コミュ力おばけと幼馴染(♀)がイチャコラするだけの話 作:百合好きの獣
A.攻撃的な性格を形勢した根幹である身体のコンプレックスが解消されたので。急にやれることいっぱいになって困惑してるところに奉仕種族に目をつけられて懐柔された。心の弱みにつけこみやがってこの野郎……
Q.天白のベッドに寝たのか? 櫛田以外の女が……
A.中学生の時もちょくちょく天白ルームでマッサージしていたのでこれが初めてではない。でも櫛田はその後に転げ回ってマーキングし直す。なので問題ない。
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高評価、感想ありがとうございます。日々の生活もお陰様でストレス無く過ごせるようになりました。
坂柳有栖が天白百合の『親友』となった。
その情報は即座に櫛田と堀北へと拡散された
| というわけで有栖ちゃんと親友になった。ぶい |
| は? |
| こちらベルフラワー。これより対象の尋問に入る |
この後に部屋に飛び込んできた櫛田による尋問(全身擽りの刑)により何があったかを洗いざらい吐かされ、櫛田は次の日早速坂柳にコンタクトを取った。親友になった。
……? なんだか時が飛んだような気がするが、その時の会話はこうだ。
「坂柳さん!」
「あら、櫛田さん。どうされました?」
「百合の親友になったって聞いたんだけど……ホント?」
「っ……え、ええ。確かに昨日、百合さんとはお互いに『親友』であると認識し合いましたが」
「そっかぁ……じゃ、私とも親友だね!」
「……え?」
「百合の親友なら、私とも親友だよ! 名前で呼んでいい?」
「は、はあ……構いませんが……」
「やった! じゃあ私も名前で呼んでよ、有栖ちゃん!」
「えっと……桔梗、さん」
「よろしくね! 有栖ちゃん!」
ざっとこんなもんである。
友達の友達は友達理論の応用編、幼馴染の親友は親友というわけだ。実に完璧な理論だ。人はこれを暴論という。
坂柳も坂柳で最初は戸惑ったものの、落ち着いて考えれば昨日に引き続き二人目の親友ゲットとなる。
二人も親友が出来てしまいました……と気分はウキウキになっていた。コンプレックスが解消された彼女は現在存分に高校生活をエンジョイするつもりだった。
そんな一幕はあったものの、翌日の授業を無事に終えた後三人――天白、櫛田、坂柳はカラオケボックスへと訪れていた。
一人のスキンヘッドの男子生徒を連れて。
「……なあ、非常に気まずいんだが」
「……? なんで?」
「いやなぜって……男一人に女三人だからな……」
集団で行動するとき、男女比に差がある場合は少ない方が気まずい思いする。複数対一なんてことになったら目も当てられない。
世の中には異性を侍らしふははと笑う豪の者が居るらしいが、少なくともこの男子生徒――Aクラスの葛城康平は普通に気まずかった。
しかも共にいる女性が自分のクラスでアイドル扱いされている美少女三人組である。既にこの三人と共に出かけた事はAクラス内に知られてしまっているため、明日の葛城の命に保証はない。
まあ気まずい思いをしている理由は、この三人とよりにもよってカラオケなんていう密室に来てしまったからなのだが。
「ふふ、そんなに緊張しないでください。我々は同じクラスの仲間なのですから」
「そうだよ! それに友達なんだし!」
「緊張というよりは、明日俺が無事でいられるかという心配が……いや、なんでもない。話を始めよう」
そう言って葛城は、膝の上で手を組み、真剣な表情を作る。
合わせて天白、櫛田、坂柳も先程の緩やかな空気を引っ込め、まじめな空気を醸し始めた。
「それで、今回は櫛田からの報告と、坂柳からの提案があるとの事だが……間違いないか?」
「うん」
「ええ」
さて、この四人は何故集まっているのかというと、要はクラスの役員会議である。
