コミュ力おばけと幼馴染(♀)がイチャコラするだけの話 作:百合好きの獣
A.ハンドマッサージまでなら許可。中学生の時にも恐らくやってます。でもそのあとすぐ櫛田にマーキングし直される。
ここ好き機能を見るようになったのですが、読んでくれた方がどういう部分をいいと思ってくれたのかがわかって面白いですね。
一番多かったのが父親共が後方腕組みしてるとこでした。まさかの人気でびっくりです。
高評価、感想本当にありがとうございます。たいへん励みになっております。
※誤字報告ありがとうございます。なんであいつらって潰しても潰しても出てくるの……?怪異??
天白マッサージ店の開業については、スムーズにクラス内にて可決された。特に女子からの圧倒的な支持があったことが大きい。
坂柳、櫛田が熱烈にプレゼンする――特に、櫛田程の美少女が美容の秘訣とまで言ってのけた為――事で女子生徒の心を掴んだのだ。
その後、坂柳、葛城、天白、櫛田の四名で担任である真嶋へと相談し、彼は面白いことを考えるなと苦笑しながらも許可を出した。
当然、学生として風紀が乱れないようにと念を押して。
しかし、話はそこで終わりではなかった。
真嶋への相談は職員室で行われたのだが、それを聞きつけたDクラスの担任、茶柱教師が声をかけてきたのだ。
曰く、どれほどの実力があるのか見せてみろと。それによってはこちらも部屋を用意したり道具の斡旋など便宜を図っても構わないと。
なんでDクラスの担任が出しゃばってくるんだと思うが、この茶柱、実は大のマッサージ好きである。たまの休日に学園敷地外にあるサロンへと通う位には口うるさかった。教職とはストレスが溜まるものである。
他クラスの事情には口を出すまいと思っていたが、生徒がマッサージ店を始めるというのだ。口を挟まない訳にはいかない。
素直に言えば、最近ちょっとマンネリ化してきたので、真嶋が絶賛する坂柳がこれでもかとプレゼンを行っていたマッサージに興味をもったのだ。なにそれ私も受けてみたい。完全に職権乱用である。
別室へと移った七人は(何故かBクラス担任の星ノ宮教師までついてきた)、まずは真嶋へと葛城にしたようにハンドマッサージを施した。
その時の様子は以下の通りである。
『な、なにっ……!? なんだこれは、なんなのだ!?』
『……真嶋先生、右腕が凄い凝ってる。こことか、こことか』
『ぐうっ……! こ、これはすごい……なんて威力だ……!』
その様子に教師陣は爆笑していた。葛城に関しては「分かるってばよ……」と真嶋を襲う衝撃に理解を示して頷いている。コリの感じにくい若者である葛城ですら施術後はフラフラになっていたのだ。疲れの溜まりやすい大人ともなれば、その効果の大きさは比べるまでもないだろう。
坂柳と櫛田は当然とばかりに後方腕組待機をしていたが、もはや何も言うまい。
さて、息も絶え絶えで『俺の腕が……生まれ変わった……』と感動している真嶋をよそに、今度は笑い過ぎで過呼吸を起こしかけていた教師二名、茶柱と星ノ宮の番だ。笑ってられるのも今のうちだぜ、と真嶋は内心で暗い笑みを浮かべている。
「悪いが、私はマッサージをされなれているからな。私の査定は厳しいぞ?」
と堂々とドヤ顔晒していた茶柱も、数分後には
「馬鹿な……この私が、くぅっ……溶けるッ! 体が……溶けていく……!」
と散々な醜態を晒していた。真嶋もほれみたことかとほくそ笑んでいた。
ちなみに、真嶋と違い、茶柱は肩と首も施術されている。茶柱の挑戦的な言葉に「望むところ」と少し本気を出してしまった。
そんなわけで茶柱も施術後には
「負けたよ……完敗だ。天白、お前は天才だ」
と大絶賛していた。やったぜ。
ところで、あと一人残っているな?
