War Commander’s 異世界傭兵戦記   作:ウルヴァリン

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23:力を示せ

ルシャナと模擬戦をすることになった。騎士出身である彼女によれば、"主人となる人間は自分より強いと下に示しがつかない"とのことで、かつて仕えていた王族からの教えらしい。

 

強さや経歴もそうだが、美少女ということもあってこれまでに結構な数の購入希望者が彼女に挑んだらしいが、全て返り討ちにあったらしい。

それで腹いせに商館を襲ったらしいが、今度は彼女を筆頭に歴戦の冒険者出身者や軍務経験者が返り討ちにして犯罪奴隷に叩き落としたとのこと。

 

それで地下室の犯罪奴隷収監部屋にいる犯罪奴隷の一部がそうらしい。

 

けど俺は彼女を購入するしないに関わらず、純粋に試してみたいこととテストしたい装備がある。

 

アメリアさんが商館の裏側にある運動場を貸してくれて、模擬用の武器をみていた。

 

 

「本当に申し訳ありません桜崎様。あの子はどうしても相手の実力を測らないと気が済まないんです」

 

「気にしないでください。いきなり知らない奴が自分を買いたいってなったら誰だって同じ反応をしますよ。自分より弱いやつの下につくってなれば戦士にとって屈辱以外なんでもないです」

 

「本当にすみません……」

 

「けどやるからには勝ちますよ。俺も武を一応は心得てますから……」

 

 

 

そういいながら俺は立てかけられている訓練用のショートソードを手に取る。ルシャナは既に訓練用のロングソードを選んでおり、なぜか分からないがスペース内には同じ訓練用の武器が散乱していた。

 

 

 

「では決め事を伝える。勝敗の決め方は相手が降参を宣言するか相手を戦闘不能もしくは場外に追いやったら勝ちとなる。範囲内の武器は自由に使って構わないが、命の危険と判断されたら即座に止めに入る。双方問題ないか?」

 

「あぁ。構わない」

 

「こちらも」

 

 

 

審判役がルールを説明すると了承する。それと同時に俺はショートソードを両手で構える。対してルシャナも左手でロングソードを構える。ほんの少しの沈黙の後に、審判の挙げられた手が下に降りた。

 

 

「始め!!」

 

 

先手は向こうからだ。ルシャナは一気に懐に飛び込んでしゃがむと回転しながら斬りかかってくる。素早く反応してショートソードを下に向けて受け止め、弾き返すと彼女は反動を使って回転しながら今度はほぼ垂直に振り下ろしてきた。

 

だが甘くはない。

 

振り下ろされる前に後方に飛んで攻撃を回避し、着地すると同時に前に駆け出してから刺突を仕掛ける。彼女は添えを受け止めるがそれは見据えていたので、素早く横蹴りをして彼女から距離を少し置く。

そこから素早く彼女の懐に飛び込んで振り下ろすが彼女はそれを受け止める。だが俺もショートソードの取り回しの良さを活かして素早い攻撃を仕掛ける。

 

そこから彼女も振り上げで仕掛けてきて、俺も振り下ろしで刃をぶつけ合って鍔競り合いとなる。

 

 

「なるほどです。確かに白磁以上の実力を有しているようですね」

 

「ここでやめておく?」

 

「ご冗談を・・・・・・まだまだ始まったばかりですよ!!」

 

 

俺の再びの振り下ろしに彼女は後方に飛んで回避し、素早く構えなおすと彼女はロングソードを俺に投げつけてきた。

少し驚いたがそれを払い飛ばすと彼女は近くに落ちていた槍を手にして素早い刺突を仕掛けてきた。

 

この広場に散乱していた武器の意味をようやく理解した。

 

彼女の戦い方は特定の武器で戦うのではなく、臨機応変に周囲の状況や相手に合わせて武器を切り替えるものだ。

素早い刺突をさばきながら彼女は柄も使って姿勢を崩そうとしてくるが振り下ろした瞬間に柄を踏みつけてから動きを封じる。しかし彼女は瞬時に槍を放棄してから今度は右手にショートソード、左手に盾を持ち替えてきた。そしてすぐに盾を構えながら突進してきて、そのまま俺を後ろに押しのけるとショートソードで仕掛けてきた。

 

 

「くそっ!?」

 

「逃がさない!!」

 

 

彼女の攻撃に右に回り込んで回避すると、今度はすかさず横から攻撃を仕掛ける。だが彼女は簡単にいなしてから盾で殴り掛かってくる。だったら逆に盾を蹴って振動を与えてから振り下ろす。

 

暫く攻守を入れ替えながらにらみ合いになってしまい、少しだけ膠着状態となった。

 

 

「さすが騎士出身だな・・・・・・戦い慣れてるって言葉だけじゃ生温い強さだぜ」

 

「そちらもです。倭之國のような構え方に似ていますが、どこか違う。どこで剣術を伝授されたのですか?」

 

「親父の影響だよ。こう見えても親父は剣術の師範代だったからね」

 

「環境が優れていたということですね。ですが・・・・・・」

 

「なんだ?」

 

「まだ本気を出されていないように見受けられます」

 

 

彼女の指摘に少し驚く。確かに今の俺の戦い方は前の世界で剣道をしていた時に暇を見つけて西洋の戦い方を勉強して組み合わせたものだ。

 

 

「実力を図らなければならないのに、その実力を隠されては本末転倒です」

 

「・・・・・・」

 

「是非とも本気を出していただけますか?」

 

「・・・・・・後悔しないでね?」

 

 

彼女のリクエストに応えるべく、頭の中でイメージしてWCSのメニューを出す。その中からキャラクター設定のスキル設定を選択。

WCSには膨大な武器や装備品の他にもプレイヤーの能力を底上げさせられる様々なスキルが存在し、一部には近接格闘戦に特化したものもある。俺はその中から刀剣を装備している状態で相手の体力を1だけ残す“一殺多生”と刀剣類を装備している場合、ダメージが倍になるが素早さが3倍になる“切り裂きジャック”を組み合わせた。

 

選択を終わらせて息を整えると、一気に地面を蹴って彼女の懐に飛び込んだ。

 

 

「なっ!?」

 

 

懐に飛び込んでショートソードを振り上げる。いきなりだったので彼女は体を捻って回避するが、姿勢が不安定な状態で彼女の腹に蹴りを見舞って吹き飛ばす。攻撃を食らったがすぐに体制を整える。だが反撃の隙を与えられないので一気に決着をつけることにした。

再び姿勢を低くしてルシャナの懐に飛び込んで今度は回転しながら斬りかかろうとする。だが彼女は右手のショートソードを振り下ろすが刃を受け流しつつ、そのまま弾き飛ばした。

 

すかさず彼女は左手のショートソードを薙ぎ払うように振り上げるが、素早く後ろに回り込んで切先を彼女の左わきに突き立てた。

 

一瞬の出来事に俺を除いた全員が唖然となったが、我に戻った審判役が勝敗を宣言した。

 

 

「し・・・・・・勝負あり!!」

 

 

俺の勝利が確定し、切先を外して彼女に握手をするため手を差し伸べた。何が起こったのかわからないままだったが、しばらくして自分の敗北を認識し、俺の手を取って握手を交わした・・・・・・・・・・・・。

 

 

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