入学式からすでに二週間程経過し、高度育成高等学校の環境にも徐々に慣れが出始めてきた。
集団で活動する以上先頭に立つリーダーが産まれるものであり、それがこの四人なのである。
四人で先頭に立つという方式は、櫛田が発案したものだ。当初は葛城と坂柳の二人が集団の長として頭角を現していたが、このままでは勢力が二極化し分割されてしまうと危惧した櫛田が折衷案を出した。クラスの方針等を決める場合はこの四人で意見を纏め、クラスで採決を取るという議会制を提案したのである。
この方法は堅実で柔軟な集団の運用が可能であるが、迅速な意思決定と意思伝達に難がある。……はずだった。
迅速な意思決定? 坂柳と葛城の意見がぶつかろうと櫛田と天白がすぐに落としどころを見つけられる。
末端までの意思伝達が遅い? 櫛田の手にかかれば秒で終わる。
こうして一長一短だったはずの議会制は、櫛田という全方位コミュニケーションモンスターの参入によってデメリットが無くなってしまったのだ。
というわけで、この役員会議も第二回である。ちなみに第一回は喫茶店にて行われた。
その時はただの自己紹介だけだったが、今回は話の内容が内容なので、こうしてカラオケにやってきていたわけだ。最初に会議場所として提案した時に葛城は思いっきり苦虫を嚙み潰したような表情をしていたが。
「じゃあまずは私から報告するねっ! Sシステムについてなんだけど、毎月振り込まれるポイントが10万ポイントとは限らないんじゃないかなって」
櫛田がぴょこりと手を上げ、つらつらと報告事項を述べる。それに驚きを見せたのは天白のみであり、坂柳は知っていたと言わんばかりに無反応。葛城は、ついと眉を動かすのみであった。
「あれ、結構重大な情報だと思ったんだけど。あんまり驚いてない?」
「ええ、まあそうだろうと言うことは気づいていました」
「俺もなんとなくではあるがおかしいとは感じていた。櫛田、根拠を聞かせてもらえるか?」
あまり良い反応が貰えなかったものの、天白は目を思いっきり開いて驚いていた。びっくりしちゃったのである。
櫛田は良いものが見れたと思い、内心で内なる櫛田もガッツポーズを天高く掲げている。
が、そんなことはおくびにも出さずにその根拠を並べ立て始めた。
「まず、最初の説明の時、先生は毎月1日に振り込まれるって言ってたけど、その金額については言及してなかったよね? 普通に考えれば同じ10万円だと考えると思う」
天白はそう考えていた。びっくりである。
「でも、ここって実力を評価する学校なんだよね? 最初に10万ポイントを貰えたのは、ここに入学出来た時点での評価でそれだけの価値があるって判断されただけで、その後もそれが続くとは考えにくいなって」
「それだけでは根拠が薄いように思えるが?」
「もちろん他にもあるよ! 二人も見たと思うけど、ここって無料の商品が結構あるよね。しかも、生活に最低限必要になる衣、食と消耗品類。ポイントが無くなっちゃっても暮らせるのは便利だけど……毎月10万円支給されるなら、それはおかしいなって思った。だって、明らかに一人二人分じゃない量の無料商品だったし」
天白は「わぁ、無料の商品がいっぱいある。お得だなぁ」と呑気に考えていた。そもそも、櫛田と堀北が入学するので着いてきただけで、高度育成高等学校が実力者を養成するための学校であるとほとんど認識していなかった。なんだこいつ。舐めてんのか。
「だから、毎月支給されるプラベートポイントについては減額される事があると思うの」
「その通りだと思います。付け加えるのならば、その減額については評価がキーになるでしょう。学生の実力と聞いてまず出てくるのは試験ですから、中間や期末試験の結果で支払額が変わるのかも知れません」