きらんと目を光らせた天白が振り向くと、茶柱が悶絶していたあたりからだんだんと言葉少なくなっていった星ノ宮が冷や汗を掻きながら「ひっ」と短く悲鳴を上げた。
「あ、あはは~……わ、私はいいかな! うん!」
そう言って回れ右。そそくさと逃げ出そうとするがそうは行かない。
がっしりとその肩を掴む手が二つあった。
「そう言うな知恵。お前も受けてみると良い……トぶぞ?」
「ああ。俺達が受けたんだから、お前も受けるべきだ」
幽鬼の如くゆらりと逃走を阻止したのは、茶柱と真嶋だ。自分らが痴態を晒したというのに、どうして一人だけ逃げ出そうというのか。我々は高校から共に過ごした仲間じゃないか。赤信号皆で渡れば怖くない。さあ一緒にマッサージを受けよう。ニゲラレルトオモウナヨ……。
恐る恐ると振り返ると、ぺた、ぺたとゆっくりとした足取りで両手をワキワキさせながら近づいてくる天白が視界に入った。ホラーかな?
「ひっ……い、いや……! 来ないで! 私はまだ若いから!! コリとか無いから!!」
嘘である。この星ノ宮、つい先日も肩が凝ったと茶柱に愚痴を零している。その時は「私も歳かしら~(笑)」と軽い感じで口にしていたが、割りと肩こりに悩まされていてそろそろ茶柱にサロンを紹介してもらおうかと真剣に悩んでいた。
「……大丈夫。ぜったい、気持ちよくしますから……」
「だ、だめ、ダメよ……そんな……そんな事されたら……私……っ」
星ノ宮は逃げ出そうとした。しかし両肩をつかんでいる二名の手は微動だにしない。ぜったいに逃がすものかという強い意思を感じられる。
教師陣の仲が良いようで結構である。
あえなく星ノ宮も天白の手にかかることになってしまった。合掌。
「あっ……ダメ……! これダメ……! ダメになる……! 私、だめになっちゃうううう!!」
そして彼女もダメになった。
そんな一幕があり、天白マッサージ店は開業するに至った。
さらに教師三名による手厚いバックアップもあり、運営資金等は自らで用意しなければならないが、器具や消耗品類については自分達で購入するよりも安価に卸して貰えるようになり、何よりも専用の施術室(学生寮の空き室)を確保してくれた。
会計報告や棚卸し結果を真嶋に月イチで報告しなければならないという面倒は増えたが、それを引いても莫大な恩恵である。
それだけではない。この一件が伝わったのか、学生だけでなく教師陣も天白マッサージ店に興味を示したのだ。
これにより、想定顧客層が学生だけから教師、ひいては他職員まで手が伸びるようになった。
それの何が大きいかというと、単純に、学生よりも大人の方がリピート率が高いのだ。それに手に入る情報も、教師はめったに口を割らないだろうが、わずかでも手に入るのであれば大きな物となる。これには坂柳も望外の僥倖と驚くと共に「流石は百合さんです」とご満悦な表情だ。
唯一櫛田は、天白との時間が少なくなると不満があったのだが、その分自分が得た成果で天白が活躍するというある種の共同作業という事に気づいてからはより一層精力的に友達づくりに励むようになった。
そして迎えた五月一日。
Aクラスとしては事前に聞いていたので予想通りではあったが、支給されたポイントが10万ポイントではないという事と、クラスポイントというSシステムの隠されていた事実、そして希望する進路への進学・就職が100%というのは、Aクラスで卒業した者のみという衝撃の事実に少なくない動揺が一年生全員に走ったが、それはまた別の機会に話すこととする。
この日はその他にもイベントがあった。
天白マッサージ店、オープン日である。
事前に櫛田ネットワークによって告知をしており、案の定予約が殺到した。
料金はコースによるが、初回は割引をするという事もあり生徒だけでなく教師からも予約が入ったのだ。
