コミュ力おばけと幼馴染(♀)がイチャコラするだけの話 作:百合好きの獣
私も頭を空っぽにして書いてます
ぐずぐずと泣き言を零していた親友と別れ(本人は絶対に認めないが、あれは確実に寂しがっていた)、自クラスへと訪れた天白と櫛田。
担任の真嶋先生からこの学校での特殊ルールと、学生証カードを渡された。
この学校では、現金を扱わない。
購買や、校舎外にある各種施設などはすべてプライベートポイントと呼ばれる電子マネーのような物を利用するらしい。
この電子マネーについては毎月1日に振り込まれ、そして今現在10万ポイントが一年生全員に配布されている。配られた学生証が、そのポイントを使用する媒体だそうだ。
1ポイント1円と考えて、ざっと10万円分である。随分な大盤振る舞いであるが、この学校は国営とはいえ、税金をじゃぶじゃぶと使いすぎでは??
その後、この学園に関する一通りの説明を受け(なんと学年ごとのクラス替えは無いらしい。親友が絶望している顔が脳裏を過った)、その後は各自解散――ではなく、体格の良いスキンヘッドの男子生徒が自己紹介を提案してきた。
願っても無い事である。交友関係を築くに当たって、ファーストインプレッションは重要だからだ。しめしめ、と櫛田と二人ほくそ笑んだ。
自己紹介の内容は割愛するが、概ね良い手応えであったと言えるだろう。
まずはクラスメイト全員と友達になるのだ。学校が変わろうと中学生から高校生になろうと、天白と櫛田の野望は変わらない。
どこであろうと、一番の人気者になる。
自己紹介後、手始めに櫛田は最初に自己紹介を提案した男子生徒と、とある理由から天白が目を着けていた生徒と連絡先を交換すると、主婦たちのお買い得製品争奪戦の如く次々と連絡先を交換して回っていた。
この様子では、クラスメイト全員の連絡先を手に入れるのも時間の問題だろう。
小目標である友達100人RTAも、中学校以来の記録更新となりそうである。
さて、日常生活において常に共にある櫛田と天白だが、入学初日は別行動をしている。
中学校の時同様に、まずは櫛田が広く網を張り、かかった獲物を天白が仕留める手法を取っているため、まずは櫛田がある程度の人付き合いをする必要があるのだ。
別れ際に
『行ってくるね、百合!』
『……うん。ご飯は、作っておく。入学祝いで、ハンバーグ』
『ほんと!? やったぁ!』
とやり取りをしていた時は、クラスメイトから少々呆気に取られていたが。まあいい。じきに慣れる。
櫛田が交友を広めている間に、天白は施設を把握しておこうとショッピングモールを訪れていた。
学園内に併設されているくせに、ずいぶんと品ぞろえが良いなと感心しながら施設内をうろつき――みつけた。
コスメ製品を置いている、そこそこ名前を聞くチェーン店だ。
ウキウキ気分で店にエントリーし、目を輝かせながら品定めをする。
ふむ、何を買おうか。
10万円分もポイントを手に入れたので多少奮発してもいいが、あれもこれもと買っては使いきれないだろうし勿体ない気もする。
ウロウロと目移りしながら、三十分程度悩みに悩みぬき、結局天白はある商品を一つ手に取ってレジへと足を向けた。
◇
「ごちそうさまぁー!」
「……お粗末様でした」
自室に戻る前にいくつか生活雑貨を購入してから、食材を求めてスーパーへ。
そこから自室でハンバーグを調理している間に、櫛田は帰宅してきた。
櫛田にも自分の部屋があるはずなのだが、帰宅なのである。なぜなら彼女が帰るべき場所は天白の居る場所なわけなので。
天白の振舞ったハンバーグは櫛田のお気に召したようで、にこにこと終始笑みを零しながら箸を進めていた。
