コミュ力おばけと幼馴染(♀)がイチャコラするだけの話   作:百合好きの獣

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なんとか4月中に1話投稿出来た……!

これまでこの作品では頭脳戦をあえて取り扱ってきませんでした。
しかし、この話を書くにあたってどうしても頭脳戦にならざる得ず、これまでのポンコツコメディを楽しんでくださっていた方々には申し訳ありませんが、知性溢れる心理戦をお届けすることとなってしまいました。

ギャップ……っていうんですかね、ボケとシリアスの緩急さっていうのを表現しちゃったというか……わたしの溢れ出る知性ってやつが、ついに表に出ちゃいました。

※いつも感想、ここすき、高評価、お気に入り登録ありがとうございます。ちょくちょく見返してはニヤニヤしてます。


これはゲームであっても、遊びではない――

 

 

 

 クリスマスが過ぎ、年が明け、冬休みが終わった。

 そして始まる三学期。普通の高校であれば、定期テストを除けば夏や秋のようなイベントが特に無い、年度末に向けてごくごく平凡な日々が送られる事だろう。三年生にもなれば、大学受験の為に最後の追い込みをしなければいけないが。

 尤も、それは普通の高校の話であって、普通ではない高度育成高等学校ではもちろん“イベント”が発生する。

 

 三学期が始まってまもなく、天白達一年生――だけでなく、二年生や三年生を含めた全生徒がバスに乗って移動をしていた。

 これから7泊8日、遠方の地で全生徒一斉参加の特別試験が行われるという。

 

 小学校中学校で行われた林間学校のようなもの、というよりは勉強合宿に近いだろうか。ただ、普通に勉強するだけのはずもなく、バスの中で行われた説明を聞く限りまた色々と考えることが多そうな試験ではあった。

 まあ、一年生は既に全クラスで連合を組んでいるので、やることは変わらない。

 談合して、調整して、殴り勝つだけである。

 

 この試験をざっくりと理解した――むしろ、ざっくりとしか理解できていない――天白から見ると、ちょっとしたボーナスステージのようにも思える。

 まず学年ごとに男女別に別れ、そこから6つの小グループ(男女合わせて全12グループ)を作る。そして各学年の小グループを1組ずつ合わせ、全学年合わせて12の大グループとなり、試験に臨む。

 面白いのが、グループの組み方によって特別試験で獲得できるクラスポイントやプライベートポイントの倍率が上がることである。

 グループは最低2クラスの生徒で構成されている事が作成条件であり、3クラス、4クラスとグループに混じる他クラスの生徒が多ければ多いほど試験結果で得られるポイントが多いそうだ。それは小グループで上位3グループのみの話であり、下位3グループはマイナスされてしまうが、そこにクラス混合種類の倍率は適用されない。

 

 そう、一年生にとっては別にどこのクラスと組もうと問題は無いため、この瞬間小グループ構成の読み合いが破綻する。なんなら一年生は小グループ全てで全クラス混合を組むことすら出来る。

 

 もちろん、メリットだけではなくポイントが減る以外のペナルティも存在する。

 各グループには責任者を一人任命する必要があり、責任者は報酬額が倍となるメリットもあるが、グループが最下位となった場合、平均点が学校側が決めたボーダー以下であれば責任者が退学となってしまうのだ。

 なので、クラス混合の割合が増えれば増えるほど連携が難しくなり、責任者のリスクも増す――はずだったのだが。

 残念ながら一年生は既にクラス間談合を何度も行っており、クラスごとの隔意というのは他学年に比べて薄い。

 一時期の龍園クラスはヘイトを買っていたが、それも体育祭以後は龍園がキレイナ龍園と化してしまった為、かつて程敵視はされない。

 当然みんながみんなお手々繋いでなかよし! ではなく、性格が合わなかったり苦手だったりする人も居る。

 が、そこは一年生全てと交友関係を持ち、そういった情報を一手に担う調停者櫛田が存在するため、そういった生徒同士で組まないように調整してしまえばいいだけの話。

 あとは試験内容を鑑みて不得意な生徒が固まらないようにバランスを配慮をすればおしまいである。

 それぞれがグループ内で自分の出来ることを頑張れば、確実にマイナス分を超えて各クラスにポイントが加算されるこの試験は、一年生にとってはボーナスステージでしかないのだ。

 

 なので

 

「「「「「王様だーれだ!」」」」」

 

 王様ゲームが始まっていた。

 なんで?????

