クエスト「20人で助け合い、崩壊したセカイを救え」 作:夜桜家の壁
「失礼します。こんにちは、怜華ちゃん。私は鳳ひなたって言います。よろしくね」
「は、初めまして、鳳さん。よろしくお願いします」
ひなたさんがいるってことは、ここ鳳病院なんだ。それにしてもなんでひなたさんは私のところにきたんだろ?
「ひなたで大丈夫よ。えっとね、ごめんなさい。実は怜華ちゃん達が意識を失ってた時に幼い私が悪戯してたらしいの。私は覚えてないし、雷夜君も怜華ちゃんも意識失ってたから知らないと思うけどごめん」
「本当に知らない事ですね。わざわざ言わなかったらバレる事もなかったんじゃないですか?それでも謝ってくれるのは凄いいい人って分かるので嬉しいですね。それよりも兄さんには会ったことあるんですか?」
「会ったことはあるんだけど、まだ謝れてないんだよねぇ。なんか鳳家って事で少し驚いてたから謝るタイミングが見つからなかったのよねぇ」
「別に謝らなくてもいいんじゃないですか?多分兄さんは優しいですし、気にしてませんよ。そもそも覚えてないんですし。
兄さんに謝るならむしろ私の方ですね。懐いていた記憶はあるけど名前も殆ど覚えてませんし、少し申し訳なく思います。
なんで神さまは私の意識を復活させたんでしょうか。こんな不完全な形で。これならまだ眠っていたかったです」
「怜華ちゃん、辛い事言うけどね、多分全部覚えていたらもっと苦しいと思うよ。自分を守る為に記憶を封印したんじゃないかな?雷夜君の少しの思い出を残してさ」
「そうじゃないんです」
「っ…‼︎」
「あっごめんなさい。私は周りに迷惑をかけたくないんです。特に兄さんにはこんな私じゃなくて、ちゃんと記憶のある私で、せめて兄さんの記憶だけでもちゃんとある私で会いたいんです。兄さんには辛い思いをして欲しくないんです。
明日来るのは兄さんです。親ではありません。だから多分親はまだ意識がないか亡くなっています。どちらにせよ兄さんは既に大変な思いをしてると思います。だからこれ以上辛い思いをして欲しくないんです」
なんか変な空気にしちゃったな。コレは神様への愚痴と共に私の、私たちの本音でもある。元の私もこの子のどっちでもあってどっちでもない、新しい私の気持ち。
すると急にひなたさんが私のことを抱きしめてきた。
「怜華ちゃんって本当に雷夜君を大切に思ってるんだね。それだけお兄ちゃんのことを思ってるならきっと記憶が曖昧でも嬉しいと思うよ。だから安心して。だから涙なんて流さないで」
いつのまにか泣いていたらしい。それにしてもひなたさんがとっても暖かい。とても、とてもあったかい。