当然のように箸や食器は二人分揃えている。この二人、寮暮らしの癖に既に同棲気分である。
「はぁー、お腹いっぱい! ……じゃ、さっそくだけど戦果報告するね」
「……うん。よろしく」
食後の紅茶を楽しみながら(業務用。200Pで50個入りティーパック)、居住まいを正した櫛田がキリッとした表情で告げる。
……訂正する。目元だけはキリッとしているが、親の干渉の無い二人の愛の巣にご満悦で顔の下半分の表情筋が緩みに緩んでいた。学生寮なので当然他の生徒もいれば寮監も居るのだが、そのことは既に頭の中には無いらしい。
「とりあえず、クラスの半分くらいは連絡先交換できたかな。もう半分についても、ざっと見た感じ拒否はされないと思う。リーダー格っぽい人二人と最初に交流持てたのが大きかったかな」
「……わたしも同感。あの人達と仲良くなれば、少なくとも、コミュニケーション自体を拒絶しそうな人は居なさそう」
「この調子なら、今週中には他のクラスにも手を出せそうかなぁ」
「……次は、やっぱりDクラス?」
「うん。あいつも居るし、手は広げやすいと思う」
櫛田が自身の戦果を告げ、天白も施設をうろついて思ったこと、感じた事を伝える。
そうして一通り情報のやりとりを終えると、ふと話題が途切れ室内に静けさが顔を出した。
やがて口を開いたのは天白からだった。
「……する?」
遠慮がちに問いかけた天白に、櫛田は頬を薄く染めながら返した。
「……うん」
◇
「……なんか、緊張する」
「そ、そうだね……」
服を脱ぎ、下着すらも脱いで産まれたままの姿となった櫛田が、ベッドへとうつ伏せに寝る。
天白も体操着へと着替え、てきぱきと準備をしている。
二人の間には僅かに緊張感が見え、実際に内心では心臓が早鐘をこれでもかと打ち続けていた。
……あくまでも、二人が行うのは健全なマッサージ及びエステである。
いかがわしさは無い。
無いったら、無い。
……無いのだ。多分。
「……それじゃ、始めるね」
「うん……お願いします……」
おニューのアロマを焚き(500P ディフューザー別売り1500P)、よいしょと天白は櫛田の背にタオルをかけてから跨った。
「ん……しょ……」
「っあ……♡」
まずは背中全体を手のひらで圧迫する。
ぐっ、と力を籠めると、櫛田が甘い声を漏らした。
……なんで?
天白はそれについて疑問にも思わず、上から下へ、肩甲骨あたりからゆっくりと筋肉を解すようにして体重をかけていく。
「あっ♡ ……んぅ……♡」
天白が櫛田の身体に手をかける度、櫛田は喉を震わせ、蕩けたように喘ぎ声をあげた。何感じとんねん。マッサージやぞ。
十分に上半身を解せたと判断した天白は、今度は櫛田の両肩に手を置き首筋に指を這わせた。
「ふぁっ……♡ それ……いい……♡」
「ん……。こう……」
「あぁっ……♡ そこ、そこぉ……♡」
頭部と首の付け根――ちょうど窪んだ部分を親指で円を描くようにして解していくと、櫛田がおねだりを始める。
首、肩、背中は人体でも凝りやすい部分であり、特に成長期を迎えてから急激に胸が大きくなったり、コミュニケーションの為にしょっちゅう携帯端末を弄っている櫛田にとって肩こりや首のこりは悩みの種だった。
そんな状態であるから、肩や首に対する施術はとても「痛気持ちいい」ものであり、対櫛田特攻兵器である天白の手腕もあって天にも昇る心地よさなのだ。
なので何も知らない状態の第三者が声だけ聴いた場合に100%誤解をするような声を上げてしまうのも仕方の無い事と言える。……本当にそうか?
