War Commander’s 異世界傭兵戦記 作:ウルヴァリン
シルヴィ達の"優凪の衛"が行う新人の育成を目的とした教習依頼に参加することになった。場所は徒歩で1時間ほど進んだ先にある平地で、そこは普段は狩猟などで使われる場所らしいが魔物が増えてきているようだ。
この辺りに生息している魔物は白磁、難易度が高くても黒鉄級が対応できるファングボアやスクリームバード、バンデッドアンツ、ワイルドスネークなどが大半らしい。
しかしどれだけ位が低くても魔物は魔物なので、油断をすれば命を落とす可能性もあるので緊張感はある程度はいる。
「この辺りにはバンデッドアンツの巣が多い。奴等は地面の振動を感知して獲物に襲いかかる習性がある。だが巣穴は分かりやすいから避けて歩くか巣の中に火炎魔法を浴びせて一網打尽にする手法がある」
「今からロヴィータさんが実演してくれます」
「じゃあしっかり見ていてね」
ロヴィータがそういうと持っていた杖を突き出し、魔力を込め始めると杖の先端にある魔石が光だし、炎の球体が出現する。
「浴びせなさい……フラム」
彼女が呟くと球体の炎は流れるようにクレーター状の巣の中に注ぎ込まれ、何箇所から地面より炎が溢れ出る。そして浴びせ終わると巣の中から瀕死状態の火だるまになったバンデットアンツが這い出てくるがすぐに力尽きて地面に伏した。
「なかなかえげつない威力だな」
「けどフラムは初歩魔法の1つよ。私が扱う魔法の中には街一つ滅ぼせる広範囲魔法だってあるんだから」
「これで初歩とはな……なかなか恐ろしい」
「けどロヴィータさんが一番得意なのは強化系なんですよ。能力を一時的に向上させて戦いを有利に進めれるんです」
「シルヴィの言うとおり。それに夜の戦いにも使えるから頼りにできるわよ♪」
そういいながら胸元を寄せて見せつけてくる。どう考えても誘惑してリアクションを楽しんでいるようだがなるべく見ないようにして話を逸らすのが賢明だろう。
「次なにか来ます」
「距離はどのくらいだ?」
「うん、そんなに離れてないよ。4本足で掛けてきてる」
「恐らくファングボアかウルフですね。バーバロ、お願いしていい?」
「応っ。任せな」
そういうとバーバロが背中から大剣を取り出し、盾を前に構える。すると少し先の茂みから大型犬ほどの大きさに口から4本もの牙が生えたイノシシのような魔物であるファングボアが姿を現し、こちらを見ると突進してくる。
「ファングボアは馬鹿正直に真正面からの突撃しかしてこない。勢いに任せて牙で獲物をブッ刺すってやり方なんだが、ぶつかる直前に盾で殴れば……」
そういいながれバーバロは盾をファングボアがぶつかる直前に力を込めて前に突き出す。すると凄い鈍い音と共にファングボアの巨大がぶっ飛んだ。
「こんな風に強打盾の条件が揃う。あとは倒れた奴にトドメを刺すだけだ」
バーバロは吹き飛んだファングボアに近づき、首目掛けて大剣を振り下ろした。ファングボアの首は胴体と切り離され、血が吹き出るが返り血を振り払うと大剣を背中の鞘に戻した。
「いっちょあがり‼︎」
「皆のもの。このようにしっかりと相手を見極め、予測を立てれば対応は容易になる。何事にも油断せずに対応「ラウラさん」……どうした?」
「何か来ます」
「何か?」
「それもファングボアみたいなのじゃない……もっと巨大で……」
「これは……地面を這いずる音……」
地面に耳を当てて警戒をしていたユーソとエレオノーラ。その2人が何かを感知したことでシルヴィ達は警戒する。
「ファングボアよりも巨大で……這いずる……」
「まさか……」
「シルヴィ、ラウラ。どうやら厄介な奴が来たみたいだぞ」
「そうね……来るわ」