そして今日、記念すべきお客さん第一号となったのが――
「よろしくね、百合」
「……うん。任せて、鈴音ちゃん」
Dクラス、堀北鈴音だった。
◇
堀北鈴音と天白百合の出会いは、中学一年生の時まで遡る。
当時、堀北は兄である堀北学に憧れ、ちょこちょこと雛鳥のようにずっと後をつける程に他者が眼中に入っていなかった。
小学校四年生の時に兄が卒業してから、三年ぶりに同じ学校に通えると期待していた堀北は、その兄から突き放された事で非常に精神が不安定になっていた。
どうして兄さんは私に冷たくするのだろう。
なぜ、私を見てくれないのだろう。
これまでも、言葉少なく不器用ながらも兄として可愛がってくれていた彼の豹変に、次第に堀北は兄に振り向いてもらう為に形振り構わないようになっていく。
友達なんていらない。時間の無駄だから。
幼稚園の頃から筋金入りのブラコンだった堀北は、これまでも交友関係は0だった。話しかければ答えはするものの、放課後誰かと遊びにいったりは全くと言っていいほど無かったのだ。だって兄さんがいればそれでいいので。
そしてそれが悪い方へと転がった。
これまで以上に他者と距離を取るようになり、思ったことはすぐに口に出て――しかも攻撃的な言葉となって――しまうため、余計に孤立をして行くことになる。
本人はそれを他者に左右されない『孤高』と自負していたが、そんなものは間違いである。
それは、はたから見れば『孤独』でしかない。
その事に気づく頃には、もう誰にも信用されない。手遅れになっている――ところだった。
そうはさせまいとエントリーして来たのが、ご存知コミュニケーションモンスター櫛田と、奉仕種族天白である。
櫛田は、ちょっと難しい子かな? と感じた段階ですぐに天白へと交代し、まずは精神の安定を図った。
結果は大成功である。
まず、彼女が何か悩みを抱えている事を知り、その原因を櫛田コミュニティの集合知によって特定。彼女と同じ小学校から進学してきた子から有力な情報を入手できた。
その後はまず堀北兄へと直談判し――こちらも時間をかけて何を考えていたのかを把握し、徐々に堀北妹の心のコリを解していった。
決定的な出来事となったのが、一度堀北が高熱をだしてしまい病欠となった日だった。二人は当然お見舞いに向かい、体も心も弱った堀北が零したヘルプサインを見事に掬い取ってみせた。
堀北兄が堀北を突き放していたのも、このままでは彼女が自分に依存しすぎてしまうと危惧したからだ。
聡明だが不器用過ぎる、特に家族に対してはポンコツレベルで言葉が足りなくなる堀北兄の真意を伝え、実際に兄と会話する機会を設けた事で(これも二人が必死に説得し)堀北のメンタルは無事に回復した。
その後も、堀北兄から「おもしれー女」認定された天白と櫛田が直々に「妹を頼む」と任された為、甲斐甲斐しく堀北との交流を続けていった。
そうしていく内に、やがて三人は親友となったのである。
櫛田も、最初は堀北のことをいけすかねーやつと思っていたのだが、こうも友好的に接し続けていると流石に好感度も高くなっていく。天白と自分にちょこちょことくっついて回る姿も、可愛らしいといえば可愛らしいだろう。
堀北は目敏く賢いため、櫛田が普段猫を被っている事に気づき、それからは三人でいる時は素を出せるようになってきた。
気負いなく本音で話すことが出来る人物は、櫛田にとっても重要なのだ。
で。
その後の堀北だが、残念ながらコミニュケーション能力はあまり改善しなかった。
一応、話しかければ普通に応対してくれるし、頼み事をされても嫌な顔をしたり拒絶したりすることも無くなった。
しかし、それまでの事もあって積極的に絡みに行こうと思った生徒が居なかったのである。