そこから腕、足、腰と全身もみほぐしコースを半刻程堪能した櫛田は、はぁはぁと息を荒げながらも満足そうにうっとり目を閉じていた。
「しゅごかった……♡」
「……それは何より。……でも、まだ終わりじゃない」
そう言って天白は一旦櫛田の上から退き、ガサゴソと買い物袋の中をあさり出した。
快感によって意識が朦朧としていた櫛田がぼーっとそれを眺めていると、天白は一つのボトルを取り出した。
見た目は容量の多いシャンプーやリンスの様に見える。中に入っているのは、薄い琥珀色の液体。重さがあるのか、天白が揺らしても波立たずに静かに揺れるのみだ。
「え! それって……」
「……そう。マッサージオイル。……最悪自作しようかと思ってたけど、売ってて良かった」
天白流セラピー秘密道具のその一。マッサージオイルである。
天白が全寮制のこの学校に進学するにあたって、一番の懸念材料だったのはこういった小道具が入手できるか否かだった。
事前に、区域内に商業施設がある事は把握していたものの、こうして手に入って一安心である。
もっと他に心配する事あるだろと親友は呆れていたが、その親友も親友で恩恵に与っているので強くは言えなかった。
「……ここでもエステ、できる、よ?」
「すごい……私は最高の環境に身を置いたのかもしれない……」
櫛田は目を輝かせながら身を震わせた。
学生の本分は勉強であるはずなのだが、完全に二人の世界に入っている彼女達はもうお互いしか見えていなかった。
これで中学生の時は男女共に最も人気があり教師からも絶賛されているのだからズルである。親友が呆れる姿が宙に浮かんですぐ消えた。
「……特別コース、入りまーす」
「わぁーい……」
タオルを取られ、わくわくとドキドキがない交ぜになったような声を上げながら櫛田は顔を伏せ、目を閉じた。
今更だがなんで櫛田がすっぽんぽんなのかというと、天白がそう指示したからだ。「全部脱げ」と。
オイルマッサージをするので、服が汚れないようにという配慮だった。なんせ、紙パンツのようなものは流石に買えなかったので。
天白はマッサージオイルのポンプを数度プッシュし、十分な量のオイル手のひらに出す。
やや温度の低いオイルを手のひらを合わせて擦り温めながら――そっと背中に手を置いた。
「ひゃんっ♡」
「……あ、ごめん。まだ冷たかった……?」
「ううん、大丈夫……久しぶりで、ちょっとびっくりしただけ」
えへへ、と笑う櫛田に、天白は「よかった」と安堵を返し、オイルマッサージを再開する。
まずは肌になじませるように、櫛田の日々の努力や天白の定期的なエステ、マッサージによって肌荒れの無い、きめ細やかな背中にオイルを伸ばしていく。
「あぁ……♡ きもちい……♡」
滑りの良くなった背中を、ほのかに暖かい天白の手が上下に往復していく。
背中、肩、腕――と時折オイルを足しながら広げていき、上半身に満遍なく伸ばした後は再び指圧をする。
まずは背中だ。腰から肩、肩から腰と円を描くようにして、手のひらで圧をかけていく。
そうしたら次は背骨にそって体を解し、次は、その次は……と腰から肩にかけてを解した。
次第にじんわりと上半身が温まっていき、血行が良くなっている事を感じ取れた。
「あぁ~……幸せ~……♡」
「……ふふ、桔梗ちゃん、気持ちよさそう……わたしも、嬉しい……」
液状化しそうな程全身を弛緩させた櫛田が多幸感にたまらず声を上げると、天白も嬉しそうに破顔した。
お気づきかもしれないが、天白は大の世話焼き体質である。奉仕することが至上の喜びと、ダメ人間製造機の素質を備えていた。
そのほとんどを櫛田に向けているものだから、櫛田の承認欲求メーターも常にカンスト状態なのだ。
今の櫛田桔梗というコミュニケーションモンスターは無限動力を搭載しているようなものだ。恐ろしい。
たっぷりと時間をかけて上半身の施術を終えた天白は、ふうと額の汗を拭うと櫛田に問いかけた。
「……どうする?」
どうする、というのはこの二人でしか通じない合言葉のようなものであり、それを聞いた櫛田はもじもじと内股を擦りながら、顔を真っ赤に染めつつ、言った。
「……えっと、お願いします……♡」
「……ん、いっぱい気持ちよくしてあげるね……」
天白は蠱惑的な笑みを浮かべながら、その小さな手のひらを櫛田の何も隠していない腰下へと伸ばし――
「……なあ」
「……なによ」
「いや、なんでそんな急に機嫌悪くなってるんだ」
「……別に、なんでもないわ」
「…………中学校の時の友人のとこに行くんじゃなかったのか」
「……………………たまたまそういう気分じゃなくなったってだけよ」
「そうか……」
「そうよ」
(なによ今日は百合を独り占めしたいって。……今度やり返してやるわ)
(なんかあったんだろうな……)
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