「ああ。俺もそれには同意する。あとは、室内に監視カメラがあるのが気になるな。たまに居眠りしている生徒が居ると、教師が何かメモを取っていた。恐らくだが、授業態度も評価対象なんじゃないか?」
そんな三人の会話を、天白は「ほえ~」と関心しながら聞いていた。
だが、天白だって馬鹿じゃない。進学先を『親友と幼馴染が行くから』というぺろぺろな舐め腐った考えをもっていたが、それでも難関と呼ばれるこの高校に入学出来ているのだ。
「……その評価は、個人に対して? それとも、クラスに対して?」
個人の評価であれば別にいい。授業は真面目に受けているし、遅刻欠席も無い。テストについては勉強すればなんとかなる。堀北や坂柳に教えてもらうことも出来るのだし。
が、それがクラス単位での評価となると話が変わる。
「……実力の評価というなら、たしかに、学力が一番目立つ。けど、それ以外に評価項目は、必ずある」
「身体能力とかか?」
「……それもそう。けど、この学校は実力で生徒を評価する。何のために? 社会に貢献できる実力ある生徒を輩出する為。じゃあ、社会に出て必要な実力って?」
「……ああ、そういう事ですか」
坂柳は、天白が何を言いたいのかを察したようで、ふむと頷いていた。櫛田と葛城は意図を察せておらず、首を傾げて考えている。
そんな二人を見て、天白は隣に座った櫛田を抱き寄せた。
「わっ」
「……桔梗ちゃんのような、コミュニケーション能力。チームワークを円滑に進める為の、調和の力。集団を動かす、あるいは操る能力。勉強ばっかりで、他者との連携や交流を軽んじるワンマンな人間を、実力者とは言えないと思う」
「つまり、実力の評価は個人ではなくクラス単位で行われるということか?」
「……確証は無い。けど、想定しておいて損は無い。集団をどう纏めるか、そういう評価項目も、あると考えるのが良い」
天白がこの事に気づけたのは、その最たる者である櫛田の側にずっと居たからだ。個の力も重要だが、束ねる力はより大きな事を達成するために必要不可欠だと考えている。
葛城はなるほど、と納得したようだ。
櫛田については天白に抱き寄せられた事を良いことにあれこれ甘えてしまいたい所だが、坂柳はまだしも葛城も居るため我慢して匂いをすんすんと嗅ぐだけに納めていた。それは我慢できているのか?
「分かった。ならば、明日にでもAクラス全体に周知しておこう。居眠りをして評価を下げられてはたまらないからな」
「ええ。幸いAクラスの人達は皆真面目に授業を受けておりますので、そこまで大げさに注意をしなくても大丈夫だと思います」
そう言って、坂柳と葛城の両名は対応を確認しあった。
そこで「あ」と櫛田が声を上げる。もぞもぞと体勢を変え、惜しいが、非常に惜しいが天白の身体から離れてそういえばと話し始めた。
「あのね、このことに気づいたのが、Dクラスにいる同じ中学の子と話してたときなんだ。それで、Dクラスは授業態度が酷いって愚痴ってたんだけど……」
「酷い、ですか?」
「うん。無断遅刻欠席は当たり前。授業中に携帯いじったり大声で話したり、別の事してたりって無法地帯になってるみたい」
その事を話していた堀北はほとほと呆れ果てており、櫛田も流石に同情した。自分がその環境にいたらストレスが溜まるどころの騒ぎではないだろう。天白がいなければ血管がブチギレて死んでしまうかもしれない。
堀北も一応、それとなく注意をしたりクラスの中心となった男子生徒に伝えたりしてみたものの、一向に改善出来ていないそうだ。今はもう諦めている。
「……そんな状況で、教師が注意をしないの?」
「しないんだって。鈴音も呆れてたよ。教師に対しても」
高度育成高等学校は難関校なはずなのだが、そこに合格しているのにも関わらず授業態度が良くないということは、やはり評価項目は学力だけでないということだろうかと天白は思案する。
