刺激が欲しい男はTS化して親友と敵対する   作:となりのスモモ

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別視点です。





雨野怜芽side

 

 

「分かった。そしてその事を満達に伝えてくればいいんだよね?」

 

「あぁ、そうだとも。頼りにしてるぞ優真。」

 

私はそう言ってドアを開けて部長室を出て行く優真を見届けて報告書を見ながら溜息を吐いた。

 

「はぁ……どうしてこの少女は傍目から見ても危険な不審者だと分かっているのに逃げたりしなかったんだ?」

 

その疑問が口からでてしまう。百歩譲ってもその不審者が優しそうな清潔感ある男性だったらまだ分かる。だが報告書によれば相手はチンピラ風ないかにもな危険人物と書いてあった。

 

そしてもう一つ謎の報告がある。

 

「なぜこの少女は不審者に返事をしてそのまま相手についていったんだ?」

 

少女は“返事をしてついていった”のだ

 

親という可能性も無くはないがそれは前後の会話を聞いていたという証言もあったためその可能性も消えた。

 

本当に分からない。どうして少女はついて行った?

 

「よし…気持ちを切り替えて取り組むことにするか…」

 

そうだこんな事を考えている間にも刻一刻と少女の命が危うい。不審者に連れて行かれたと情報はあるが何人かまでは書かれていなかった。そしてもう…考えたくは無いが奴らの玩具にされている可能性もある。

 

「少女が誘拐された現場に行くとするか」

 

ある程度の場所は目撃情報により割れているが念の為、誘拐された場所に行き痕跡を辿らなければならない。

 

私は部長室を出て行く前にドローンの準備をして現場に向かうため部長室を後にする。

 

 

 

 

 

そしてこの後私は見てしまった…“彼女”の異常性を…

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

私は少女が攫われたとされている場所に来た。その場所は人通りが多くてとてもじゃないが攫われた場所ではないような雰囲気だ。

 

私はまた今回の依頼内容に首を傾げたが、考える事ではないと自分を納得させて情報を集める。

 

「やはりドローンは便利だな」

 

ドローンを操作させながらそう呟く。私は“戦えない”という事になっておりドローンを駆使した情報収集を得意としている。

 

このドローンには最新鋭の技術が使われており、痕跡を探したり隠れたりする事に特化している。

 

だが弱点もあり相手の魔力が高すぎた場合、その溢れる魔力に当たってしまうと相手にドローンの位置を検出されてしまう。そしてそういった輩は大体が強者の可能性があるため逃げたとしても壊されてしまうのだ。

 

だがそもそもこのような状況になったという前例は今までの使用者の話では聞いた事が無い。そのためこのドローンの有用性が分かる。

 

「少女は向こうの方角に連れ去られて行ったのか」

 

得られた情報を優真に逐一報告をしてドローンからの情報で得た方向にドローンを進めて行く。

 

このドローンの範囲は魔力が続く限り際限なく行ける。詳しく言うと半年は稼動させる事が出来る。

 

「よし…見つけたぞ?…」

 

車の痕跡を追いかけここから30kmくらい離れた場所で車を見つけた。その車は山奥にありボロボロになっている廃屋の近くに乱暴に止められており如何にも攫われた少女が居そうな場所だ。

 

だが攫われている少女は居ない。間違っていたのかと思い何処に居るのか思案を巡らせて道の外れをドローンで見る。

 

少し道を外れた場所にあったのは不審者6人が胴体を切り離されており、臓器の類と思われる物がそこら中に飛び散って枝の先にも刺さっているのもある。また車らしき物は道を踏み外して転がった影響なのか元の形も分からない程に潰れている。そして不審者は苦悶の表情をしており数瞬まで生きていたのかと錯覚すら覚えてくる。

 

「少女はぶ…無事……なのか?」

 

吐き出しそうなのを堪えて辺りを見回してみる。この現場を見れば生きている確率はないが遺体だけでも見つけないと遺族が浮かばれない。

 

私はそう考えて改めて辺りをドローンで見てみる。だがそこにあるのは6人の遺体と車だけ。

 

「いや…待てよ?少女はまだ見つかっていないぞ?」

 

この凄惨とも言える場所でまだ少女を見つけていない事に気付く。

 

「そうだ…まだ……希望はあるじゃないか」

 

ドローンでこの近辺を見て回っている内に

 

「少女が生きている可能性に賭けて出来るだけ早く見つけ出したい」や「あのような事があったのだから死んだのではないか」と心の中でそのような論争が起こっているが必死に少女を探す。そしてその問題の少女はいた。

 

その少女は無傷で屈んでおり何かから隠れる用にして木の後ろに隠れている。

 

「少女が生きてて良かったぁ~」

 

思わず普段の口調を崩してそんな事を呟いてしまう。だが私はすぐに不自然な点に気付く。

 

少女は“無傷”であったのだ

 

少女のセーラー服のような物は、ほつれも何も無いように見えて綺麗すぎる。あのような不審者が何人も殺されている現場では考えにくい。そして車は推測だが道を逸れて山の急な坂道で転がって潰れていると考える。そして少女が車の中に入ったのは報告書でも上がっている。そのため無傷である筈が無いのだ。

 

一体何故だ?

