
「逆なんだよ」
「逆?」
「彰人がみたあの光景は冬弥にとっては眩しすぎたんだよ。あいつとこはねって少し似てるんだ」
「あいつと冬弥が?全く想像つかねー」
「簡単だよ。あの夜を見てない。あの夜に魅せられた人に誘われてここにきた。そして、あの夜を目指した」
ここでの音楽との関わり方。その夢。それらがあのふたりは一緒で、それがゆえに比較してしまった。それを怜華は自分だったらと考えながら話す。
「こはねは分かりやすく、戻ってきた。髪を切って、メガネを外して、帽子をつけて。覚悟を決めて、杏とあの夜を目指すことにした。そんな姿を見せつけられた冬弥くんは、苦しかっただろうね。私だったら………自分を嫌になるし、羨ましいって思う」
「冬弥は多分彰人に迷惑をかけていると思ってるんじゃないかな。だからあの時覚悟って事を聞いてきたんだと。自分にはそこまでの覚悟はしてないんじゃないかってさ。だから、自分の事を忘れて、本気であの夜を超えていけるように、挑発的に解散をした。そういう結論になった」
覚悟はしたんだろうけど、やっぱり原作通りのルート。ちゃんと覚悟は持ってるんだよと伝えたのに。もっと直接言わなきゃ変わらないのかな。
彰人は手すりに寄りかかって、天井を見つめている。
「迷惑なんか一つももらってねーつの。雷夜、いまアイツどこにいると思う?」
「会うのはオススメしない。あくまで推測でしかないし。あといるとしたら家だ」
「それでも探しに行ってくる!とりあえずあいつから聞かなきゃわかんねーからな!」
彰人は冬弥の家知ってんのかな。この辺入り組んでるから探すの面倒だし、なんなら今度学校で聞けばいいのに。
「兄さん、このあとどうするの?原作通りになるかわからないよ?セカイいく理由なくなってない?」
「彰人が出来ることないでしょ。話を聞きに行った所で冬弥は迷惑をかけないように、ずっと突き放す。突き放されれば多分イベント参加も始めるだろうし、そうすれば原作と同じ」
「冬弥の方は、私たち関わってないから変化しないもんね」
「そのはず、ただ杏がもしかしたら仲直りにより積極的になる可能性がないとも言えないんだよね。俺達の弟だし、コンセント抜きをするようなやつか少し疑ってたしね」
こんな事考えているけど実際することになにも違いはでないからそこまで気にしなくてもいいって話ではある。けど変化はさせたくないからなんでも考えるんだけどさ。
「もう寒くなってきた。それじゃあ私帰るから。シロさんによろしく言っといてね」
「あいよ」
夜は風が冷たく、月が見え、こころの落ち着く夜空だと感じた。
「くそ、どこにもいないあいつはどう動く、そのまま帰るのか……いや、そんなはずがない。あいつがそんな簡単にやめられるたちかよ、どこにいるんだよ」
月の光は誰かを探すのに役立ってはくれなかった。