コミュ力おばけと幼馴染(♀)がイチャコラするだけの話 作:百合好きの獣
A.ないです
お酒で脳を破壊しながら垂れ流した怪文書の為、クオリティは保証しかねます
とある民家の一室で、淫靡な音が響いている。
「んっ……ふ……ぁっ♡」
室内は白を基調とした少女らしい家具や小物が溢れており、その内の一つであるシングルベッドでは二つの影が重なり合っていた。
ギシ、ギシと規則的な音を軋ませながら、絡み合う影――跨がられている十代半ば程の少女が苦悶と、恍惚の声を漏らしている。
「……ここ、気持ちいい……?」
「うん……んっ♡ 気持ちいい、きもちいよぉ……♡」
少女に跨っている、小柄な影――組み敷いた少女と同年代に見える少女――もまた、額に汗を滲ませながら一定のリズムで力を入れていた。
室内には背徳的な甘い香りが充満し、二人の少女は息を乱しながら絡み合う。
「もっと……♡ もっとしてぇ……♡」
「もう……ちょっと……!」
「っ……ぁっ……!」
やがて、上に乗った少女が少し強めに力を込めると、跨がられている少女が身体を逸らせ、びくんと跳ねた。
「はぁ……はぁ……♡ しゅ、しゅごかったぁ……♡」
「ん……お疲れ様……」
さて、彼女たちが何をしているかというと、何も特別な事ではない。
一人がベッドに寝そべり、その上に跨ったもう一人が全身を指圧し解すだけ。
所謂マッサージであった。
少女達はどちらも学校指定の体操着姿であるし、なんならマッサージを受けている方の少女についてはうつ伏せで背中にタオルをかけている。
室内に漂う甘い香りも、リラックス出来るようにと焚かれたアロマである。
いかがわしい事など一切ない。本当だ。信じてほしい。
「……どう? 痛いところ、無い?」
「うん。完ぺきだよ。いつもありがとうね、百合」
施術後はふにゃふにゃに溶けた軟体動物のようだった少女は上体を起こすと、身体の調子を確かめるように数度上半身を捻り、ぐっと親指を立ててサムズアップをした。
そんな少女へと用意していたミネラルウォーターを渡しながら、百合と呼ばれた少女はにへらと表情をほころばせた。
「……ううん。私が、桔梗ちゃんに、してあげたかったから」
「百合……」
桔梗と呼ばれた少女は、感極まったように瞳を潤ませ、勢いよく百合へと抱きついた。
「好き……大好きだよ、百合……」
「うん……わたしも……」
百合も桔梗の背に手を回し、その存在を確かめるように強く抱きしめる。
二人の纏う雰囲気は明らかに友情以上の何かを感じさせるが、二人の間にいかがわしさは一切無いのだ。
無いったら、無いのである。
◇
さて、この二人の少女が何故こんなことをしていたのか。
それを説明する前に、彼女達のプロフィールを話す必要がある。長くなるぞ
桔梗と呼ばれた、名を櫛田桔梗という少女は自己顕示欲の塊のような存在であった。
その上負けず嫌いであり、自分が一番で無ければ我慢が出来ないような性格をしていた。
彼女自身が優秀であり、幼い頃――幼稚園から、小学生の低学年までは学力、運動共に優秀な成績を残せており彼女の優越感を満足させていたが、成長するにつれ様々な分野で飛びぬけた者が現れ、次第に勝てなくなってくる。
周囲と比較して確実に整っていると言われる容姿についても、成長と共に世界が広がれば、自分以上に容姿の整った者がちらほらと現れてきた。
確かに彼女は満遍なく優秀ではあったが、万能ではなく、それに特化した者に勝てなかった。
次第に、彼女は『何だったら自分が一番になれるか』に注目するようになる。
そこで、彼女が自身の優れている部分として挙げたのが、『コミュニケーション能力』だ。
彼女は優秀な人間であり、かつそれをひけらかすことなく(内心では優越感に浸っていたとしても)皆平等に接する為、交友関係が広かった。
友達が多いパリピだったのである。
目が合ったな? お前も今から『友達』だ。
そこから彼女は猫を被った。
これまで以上に善人を演じ、誰にでも分け隔てなく接し、交友関係を広めた。
やがて彼女の交友関係、そしてコミュニケーション能力は成長するに連れ洗練され、完成されていった。