「取り敢えずは、様子見だな。櫛田、よければ他のクラスの動向について今後も調べて貰っていいか? もちろん、交友関係に影響が出るような事はしなくていい」
「うん、わかった! 百合と一緒に色々と相談に乗ったりしてみるね!」
ひとまずは、そういう事になった。
まだ情報が全然足りないので、そこを集めるところから始めなければならない。その点では、櫛田は適任だ。
「それで、坂柳の提案についてだが」
「ええ、これは先程の事にも関連してきます」
櫛田の報告から始まった一連の話に区切りが付き、今度は坂柳のターンになった。
坂柳はふふんと得意げにどや顔を晒すと、自信たっぷりにこう言ってのけた。
「百合さんのマッサージの手腕は素晴らしい物です。なので、事業としてAクラスで投資をしませんか?」
あまりにも自信たっぷりなものだから葛城も何を言ってくるんだと警戒していたのだが、投じられたボールは大リーグボールも真っ青の魔球だった。
聞いた内容を頭の中で反芻し、嚙み砕こうとして眉間を揉む姿は苦労人な中間管理職の貫禄を醸していた。高校一年生なのだが。
「……すまん、なんだって?」
どうやら噛み砕けなかったようだ。
このような劇物を噛み砕いて飲み込めというのも無理な話なので、仕方ないとは思う。
先程の提案には何もかもが足りないのだ。理由も根拠も目的も。そして一番分からないのはクラスメイトのマッサージに投資するという手段。いくら葛城が優秀な生徒とはいえ流石にこれは噛み砕けない。チタン製の歯とワニ並みの嚙む力が――圧倒的な理解力が無いかぎり。
というかあの情報だけで理解できるのはもはや超能力者だろう。
尚、櫛田は当たり前のように理解してうむうむと頷いていた。天白に関わる事ならば世界一であるという自負があるため。
葛城が困惑していると、坂柳は「仕方ないですね……」とやれやれと首を振って呆れたように説明を始めた。
葛城、君は怒っていい。
「いいですか? 桔梗さんが築いたコミュニティは、それだけで値千金の物です。しかし、友人だからといって得られる情報には程度があります。例えば悩みなどがそうですね。桔梗さんであればお悩み相談といった形を取る事も出来ますが、彼女にはネットワークの窓口となって頂きたいので、一人にかかりきりになる事は出来ません」
「それは理解できるが、マッサージとは何の関係があるんだ?」
「マッサージは手段でしかありませんが、百合さんの施すそれは非常にリラックス効果が高いのです。そして彼女が語り掛ければ、愚痴という形で深い情報を得られる可能性が高い」
「いや、流石に不確か過ぎないか……?」
「もちろん他にメリットもあります。どちらかというと情報の収集は副次的な効果ですね。葛城くんは真嶋先生の言った事を覚えていますか? あの人は『この学園において、ポイントで買えないものはない』と仰っていました。それは、物品に限らないということだと私は推測しています」
「……! そうか、天白によるマッサージを事業として行えば、プライベートポイントを貯める事が出来るということだな?」
「そういうことです」
坂柳の計画としてはこうだ。
まず櫛田が友達を作りまくり、天白セラピーを紹介する。天白は代金としてプライベートポイントを受け取り、悩み相談の形で情報を収集する。
坂柳視点では、値段設定をそこそこ高めにしても問題ないと考えている。一回1万ポイントにしたとしても客は付くだろう。それであれば月に二十人施せば二十万ポイント。天白の手腕次第でさらに稼ぐことも可能だ。そこに他クラスの情報がついてくるとなれば、その効果は計り知れない。
効果については理解した。だが、葛城にはまだ納得できない事があった。
「ふむ……天白のマッサージの腕というのは、それほどの集客が見込めるものなのか? あいにくそういう事には疎くてな、どうも繁盛するイメージが沸かん」
