クエスト「20人で助け合い、崩壊したセカイを救え」   作:夜桜家の壁

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変わるもの変わらないもの

 屋上の扉を開けると志歩と未羽がいる。その2人の視線は黄昏に染まった空に向いている。静かにしていると、

 

 

「穂波‼︎」

 

 

 一歌の声が聞こえてくる。志歩は『あ……』と声を漏らしながら中庭へと視線を移動させいた。

 

 

「………だから、私はひとりでいたほうが、いいんだろうな」

 

「それは………わからないんじゃないかな?」

 

「え?」

 

「日野森さん、怜華ちゃんがいない時……ひとりだと寂しそうだしね」

 

「……‼︎そんなこと……」

 

「志歩、認めたら?」

 

「怜華⁉︎なんでここに……」

 

 

 流石にずっと見てだけど耐え切れなかったから2人の会話に私も入ることにした。だって……志歩があんなに悲しい顔してるなんて知らなかったから。

 

 

「私が来たらダメなの?」

 

「そうゆうことじゃ……」

 

「ねぇ怜華ちゃん、中庭にいるあの子達って日野森さんの友達?」

 

「そうだよ」

 

「………」

 

 

 志歩も私も未羽が何か話したいってわかったから口を閉じる。

 

 

「私ね、最初は自分がなんでここに毎日来て、ギター弾いてるのか、よく分かってなかったんだ。日野森さんに会った時も、時間をつぶすためになんとなく、音に惹かれて、怜華ちゃんに誘われて屋上に来てたんだけど………ひとりでベースを弾いて、平気な顔をしてる日野森さんが、すごくかっこよく見えた」

 

「………音楽があれはひとりでも大丈夫な気がするっていうのは、本当だなって思ったよ。ギターを弾いていると、心が落ち着くしね。

 日野森さんがいなくなってからもそれは変わらなかった。だけど──それでもやっぱり、私はここに来ちゃう。やっぱり………ひとりが寂しいんだろうね。

 日野森さんも、そうなんでしょ?本当は誰かと──怜華ちゃんやあの子達と、一緒にいたいんだよね。日野森さんが本当にひとりでいたいなら怜華ちゃんは分かってくれる。でも怜華ちゃんがこうやって来てくれてるって事は、日野森さんはみんなと一緒にいたいんだよ」

 

 

 私、兄さんから志歩が電話で相談しに来たって話聞いてるのと原作知識があるからなんだけど………私が普通の人なら一緒には居れなかったんじゃないかな?そこはかとなく罪悪感が出てくる。

 

 

「それは……多分無理だから………」

 

「そうかもしれない。でも──だからって諦められる?誰かとバンドをやることも、あの子達と一緒にいることも……本当に諦められるの?」

 

「それは………」

 

 

「………私はね、私達は前に進むしかないって思うんだ。いつか"そうじゃなくなる日"がくるかもしれないって信じて。私が屋上に来て、ギターを始めたみたいに。日野森さんがバンドを組んだみたいに。

 少しずつ、変わっていくしかないんだって思う」

 

「………」

 

 

 人生どこで何が起きるかわからない。何かに挑戦したらその時点で変化だ。だから全ては変化する。変わらないわけがない。時間の経過が最もわかりやすい変化だ。

 

 

「………私、来月転校するんだ」

 

「え……」

 

 

 未羽からの急なカミングアウトに志歩は驚いた顔をする。

 

 

「慣れてるから、そこまでショックはなかったよ。それに、音楽があれは大丈夫だって、今は思えるから。だから大丈夫。

 次の学校ではね、もうちょっと頑張ってみようと思うんだ。寂しくなったらギターを弾いて、また頑張ってみて……それでうまくいくかもしれないし、いかないかもしれない。でも、諦めないで──やり続けてみようと思う。だから日野森さんも………頑張れるといいね。……もちろん怜華ちゃんも。それじゃあまた」

 

 

 屋上から戻ろうと未羽は歩き始める。

 

「あっ……ねぇ‼︎」

 

「………?何?」

 

「………ありがとう」

 

「………こっちこそ、ありがとう」

 

 

 未羽は屋上の扉を開いて行ってしまった。そこには扉の音だけかが響いて残った。

 

 

「みんなと一緒に………」

 

「志歩はさ、自分でも気づいてたんでしょ?みんなと一緒にいたいってこと」

 

「……まぁね」

 

「諦められたら………とか今思ってるんじゃない?」

 

「………確かに少しだけ思ったよ。けど、今はそんな時期じゃない。咲希の調子が良くなるまではまだ何も変わってこないからね」

 

「志歩は未来の自分に託したわけだね」

 

「そうなるね」

 

 

 ちょっとだけ悪いことを思いついてしまった。

 

 

「ちなみにさ、バンドの練習とみんなと一緒にいるのを両立する方法があるんだけど………聞きたい?」

 

「……怜華すごい悪そうな顔してるよ?」

 

「だってこの方法はなかなかに辛いからね。まぁその案の簡易的なものかな」

 

「はやく言ってよ。どんな案なわけ?」

 

 

 原作を意識させるような案。普通との違いをより鮮明にするための後々の毒。

 

 

「志歩が私達『ペテン師の賽』に入るってのはどう?」

 

 

 私とは一緒にいれて、少なくとも志歩が入ったら過半数がプロを目指すチーム。プロを目指してないのは私と兄さんだけど私達はクオリティを上げることには全力を注ぐからプロを目指すのに問題はない。というかプロにならなくてもその練習にはなる。後は……イオリさん達にやらせてもいい。どっちもプロになりたいのは同じだしね。

 

 

 

 レオニードでプロを目指す時に大変な事になるかもしれないこの案。兄さんは色々とやってるみたいだし、このくらいやってもいいよね?

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