コミュニケーションのサンプルが二人しか居なかったため、また、堀北の性格上思ったことをズバズバと言ってしまうため(メンタル回復後は、空気を読むようにはなったが)中学校時代の交友関係は親友2,友人0という結果にしかならなかった。
堀北としてはその親友二人が何よりも大切なため、大きな問題にはしていないのだが。そういうところだぞ。
そんな堀北であるが、天白のマッサージについては何度もお世話になっていた。
堀北もストレスを抱えやすい(しかも自覚が無い)ので、彼女のリフレクソロジーは大のお気に入りだった。
突然だが、推し活というものをご存知だろうか。
簡単に言えば、自分にとって大好きな人物やキャラクターに対して、グッズを購入したりライブやイベントに参加したりと応援する活動の事である。
このお金が○○ちゃん(あるいはくん)の助けになるならば……! と直接的・間接的に彼ら彼女らを支える行為である。
何が言いたいかというと、この堀北鈴音は常々、天白のマッサージに対して金を払いたかった。私の為に貢がせろ。
グループチャットにていち早く天白マッサージ店のオープンを知った堀北は、その場で予約を申請した。
親友なんだからいつでも無料でやるという天白を説き伏せ、うるせえ良いから貢がせろとばかりにポイントを強引に支払ってまで予約したのだ。しかも逆友達価格で。
堀北のDクラスは今月始めの定期支給ポイントはほとんど無かったのだが、構わない。彼女はポイントを節約していた為、懐には余裕があった。
貰っちゃったからには、天白としても本気になるしかない。普段も手を抜いている訳では無いが、より一層、隅々まで完ぺきに施術してやると気合が入っていた。
茶柱教師の伝手により仕入れる事の出来た紙パンツに着替えさせ、施術開始。
ポイントもたくさん頂いたので、今回はVIPコースだ。
天白マッサージ店の為に用意された、専用の部屋。その施術台に横になった堀北は、久しぶりに受ける彼女のマッサージに「あ~これこれ」とふにゃふにゃの表情になっていた。もし堀北と交流のある綾小路がその表情を見てもひと目でそうとは気づくまい。
上半身の施術を終えた後は、下半身である。紙パンツも履いているし、中学生の時にも散々お世話になったのだ。今更感じる羞恥などありはしない。
腰から臀部、太ももの付け根と天白の手が指圧をかけていく。
特に臀部――腰の付け根部分、お尻のちょっと上にあるくぼみは凝りやすく、腰痛などはここの凝りからきていると言われる。
「……鈴音ちゃんは、お尻が小さい」
「ふふ、そうね。私もそこは自信があるわ」
「……どちらかというと、私は大きい方が好みだけど」
「…………」
「……鈴音ちゃん。腰を反らしてもお尻は大きくならない」
一昔前の歌には「お尻の小さな女の子」という歌詞が含まれていたように、きゅっとしたヒップは女子の中でステータスであった。
が、天白は違うらしかった。というより、天白の好み=櫛田なので、どうしようもない。
そんな一幕がありながら、今度は太もも、ふくらはぎと足の施術である。
こちらに関しては堀北の運動量からすると疲労は無いため、軽くオイルをなじませて血行を促進するだけにとどめた。
さて、本日のメインディッシュ。堀北にとっては待望の瞬間が訪れる。
それは、足つぼマッサージである。
「……力加減は、いつもどおり?」
「ええ、お願いするわ……」
足裏にオイルを伸ばし、まずは片足と左足裏を天白の両手が狙いを定めた。
そして、二つの親指である一点をぐっ……と押し込む。
「っ……! あぁ……♡」
「……大丈夫?」
「ええ、続けて頂戴……」
足には反射区――いわゆる足つぼと呼ばれる、各種臓器や感覚器官と繋がっているとされる部分が数多く存在する。