シルヴィ達が武器を構え、俺も厄介な事態になったと直感で感じてMk18とM203のセーフティを解除。すると直後にその音源が姿を現した。
様々な獲物を噛み砕けそうな無数の牙に羽と錯覚させるような襟巻き、恐怖を与える赤い瞳をした巨大な蛇のような魔物。
胴体は間違いなく軽自動車ほどかそれ以上の太さがあり、長さは20mはありそうだ。
「これは……バジリスク⁉︎」
「いや⁉︎こんな巨大なバジリスクなんて見たことがねぇぞ‼︎」
「まさか……変異種⁉︎」
運が悪いようで、まさかバジリスクの変異種が現れるとは思っていなかったのだろう。
恐怖で足が竦む新人の前に各自が武器を手に立ち塞がる。
「ユーソ‼︎エレオノーラ‼︎みんなを安全な場所へ‼︎」
「殿は俺が務める‼︎ロヴィータ‼︎強化魔法を‼︎」
「えぇ‼︎」
敵意を向けたことでバジリスクは尻尾をバーバロに振り下ろすが、バーバロは盾を構えて何とか受け止める。
すかさずシルヴィが弓を構えて射かけるが硬い鱗に阻まれ、ラウラもすかさず斬り掛かるが躱される。反対にバジリスクも斬り掛かって来たラウラに仕掛けるが柄を下顎に当てることで反動をつけて回避。
バーバロは盾で受け止めながら攻撃を仕掛けようとするが尻尾の連続叩きつけで中々仕掛けられないようだ。
俺もすぐMk18を構えてトリガーを弾いて5.56mm弾をお見舞いするが、今回はMk318ではなく通常のM855を選んでいて、威力不足なのかあまり効いてなさそうだ。
「ちくしょう⁉︎頑丈じゃねぇか⁉︎」
「間違いないわ‼︎このバジリスクは突然変異種よ⁉︎」
「照史様‼︎私達が惹きつけますから街に逃げて下さい‼︎」
「シルヴィ‼︎危ない⁉︎」
「みんな‼︎耳を塞いで目をつぶれ‼︎」
シルヴィが逃げるように促すが、バジリスクがシルヴィを捕食しようと襲いかかる。
俺はポーチからM84フラッシュバンをバジリスクの眼前に投げつける。シルヴィ達は反射的に耳を塞いで目を閉じ、その直後にフラッシュバンが起爆。
180dBの音と100万cd以上の光がバジリスクを襲い、落ち着いた頃にはバジリスクは頭をクラクラさせていた。
「な…なんなの⁉︎」
「バジリスクから離れろ‼︎バーバロはしっかり盾を構えるんだ‼︎」
「なにを言ってんだ⁉︎」
「いいからやれ‼︎死にたくなかったら‼︎」
勢いでそう言われるとシルヴィ達はすぐにバジリスクから離れ、バーバロも盾をしっかり構える。それを確認したら俺はバックパックからM72A5を取り出し、しっかり構えて照準を合わせる。
狙いは奴の頭だ。
発射スイッチを押して発射筒の後部よりバックブラストを吐き出して射出された66mm成型炸薬弾は真っ直ぐバジリスクの頭に飛来していき、そのままバジリスクの顔の右側面に命中。
爆煙が立ち上り、やがてそれが止むとHEATの直撃を受けて頭を木っ端微塵に吹き飛ばされたバジリスクの胴体が音を立てて倒れ、しばらく痙攣のように動いてから動かなくなった。
あまりにもいきなりなことだったので騒然とするが、座り込んでしまっていたシルヴィに歩み寄り、手を差し伸べた。
「シルヴィ、怪我はなかった?」
「えっ……あ…は……はい……」
シルヴィは唖然としながらも俺の手を掴み、俺は一気に引き起こす。やがて全員が俺に歩み寄り、怪我がなかったことに安堵した。
「みんな、怪我はない?」
「あぁ……大事ない」
「俺は耳鳴りがするぜ……」
「さっきの攻撃はなんだったの?」
「俺の攻撃だ。一か八かだったんだけどしっかり効果があってよかったよ」
唯一被害があったのが耳鳴りがするバーバロだけのようで良かった。
それから全員から説明を求められたがひとまずは先に離脱したユーソとエレオノーラ達と合流することが先だと言って落ち着かせ、ひとまずはハーヴィットへ戻ることとなった……………。