War Commander’s 異世界傭兵戦記   作:ウルヴァリン

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20:昇級前の課題

クソ野郎共を捕縛した次の日の朝から俺は対処に追われた。下準備として実は作戦決行日にミィにアレクセイ宛の手紙を届けるように頼んでおいて、深夜に外から騒ぎが発生したらすぐ部隊を引き連れて欲しいと頼んでおいた。

 

アレクセイにクソ野郎共を引き渡し、彼によるとシャイセを含めて賞金首が3人いて、その内の1人は王都を含めて複数の街で殺人もしている凶悪犯だったらしい。

 

事情聴取を終えて懸賞金総額金貨42枚を受け取った。大半は凶悪犯でシャイセの金額は金貨1枚と街の歴史でも最安値の額だったらしい。また以前と同じように寄付しようとしたが、クィン総隊長から止められてしまい、仕方がないので何かに使うことにした。

 

因みに組合に帰ったら事情を知ったシルヴィ達に無茶するなと怒られた。だからお詫びとして心配かけたみんなに奢ることにし、懸賞金を受け取った日の晩に宿でどんちゃん騒ぎ。金貨4枚を使うことになったが、みんなでぱーっと使って楽しんだ方がいい。俺も久々に羽を伸ばして酒をたらふく飲み、次の日には二日酔いで一緒に苦しんだ。

 

そんな楽しい日から数日後、依頼を完遂させた俺はカウンターでミィに呼ばれて組合内の食堂にいた。

 

 

 

「昇級?」

 

「はい。この前の大捕物で照史さんの等級を上げることが決まったんです」

 

 

 

コーヒーを飲みながらミィの話に耳を傾ける。シルヴィとラウラも左右の椅子に座っているが、運ばれて来た焼き菓子をシルヴィは満面の笑みで堪能し、それを呆れながら見ているラウラ。なんだか緊張感が感じられないのはもう慣れた。

 

 

 

「けど昇級には試験と審査があるんだろ?俺は受けてないんだが?」

 

「それは問題ないんですよ。流石に高等等級は無理ですけど、白磁等級からなら推薦があれば試験が免除されるんです」

 

「ふぉうなんうぇふ。あひほはまいふいへんほおふぁひへへふほはっはんへふひよ♪」

 

「シルヴィ、食べるかしゃべるかのどちらかにしなさい。行儀が悪いわ」

 

 

 

頬にリスみたいに焼き菓子を溜め込んで行儀悪く話すシルヴィ。それを飲み込んだが喉を詰まらせ、咽せながら紅茶を一気に飲んだ。

 

 

 

「それに組合としてもバジリスクの変異体を倒せたり、依頼達成率10割だったり、賞金首を一網打尽にしたり出来る照史さんを白磁のままにしておくのは流石に問題有りなんですよ」

 

「問題?」

 

「当たり前だ。お前の実力と人柄の良さはどう考えても白磁にしておくには勿体無い。だったら推薦状を出して昇級してもらった方が組合の為でもある」

 

「俺としては他の白磁等級者と同じ対応がいいんだがな……」

 

「照史様は謙虚過ぎますよ?そんなことばっかりしてたら幸せが遠のいちゃいますよ?」

 

「シルヴィさんの言う通りです。それにもう少しで冬に入りますから、照史さんとしても白磁のままだったら依頼の数がかなり減っちゃうから問題だと思いますよ」

 

「そ…そんなに………ちなみに去年はどんな状況だったんだ?」

 

「「「………………」」」

 

 

 

3人の沈黙で大体察した。確かにそれだったら素直に推奨を受けた方がいいだろう。

 

 

 

「けど発案者のクィン様から推薦昇級には"条件付き"とされてます」

 

「条件付き?」

 

「はい。照史さんには最低でも1人とパーティーを組んでもらうというのが条件です」

 

 

 

 

条件付きという言葉に耳を傾けるが、出てきたのはパーティーを作れという。

 

 

 

「……何故?」

 

「あははは……これは流石の私でも分かっちゃった……」

 

「うむ……クィン殿は桜崎の特徴をしっかり見定めて条件付きにしたんだな……」

 

「お二人の考えてる通りなんですよ……」

 

「な…なに?どういうこと?」

 

「「「無茶をする前に止めに入る人と一緒にいなさいってことです‼︎」」」

 

「む……無茶って……」

 

「自覚するニャ‼︎白磁等級の冒険者なのに明らかに銀等級にあたる事件を解決するニャんて聞いたことがニャいニャ⁉︎」

 

「ミィちゃん……ニャになってるよ?」

 

「ニャ⁉︎」

 

「ミィの言う通りだ。お前は他人を優先し過ぎる傾向があるから、せめて止め役がいた方がいい」

 

「けど俺の役職は銃士だよ?一時的にならともかくパーティーとなると必要としてるのなんて余程だぞ?」

 

 

 

シルヴィの魔導弓士、ラウラの魔導戦士という役職があるように、この世界には剣士や魔術師のような役職がある。俺の場合なら銃を使うことで銃士という役職が与えられ、遠距離から高火力のライフルを使って仕留めるという役割だが、この世界では銃士は冒険者ではあまり重宝されていないようだ。

マスケット式ライフルということもあるので再装填に時間が掛かるし、接近されたらかなり危ういという。

 

確かに迅速性が必要な冒険者には不釣り合いともいえる役職だ。

 

だからパーティーを組みたいと考える人はあまりいない。

 

そう考えているとシルヴィが何か閃いたようだ。

 

 

 

「あっ‼︎じゃあフランツ商会に行ってみてはどうです?」

 

「フランツ商会?」

 

「北区にある商会だ。規模は中くらいだがバルメッサ商会傘下として登録されているから問題ないだろう」

 

「確かに下手に人材を探すより、その道に詳しい人が間に入ってくれたら安心ですね」

 

「ちょっと待て……さっきから話してるけどフランツ商会ってのは何を扱ってるんだ?人材派遣の商会か?」

 

 

気にはなったので3人に聞いてみることにしたが、思いがけない答えに俺は唖然とした……………。

 

 

 

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