War Commander’s 異世界傭兵戦記   作:ウルヴァリン

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12:合格

バジリスクの変異種というトラブルはあったが、なんとか魔物の間引きという依頼は終了。ユーソとエレオノーラ達とすぐに合流してから組合に報告すべく、山越の風へと足を運んだ。

 

 

「バジリスクの変異種⁉︎」

 

 

俺達の報告を受けたミィは驚きのあまり毛を逆立てて尻尾がたぬきみたいになる。

猫が驚いた際に膨らむ尻尾は毛根の周りにある立毛筋が収縮して毛が逆立つ仕組みだが、どうやら彼女達猫人族にも見られる現象らしい。

 

 

「しかもただの変異体じゃなかったんだよ‼︎もうこ〜んな大きくて鱗なんてカチカチだったんだよ‼︎」

 

「シルヴィ……それじゃ全く分からないわよ……大きさは恐らくだがこの街の城壁の塔楼ほどの長さがあった。普通のバジリスクの変異種でもそこまでは大きくならない」

 

「それでよぉ。奴の鱗を持って来たんだが、こいつはかなりの代物だぜ」

 

 

バーバロがそういうと懐からバジリスクの鱗をミィに渡す。

 

 

「これは……ミャるでミスリルみたいニャ固さニャ……しょれで個体はどうしたニャ⁉︎」

 

「大丈夫よ。しっかり倒したわ」

 

「た……倒した……ニャ?」

 

「えぇ。バジリスクの死骸は狩場にあるから後で回収しに行った方がいいわよ。いい素材になるのは間違いなし」

 

 

ロヴィータのいうとおりあれだけ巨大で頑丈だ。俺はあまり興味は無いがこの世界の人達にとっては非常に価値のある素材なんだろうし、高値で取引されるのは分かる。

 

倒されたと聞いたミゥは安心したからか大きく溜息を吐いて椅子に座り込んだ。

 

 

「ミャァアアアッ……安心しました……けど流石は優凪の衛です。こんな頑丈な鱗のバジリスクを倒しちゃうなん「違うわよミィちゃん」ニャ?」

 

「倒したのは照史様だよ?」

 

 

シルヴィがそういうとまるで時間が止まったようにミィが固まる。少ししてから周りをキョロキョロし始めてやがて驚いた猫の目をしながら震え出した。

 

 

「ニャ……ニャにを言ってるニャ⁉︎いくら照史しゃんが強くてもバジリスクを倒すニャんて無理な筈ニャ⁉︎」

 

「我々もバジリスクには苦戦した。だが照史はかなりの威力を持つ魔道具を使って、バジリスクの頭を破壊して仕留めたのだ」

 

「そ……そうなのかニャ?」

 

「僕とエレオノーラはみんなを避難させてましたから見ていないんですが、あのバジリスクが強敵だっていうのは分かります」

 

「照史お兄ちゃんの活躍なのにみんなズルいよ‼︎ブー‼︎」

 

「エレちゃん、駄目よ拗ねちゃ」

 

 

最初はラウラが説明してくれようとしていたがエレオノーラが可愛らしげに頬を膨らませながら拗ねてしまい、まるでお母さんのようなロヴィータが頭を撫でて宥め始める。

 

話が進まなさそうだったので俺は先にどうやってバジリスクを倒したのか説明すべく、回収しておいた使用済みのM84とM72A5の筒を机に置いた。

 

 

「倒し方は基本的に簡潔だ。まずみんなに目を閉じて耳を塞がせるとこれをバジリスクの眼前に投げつけた」

 

「見た目は穴が空いた鉄製の筒なんですが……これで倒したのですか?」

 

「いや、これに殺傷能力はない。ただ投げて少ししたら強烈な光と音を発生させて一時的に視覚と聴覚を封じ込めるんだ」

 

「これが凄かったぜミィ。盾を構えてたから光は見なくて済んだんだがな。馬鹿でかい音でしばらく耳鳴りが止まなかったんだ」

 

「すまないなバーバロ。それで動きを封じてバジリスクの頭めがけてこっちの筒から撃ち出された爆発性の飛翔体を命中させて仕留めたってわけだだ」

 

「そんな簡単に……」

 

「簡単じゃ無いぞ。タイミングを間違えたら光が後ろでなったり、下手をしたら飛翔体が地面に落着して仲間に被害が出ることだってあるんだ。だから比較的狙い易い頭を狙った」

 

 

LAWのHEATは直撃でなくても爆風や破片、衝撃波で致命傷を与えられる。現代戦では戦車などには威力不足だが対人戦闘においては軽くて威力が高く扱いが簡単だ。

 

だから後継のM136 AT-4が登場しても第一線で活躍し続けている。

 

説明し終わるとミィは暫く考えてから頭を下げた。

 

 

「……行き過ぎた発言でした……申し訳ありません……」

 

「気にしないで。ポッと出の新米以下の奴がいきなり強敵を倒したっていう方が信じられないし、通常の反応だよ」

 

「そんなことはないですよ‼︎照史様はまた私を助けてくれましたし、私達が苦戦したバジリスクを倒されたことは本当に凄いことなんですよ‼︎」

 

「シルヴィの言うとおりだ。謙遜になることは大事だが謙遜すぎるというのも相手に不快感を与えかねない。だから自信が果たした功績は誇っても誰も文句は言わん」

 

 

シルヴィとラウラがそういうとみんなを見る。バーバロはニッと笑いながら親指を立て、ユーソとエレオノーラは目を輝かせながらこちらを見上げ、ロヴィータも母親のような笑みでこちらを見る。

 

小っ恥ずかしくなったが嬉しさをひとまずは抑え、ミィに試験の結果を聞くことにした。

 

 

「それてミィ。今回の試験なんだけど………」

 

「ニャ⁉︎……そうでした……」

 

 

ミィは俺の試験を思い出すと引き出しから俺に関する書類を取り出し、判子を押していく。

 

 

「3つの試験お疲れ様でした。スライム捕獲に薬草採取、そして今回の間引き依頼に関しては特例としまして成功となります」

 

「じゃあ……」

 

 

そういうとミィは最後に取り出した書類に俺の名前を書き、最後に名前と重なるように判子を押した。そこに書かれた文字は"Passieren"。

 

つまり……。

 

 

「おめでとうございます‼︎照史さんは今日から"山越の風"の一員です‼︎」

 

 

ドイツ語で合格ということだ。合格が通知されるとシルヴィは俺の手を取って祝福してくれ、ラウラ達も俺の合格を祝ってくれた。

それから必要な手続きを終わらせ、白磁のペンダントをミィから受け取って、後から歓迎会として猫の寄道亭で派手に騒いだ。

 

俺の異世界での旅がここハーヴィットが始まることになった……………。

 

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