コミュ力おばけと幼馴染(♀)がイチャコラするだけの話 作:百合好きの獣
高評価、感想、お気に入り登録、なによりここすきありがとうございます。
こういう所が皆好きなんだなぁと参考にさせてもらってます。多かったのは大人勢とか天白の中の武士の精神でした。なるほど……?
「……らっしゃーせー」
「よろしくお願いね、百合」
三人目の来客は堀北だった。
彼女は前の二人よりも天白のマッサージを受け慣れており、妙な緊張やいきなり服を脱ぎだすような奇行はしない。
「……今日は、何する?」
「いつもので」
受け慣れているため、常連みたいな事を言い出した。飲み屋じゃないんだぞ
「……いつものでいいの? 普段できないものも出来る、よ?」
「構わないわ。私はあれこれ手を伸ばすより、自分が好きな一つをとことんやりたいの」
「……わかった。じゃ、準備して」
ジャージを脱ぎ、体操着姿となった堀北が施術台へとうつ伏せになる。
天白は堀北の腰辺りに跨り、上半身を指圧し始める。
余談だが、通常のマッサージ店では施術時に大きめのタオルを患部にかけ、肌に直接手を触れる事を避ける。
これは爪などで肌を傷つけないようにする事の他に、マッサージする側も汗をかくため不快感を感じさせないようにという理由がある。また、服の生地によってバラつきが出るのを抑えたり、掛布団のようにすることでリラックス効果を狙っているなども理由に含まれる。
が、天白のマッサージでは基本的にタオルを使わない。天白の手のひらの温かさこそがマッサージの肝であるので。一応こまめに手汗は拭いているが。
さて、堀北の言う『いつもの』とは、『全身もみほぐしコース 堀北エディション』の事である。
普通のコースとなんの違いがあるのかというと、足つぼの割合が大きいだけである。こいつ……。
足つぼに比率が割かれているとはいっても、上半身のマッサージに手を抜く事はしない。きちんと上半身をほぐして上げたあとに、待望の足への施術である。
腰から太もも、そしてふくらはぎと指圧を続けていく。
さて、マッサージを受けた後に、施術された部分が痛くなったり、身体全体が怠くなった経験は無いだろうか。
それは「揉み返し」あるいは「好転反応」という現象だ。
字面で分かると思うが、悪い方が「揉み返し」で、良い方が「好転反応」と言う。
それぞれを簡単に説明しよう。
「揉み返し」とは、無理な姿勢で施術を受けたり、指圧が強すぎたりして筋膜や筋繊維が傷つき、炎症を起こしてしまう事。
「好転反応」とは、身体が解されることで溜まっていた毒素や老廃物が流れやすくなり、怠さや患部周辺に痛みが生じる事だ。
どちらも痛みや怠さが伴うので、見分ける場合はどれくらいその症状が続くかがポイントとなる。
好転反応は身体が正常な状態に戻ろうとする反応の事なので、2~3日もすれば身体がすっきりとしてくるだろう。逆に、それ以上続く場合は揉み返しと判断しても問題はない。
揉み返しは患部の痛みだけでなく、酷い時には頭痛や吐き気も併発してしまう。
特に初めてマッサージを受ける場合はする側も受ける側も力加減の具合が分からず、揉み返しになってしまう場合が多い。その為、初めての場合は「ちょっと弱いかな?」くらいで留めておくのがいいだろう。筋肉が凝り過ぎている場合は、その分柔軟性が低く圧の刺激がダイレクトに響いてしまうので。
もちろん天白はことマッサージに関しては天才なので、そのような愚行は犯さない。
尚、こと堀北に関しては揉み返しによる痛みもまた快感に変えてしまうので、それも幸せなのかもしれないが。
「……足裏、やるね?」
「スゥーッ……ええ、お願い」
待望の足つぼマッサージの時間だ。
堀北は期待に胸を膨らませている。
「……えい」
「くぅっ……♡」
堀北の小さな足裏、その土踏まずの部分をぐりっと押してあげると、堀北は「きたぁ!」と嬉しそうに嬌声を上げた。
その姿はまるで金曜夜に仕事でたまった疲れをアルコールで押し流しているOLのようであり、控えめに言って残念な姿だった。
これがDクラスでは『深窓の令嬢』が如き評価を受けているのはもう詐欺だろう。
天白の神業的な手腕によって、的確に痛みを感じるポイントを痛みを感じるように刺激していく。しかも、揉み返しや体調不良にならないギリギリのラインをキープして。
「……きもちいい?」
「えぇ……っ♡ もう……最高ね……♡」
足つぼでここまでよがる女子高生は世界広しと言えどこいつだけだろう。
耳だけでイク女子高生とか、へそ掃除が癖になってしまった女子高生とか、特殊性癖の博覧会である。
特殊性癖同士は引かれあう運命なのかもしれない。大体全部妖怪のせいなのが笑えない。
このまま心ゆくまで足つぼで悦ばせてあげてもいいのだが、せっかくバカンス中なので、普段はしないような事をしてあげたい。
そう考えた天白は、足つぼを刺激していた手を止めて、うんしょと姿勢を変えた。
左の足を持ち、少しだけ持ち上げるような恰好だ。
さて、足つぼは基本的に痛いということは以前お伝えしたと思うが、どこが一番痛いのだろうか?