葛城としては、その天白セラピー商業化に勝算はあると思っていた。櫛田の集客力があれば、客には困らないだろうという判断だ。ただ、ネックになるのは天白の腕だ。いくら客が付こうと、腕が悪ければ客足は遠のく。生徒という限りあるパイで採算をとるにはリピート客は必須となる。
それを懸念しての言葉だったが、坂柳は待ってましたとばかりに天白にアイコンタクトを飛ばした。
「百合さん、葛城くんに『アレ』をしてもらえますか?」
「……あー、なるほど。分かった」
天白はこの会議に来る前に、坂柳にある物を持ってくるように言われていた。その意図を把握して鞄からあるものを取り戻した。
「……それはなんだ?」
「……マッサージオイル」
小瓶に入れられた、琥珀色の液体。
それは、先日天白が坂柳にハンドマッサージを施した時に使用したマッサージオイルだった。
「葛城くんには、この場で百合さんの力量を体感してもらいます。それが十分なものであると感じられたのであれば、文句はないでしょう?」
「ふっ……。なるほどな。分かった。天白、頼めるか?」
「……任せてほしい」
葛城は笑みを零し右腕を差し出した。その腕を天白は取り、にぎにぎと軽く触れて力加減の調節を行う。
(小さな手だな……。それに、妙に温かい。平熱が高いのか?)
葛城康平、15歳。恋愛等の女性経験については謎に包まれているが、年近い妹が居る事もあり、女子に手を握られた程度で顔を赤くする等という初心な心は持ち合わせてはいない。
坂柳が絶賛するその手腕、見せて貰おうじゃないかと挑戦的な笑みを浮かべた。
「ああ、それと……」
坂柳が、微笑みながら。
「余計な事は、考えないようにしてくださいね?」
坂柳は微笑んでいながら目は笑っていなかった。邪な考えが過った瞬間に何をされるか分からない。
視線を横に向けてみれば、櫛田はニコニコとした表情で端末――連絡ツールにもなる学生証――を弄っていた。彼女の指先一つで、葛城の評判は即座に地に墜ちることだろう。
葛城は心を無にすることに決めた。
尚、そのマッサージは思わず葛城が悶えてしまう程のものだった。
◇
葛城の承認を取り付け、それきり夢遊病患者の様になってしまった彼と別れた三人は、そのまま商業施設をぶらついていた。
途中、「行ってみたいところがあるんです」と申し出た坂柳に連れてこられたのはなんと公衆浴場。所謂銭湯であった。
「入浴の制限がなくなりましたので、一度どなたかと一緒に来てみたかったのです」
受付を済ませ、脱衣所で衣服を脱いでいる坂柳はニコニコと楽しげな笑みを浮かべている。
銭湯の広さはスーパー銭湯というよりも普通の銭湯と同じ程度。日替わり温泉、ジャグジー、水風呂にサウナと種類はそう多くない。
風呂以外の設備についても、垢すりやエステ等は無く、完全に入浴専門の銭湯だ。
尚、風呂場の壁に富士山の絵は描いていなかったので坂柳的にはちょっと残念だった。
服を脱ぎ終え浴場に入ると、幸いなことに他の客は居ないようだった。まあ、肌がすべすべになる温泉だとかサウナが充実しているとかではない、ただのでっかい風呂であれば、若い女性の利用率はそれほど高くないだろう。
ともあれ、坂柳は友人――それも親友だ――二人と未知の体験が出来るとワクワクである。中の施設を見てこれはどのような原理で動いているのかとおめめキラキラで各所を見て回っていた。
「有栖ちゃん、あまりウロウロすると危ないよ!」
客が居ないことを良いことに好き放題調べ回っている坂柳の元にそれはやってきた。
歩くたびに揺れる二つの双丘。中に水でも詰まってんのかというレベルで盛りあがったそれは、櫛田の動きに合わせてたゆんたゆんとその質量を震わせていた。
坂柳の身体も震えた。
(デッッッッ…………か………)
書類表記上はDとなっているはずの櫛田バストは、坂柳をして『これは勝てない』という敗北感を植え付けた。ええい、櫛田の胸は化け物か!