 

 

 

 ◇

 

 

 

 時は少し戻り、全学年問題なく小グループ、そしてその後の大グループ作成を行った後。それぞれ割り当てられた協同部屋に天白のいる小グループは集まっていた。

 

 グループ構成はこうだ。

 Aクラスからは天白、櫛田、坂柳

 Bクラスからは一之瀬、白波

 Cクラスからは伊吹、椎名

 Dクラスからは堀北、佐倉、軽井沢

 

 以上10名。

 バランスはどうしたと言いたいくらいいつメンでしかないが、これで意外と一年生女子の中では勉強・運動の得意不得意で見ると平均的なのだ。勉強特化で運動が微妙という面で。まあ、運動分野(特別試験内に駅伝がある)に関しても万能選手の一之瀬堀北櫛田に、体力自慢の伊吹天白が担うのでそこまで劣っている訳では無い。

 そのため、このグループは一位を目指す。と言うか、取る。責任者はできるだけポイントを確保させておきたいDクラスの堀北が務める事となった。なにせ、最終目標のためには全クラス満遍なくクラスポイントやプライベートポイント――資金を持っておきたい為。

 

「さて、自由時間ですが……何をしましょうか」

 

 この特別試験は7泊8日の長期間に渡る試験ではあるが、初日はグループ決め以外は完全フリーである。

 明日以降行われる試験に向けて、グループに慣れるようにという学校側の配慮だろう。普通のグループであれば、初対面同士は自己紹介をしたり、特別試験について話し合う等グループ内の結束を高めるのだろうが、あいにくこのグループは全員が友人知人同士。

 Cクラスの伊吹がこの中では一番交友関係は少ないが、それでもAクラスの全員とは体育祭頃からそれなりに絡みもした。なんなら、つい最近ようやく天白マッサージの予約が取れたので緊張は少ない。

 

 ので、このグループでは自由時間にすることが駄弁るくらいしかないのだ。特別試験? ああ、あったねそんなの。

 

「トランプとかあれば良かったんだけど、流石に誰も持ってきてないもんね」

 

 ぽつりと呟いた坂柳に、天白を人形抱きにしている一之瀬が答えた。冬休み中にあまり触れ合えなかった分、成分を補充しているらしい。そしてその近くで白波は片膝を付き、手を組んで目を閉じながら頭を垂れている。その姿はまるで神に祈る聖職者の様。

 

「喋るにしても、消灯時間までまだまだあるもんね……」

 

 そんな“神に祈りし者”白波の姿はよく見る光景とスルーしながら、櫛田もどうしたものかと腕を組んで考える。

 ちなみに、櫛田はその気になれば消灯時間までの間ノンストップで話題を提供することが出来る。コミュ力お化けは時に長期戦も熟す。

 

「それでしたら~、王様ゲームはいかがでしょう~」

 

 と、ここで椎名からポワポワとした声でとんでもない提案がなされた。

 

「王様ゲーム……?」

「はい~。番号が記されたくじを引いて、王様に選ばれた人が1つ命令をして実行する……例えば、2番と3番がお互いのいい所を言い合うといった形ですね~。この命令は、王様に対して誰かから何かをさせるというのも可能です~」

「な、なるほど……」

 

 この瞬間、櫛田、堀北、坂柳、一之瀬の思惑が一致した。

 

((((百合(ちゃん・さん)になんでも命令が出来る……?))))

