コミュ力おばけと幼馴染(♀)がイチャコラするだけの話 作:百合好きの獣
A.なにかはしている。堀北が『Dクラスやだやだ事件』を起こさなかった為、機械化進行度が最小限に抑えられた状態で敵意の無い坂柳と無事卒業後の自由を確約する契約を結べたのでウキウキ学生生活をエンジョイ中。事なかれ主義は継続中の為、功績を大体堀北におっ被せるように暗躍している。3バカとは最近ある理由から疎遠。
Q.須藤事件起こしてないの?
A.もちろん起こした。多分事前に関係良好な堀北から注意を受けてたけど、肝心要な堀北をバカにされてぷっつん。事情を聴いて櫛田と天白と坂柳もぷっつん。Aクラスが介入しちゃったもんだから龍園クンも慌てて訴えを取り下げさせた。
いつも高評価、感想、お気に入り、ここ好きありがとうございます。
ついに夏休みも残すところあと三日となった。
高校生の――というよりも、学生の夏休み最終日付近と言えば、夏休みの宿題の存在を放念していた連中が地獄を見ている時期であるが、幸か不幸か、高度育成高等学校では夏休みの宿題に該当する課題は無かった。
その代わり二週間も拘束され(バカンスという名目であり実際に休息期間はあったが)て行われる特別試験があるので、どちらが幸せかは一概には語れない。
まあ、かといって勉学を疎かにして夏休みボケしてしまうと休み期間明けの授業で地獄を見る羽目になるので、程々に勉強は継続していなければならないのだが。
(まもなく最終日ですし、百合さん達とめいっぱい羽目を外す最後の機会ですね)
もちろんそんなことはこの天才少女坂柳有栖には無縁である。元々授業を受けるだけで定期テストで満点を叩き出す規格外の才女だ。夏休みを1から10まで遊び惚けた所で何も問題は無かった。
この夏休み期間中は適度に頭を使う試験があり、そして十分に大切な仲間たちと触れ合う事が出来たため、1ヶ月間の幸福度で言えば坂柳はぶっちぎりのトップだったと言えるだろう。高度育成高等学校という特殊な環境下に居ながら普通の高校生よりも楽しい夏休みを過ごしていた。
だが、もうちょっと遊びたいというのも正直な思いだった。
そしておあつらえ向きなイベントも用意されている。
坂柳は早速電話を掛けた。
『……もしもし』
「あ、百合さん。こんばんわ」
数コール後に通話に出たのは、天白だった。
天白の脳トロボイスも電子情報へと変換されてしまえば効力を失うのか、甘ったるい声であることは確かだがふわふわとする感じは流石にしなかった。
ぶおおおという風の音が少し遠くに聞こえる。
「もしかして、外出中でしたか?」
『ん? ……部屋にいる。……あー、風の音は、桔梗ちゃんが髪を乾かしてるから』
「なるほど……」
当然の権利のように櫛田が天白の部屋で風呂に入っていたようだ。今更の事なので坂柳も「今日も仲が良いようで何よりです」とスルーした。
そして本題に入る。
「百合さん。夏休み最終日に何かご予定はありますか?」
天白マッサージ店は夏休み最終日は店休日としている。運営もセラピストも学生であるため、最終日はプライベート優先なのだ。
しかし、コミュ力お化けの櫛田には負けるとはいえ、天白もそこそこ交友関係はある。勝算はあるが、負ける可能性も無視できない賭けだった。
『んー。……最終日は特に。桔梗ちゃんと一日のんびりしようとは思ってた』
そして坂柳は賭けに勝った。
「で、では……最終日まで、水泳部専用のプールが一般開放されている事はご存じですか? もしまだ行っていなければ、よければ一緒に行きたいと思いまして……」
普通の授業で使うものよりも、更に広く充実した設備が整えられているプールがある。そこは水泳部専用施設ではあるのだが、なんと夏休み最後の3日間は誰でも使える市民プールのような形で解放されているのだ。
尤も、初日である今日、多くの生徒が大群として押し掛けた為、急遽3日間のうち1回だけの入場となったそうだが。まるでサービス開始初日で緊急メンテに入るオンラインゲームのように。
坂柳は緊張からごくりと喉を鳴らした。
もし天白が今日プールに行っていたら一緒に遊べない。また、そもそもプールに興味が無ければ断られるかもしれない。
坂柳は、まるで告白の返事を待つ乙女のように、心臓をばくばくと鳴らしながら答えを待った。なにせ、友達を遊びに誘うという行為すら、あまり経験が無いもので。
