クエスト「20人で助け合い、崩壊したセカイを救え」 作:夜桜家の壁
「怜華ちゃん⁉︎」
扉を開けるとすぐ目の前に穂波がいる。
………人間予想外の事起きると頭動かないもんだね。
「あっごめんね怜華ちゃん。吹奏楽部に何かよう?」
「いや穂波がいるならそれでいいや。私の二胡持ってきてくれない?今から屋上で弾きたいからさ」
「うん、ちょっとだけ待っててね。それと……ううん、後ででいいね」
何か言おうとしたけど先に二胡を取りに行ってくれた。言いたい事色々あるだろうなぁ。私だって穂波の立場なら色々聞きたいし話したいし。
そんな事を思っていると穂波が二胡を持ってきてくれた。
「穂波、ありがとうね。吹奏楽の知り合いは穂波だけだからまだ残っててくれて助かった」
「先輩たち優しいから私がいなくても怜華ちゃんなら大丈夫だと思うよ?」
「元々は私が中に入ろうと思ってたんだけどね。その許可を先輩に取る予定ではあった。それよりも何か言いたいことがあるんじゃないの?」
「あっそうだった。あのね、志歩ちゃんの事なんだけど………やっぱり私と一歌ちゃんだと避けられちゃうの。だからというか、志歩ちゃんのことお願いね」
優しい子だよね、穂波って。その優しさが毒になるなんて本当に可哀想。クラスによって雰囲気全然違うの不思議な学校だよ。多分えむのいるクラスはみんなハッピーそう。
「任せて。でも私がいなくても大丈夫だとは思うけどね。ついさっき新しい友達ができたんだ。志歩は友達とは認めないと思うけどね」
「それ本当に大丈夫なのかな?」
「今から私も屋上に行くし心配しなくていい。それじゃあバイバイ。気をつけて帰るんだよ」
「ふふ、怜華ちゃんお母さんみたい」
「みんなのお母さんは穂波の方でしょ。穂波のほうが絶対に過保護。それに私今は放課後こっちに今いるけど少し前まではすぐ帰ってたしね。って速く行かないと。今度こそじゃあね」
それだけ伝えて屋上へと向かうと、屋上ではベースとアコギの音だけが響いていた。
「ただいま」
「………おかえり」
「あっおかえり。……それが二胡?」
未羽が私の二胡を見て質問をする。未羽の目が少しだけ輝いて見える。結構珍しいとは思うから興味が湧くんだと思う。
「さて、今日は私のコンサートだよ。二胡の音の良さに溺れさせてあげる。それじゃあ『The Beast.』」
「♪───────」
二胡のいいところ、色々あるけれども私は特に音の儚さ、綺麗さにあると思う。これは私がそうゆう曲を弾くことが多いのもあるけれどね。
「凄い………綺麗。それになんか怜華さんの雰囲気が……変わった?なんか悲しそう?……よくわからないけど、いつもとは違う」
「普段お嬢様してるのはロールプレイらしい」
「そうなんだ……あと、日野森さんが言ってた事の意味がわかるかもしれない」
「これの時は合わないから困るって話。でもね二胡は低い音も出せるから全く合わないってわけでもない。まぁバンドでやるような楽器じゃないけどね」
今私が弾いてる『The Beast』は悲しい曲だと思っている。だから未羽の感じた『悲しそう』というのは合っている。二胡という楽器は人間の声のような音色を出す事が特徴的でもある。そのため私は曲の中にある想いを引き出すように二胡を弾く。
例えば私が関わる予定にモモジャン、アイドルのグループがあるけどその書き下ろし楽曲の『アイドル親衛隊』では楽しく元気な気持ちを引き出すつもりだし、逆にバンドのグループであるレオニードの書き下ろし楽曲の『ステラ』なんかは悲しさや辛さを引き出すつもり。
二胡という楽器はプロセカの曲を弾くのに最も適してると思っている。『てらてら』なんかは咲希の想いの詰まった曲だから、その詰まった気持ちを全面に出すのが二胡だ。
プロセカは想いが大切な作品だからこそ楽器で人間の声に一番近いとされている二胡が想いを表すのに適していると信じてる。
ミクに歌わせるのもある種同じ感覚なんだと思う。
「ふぅ……どう?これが二胡って楽器だよ」
「……怜華ちゃんも悲しいの?」
「違うよ。私には志歩や穂波とかの友達がいるから。でも悲しいように感じるのが普通だよ」
「今の曲、怜華は歌わなかったけど歌詞を読んだり、原曲を聴くと悲しい曲なのがわかると思う。怜華は曲の感じ方を上手く表現することに長けているから納得すると思うよ」
「そうなんだ。……帰ったら調べてみるよ」
そうしてその後も雑談したり、外にいる一歌を見つけたりして今日の屋上での出来事は終わった。
曲に対する感じ方は人それぞれだと思います。