 

 違うが。

 あくまでも命令対象は番号に対してであり、個人に向けてはできない。

 できないがこのポンコツ共には関係の無い話であり、なんならくじに細工をしてリーディングしたりといろいろ誰がどの番号を引いたのか特定することは容易だ。

 ならばやることは1つ。

 

「あ、私食堂で割り箸もらえないか聞いてくるね!」

「待ちなさい桔梗、私も行くわ。一応このグループの責任者なのだから」

「それでは私も。帆波さんもいかがですか?」

「行く行く! 一緒に行くよ!」

 

 あっという間に四人が部屋を飛び出していった。欲望に囚われし哀れな囚人共が。

 部屋に残された六人は何がなにやらである。天白もこれまで抱かれていた一之瀬が出てしまった為、所在なさげに佐倉の近くに腰を下ろしながら首を傾げた。

 

「……どうしたんだろう、皆。すごいやる気だけれど」

「あ、あはは……。えっと、椎名……さん? どうして王様ゲームを提案したの……?」

「以前読んだ本にありまして。気になっていたのと、このメンバーでやれば大変面白い事になるかなぁと」

 

 なった。

 既にポンコツ四人衆が暴走し始めており、どんな命令を下すかは予想できないが、普通に終わるはずがないというのは容易に推測が出来る。それを外から眺めるのはさぞ面白かろう。

 さらに、そいつら四人を除いたここに居るメンバーもなかなかに癖が強い。誰が王様になったとて、何を仕出かすか分からないのだから。

 椎名ひよりは争い事が苦手だ。基本的に一人を好むが、出来るならクラス関係なく皆と仲良くはしたいと考えている。

 当初はクラス間抗争やCクラスの事情――暴君の君臨――で自暴自棄気味になっていたが、気がつけばクラス間抗争が有名無実化し、暴君もkawaiiに怯えるチワワになってしまった。

 そして極めつけに、本の趣味が合う友人もできた。

 絶賛ストレスフリーな椎名は、これから起こる「面白いこと」に期待を馳せ、表情を綻ばせるのだった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 で、冒頭に戻る。

 櫛田達は無事に割り箸を手に入れる事ができたようで、それに番号を1~9まで割り振り、王様のくじは先端を赤く塗り、それぞれが一本ずつくじを引いていく。

 

 ルールはこうだ。

 ・一人一つずつくじを引いていく。その際は自分の番号が見えないように手でくじを隠す

 ・王様だーれだの声と同時に、王様は名乗り出る

 ・王様になった人物は、番号を指定して命令を一つ下す

 ・王様の命令は絶対

 ・ただし、命令は実現可能であり公序良俗に反するものでないこと

 ・同じ人物が連続で二度王様になった場合、くじを引き直す

 

 最初にくじを引かせる役は堀北だった。以降は、直前の王様がくじを引かせる役となる。

 もちろんくじにはバリバリ細工がしてある。一見普通の割り箸に番号を書いただけに思えるが、巧妙に隠された目印があるのだ。堀北・櫛田・坂柳・一之瀬の無駄に優秀なメンバーが無駄にその頭脳を発揮した結果である。要するに無駄である。

 

 初回に王様――くじに赤い印が付いていた――となったのは椎名だった。

 

「あら……私が王様ですね~」

 

 椎名としては予想外ではあった。てっきり主犯の四名がいきなり王様になるのかと思っていたからだ。

 

(最初は派手に動くつもりはない――様子見でしょうか。であれば、私も情報収集にとどめましょう)

 

「では……2番の方が7番の方に肩もみをしてください。そうですね~……3分間にしましょうか」

 

 椎名が選んだのは、ごく普通の命令だった。椎名視点でも確実にくじに細工がしてある事は分かっている為、その細工を見抜く為にまずは自身に対しての奉仕ではなく、番号が1つでも多く公開されるように自分以外の2人を指名した。

 その結果。

 