それは人によって違い、同じ場所でも痛いという人もいれば何も感じないという人もいる。
だが、ほぼ万人に効く部分があるのだ。
「……えいっ」
「っ!? ~~~~~~~ッ!?」
膝裏である。
膝の裏、その中央にあるツボは
効果はふくらはぎの引きつりや関節症による膝の痛みを和らげる。
この委中というツボは、『四総穴』と呼ばれる人体にある非常に重要なツボの一つであり、古くは中国が明の時代に書かれた書物に記されている。
腰背は委中に求むとある通り、腰と背中の疾患にも効く。
そしてこの委中というツボは――とっても痛いのである
「……っく……う……っ」
ご覧の様に流石の堀北と言えど悶絶している。
「……ごめん、さすがに痛かった……?」
痛みを快感に変えてしまう堀北が悶絶しているということは、やり過ぎたかと天白も少し不安になってしまった。
マッサージで痛いのは基本的にダメなのだ。
だが堀北は違った。
「……す、すごいわ……♡ こんな痛み、初めて……♡」
どうやらここでも堀北は感じれるらしい。無敵か?
マッサージにおける『痛気持ちいい』とは『少し痛いけど気持ちいい』の略なのだが、こいつに関しては『痛いから気持ちいい』となってしまっているらしい。恐ろしすぎる。
「……………………それはよかった」
天白はもう考える事をやめたようだ。
「あ、そういえば……。百合、今度ちょっと会って欲しい子がいるのよ」
うわあ急に冷静になるな。
「……Dクラスで?」
「そう。ちょっと引っ込み思案で難しい子なのだけれど……ぜひ百合に話してあげてほしいの」
「……ん、分かった。日程は、任せる」
「助かるわ」
◇
「……マイド――」
「うわああああん! 百合ぃぃぃぃぃ!!」
四人目の来客は当然の様に櫛田だった。
この櫛田、実は天白セラピーIN豪華客船が開店したにも関わらず、『誰が最初に行くかじゃんけん』でまさかの最下位となってしまい、こうして出番が来るまで悶々とした気持ちを抱えていたのだ。
「うぅぅぅうぅぅぅ」
「……よしよし。その分今日は一杯気持ちよくしてあげるからね」
「うぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
「……うんうん。寂しかったね。今日はもう予定無いから、ずっと一緒に居てあげる」
「うぅぅぅ……?」
「……うん。お風呂も一緒に入ろうね。そのあと、一緒のベッドで寝ようね」
すまないが日本語で会話してくれないだろうか。
「もう、今日は百合を独り占めしちゃうんだから」
「……よしよし」
天白は大きな犬みたいに絡みついてくる櫛田を、しょうがないなぁというような顔で受け止め、撫で続ける。
今更であるが見た目の話をするならば、完全に年上が年下に甘えている構図である。実に素晴らしい。
「……よしよし。桔梗ちゃんはかわいいね。いいこいいこ」
「あぁ~……幸せ~……」
へにょへにょとした声で実に幸福そうに表情を蕩けさせる櫛田。
完全にダメにされている。
彼女が抱えたストレスが一撫でごとに消えていった。
つい数日前に公衆の面前でいちゃついていたにも関わらず、もうストレスを貯めてしまったらしい。
というのも、この出張天白マッサージ店で順番待ちをしている途中、他クラスの友人とスパで遊んで時間を潰していたのだが、不躾な視線をいくつも受けてしまっていたのである。
櫛田はタダでさえトップクラスの容姿を持っているが、それが常日頃から天白によって磨かれているため、それはもう目を引く。
ただ「かわいい!」とかであれば機嫌も良くなるのだが、それが「ワオ! 彼女の身体はとってもスケベだね!」となってしまうと途端にストレス源となる。
『可愛く見られたい』と『異性から魅力的に見られたい』は似ているようで違うのだ。
まあそんなストレスも天白に抱き着いて頭を撫でて貰った時点で雲散霧消してしまったのだが。人生イージーモードか?