その結果、産まれたのだ。
対話によってあらゆる他者と結びつくコミュ力の化身、コミュニケーションモンスターが。
産まれちゃったのである。
彼女は、自分が周囲から褒められる事で承認欲求を満たしていた。
が、それと同時にストレスを溜め込んでいたのである。
猫を被る――善い人を演じるというのは想像以上にストレスが溜まる。
とりわけ、他人の為ではなく自分の為に善い人であろうとすると、普通であれば関わろうとも考えない人物にもいい顔をしなければならない。
嫌悪感を必死に隠して取り繕っても、嫌なものは嫌なのである。
それでも彼女はやり遂げた。
心情的にも見た目的にも仲良くしたくない人物に対して手を差し伸べ、友好的に接した。
時には心無い言葉をぶつけられても、根気よく相手と向き合い、その心を解きほぐしていった。
会話デッキを充実させる為、興味の無い分野についてもある程度の造詣を深める為に学び、努力を重ねた。
その結果、彼女は少なくないストレスを抱えた。
状況によっては、彼女はそのストレスのはけ口をインターネット上に吐き出す事で解消していたかもしれない。
その結果が回り回って、学級が一つ崩壊することとなる未来もあるだろう。
しかし、今回はそうはならなかった。
それは、彼女の親友――幼馴染の存在があったからだ。
天白百合。
小学生の頃からの付き合いであり、家が近所であることから櫛田の交友関係の中でも特別に位置する少女。
彼女は仲の良い幼馴染である櫛田が日に日にストレスを貯めている事に勘づいた。
元々、櫛田は天白の前では素を出していた事もあり、無理をしているのではないかと思ったのだ。
天白にとって櫛田は大切な存在で、そんな彼女が辛そうにしている事を見逃すだろうか? いや、無い。
天白が櫛田を自室へと呼び出し、服をひん剥いてベッドに転がし強制的にマッサージを敢行したのも当然の流れと言えるだろう。
『ちょっ! 百合!? 何?! 何をする気!?』
『……へっへっへ、おとなしくするんだなお嬢ちゃん。口では嫌がってもこっち(身体)は喜んでるぜぇ……』
『何そのキャラ!? 嘘、力強……って、ちょ、どこ触って……んぅ!?』
そうして肉体言語による話し合いという名の一方的な天白カウンセリングは行われた。
意外にも、櫛田は最初は抵抗したものの、時間が経つに連れて次第にされるがままとなっていった。
変なキャラ付けしていたのは気になるが、天白が自身を労ってこんなことをしている事が、櫛田にも感じ取れたからだ。
妙に心地よい暖かさのある手のひらに、心も体も解された櫛田は思いの丈を話し始める。
自分が特別になりたかったこと。
誰かに褒められ、必要とされたかったこと。
自分の得意分野であるコミュニケーション能力、それを維持することに疲れてしまったこと。
それを聞いた天白は、聞くものの精神を落ち着かせるような不思議な声でこう言った。
『桔梗ちゃんはすごいよ』
『いい子で居続けるっていうのは、普通はまねできない凄い事だよ』
『頑張ったね。そんな桔梗ちゃんが一番大好きだよ』
ずぎゅん! と何かが撃ち抜かれる音がした。
櫛田桔梗、欲しかった言葉をピンポイントで撃ち抜かれ見事にハートブレイクである。
それから二人は常にもまして仲が良くなった。
その仲睦まじさは互いの母親がちょっと心配になるレベルでベッタベタであり、父親共は腕を組んで「うむ」と頷いていた。うむじゃないが。
櫛田はこれまで通りにコミュニケーションモンスター、通称コミュモンを続けながら、イライラすることがあれば天白とイチャイチャしながら愚痴を零すことでストレスを解消するようになった。
なっちゃったのである。
そうした生活を続けながら、櫛田はあることに気づいた。
天白百合、こいつって天才じゃね? と。
櫛田は承認欲求が高いくせに負けず嫌いと、少々面倒くさい性格をしている。
その上善人を演じている関係で、通り一遍なおべっかやお世辞は聞き慣れており、そんじょそこらの褒め言葉では良い気分にはなるだろうがそれだけである。
そんな自分が、いくら幼馴染で親友とはいえ、言葉一つでこうもメロメロに――完堕ちするものだろうか?