「……2番」

「ん、7番は私だ。ラッキー」

 

 2番が天白、7番は伊吹だった。

 伊吹としては肩こりに悩まされている訳では無いが、天白マッサージの腕は知っているため、それが無料で受けられると望外の僥倖とばかりに笑った。

 

 それじゃあと天白が伊吹の背後に回り、ゆっくりとその肩をもみほぐしていく。

 

「……お客さんどうですか~」

「あ~……いい。すごくいい。別に肩こりがあるわけじゃないけど、やっぱ天白のマッサージは最高だな……」

「……お褒めに与りきょうえつしごく」

 

 天にも昇る心地とはこの事か。勝ち気クール美少女伊吹も、これには思わずうっとりである。

 しかしそうは問屋が卸さないぞ、とばかりに櫛田が一言。

 

「百合、遠慮せず気持ちよくしてあげちゃって」

「……? いいの?」

「本気だしちゃって、ごー!」

「……ん」

「は? ちょ――」

 

 流れが変わった。

 それまではじんわりと揉みほぐすだけであった天白の手が雷鳴の如く閃き、伊吹のツボを最適な力加減、最適な角度、最適な間隔で複数箇所同時に刺激していく。

 途端にあふれる快楽の本流!! 人はツボ押しマッサージだけでここまでの快楽を得られる!! それはまさに昇天に値する!!!!!

 

 “オァァァァァーーーーーーッ!?”

 

 そうして3分間の蹂躙劇が終わり、そこにはピクピクと恍惚の表情をしながら倒れ伏す、物言わぬ躯が転がっていた。

 

「む、酷い……」

「うそ……百合ちゃんの本気マッサージってこんなに……? あたしも受けたらこうなるってこと……?」

「あら~……まさかこれほどとは……」

 

 比較的常識人である佐倉と、天白流昇天術を初めて目撃した軽井沢と椎名は軽く引いている。さもありなん。

 しかし普段から昇天され慣れているポンコツ四人と、これが神の御技……! と信仰心を深めている白波は耐性があるため、何事も無かったかのように先に進める。

 

「おや、伊吹さんは脱落のようですね。では残った9人で続けましょう」

「この流れで!?」

「人が一人死んじゃったんだよ!?」

 

 死んではいない。殺すな。

 坂柳は佐倉と軽井沢の抗議をさらりと流した。

 

「尊い犠牲でした。ですが、一度始めたからにはたった一回で終わるわけには行きません。ひよりさん、続きを」

「わ、分かりました……」

 

 椎名もまさか犠牲者が出るとは思わず呆気に取られていたが、有無を言わさぬ坂柳の言葉に気圧され、手を少し震わせながら――笑いを堪えている為――9番のくじだけを取り除き、次の用意を始めた。

 

 唐突に始まったデスゲーム。常識人の佐倉と軽井沢はごくりと喉を鳴らし、とんでもない事に巻き込まれてしまった……と参加を若干後悔しながらもくじを引く。

 

 結果。

 

「あ、私が王様だ!!」

 

 櫛田がキングを射止めた。

 そして下す。王の勅命を。

 

「じゃあ~……4番が……5番に耳かき! 片耳だけ!」

 

 おや、と椎名は思う。櫛田が王となったのであれば、天白に自身を奉仕させると思ったのだが。どうせ誰が何番を引いたかは、くじを作ってきた四人には筒抜けなのだろうし。

 しかし、直後に気づく。櫛田が――いや、あの四人が何を狙いとしているかを。

 

「……4番」

「えっ……嘘……5番あたしだ……」

 

 4番――つまり、耳かきをしてくる相手が天白だとしり、先程の伊吹の惨状を見ていた軽井沢はサッと顔を青ざめさせた。

 

「……なるほど。恵ちゃん、カモン」

「えっ、あっ……べ、別にあたしは……」

 