『……そういえば、そんなお知らせがあった気がする。いいよ。一緒にいこ』
「っ! はい!」
坂柳はぱぁっと表情を輝かせた。まるで告白を受け入れられて恋が成就した乙女のような様相だが、遊びに誘って承諾されただけである。
『……あ、他の人も誘っていい?』
「もちろんです。ぜひ桔梗さんも誘って頂ければ……」
『おけ。……桔梗ちゃん。明後日、プール行こ。……ん、有栖ちゃんがいこって。――桔梗ちゃんはいいってー』
「わぁ……! ふふ、最終日まで、これまでで一番楽しい夏休みが過ごせそうです」
『んふふ。せっかくだから、みんなでいこ。桔梗ちゃん経由で、色々誘ってみる』
「ありがとうございます。桔梗さんにもよろしくお伝えください」
『はーい。……じゃ、有栖ちゃん、明後日楽しみにしてるね……おやすみ』
「はい、おやすみなさい」
通話を切ると、坂柳はぽすんとベッドに倒れ込みぱたぱたと手足をじたばたさせて興奮を表していた。
(ふふ、ふふふ……! ああ、この学校に入って正解でした……!)
坂柳の当初の目的は別にあったはずだが、今は青春を大いに楽しんでいるので、これでいいのである。
◇
きたる夏休み最終日。
朝は早く、八時三十分にロビーへと集合していたのは、錚々たるメンバーだった。
「おっはよ~!」
「……おはよ」
「おはようございます、桔梗さん、百合さん」
まずはAクラスから、櫛田、天白、坂柳のAクラスアイドルトリオ。
「ごめん、お待たせ!」
Bクラスからは、一之瀬帆波。
「待たせたわ」
「ごめん、ね? ちょっと準備に時間かかっちゃった……」
Dクラスからは、堀北鈴音と、つい最近友人となった佐倉愛里が参加した。
Cクラスを除いた、各クラストップレベルの容姿を持った美少女が勢ぞろいである。
今は休日の朝早くという事もあり人の目が少ないが、これが連れたって歩けば注目を集める事間違いなしのメンバーだった。
この期間だけ解放されている水泳部専用の『特別水泳施設』は学校の傍に併設されている。
最終日ともあって、入口付近は入場開始前にも関わらず既に大勢の生徒で賑わっていた。
「お、おい……あれって……!」
「ん? う、ウワー! 一年生の女神ファイブだ!」
「マジかよ……! 俺、産まれてきてよかった……!」
「女神ファイブと……もう一人の子は誰だ……!? あの子もすげえ可愛いぞ……!」
別の意味でも賑わいを見せていた。
そりゃあ一人でも目を惹くレベルの美少女が6人も揃っているのである。市民プールに国民的アイドルグループが現れたみたいに、蜂の巣をつついたような騒ぎとなった。
「女神……ふぁいぶ……?」
「あはは……」
一之瀬が聞きなれない単語にこてんと首を傾げ、情報通の櫛田は意味を知っているのか苦笑して頬を掻いていた。
◇
特別水泳施設の入り口が大変な騒ぎになっている時、施設へと向かう二つの影があった。
「綾小路殿。ほんとーに、拙者と共にプールに来てよかったでござるか?」
「ああ。オレも興味はあったんだ。ただ一人でいくのも気が引けていたから、博士が誘ってくれて良かった」
「ふひひ、綾小路殿とはマブでござるからな」
1年Dクラス。綾小路清隆と、外村秀雄の男二人だ。
彼らは最近『俺達は努力をしなければならないんだ!』と部活動に精を出し始めてしまった池や山内、そしてそれに感化された須藤の三人が付き合いが悪くなってしまった為、自然と交友を重ねて休日に一緒に遊ぶ位には仲良くなっていた。
友人に飢えていた綾小路にとって、臆面もなくマブダチと呼んでくれる外村は、今ではDクラスで一番仲の良い友人となっており、こうして二人でプールにやってきていたのだ。
「ま、綾小路殿。今日は存分に楽しみましょうぞ」
「そうだな。……そうだ。一応堀北も誘ってみたんだが、今日は例の親友たちと行くと言っていた。だから運が良ければ――」
ふと、綾小路の視界に今まさに話題に出していた堀北が映った。
しかも、堀北が言っていたように櫛田、天白、一之瀬、そして佐倉と、見事に綾小路の知り合いが勢ぞろいしていた。
これ幸いと、出来れば大勢でプールを楽しみたいと考えた綾小路は早速堀北達に声をかけようとして――
「バカ野郎ッ!!!!!」
思いっきり外村に頬を殴り飛ばされた。なんで?