ぐりぐりと天白のあまり豊かとはいえない胸元に頭を擦り付ける姿は、天白から見てとても可愛いものであったのでいつまでもこうさせてあげたい気分ではあったが、これはただ甘えてるだけではないなと幼馴染特有の勘によって見抜いていた。
要は不安だったのだろう。
中学生までの頃は、天白の特別な友人――所謂親友と呼ばれる人物は堀北しか存在しなかった。
それが高校生になった途端、二人も増えた。しかも、三年間を共に――一蓮托生で過ごす事を考えれば、今後も増えないとは限らないというか、むしろ増えないと考える方がおかしいだろう。
それは櫛田も同じではあるのだが、彼女はそれによって、天白の興味関心が自分から離れていってしまうことを何よりも恐れた。
櫛田にとって、何よりも一番でありたいのは、天白の中の一番であるのだから。
だけども、である。『私だけを見て』というクッソ重たい女になるわけにはいかない。既に二人だけのものではなくなった野望を遂げるためには、大勢と友好関係を結ばねばならないから。
それに、櫛田自身も特別に思った少女たち――堀北、坂柳、一之瀬の三名については、憎からず――むしろ、これからも仲良くしていきたいと思っているのだ。
自分がそうなのだから、それを天白に強要することなんて出来ない。でも……という少々面倒くさい思考回路になっている。それが今の櫛田だ。
理屈じゃ説明出来ないのだ。こういう感情というのは。
結果的に、櫛田のその気持は完全に杞憂であるといえる。
なぜなら、天白だってそう思っているのだから。
いつだって一番かわいくて、一番かっこよくて、一番すてきなのが、天白から見た櫛田である。重たいとか言うな
天白ですら知らない交友関係というものだってある。いつか自分の側から離れてしまうのではという気持ちは、むしろ天白の方が強い。
二人の違いは、別に離れても勝手について行きますけど? と開き直れているかどうかでしかない。
天白は考えた。
言葉で伝えたところで、こういうのは表面上は納得出来たように見えても、心にしこりが残ってしまうだろう。なにせ、これだけベタベタしといてまだ不安がっているのだから。
なのでこうする。
「……桔梗ちゃん」
「百合……? んむっ!?」
呼びかけ、顔を上げた瞬間に唇を奪った。
それどころか、腕を後頭部に回して離れないように、隙間をなくすように思いっきりくっつける。
「……じゅる……んちゅっ……♡ ぴちゃ……んじゅる……」
「っ!? !?!? ~~~~!?」
こいつ舌まで入れやがった。
別の生き物の様にうねった天白の舌が、櫛田の唇を強引に割り、口腔内へと侵入する。
舌を絡め取り、上顎をなぞり、歯茎の裏を刺激した。
「ひゃっ……♡ んむっ♡ ふぁっ♡ あぇ……~~~~~っ!?♡」
口の中というのは敏感なので、もちろん性感帯となりうる。
たまらずあえぐように舌を突き出してしまった櫛田は、その直後に天白の口に捕まってしまい、ちゅううううっと吸い出されてしまう。
「……ぷぁっ。……わかった? わたしの気持ち」
「ひゃ、ひゃい……♡」
数分間に渡るキス責めの後、ようやく口を離した天白は、櫛田の顎をくいと持ち上げてそう聞いた。
口の端に透明な橋をかけながら、櫛田はとろんとした表情で頷く。
これが一番早いと思いますというくらいの気軽さで行われたえぐいキスだが、これでもまだ二人は付き合っていないと言い張るだろう。
もうここまでしておいて付き合って無いというのは、推理漫画で証拠も全て突きつけられたのにも関わらず「違います」と否定するくらい見苦しい言い訳でしかないのだが、本人たち的には付き合ってないのである。
言葉にして伝えていないので、限りなく恋人に近い何かだとしても、例え本人たちの認識ももう幼馴染の枠を超えた関係であったとしても、付き合ってないのである。
もうくっついちゃえよとも思うが、一応二人の中でも「恋人にならない理由」というものが存在する。それについては、またどこか別の機会で。
だが、ここまでディープなやつをかましたのは流石に初めてであり、それを考えると一線は超えたのは確かだ。
天白は色に濡れた表情で、とろとろに溶けてしまった『完堕ち』という表現が妥当である顔をした櫛田に対して、こう囁いた。
「……今日はとことん、わたしの気持ちを分からせてあげる。……どろどろにしちゃうから、覚悟して、ね?♪」
「はい……♡」
櫛田はこの後どろどろに溶かされた。
◇おまけ 担任教師共
「天白は垢すりまで出来るのか……すごいな、お前は……」
「……お気に、めしました? 茶柱先生」
「あぁ……身体が生まれ変わるようだ……」
部屋一つを使えるように取り計らってくれた恩もあり、後日、天白は茶柱をエステルームへと招いていた。
尚、流石に茶柱は全裸ではなくエステ用の紙パンツを着用した上でタオルを腰下にかけており、天白も体操服姿である。当然ではあるが、当然ではない例があったので。
「こうなると後3年で卒業してしまうのが惜しいな……どうだ? 卒業後はうちで職員として働くというのは」
「……それもちょっと楽しそうですけど、まだ進路の事は決めきれないので……」
「ふっ、言ってみただけだ。……もし気が向いたら声をかけてくれ。出来る限り力になろう」
「……ありがとうございます」
この教師、完全に卒業後も通う気満々であった。聖職者の自覚あります……?