そういえば、毎週恒例となった施術――天白セラピーにて櫛田が愚痴を零している時も、彼女はまず櫛田に理解を示した上で「でもその人って……」と櫛田がボロクソに言った生徒の良い所をつらつらと上げていた。
それを聞いた櫛田も、最初は「ええー? ほんとにござるかー?」と懐疑的であったが、話を聞くに連れ「そうかな……。そうかも……」と次第に納得をし始めていたのだ。
後日、話の種にそれを伝えてみれば、その生徒はみるみる内に能力を発揮し、好成績を修め始める始末。
天白百合は、能力的に言えば櫛田よりも僅かに劣る。
容姿についても、愛嬌のあるとろんとした顔や、小柄な体躯等が庇護欲を掻き立てる(櫛田談)が、櫛田と同等レベルであり、上を見ればキリがない。
が、彼女には抜きん出ている物があった。
一つは観察眼。特に、人に対して行使されるそれは超能力者レベルでずば抜けて優れていた。
そしてもう一つが、人を癒やす力。通常よりも温かい手のひらは触れた人に心地よさを感じさせ、華奢な喉から発せられる声はマイナスイオンが出てるのかという程に精神を落ち着かせる効果があった。
櫛田は閃いた。
自分と天白二人で協力すれば、学校程度の小さな世界であれば天下を取れると。
櫛田は言った。
「私達で頂点に立たない?」
天白は答えた。
「天辺、とっちゃおう」
中学に進学し、二人は早速行動を始めた。
まず動くのは櫛田である。コミュ力53万のコミュニケーションモンスターは辣腕を発揮し、クラス全員と連絡先の交換、交友関係を築いた。
その後に行動範囲を学年全体にまで広め、友達100人出来るかなをわずかひと月で達成する等、ますますその能力に磨きがかかっていた。
どちらかと言えば、躊躇が無くなっていたという方が正しい。天白百合というストレスクリーナーを味方につけ、これまでは無意識にブレーキがかかっていたストレスを貯める行為――あまり好ましくない人や冷たい反応を返す人達――も積極的に行なうようになったからだ。
嫌な思いをする? その分癒やして貰えるからオッケーだ。問題ない。
若干承認欲求を満たす事よりもその後のストレス解消というなのイチャイチャに快感を感じるようになっているが、全くもって構わない。何か問題が? 無いでしょう。
そうして一通り友好関係を築いたら、今度は天白にバトンタッチをする。
悩みを抱えた者や、少し小難しい性格をしている者。それらを櫛田からの紹介で、天白が手腕弁論を駆使して更に強固に取り込んでいく。女性限定ではあるがマッサージや最近習得したエステの真似事なんかも振る舞い、カウンセリングをする。ねえねえどしたん? 悩み事? てか語ろ?
妙に落ち着く声と、そして日々の櫛田への施術によって磨かれたマッサージ及びエステにより、女子は軒並み骨抜きにされていった。
女子人気が高まれば、自ずと男子からの人気も高まる。
元々容姿に優れた二人だ。親身になって接してくれる美少女を拒絶出来るような男が居るだろうか? いや、居ない。
少なくとも、二人の通う学校には存在しなかった事は確かだった。
それからも二人は快進撃を続けた。
交流をし、悩みを聞き、解決し。
時には中々心を開いてくれない困ったちゃんな孤高(笑)の少女も居たが、二人がかりであれこれ絡んでいけば次第に陥落した。へっ、ちょろいぜ。
その少女は今後もちょくちょく絡むようになり、一般友達よりも彼女たちと親しい間柄となったのは別の話。
尚、一般友達とは天白、櫛田両名の交友関係の最下層でありその上には親友、家族、幼馴染と続いていく。一般友達より下は存在しない。オールフレンズ。お前ら皆ズッ友だ。
閑話休題。
当初掲げた天辺を取るという野望通り、彼女たちが卒業する頃には学年どころか学校全体に名を轟かせる天下統一状態となっていた天白と櫛田だが、天辺取ったところで何をするかというと、別に何をするわけでもなかった。
取り敢えず一番人気な生徒になってやろうというのが目的であり、学校を支配して世界征服に乗り出す等の考えは持ち合わせていない。
彼女達がやりたかったのは、単にちやほやされて一度きりの学校生活を楽しく過ごしたいという、やり遂げた規模に対して非常に慎ましやかな事だったのだ。
そしてそれを彼女たちはやり遂げた。
全ての生徒から――更には教師に至るまで――好印象を獲得し、親友まで出来た。
実に幸福な三年間だったと言える。
彼女たち二人、親友を加えた三名は、次のステージへと進む。
高校進学である。
幸いにして、親友が二人よりも勉強が出来、教鞭を振るってくれた為、進学先には困らない。むしろ選択肢が多すぎて逆に困る程だ。
その中で三人は一つの高校に狙いを定めた。
国立の、就職・進学率驚きのほぼ100%を記録する超名門校。
高度育成高等学校である。
なんでも、親友の兄がそこに通っているらしい。
離れた地であるが、知己がいるのであれば心強いと三者賛同し、進学先を決めた。
尚、最初の進路希望調査で第一志望が「百合(桔梗ちゃん)が行く所」と臆面もなく書き込んだ二人に、担任と親友が頭を抱えた事を追記しておく。
時は流れ。
三人は無事、高度育成高等学校へと進学を果たした。
「これで三年間、また一緒に居れるね!」
「……うん。嬉しい」
「ええ、そうね……。ところで、二人のクラスはどうだったの?」
「えっとー……Aだって!」
「わたしも……A……」
「…………」
「どうしたの?」
「……Dだったわ……」
「「あっ……」」
櫛田ちゃんヒロイン小説流行れ。
流行ってくれ。
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