「な、何をするんだ博士!」
「綾小路殿……あんたぁ……今、何をしようとした?」
ゴゴゴゴゴゴゴと、何やら分からぬ『スゴ味』を背にしながら低い声で問いかけてくる外村に、綾小路は久しく感じていなかった恐怖を思い出していた。
「な、何って……堀北が居たから声を掛けようとしただけだが――「バカ野郎ッ!!!!」――ぐっ!?」
今度は殴られはしなかったが胸倉を掴みあげられた。あまりの豹変に綾小路はついていけずに混乱するばかりだ。
「かの有名な尊み秀吉も『挟まれば 殺してやろう 百合の間に』と句を残していたでござろう……!」
「誰だそれは」
「百合の間に挟まるのは人類の原罪だというのは、世の常識にござろう……!」
「どこの世界の常識だそれは」
どうやら外村は壊れてしまっているのかもしれない。
綾小路は、今日は堀北達と合流は出来ないかもしれないとため息をつきながら、どこか遠い目をしていた。
それから綾小路は入場開始まで『百合に対してはYes鑑賞 No干渉』という訓戒を外村からくどくどと説教されたのだった。
◇
無人島を一つ丸々所有し管理していたり、生徒しか顧客がいないのに商業や娯楽施設を経営させていたりと、国民の血税を湯水の如く施設の充実に使用する高度育成高等学校は、たかが部活用のプールといえどその力の入り具合は凄まじかった。
更衣室一つをとってもなんと学年ごとに存在するのだ。この分では、プールの中にウォータースライダー等が存在しても驚かないと坂柳は内心で苦笑していた。
「一之瀬さん、貴女のその胸はいつから?」
「へっ? いつって……中学三年あたりかな。どんどん育っちゃって……それがどうしたの?」
「いえ、理解出来たわ。貴女が持て余し気味にしている理由が」
「鈴音~、声震えてるよ?」
「う、うるさいわね……。貴女も貴女よ。中学の頃はそこまで差が無かったのに……」
「百合に毎日揉んでもらってるからね!」
いまとんでもない爆弾発言が聞こえた気がしたが、このメンバーからしてみれば「ああ……いつもの……」で流せてしまう。
「ええっ!? 毎日!?」
流せていない者が一人いた。つい最近天白・櫛田コンビと交流し始めた佐倉である。
「……桔梗ちゃんの言い方では、語弊がある。わたしのエステには、バストアップを狙ったものがあるから、その影響。実際にはそんなに揉んではいない」
天白がフォローしているが、フォローになっていない。
女子更衣室ではそういう会話をしなければいけないジンクスでもあるのか、坂柳達は私服から水着へと着替えている最中に各自の身体的特徴について会話をしていた。
「私も足つぼだけじゃなくて、そういうのも受けてみようかしら……」
堀北が一之瀬と佐倉を見てそういえば
「じゃ、じゃあ私がやろうか……?」
と佐倉がやばい事を言い出し
「……? 佐倉さんもマッサージの心得があるの?」
と更に堀北がとんちんかんな事を言い始める。
おっぱい談義はさらに続く。
「……帆波ちゃんもすごいけど、愛里ちゃんが飛びぬけておっぱいおおきい」
「そ、そうかな……」
「……違法建築」
「人体の建築法って何……?」
すっぽんぽんになりながら天白はそれぞれのたわわを視界に収めて眼福眼福と拝んでいた。見た目が可憐な同性だからってなんでも許されると思ってないかこいつ。
「でも、皆大きいから私一人に注目されなくて、それはホッとする……かな」