茶柱だけでなく、星之宮も招く。仲間はずれにはしない。
「い、いいのかなぁ~……こんな、生徒にマッサージしてもらうなんて……」
「……今更、です。茶柱先生は常連ですし」
「何やってるのよサエちゃん……」
今度は垢すりではなく、通常のマッサージだ。全身を揉みほぐしてやろう。
もちろん星之宮は私服でタオルを背中にかけており、天白も服を脱いでない。
「あぁ~……ダメだと思ってても気持ちいぃ~……ほんとダメになっちゃいそう~……」
そして星之宮は再びダメになった。
教師職は事務作業が多いため、肩腰足に疲労が溜まりやすいのだ。
そしてもちろん、自分の担任である真嶋も招く。
こちらは男性なので、本来であればハンドマッサージオンリーなのだが、今回は特別に足腰も施術をすることにしたらしい。
「……真嶋先生、無人島試験ではお疲れ様でした」
「あ、ああ……。いや、担任として必要な事だ。気にする必要は無いんだぞ」
「……でも、わたしたちに付き添って沢山歩いてくれましたから。今回のこれは、そのお礼も含めて、です」
「そ、そうか、なら……ありがたく受け取っておこう」
正直真嶋はビクビクしている。
腕だけであんな目にあったし、足腰も含めてやられたら本当にどうにかなってしまうんじゃないかと警戒しているのだ。
その警戒は正しかった。が、どうにもならなかった。
「んぐぅ……! こ、これは……!」
「……やっぱり、先生は座ることが多いから、腰が辛そう」
「痛っ……くない……!? どういう事だ……!?」
「……痛いだけのマッサージは、しません」
「う、生まれ変わる……俺が、俺で無くなってしまう……!」
そうして真嶋も生まれ変わった。ニュー真嶋はこれまで以上にバリバリ働けるようになるが、それ以上にAクラスのやつらが問題(良い意味ではあるのだが)を起こすので、疲労は無くなれど心労は溜まっていった。
ちょっと定期的に予約しようかな……と真嶋・改は思った。
特別ゲストはこれだけではない。
なんと、Cクラスの坂上教師も招かれていたのだ。
「何故私が生徒にマッサージをされるなどと……」
「……茶柱先生が、せっかくだから誘ってみたらどうだ? って言ってました」
「………」
坂上は押し黙った。内心では『あの女……!』と歯ぎしりをしていることだろう。
「まあ、せっかく招かれたのですし、貴女の評判は耳にしていました。まさか自分が受ける事になるとは思いませんでしたが……そのハンドマッサージというものをされるのもやぶさかではありません。ですが、あくまで客として受けるだけです。私のクラスについては何も喋りませんよ」
「……? 別に、これは先生達にお礼をしたいからやってるので、そういう事を聞くことはないです。他の先生も、お客さんとして来てもらってるので」
「ほう……中々殊勝な良い生徒ですね。分かりました、ではお願いするとしましょうか」
「……はい、任せてください」
坂上は知らなかった。
この妖怪がハンドマッサージの手腕一つで面接官を陥落せしめ、Aクラスに配属されたという事実を。
そして疲労やこりというのは加齢と比例して溜まりやすくなるのだということを。
「ふぉぉぉぉぉぉっ!? これは!? これはぁっ!?」
「……これまでで、一番手強い。お父さん以来のこり……」
「あぁ……! なんという……これが、ただのマッサージだとでも言うのか……!?」
そして坂上もダメになった。
尚、教師の意地として生徒に愚痴を零すような真似は流石にしなかった。どこかの縁起のいい名前をした教師とは違う。
その後、授業の後で内容の質問をしに来た天白を見る目が、ちょっぴり優しくなったのは別の話である。
ついに坂上センセも餌食に……。
もう天白と櫛田が付き合ってないっていうのが無理になってきた感ありますが、まだ付き合ってないです。まだ。
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