クエスト「20人で助け合い、崩壊したセカイを救え」 作:夜桜家の壁
「兄さんがすいません。さっきも言ってましたけど無茶はしないで欲しいだけなんです」
「怜華ちゃん……でいいかな?私は雷夜さんの意見がわからないわけじゃないけど、それじゃあダメだと思ってるだけ。だから無茶しないで欲しいのはわかるよ」
「とりあえず神社まで行きましょう。こんな機会なんてそうあるものじゃないのでちょっと嬉しいです」
歩きながら話す。ファンと推しが絡むことはそんなにない事。昔からの関わりがない限りはね。
そして、そんなにない事が起きていて何をするのが正解なのか、わからない。
「怜華ちゃんは雷夜さんのこと好き?」
「???───えっ」
「ほらこの歳とかは思春期っていうでしょ。だから兄妹で神社に行くなんて珍しいと思ってさ」
「なるほど、どうなんでしょうか?私は嫌いじゃないですし、いい相棒みたいな感じなんです。でも思春期だからとかの考えはなかったです。わかるのは、兄さんは私の大切な人だという事です」
私にとっての兄さんは大切な家族で………なんなんだろう。
「ごめんね、推しと大切なお兄さんが喧嘩してるのってみてて辛いよね」
少し考えていると急に謝られた。
「気にしないでください。アイドル側として遥さんの言ってるのもわかりますし、ファンとして兄さんが言ってることもわかるので、どっちに優先するかの違いだけだとわかってますから」
「そっか。ねぇ、さっきの『アイドルのプライドが自身を傷つける』ってどう意味するのかわかる?」
言ったらダメだよね。練習で転びかけてたりするのはあるあるの範疇かもしれないけど、完璧を目指してるうちのミスだし………少しくらいならいいかな。
「遥さんはメンタル強いですか?」
「……強いと思ってるよ」
「ならいいんですけど。兄さんが言ってたのはアイドルであるということに囚われて、いつかプレッシャーに押しつぶされるかもしれないという事です」
「雷夜さんから見て私はメンタルが弱いと思われてる?」
ある程度肯定するように軽く頷く。別にメンタルが弱いわけじゃないと思うし、兄さんだって同意見だと思う。
メンタルが弱いというより、責任感とかが強いのかな?それが悪さして、アイドルの資格とか言うようになって………。
「遥さんはアイドル、続けられる?」
「もちろんだよ。私が小さな時からなりたいって思ってたアイドルになれて、今ではファンも沢山いる。だからこれからもアイドルでいると思う」
「もし、何かあったら兄さんとか私も頼って。連絡先渡しとくからさ。何か辛いことがあったら私も兄さんも必ず手を貸すから」
「………」
「兄さんだって今は喧嘩してるけど、なんだかんだ言って遥さんの事好きなんだよ。あんなに強く当たるのも、心配が強く出てるだけだからさ。多分頑張りすぎて良くない結果になってる人を知ってるから止まらなくなるだけ」
兄さんは無茶しすぎるのも良くないって知ってるし、生きてるうちに出来ることは本気でやるべきだと知ってる。矛盾してるけど………夢に向かっては本気で、でもそれが自分の負担にしてはならないと、自分の中で決めてるものがあるからみんなに頼られる。
「怜華ちゃんって普段はやわらかく喋るんだね。なんかビックリしちゃった。それにしても兄妹揃って心配性、でも────ありがとう。何かあったら相談に乗ってもらおうかな。怜華ちゃんにも、雷夜さんにも」
「───‼︎」
「ちょっとした仲直り、かな?それじゃあ雷夜さん探して3人でお見舞いに行こう」
「うん」
ちょっとだけ感動して子供らしい返事になっちゃた。
怜華ちゃんの頑張りで遥は雷夜に対して悪いイメージだけじゃなくなりました。100%ではないけど60%ぐらいはいいイメージ。