 

私は優真達に発見をしたと報告をして、少女に興味を持ったため観察する事にした。

 

報告書には140後半と書かれているが、実際には150前半にも見える。そして少女はへそも出しており破廉恥な格好をしている。

 

「これは不審者も沸いて仕方ないな…」

 

私から見てもこの少女はあまりにも不用心すぎると言わざるを得ない。

 

その件の少女は視線が一定の方向を見て固まっている。

 

そして私もその少女が見ている視線の先に居るものを見て固まってしまった。

 

そこには爵位持ちと言われる怪物が居たのだ。

 

「少女が危ない!早く現場に行け!」

 

私は優真に切羽詰まって急かすように言う。あれは纏っている威圧感や雰囲気が他の怪物と違い過ぎる。あの怪物はBaron級並のオーラを身に纏っているため、あの少女が危険過ぎる。

 

そう考えて優真達に早く少女と合流しろと急かすように言ってしまう。だがそれを嘲笑うかのように件の少女は意味不明な行動をする。

 

あろう事かその少女は、何処から取り出したのかは分からないが太刀を手にして怪物に対して“突っ込んで”行ったのだ。

 

それは少女が戦えるとしても怪物に対しての対処は一般的に5~6人程度で対処する事が得策とされており、その理由は多すぎず手数も多くなる事からそれらが一般的だ

 

だが少女が相対している怪物はその比ではない。相手は爵位持ちだと思われる正真正銘の怪物だ。例え優真達が相手だとしても勝機は無くはないが厳しい戦いが繰り広げられるだろう。

 

「何を考えている!?」

 

そして私はその狂った思考を持つ少女の戦いの一部始終を見た。いや正確に言えば魅入っていたのかもしれない。

 

少女は怪物に突っ込むと怪物はそれに対して私でもギリギリ見えるくらいの拳を放ちその放たれた大砲のような質量が地面にぶつかって地面が陥没する。

 

そしてその巨大な質量を持ったただのパンチが電光石火に繰り広げられる光景はもはや少女の生存は絶望的だとも言っても過言ではない。

 

だがその怪物の攻撃を少女は最小限の動きで難なく舞うようして躱して怪物の懐らしき場所に対して斬りこみを入れる。

 

ここで不思議なのは少女のフードが未だに取れないという事だがそんな事はどうでもいいくらいに美しい動きをする。

 

怪物に斬りかかった後に手応えの無さを感じたのか少女が首を傾げて怪物の方を見ている。

 

少女は何か言っていたかのように感じたが聞こえない距離にいて何を言っているのか分からない。だが太刀を横に構えたその瞬間少女の雰囲気はガラリと変わった。

 

 

「何かあるな」

 

 

私はそう確信して少女を見続ける。

 

怪物も本気を出したのか格を上げてViscount級のような雰囲気を感じる。あれはもう優真達でも相手に出来ないだろう。余りにも力の桁が違い過ぎる。

 

そして怪物は少女を見据えたようにも感じる。

 

その瞬間怪物が音を置き去りにするような速度で少女に対して接近をしている気がする。もう私には何が起きているのか分からないため勘で言うしかない。

 

怪物も少女も勝負が終わったのか両方とも後ろを向いてどちらもその姿勢を崩さない。その光景が数秒続いた後怪物は姿勢を崩して前に倒れた。

 

「どうやら勝負は終わったようだな。少女の勝ちか……一体最後の技はなんだったんだ?」

 

そしてそれとは別の疑問も入って来る。

 

どうして“ワザと連れ去られたのか ”という疑問だ。

 

少女はこの戦闘からViscount級の相手を真正面から倒せる実力をもっているのが分かる。ならどうしてこんな事件を起こしたんだ?この少女は狂っているのか?

 

そう考えていると少女と“目が合った”

 

このドローンは見られない筈…なのに…どうして…だ?

 

少女は一瞬驚いたような表情を見せた気がしたがすぐに此方を向いてその少女は呟いた。

 

「フフッ♪……あの人が釣れたようね♪」

 

少女はそう言ってすぐに私のドローンを壊した。だがドローンを破壊させられた事よりも不味い事態が起きている。

 

私が所属している対怪物戦闘部は人気が高くその事について妬ましく思っている者も当然いる。少女は釣れたという表現をしていた事から最初から優真達を狙っていたという事になる。

 

彼女の実力を見た私は優真達では相手にならないと分かっているためすぐに連絡を入れた。

 

「おい!今すぐにその場所から逃げるんだ!」

 

「えっ…突然どうしたの?っていうかもう着いちゃたよ?」

 

早めに連絡を入れておけばと思ってしまう。思えば最初から不自然な報告が多すぎたのだ。

 

そうこれは…

 

“彼女”の罠だったのだ。

 

そう結論を出した私はもうドローンを破壊されており、彼女に関しての情報収集は勿論優真の状況も見る事が出来ない。

 

「後は祈る事ぐらいしかする事がないな」

 

そう言って優真達の無事を祈りながら今後の事について考える。

 

「彼女に関しての目で見た情報や思う事をしっかり記録をしないとな…」

 

彼女の考えは良く分からない。だが分かった事もある。彼女は狂っている。少なくとも言葉の端々や行動からそのような片鱗を感じた。

 

「あぁ…胃が痛いな…」

 

私はこれらの記録を纏めたり、“優真の情報”も上に知らせなければならない。

 

「胃薬でも飲んで帰る事にしよう…」

 

私はそう言って学園に帰った。

 

 

 

 

 

 

 





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