 天白がベッドに腰掛け、ポンポンと自身の膝を叩いて軽井沢を招くが、死にたくない軽井沢は力なく首を振って後ずさるが、その両方を掘北と一之瀬が掴んだ。

 

「だめよ、軽井沢さん」

「そうだよ~。だって……」

 

「「「「王様の命令は、ぜ~ったい!」」」」

 

「ひっ……いや……だめ、ダメだよ……そんなの……!」

「怖がる必要はありませんよ、軽井沢さん。ただ、気持ちよくなるだけですから……」

「そうだよ~。百合の耳かき、すっごいんだよ……? 飛んじゃうくらい……!」

 

「あ、あぁ……」

「……うぇるかむ」

 

 “アッーーーーーーーーーー!!”

 

 また一人、犠牲者が出た。

 

 そうしてやっと、椎名も四人の思惑に気づいた。

 

(これは……! そういうことですか! いくら番号を判別できたところで、引く順番によっては偶然他の人が王様となる可能性が存在する……! それが無かったとしても、同じ人がずっと王様や命令に従う側になっていたら他の参加者からの批難は免れない。だから減らす……っ! 他の参加者を……っ! 目撃者を消し、確実に王様となるために……っ!)

 

 そう、櫛田達四人は、いかに天白を独占するかで議論を交わし、予想される懸念点の他者が王様になる可能性、そして出るであろう不満を黙らせる事にしたのだ。物理的に。

 指先1つでダウンさせてしまう妖怪が居るのだ。実行は容易い。

 天白の負担は増えるが、普段の生活から天白は奉仕することに喜びを感じる奉仕種族であり、むしろ嬉々として取り組んでくれるだろう。

 今も、2人も殺しておいて――おっと、快楽で骨抜きにしておいて、満足げにニコニコ笑っている。サイコパスかな?

 

(これは、いけませんね。このままでは私も消されてしまいます……その前に、どうにかして、打開策を――)

 

 椎名が思案する間にも、デスゲームと化した王様ゲームが続いていく。

 一之瀬が王様になり、佐倉が肩甲骨剥がしで沈められた。

 そして次は堀北が王様となり、白波が耳元で囁かれ死んだ。どちらもけしかけられた天白の仕業である。

 

 運良く生き残る事ができたが、残る邪魔者は自分しか居ない。

 次に消されるのは――椎名だ。

 天白以外の四人が、次の獲物である椎名を見て暗い笑みを浮かべているような気すらする。

 どうすればいい。椎名は考える。

 既にくじの細工は見抜いた。幸いなことに、次にくじを引く順番は自分からの為、王様になることは出来る。

 しかし、ここを凌いだところで敵は四人。一人を上手く始末出来たとしても、次の命令で――

 

 瞬間、椎名に電流走る。

 

 その閃きに、椎名は迷わず従った。

 堀北が持つくじの中から、王様になる特別なそれを抜き取った。

 

「「「「「「王様だーれだ!」」」」」」

 

 そして、合図と共にくじを天に放り――パジャマの裾を翻しながらくるりとその場で一回転。

 確実に幻覚であろうが、青色のオーラが吹き荒れ、どこからかベイベベイベベイベベイベとシャレオツなBGMが流れたような気さえする。

 落下してきたくじを華麗にキャッチし、名乗り上げる。

 

「キングは――私です」

 

 文学少女の突然の豹変に、櫛田と堀北、一之瀬は気圧され、坂柳は「なるほど……面白い」と強者の出現に笑みを深めた。クソボケシリアルキラーは見事なキャッチに拍手を送っている。お前のせいだぞこの惨状は。

 

「椎名ひよりが命ずる――」

 

 そして椎名は切った。自身が生き残るための一手を。起死回生の為の、鬼札を。

 

「2番の方は、3番、4番、5番、6番に対して……持てる全てで“気持ちよく”して差し上げてください」

「「「「なっ…………!」」」」

 

 椎名の奇策! それすなわち「殺られる前に殺る」!!!

