War Commander’s 異世界傭兵戦記 作:ウルヴァリン
衛兵隊を救い出し、ハーヴィットへ帰って来たら俺はアレクセイに案内されて衛兵隊の正門詰所へと連れて来られた。
亡くなった衛兵の遺体は既に引渡済みで、遺体を綺麗に洗浄したら街中の教会の墓地にて埋葬されるとのことだ。
遺品に関しても遺族に返されるとのことなので、後は報告書を作る為に部隊長が俺に調書を取りたいとのことだがなかなか来ない。時計を見ると既に30分以上待たされているのだが、何かトラブルでもあったんだろう。
そう考えていると詰所の扉が開いた。
「獣くせぇ臭いしてやがるな」
開口一番に失礼な事を言いながら男が入って来た。衛兵にしては細身で髪型が如何にも無能であると表明していそうなおカッパをしている。
「まぁいいや、さっさと終わらせるかな……」
「よろしくお願いします。俺は……」
「あ〜そういうのはいいから。男の名前なんて興味ねぇから」
………腹が立って来た。
「んで、あんたはアレクセイがアンガーマンティスに襲われてたとこを助けたってことになってんだけど、そうなのか?」
「はい。依頼の為にファングボアを討伐…」
「だからそんなのはいいから。早く終わらせたいからはいかいいえで答えろって」
「………はい」
「……たく、アンガーマンティス程度で死にやがって……無能はこれだから嫌なんだよ……で、不意打ちで倒したってあるが、合ってるか?」
「はい」
失礼な態度で興味なさそうに質問をしているが、俺は怒りを抑えながらひとまずは質問に答えていく。
少しして部隊長のような男は書類を纏めながら言い放った。
「………で、いくら渡したんだ?」
「……渡したとは?」
「アレクセイにいくら渡して手柄を掠め取ったんだって聞いてんだ?」
「賄賂を渡したと言っているのですか?」
「有能な俺様と違って薄汚ねぇ冒険者がこんな手柄をする訳ねぇんだよ。まぁ、誠意次第でこの報告書をそのまま上に通してやってもいいんだがな」
「………賄賂なんて1枚も渡していませんが?」
「はん、どうせ出し惜しみしてんだろうが、俺様の報告次第じゃてめぇを殺人で斬首台に連れてくことも出来んだ。だから誠意を見せた方が身のためだ。あっ、そうか。薄汚ねぇ獣もどきと気持ち悪い亜人共と連んでる冒険者なんだから言ってる意味わかんねーか‼︎」
こいつがどういう人間かは判明した。自分が優秀だと思い込んで何をやっても許されると勘違いしている差別主義者だ。
俺のことを馬鹿にするならまだいいが、シルヴィやミィ達のことを馬鹿にしたのは許せない。俺は机を叩きながら勢いよく立ち上がり、扉に向かった。
「お…おい⁉︎まだ話は終わってないぞ⁉︎」
「もう終わりだカス野郎」
「なっ⁉︎」
「誰がお前みたいな奴に協力なんかするか。今回の件に関してはもう一切協力しないし、今後衛兵隊からの依頼は拒否させて貰う」
「ぼ……冒険者風情が⁉︎俺様に楯突くってのか⁉︎」
「あぁ。楯突くさ。お前みたいな差別主義者なんて怖くも何ともないからな」
「ぐぐぐぐぐぐっ⁉︎」
「あと、お前の髪型……神経を疑いたくなるくらいダサい」
それだけいうと俺は部屋を後にした。室内ではクソ野郎が騒ぎ立てているが聞かないようにし、外に出て遺体を降ろし終えたアレクセイに事情を話し、馬車を進めた。話を聞いたアレクセイは本当に申し訳なさそうに謝罪し、礼金を渡そうとしたが遺族に渡してくれと頼むと後にした。
アレクセイのような真面目な衛兵がいるのに、あんな奴が隊長をしているのかが理解できない。
それよりも組合に戻って依頼完了報告と衛兵隊からの依頼受領拒否の申請をしなければならなくなった。
少し遅くなったので足を早めることにした……………。