「あれ? 有栖ちゃんどうしたの??」
「なんでも……ありません……」
視線を下げれば、そこに見えるのは自身の足先。Aクラス(の胸)がDクラス(の胸)に敗北をした瞬間であった。
尚、この学校には櫛田以上のおばけバストを持つ怪物が居ることを坂柳はまだ知らない。
「まずは身体を洗おうね。他にお客さん居ないからかけ湯だけでもいいけど、せっかくだから綺麗になってから楽しもう!」
「はい……」
愕然とした表情で櫛田に言われるがまま洗い場に向かい、椅子にぺたりと腰を下ろした坂柳。櫛田はなんで? と首を傾げながらも、テキパキと準備を始める。
施設によってはシャンプーやボディーソープは持ち込み式である事もあるが、この銭湯は備え付けの物があったので、それらを坂柳の手元に置いてあげてから、櫛田も隣に座って身体を洗い始めた。
バスタオルを取った事で顕になった怪物を横目で見てしまい、坂柳の目から更に光が失われた。
なんとか気を取り直して身体を洗おうとするが、はて、目の前のこれはどうやって使うのだろう。
蛇口の根本についていたボタンを押して見ると、シャワーノズルではなく蛇口の方から勢いよくお湯が排出され始めた。しかも割りと熱いやつが。
「あつっ……あれ? と、止まりません……」
カコカコとボタンを数度プッシュしてみるも、お湯がダバダバと溢れ出してくる。すぐ真横に温度調節の物があったことに気づき、熱さはなんとかなったもののシャワーに切り替わらない。
今度は温度調節のつまみとは反対側に着いていたレバーを引いた。すごい勢いでシャワーが吹き出した。油断していたので思いっきり被った。
「……貸して」
思い通りにいかないシャワーに悪戦苦闘をしていると、ふいに真後ろから声がかけられた。
この妙に身体がふわふわする声は天白である。
天白はさっとシャワーを手に取ると、更に温度を調整した上でこういった。
「……やってあげる。目はつぶってて?」
「え? あ、はい」
坂柳が目をつぶった事を確認すると、吹き出すお湯を直接頭皮に当てないように、手を盾にしながら天白はお湯をかけ始めた。
十分に濡らした後で、今度はシャンプーを手に取り、手のひらで泡立たせてからそっと坂柳の頭に触れた。
爪を立てないように、指の腹で優しく揉むようにして坂柳の頭を洗っていく。
天白セラピー術その二、ヘッドスパの開幕である。
「あぁ~……気持ちいです……」
「……こうして頭をマッサージしてあげると、目の疲れにも効く」
「あー、いいなあ。百合、後で私にもやって!」
「もちろん」
「やったぁ」
その後、リンスまでしてもらった坂柳の髪はより一層輝きを増していた。
身体まで洗おうとしてきたので、流石にそれは固辞したが。ボディタオルがあるならまだしも、素手で地肌を直接洗ってもらうのは恥ずかしすぎるので。しかもこの奉仕種族は普通に前の方も洗ってきそうである。
尚、櫛田は普通に身体も洗ってもらっていた。もちろん前の方も。恋人同士だってもう少し節度あるだろ。
坂柳はその様子を見て幼馴染ってすごいと間違った知識を深めながら、やっぱ自分もしてもらえば良かったかなと少し後悔したのだった。
冒頭のLINEグループ風の特殊タグについてはSunGenuin(佐藤)様のデザイン紹介を参考にさせていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
次回はいよいよ孤高ちゃんのターンになります。でも桔梗ちゃんともイチャコラさせたいので順番が変更になるかもしれません。
アニメでたまに見返してますが、いつ見ても櫛田バストがでっかくてすごい。このバストでDは無理でしょ
次の日常回何やる問題
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