 

「そ、そんな命令あり……!?」

 

 櫛田が目を剥いて抗議の声を上げるが、椎名は涼しい顔をして反論する。

 

「あり……というよりも、ルール上命令内容は複数人に対して実行する事を禁止してはいないので。それに――」

「そ、それに……?」

「先程仰っていたではありませんか。王様の命令は――」

 

 椎名が視線を天白に向けると、天白はにんまりと邪悪な――バイアスによってそう見えるだけ――笑みを見せ続けた。

 

「……ぜぇったぁい♪ それじゃ、皆……一列に、ならんで?」

「あ……あぁ……」

「私たちは……間違っていたのかもしれないわ……」

「百合ちゃんをコントロールするなんて……」

「最初から……出来なかったのかもしれません……」

 

 “ひゃあああああーーーーーーっ!!!!”

 

 こうして悪は滅びた。

 椎名は容赦なく行われる天白フルコース~昇天エディション~から目を背け、背後から聞こえる水音や何かを啜るような音、上げられる嬌声を意識からシャットアウトした。……何が行われているというのだ。

 

「なんとか……生き残れましたか……」

 

 椎名は安堵した。

 ギリギリの勝負だった。椎名がもし、全員にけしかけることを思いつかなければ、もし、くじの目印を読み解けなければ、間違いなく自分は生きていなかっただろう。

 

「伊吹さん……軽井沢さん……佐倉さん……白波さん……勝ちましたよ……」

 

 ただ、一つ。椎名の誤算だったのは――

 

「……じゃあ、次は椎名さんの番、ね」

「…………ぇ……」

 

 ぬ、と椎名の背後に影が立った。

 恐る恐る振り返ってみれば、どこかつやつやとした顔の天白が汗を拭いながらいい笑顔をして立っている。

 視線を横に移せば、恍惚な表情で倒れ伏し――なぜか服が少しはだけながら――ているポンコツ四人衆が。生きてはいるようで、荒い息を吐いているがしばらく動く事は出来ないだろう。

 

 つまり、残るは椎名と――このキルカウント8を誇るキルリーダー天白。

 

「……ルール上、王様は連続で同じ人は出来ない。残るは、わたしと、椎名さんだけ。つまり……わたしが、王様」

「あ……ぁ…………」

「……王様の命令は~、椎名さんが、王様からマッサージを受ける、こと♪」

「……ぁ…………」

 

 椎名は天白にゆっくりと押し倒され――

 

「……王様の命令はぁ♪ ぜぇったぁい……♪」

 

 そして全員が天白の犠牲となった。

 

 余談ではあるが、天白マッサージにより身体が羽の様に軽くなったこの小グループは、次の日以降バリバリ結果を出し無事に1位を取得することが出来たのだった。




ゲームであっても遊びではない。
茶番でした。

・天白のマッサージ手腕
中学時代よりも高頻度で行っている関係で、めきめきと腕を上げてしまった。ただでさえ埒外の天才が努力してしまうとこうなるの図。指先一つでダウンが誇張でもなんでもなくなってしまった。
触れる者皆アヘらせる悲しきモンスター。

・全学年男女混合合宿
南雲は浄化されるし坂柳はチワワになってるのでそもそも争いが発生する余地が無くなった。ようこそ平和至上主義の教室へ

・一年生連合の最終目的
達成が不可能に思え、かつ資金が多く必要。
ぶっちゃけ本二次創作は女の子たちがイチャイチャしてるポンコツコメディなので最後まで明かされることは無いのかもしれない。一応無理のない設定は考えられている模様。

そろそろ完結が見えてきた。

次の日常回何やる問題

  • 堀北、坂柳、椎名のビブリオガールズトーク
  • 堀北(兄)、南雲の漢祭り
  • きよぽんグループ(外村平田)のオタトーク
  • 漢葛城、その苦悩
  • 幼馴染と部屋でイチャイチャするだけ
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