体が不調な時は、対応した足つぼを押すことで不調を和らげる事が出来るというのは周知の事実だろう。
で、この足つぼだが、人によってまちまちではあるが基本的には痛い。
痛いということはそこに対応した臓器や器官が不調という証なのだが、どれくらい痛いかというと大の大人が大騒ぎするぐらい痛い。
大人が大騒ぎする程痛いのは、それだけ体に不調が多いからなのだが、若い学生だからって痛くないかというとそんな事はない。
実際に櫛田も一度受けた事があるが、その時は痛すぎて泣きながら懇願するレベルで痛がっていた。天白はゾクゾクしていた。櫛田はちょっと危ない扉を開きかけた。
普段やる時は天白も加減して、ちょっと痛いけど気持ちいいレベルに抑えているのだが、堀北のオーダーはなんと加減無しでやってほしいという狂気の注文だった。
ぐり、ぐりと遠慮なく足つぼを刺激していく天白に、堀北はたまらず声を上げる
「あぁ……♡ いい、すごく、いいわよ……♡」
声は声でも、悲鳴ではなく嬌声である。
「……ほんとに痛くないの?」
もちろん痛い。痛いのだが、それが良いという。
「ええ……♡ 百合が痛みを与えてくれるから……私は堀北鈴音でいられるのよ……♡」
だいぶやべーやつだった。
基本的にプライド高い堀北はこんな姿を見せるのは親友の中でも天白だけだ。
それほど信頼されてるとはいえ、普通は見せられても困るだけなのだが、天白は貴女がそう望むならと何も言わずに希望を叶えていく。
そういうところが、堀北から信頼されるようになった要因なのだろうが。
なんでこんな事になっているかというと、正直才能の一言で片付けてしまって触れたくないのだが、一応原因は存在する。
堀北鈴音は一度心折られた。直接的な暴力こそ無かったものの、慕っていた兄に突き放された事で心に強い痛みを覚えた。
それが天白と櫛田によって兄との関係が元に、いやこれまで以上に改善されたことに、堀北は強い安心感と、幸福を感じたのだ。
ここからが問題だ。
なんとその痛みと安心、幸福感の振れ幅で恐ろしい化学反応が産まれてしまい、堀北は心許した人間から痛みを与えられる事に幸福――快感を覚えるようになってしまったのである。
どうしてこうなった。
一応付け加えておくが、足つぼは痛ければ痛いほどいいというのは間違っている。痛いのを我慢してやりすぎると逆に体調が悪化する事もある。痛気持ちいい程度が最適な圧の強さなので、自分でやるときは注意しよう。また、マッサージ店に訪れたときは我慢しないで痛すぎるときはきちんと声にするように。天白との約束だ。
堀北へのこの地獄の痛み(本人は悦んでいるが)についても、実は堀北が気づかないように天白が神業的な手腕で痛みだけを引き出している。なんという才能の無駄遣いだろうか。
堀北にとっては至福の、他人から見ればドン引きな施術が終わり、老廃物の排出を促すため渡されたペットボトルから水を一口飲むと、堀北はぽつりと呟いた。
「百合は……変わらないのね」
「……?? 何が?」
染み染みと零したその声には、安堵と困惑と、そして諦めのような色が乗っているように天白は感じた。
「Sシステムの件よ。……今日、茶柱先生は言っていたわ。私達は一年の中でも落ちこぼれだって。この学校では、Aクラスが最も優秀な生徒が集まり、Dクラスはその逆……」
「…………」
堀北としては何故自分がDクラスなのかと騒ぎ立てたい気持ちもあったが、心のどこか冷静な部分で原因は理解していた。
中学生の頃の、社会性の低さ。これが査定に響いたのだろうと。
だとしたら同クラスの平田洋介等もAクラスに所属していないとおかしい気がするので、他の要因もあるはずなのだが、今分かる中で最も思い当たる部分がそれなのだ。
まあ、それは良い。いや良くはないが、評価などこれからいくらでも巻き返せる。