木を隠すなら森の中というように、大きな胸で注目されるのであれば、同類で周りを囲ってしまえば視線は分散される。
さらに一部からは『女神ファイブ』と崇められているメンバーなので、身体よりも顔に視線が向きやすい為猶更いやらしい視線は感じにくいだろう。そのことに佐倉は安堵の息を吐いていた。
「……………………………」
その言葉に、深く傷ついた少女が一人いる事に気づかずに。
「「「あ…………」」」
一之瀬、佐倉、櫛田の三大巨乳娘がそれに気づいて気まずげに声を漏らした。
坂柳は彼女達の胸に視線をやり、その後自身の胸へと視線を落とし、すとんと足先まで見えているそれに表情に無を張り付けた。
「思い出しました。どれだけ努力しても、埋められない差は存在する。それが、私の信条でした」
絶望しすぎて、かつての攻撃的な性格を取り戻そうとしている。戻ってこい! はわわと言っていたお前はどこに行った!
しかし、地獄にも蜘蛛の糸が垂らされるように、明けない夜は無いように。絶望していた坂柳の元に救いが現れた。
「……有栖ちゃん。無いからといって、絶望する必要はない」
「百合さん……!」
天白百合。
身長140センチ。絶壁こと坂柳よりも更に低い身長の幼児体形の同い年の少女。
坂柳にとってそれは、砂漠で遭難した時にオアシスを見つけるレベルの救いに思えた。
「……持たぬからこそ、わたし達は有を欲する事が出来る。それはわたし達にしか無い特権」
このオアシスはただのおっぱい聖人だった。目を覚ませ坂柳。
しかし天白に対してはちょっとおバカに(マイルドな表現)なってしまう坂柳にとって、天白の言葉はまさに福音だった。
「……有栖ちゃんには、おっぱいなんかより、素晴らしい所がたくさんある」
「ど、どのような……!」
「……ちっちゃくてかわいい、おへそ。有栖ちゃんのお腹は、好き」
「百合さん……っ!」
坂柳は感動のあまり、天白へと抱き着こうとして――はた、と動きを止めた。
天白は現在、水着に着替え終わっていた。
特別水泳施設では、一般開放中はスクール水着ではなく普通の水着が着用可能だ。
天白が身に着けているのは、胸から臍上まで布地のある、コルセットタイプのビキニ。以前夏休み中に坂柳や櫛田と買いに行き、無人島特別試験で一時着た事もあるものだ。
それはいい。白い肌にブロンドの輝く天白本人に対してモノトーンカラーの水着は非常に良く似合っている。
だが、その胸元に確かに一本筋――谷間が出来ているのである。
補正下着のような形状であるため、寄せてあげているY字型であっても、確かに渓谷がその姿を主張しているのである!
「……百合、さん」
「……??」
「失礼ですが、バストのサイズをお聞きしても……?」
「……………………B」
「わァ…………ぁ…………!」
「泣いちゃった……!」
哀れ、坂柳有栖。
Aクラスの少女――ゴールデンカノン基準で計算するとAAクラスの彼女の明日はどっちだ。
おかしいな。プールで遊ばせようと思ったら着替えまでしか行かなかった。
投稿速度ですが、ネタ切れということもあって1週間に2~3話投稿出来たらいいな程度に思って頂ければ……。
下手したら週1になるかもしれませぬ……。
一応、終わりは1年生の最終特別試験までを予定してます。
裏の方は別ですが。
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