幸いにして、先の平田のようにDクラスにも優秀な人間は何人か存在している。自分も自惚れなくクラスの中では能力を持っているという自負もある。クラスポイントを貯めてAクラスにまで昇り詰めるという事も、クラス一丸となって行えば不可能ではないと今は思える。
だが、それが問題だった。
「私は、貴女達と……百合とも、桔梗とも争いたくないのよ……」
クラス間で争うという事は、必然的に天白と櫛田と敵対することになる。それが堀北にはどうしても嫌だった。
「ねえ百合……私、どうしたらいいのかしら……」
苦悶の声だった。
天白は腕を組んで目を閉じ、そして――よし、と頷いてから堀北を抱きしめた。
「……クラスが変わるのは、クラスポイントで勝る以外にも方法がある」
「え……?」
初耳の情報だった。
堀北は目を見開き、顔を上げる。天白のアクアマリンの瞳と視線を交わった。
「……2000万プライベートポイント。それがあれば、生徒一人のクラスを移す事が出来ると、真嶋先生が言っていた」
坂柳が言っていた、この学園では物理的なもの以外もポイントを払えば購入できるという推測を聞いて、天白と櫛田は一度真嶋へと問い合わせた事があった。
生徒のクラスを異動する権利は、いくらで買えますかと。
真嶋は驚いていたが、しばしの黙考の後にこう答えた。「2000万プライベートポイントを学校に支払えば可能だ」と。
「……今日から開くこのマッサージ事業。平均で一日に五人やるとして、二十日で100万ポイントの稼ぎになる。これだけでも、二年生の時には誰か一人をAクラスに異動させることが可能」
天白と櫛田は、その権利を使って堀北を同じクラスにしようと画策していたのだ。
それを聞いた堀北は、きゅうと胸が締め付けられるような気持ちになりながらも――首を横に振った。
「貴女達の気持ちはすごく嬉しいわ……ええ、本当に……。泣きたくなるくらいに、嬉しい。でも、ダメなのよ」
「……ダメ、とは?」
堀北がDクラスに入れられたのは、過去の行いが巡ってきた結果だ。
かつて自分を救ってくれた相手に、その尻拭いまでさせるというのか?
そんなことは、堀北のプライドが許さなかった。
「それに、今のクラスも見捨てられないのよ……」
Dクラスは問題児が集まっているが、いい所を探せば意外と見つかるものだ。
正直男子については見捨てたい気持ちもあるが、特に櫛田が来るたびにいやらしい目を向けていた連中は。だが、彼らですらいい所は存在する。
「だから、私は自力で貴女達のクラスに辿り着いてみせるわ。もちろん、今のクラスを裏切るような事はせず、正々堂々と」
「……それは、かなり厳しい道になると思うよ?」
「構わないわ。むしろ望むところよ。だって、そうでもなければ貴女達の隣に胸を張って立てないでしょう?」
ニヤリと口角を上げた堀北の瞳は、意思の強さを表すように瞬いていた。
「……じゃあ、わたし達は待ってる。だから、早く昇っておいで」
「そこまで待たせないわ。絶対に、卒業までに貴女達と同じクラスになってみせる」
二人は手を取り合い、改めて誓い合ったのだった。
ここを共に卒業しよう、と。
堀北の方針について最後まで迷ったのですが、こういう形になりました。
今後は普通にクラス対抗戦をこなしつつ、自力で2000万ポイントの獲得を目指す様になっていくでしょう。
尚、本小説は日常の話をメインでやっていくので特別試験の内容とかは軽く触れる程度でスキップすると思います。
何故って?
耳かきでイクとか頭悪い事書いてる作者が頭脳戦を書けるとお思いですか??
頭を空っぽにして読んでください。
私も頭を空っぽにして書いてます。
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